■木曜時代劇「ちかえもん」
原作:近松門左衛門 脚本:藤本有紀
出演:松尾スズキ(ナレーター)、青木崇高、優香、小池徹平、早見あかり、高岡早紀、岸部一徳、富司純子 ほか
部長の大阪弁、ちょんまげ姿が新鮮。だけど違和感なし。
大阪弁に苦労した話をしていた記憶があるけど、私は関西人じゃないから
微妙なイントネーションの違いは分からず、全然、苦労感は感じられず、
自然体に見える。それが逆にスゴイことなのかも。
部長が主役だから予録して観たけど、意外と?笑いよりも最初から感情移入する人間ドラマだった。
急に歌いだしたりするシーンや、本人によるナレーション、ツッコミは可笑しくて、
重くなりがちなあだ討ち物語、しかも時代劇を、現代とまぜこぜにしてエンタメ風味にしている。
でも、やっぱりこれは遊女の哀しい過去、親を越えられない跡取り息子、脚本を書けない男、
それぞれの人間ドラマの芯があってこそ。
近松門左衛門さんも、人形浄瑠璃も、『曽根崎心中』もほとんど知らなくても楽しめるドラマだった。
▼あらすじ(ネタバレ注意
第1回「近松優柔不断極(ちかまつゆうじゅうふだんのきわみ) 大阪で生まれた女」
人形浄瑠璃『曽根崎心中』は大好評。それを見て、感慨無量の近松。
時はさかのぼって、元禄16年。芝居小屋の客は4人ほどで誰も観ていない。
主人・平野の家で、番頭は面白くなかったと本人の前で悪口言い放題。
平野「さっさと傑作書きなはれ」
ここで音程の外れた歌が入るw 大河でナレーション?
♪大阪で生まれた女
近松(妻に捨てられた50歳のやもめ)の母・喜里は気位が高く、いつも説教される。
「20年前、武士を捨て、故郷の越前を捨てた時に止めればよかった」
犬公方・綱吉は、動物も孝行も大好きで、町では親孝行になれる「孝行糖」まで売られる中、
親不孝になる「不孝糖」なる飴を売る男・万吉に出会う。
柴さんかあいい!
油屋の黒田九平次が平野を訪ね、今後ともよろしくと挨拶する。
黒田屋は、近松の浄瑠璃も誉めちぎり、歌舞伎の新しい小屋を造る予定だから
ストーリーを書いて欲しい。今の5倍の手当てを払います、と依頼する。
万吉は何か裏があるというが、「筋を守ると約束してくれたら引き受ける」といったんは契約してから、
武家の次男坊として生まれ、寂しかった時、人形と遊ぶのが好きだったことを思い出して、断ると、
黒田屋は一変して激怒し小刀を抜く。「商いと道楽とは違うんだ。竹本座を捨ててくれますね?」
そこにまた万吉が現れて救ってくれる。
「傑作を書いて、名前を残すのや!」「ちかえもんて、わしのことかわいらしい名前で呼んだ」て、
部長の顔七変化っぷりも見どころの1つw
平野の跡取り息子・徳兵衛は、絵に描いたような放蕩息子で、
毎日、店の金を使って、遊郭「天満屋」に通っている。
年増の遊女・お袖はいつも近松のそばにいるんだね。
第2回「厄介者初、井守黒焼(やっかいものおはつといもりのくろやき) 悲しくてやりきれない」
不孝糖をいっしょに売るはめになる近松。万吉は家にいついてしまう。
♪悲しくてやりきれない を歌う近松w
天満屋の新入り・お初はトラブルばかり。
万吉はお初にひと目惚れして嫁にしたいと言い出し、近松は女が寄って来る十カ条をアドバイス。
1.見栄 2.男 3.金 4.芸 5.精(仕事熱心)
6.おぼこ(年増が惚れる) 7.ゼリフ(口が上手い) 8.力 9.肝 10.評判
これらすべてを自分も持ってないと気づいて驚く近松w
惚れ薬と言われる「イモリの黒焼き」を飲んで、最初に見た者に惚れると教える。
お袖はお初の面倒をみるよう女将に言われて近松にも引き合わせる。
お初「こないな所で上を目指して何になります? 太夫に登り詰めたところでアホらしいだけや。いっそ死にとうおますわ」
平野は大坂中の一番の金持ちと聞いて、目の色を変えるお初。
お袖から「ええ歳してしょうもないこと言うてんのがかあいらしい」と言われ、近松も恋!?
「男やったら正々堂々惚れさせてみい!」と万吉にゆったものの、にゃんこにイモリが効いたのを目撃する!
お初をお仕置きとして木に縛りつけるお玉。慰める万吉。
「存分に親不孝したらスカっと笑うた顔見せてや」
近松はイモリの黒焼をお袖に飲ませようとして、間違って母がすったゴマを入れ、万吉がお初に舐めさせた飴のほうがイモリ。
お初が見たのは徳兵衛で2人は一気に惚れ合う仲に。
「お初が初めて笑ろたんや、よかった」と泣く万吉。
「今日も1行も書けてない~」
第3回「放蕩息子徳兵衛(あほぼんとくべえ) 学生街の喫茶店」
徳兵衛はお初に惚れ込む。「お前を身請けするつもりや。いずれ堂々とおやじに言うさかい」
ここで、♪学生街の喫茶店 を歌う近松。
「ネタがない、どれも似たり寄ったりや」
赤穂の義士が切腹したと号外が配られ、『赤穂義士』を思いつく。
大坂一=日本一の金持ちの平野の家に万吉といく近松。
徳兵衛「私の代になったら竹本屋から手を引く」
「あすこまで突き抜けた不孝もん見たの初めてや」と悔しがる万吉。
黒田は平野をもてなすため、天満屋に来て、とびきりの美人を用意してくれと頼み、お初が呼ばれる。
大陸から珍しいものを取り寄せたいので、平野に力添えしてほしいと頼む黒田。
黒田「平野屋でもっとも稼ぎとなっているものを任せてもらえれば、もっと大きくします」
当時、外国との取引は、幕府から認められた限られた者しか取引できないこと。法破り?
番頭は蔵の中を徳兵衛に見せようとして忠右衛門に止められる。徳兵衛は父を見返すために万吉と見事に飴を売ってみせるが
天満屋で父と鉢合わせとなり、「始末すること」「放蕩は慎むこと」「孝行すること」が家訓と叱られる。
江戸の寿屋に徳兵衛を預けようとするが、万吉が間に入り、思わず近松も話に入る。
「赤穂義士かて命投げ打つ覚悟があったのか? 忠義より命が大事。徳兵衛さんは、義理に縛られてのたうち回ってますのや」
徳兵衛は涙ながらに父にたてつき、番頭もかばう。
父「明日から手代からやりなおせ」
このやりとりを聞いていた黒田屋。
夜のシーンが多いな。
第4回「善悪不明九平次(ぜんかあくかくへいじ) 傘がない」
「討ち入りしたのは47人、腹を切ったのは46人。その謎を書けばいい」と近松にアドバイスする万吉。
「テレビの前の善男善女のみなさま」てw 所々アニメも入る
消えたのは寺坂吉右衛門だが、真相はいまだにミステリー。
この大坂に身を隠しているという噂を聞いたと母が言う。「きっと寺坂さんには理由があるはずや」
黒田は、去年の暮れに現れて商売を大きくした。赤穂義士のちょっと後だが、得体の知れない男。
「もしや寺坂はん?」と尾行し、黒田の密命を探る決意をする近松。
天満屋に役人が入り、徳兵衛が不孝を理由に捕まるが、
黒田のとりはからいで徳兵衛は無事戻る。「いつでも相談に乗りますよ」と言われて信用するが、
「黒田屋には近づくな!」と父は怒鳴る。
ここで♪傘がない を歌う近松。
黒田屋を訪ねる万吉と近松。
万吉「あほぼんを捕まえさせたのはお前だな。恩を売って意のままにするつもりやな」
近松は白い粉クスリのようなものを指さして、
「あれは何でっか!? 赤穂の塩でんな。あんたを浄瑠璃に書きたい。赤穂は塩で豊かになった」と自分の説を唱えると、
「いかにも私は寺坂です。このことは内密に。しかし大坂で商売するワケは少々違います。
寺坂だけが足軽で浅野家の中で軽んじられていた。みな憎かった。
すべて私の企みだったのです。忌々しい上下をひっくり返し、自分だけが生き残る」
と言ってから浄瑠璃調のつくり話だとすり替える。
万吉は信じない。本物の寺坂は姫路に身を寄せているという母の情報。
近松「ほんなら、どこの誰なんや・・・」
黒田をもてなすお初に秘密を明かす。
「徳兵衛を捕らえさせたのはそもそも私の仕組んだことだ。
恩を売って、いずれ面白い手駒となるだろう。平野屋を乗っ取るためのね。
平野屋は暴利をむさぼっている。その財の源は、朝鮮人参だ」(密売?
おまえは徳兵衛に惚れてなどいない。狙いは平野屋忠右衛門だろ?」
近松の本『出世景清』をお初がそらんじていたと万吉が言う。
第5回「標的、忠右衛門(ターゲットはちゅうえもん) フランシーヌの場合」
黒田「京で(お初の)過去を調べた。平野にあだ討ちをする魂胆だ。
しかし、忠右衛門が遊女を跡取り息子の嫁にするとは思えない。私と手を組まないか」
お初「わてはこの手であだ討ちします。邪魔せんといてな」
♪赤穂浪士の歌
『出世景清』は平家の残党が源頼朝を狙うあだ討ちの話。映画の予告編調になって“Don't miss it!!”てw
お初が『出世景清』のファンだと思って浮かれて訪ねる近松だが、完全否定される。
本当は幼い頃に人形浄瑠璃で観ていた。
徳兵衛から「お前を身請けしたいと本気で思ってる」と言われ複雑なお初。
忠右衛門「先々を考えて、寿屋の娘を妻に迎え」
徳兵衛「私には心に決めたおなごがいる。天満屋のお初や」
お袖「わてらのようなおなごは昔のことを詮索されたないねん」
人形浄瑠璃を観たのを羨ましがるお袖。
床で臥せるお初。お袖に話した告白を聞いてしまう近松。
お初の父は役人。人形浄瑠璃が好きで9つの時に連れて行ってもらった。
忠右衛門と気が合っていたが、不正な取引で大儲けしてると知ってしまい、止めるよう訴えた。
その後、裏取引をでっち上げられ牢屋へ入れられ、厳しい取調べの上、斬首された。
ほどなく母も亡くなった。強欲な伯父に引き取られ、京の遊郭に売られた。
「不正の証拠をつかんで、無念を晴らすためや! 徳兵衛を見た時チョロイと思った」
近松は人間関係をメモり、万吉にバレる。
万吉は平野に「お初に会え」と場を作り、平野は約束する。
お初の話を聞いてたのはオレだと明かす近松。
近松「こないやとこであだ討ちしたら、お初も死罪は免れない」
万吉「積年の恨みを晴らさなければ、笑うことはできない」
近松「それは古い昔のこっちゃ。若い娘の救われる道はなんぼでもあるのや」
お初「もう回りくどいことはしまいや。刀を抜くかどうかは忠右衛門の出方次第や」
それは黒田の耳にも入る。
ナレーション「安心してください。これは痛快娯楽時代劇です」
義太夫さんが「歌舞伎に人気をとられた。竹本屋を閉めようと思っている」ともらしてた、そんな時代だったんだな。
第6回「義太夫些少活躍(ぎだゆうわりとかつやく) 知りたくないの」
近松「わしならどう展開させる?」
お初は平野を刺そうとして番頭を刺してしまう。番頭は実は平野に助けられたタヌキだったというオチしか思い浮かばないw
そこに徳兵衛も入ってこようとして止めるウソに「お袖を身請けしたいから銭を貸してくれ」と言ってしまう。
「お初はよそに身請けが決まりましたんや」とウソをつくと逆効果に。
平野はお初の素性に気づいていていて、父への見舞金だと大金を渡す。
「小娘で潰れる平野屋やない。その金でどこへでも行け」
銭を返し「認めますのやな。ひと言でええ、謝っておくんなはれ」
徳兵衛は父がお初を身請けするのだと誤解。
万吉は徳兵衛に近松の覚書を見せる。
♪知りたくないの
「すまんかったな。私はなんにも知らなかったんや。私はほんまに阿呆ぼんや」
徳兵衛は自殺しようとして、近松の尻を刺してしまう。
万吉「まだ言うてないことがあるな」
見かねた番頭がすべてを話す。
朝鮮人参を不正取引したのは、体の弱い妻・お鶴に薬としてあげるため。
それでも亡くなってしまい、悲しみを癒やすために立ち寄ったのが景清の初演。
これを観て、武士をひれ伏せさせる豪商になり、あだ討ちすることを決心した。
朝鮮人参の取引を始めて豪商となった平野は、お初の父・蔵役人カクノシンと知り合った。
カクノシンは朝鮮人参の取引を知ってしまう。「知ってしまった上は黙っておるわけにはいかん!」
罪をでっち上げたのは忠右衛門ではなかったことも分かる。
「根っからの商人にはこないなことしか出来へん。こっから出て、生き直してくれ」
「これが定めと受け入れ生きて参ります。これがあなたへのあだ討ち、父への孝行にございます」
徳兵衛「お前は強いおなごやな。惚れ直したで。体に気つけてな」
黒田は隣りで聞いていた。
近松:
なんでみんなあないに息苦しい生き方せんならんのやろ。
己の生き方を貫いているようでいて、結局、世の仕組みにがんじがらめにされとるだけや。
母「ノブモリはまた傑作を書けるでしょうか? ムダなことなら誰かゆうて欲しい」
義太夫「近松は当代きっての浄瑠璃作者です!」
ナレ「連続時代劇。来週への引きが不可欠です」w
お初が呼ばれたのは黒田。
「景清はあだ討ちを果たせなかった。お初は徳兵衛に心を奪われるていたらく。
お陰でまた筋書きを替えなくてはならなくなった」
近松「なんや忘れてるような気がしてな」「油のムダでっせ」「ん、油?」
お初「乗っ取りは止めておくんなはれ」
黒田「止めたければ手立ては1つ。私に身請けされればいい。
誇りを傷つけられ、絶望に歪んだ顔が私の一番の好物なんだ」
第7回「賢母喜里潔決断(ははうえきっぱりけつだん)」
お初は身請けの話を引き受けるしかなかった。
♪近松がよなべをして浄瑠璃書いていた~(かあさんの歌)
越前に住む弟(医師)から帰って来いと母に手紙がくるが、近松が心配で帰れないと言うと、
それがプレッシャーで書けないんだ!と反論してしまう。
徳兵衛はついに朝鮮人参の蔵を見る。
父「ほんまにアレに継がせてええやろか」
番頭は、お初を忘れさせるために、今は仕事に精を出すことが必要だと言う。
万吉は徳兵衛に黒田がお初を身請けすることを話すと「あの人はええ人や」と諦めている。
黒田は大坂町奉行所与力・鬼塚新右衛門と会う。彼が間をとりもってた。
近松は義太夫に愚痴る。「みなまで言うな」(バンバンの歌詞にあるね。こういう時に使うのか!
義太夫「傑作書いて、後添いもろて安心させ。わしらもええ歳や。当てることを考えずに書きたいものを書いたらええ」
母が倒れる。「やぶ医者の楽しみいうたら浄瑠璃くらいですからな」とお代はとらない。
(昔の高い枕って首に悪そう!
「母親とは愚かなものじゃな。いつまでも自分が子どもの世話をしたと思うておる。
かえって邪魔になってるとも気づかずに。存分に書かせてあげたいのじゃ」
義太夫「ちかえもんのことはわしに任せて下さい」
黒田は徳兵衛に挨拶に来る。
「長いくるわ暮らしのためか、お初はロウガイ(肺結核)かもしれません。少し分けていただきたいのです。朝鮮人参を!」
何も疑わず「すぐに運ぶ」と約束する徳兵衛。お代をきっと返すために証文を書くという黒田。
風邪をひいて、親身に世話をしてくれるお袖に「わしの嫁さんになってくれ!」“言うてもたあ~プロポーズしてもうたあ”
だがすぐに「あかん」と即答される。「後に名を残す作家はんが、あたしみたいな嫁さんもろたらあかん」
♪よこはま・たそがれ
黒田に朝鮮人参を持っていくと、シラを切られ、皆の前で殴られ蹴られ、平野屋取り潰しの危機となる。
母は「明日、朝早く越前に帰ります。お前はきっと傑作を生み出す作家じゃ。身なりには気をつけて」と羽織を渡す。
♪かあさんがよなべをして羽織を縫ってくれた~ルルル~
徳兵衛が近松のもとに泣きついて来る。「お初に最後にひと目会いたいんや」
万吉はお初と徳兵衛を会わせる。「私の代わりにお初を見守ってくれ」
万吉「今生があかんかったら、あの世で一緒にならんかい」
黒田は朝鮮人参を献上しようとして、奉行に渡した中身は万吉がすり替えた「不孝糖」!
万吉はお初と旅に出る。
第8回「曽根崎心中万吉心中(そねざきしんじゅうとまんきちのおもい)
天神の森で心中した2人の死体に号泣する忠右衛門と番頭(顔も見えなくて怪しい・・・
黒田屋は取り潰しとなり姿をくらました。
「それが恋ちゅうもんなんか? なんでや、なんでや・・・」
ついに書き始める近松。「涙の代わりに言葉が溢れて止まらん」
それを義太夫に見せると、「5月7日に幕開けるで」と即答する。
なんだかボロボロになってお袖に会いに行く。
「初日に幕開くさかい、お前に観に来て欲しい」と身請けのための芝居の前金を用意する。
「行くに決まってるやろ、くそじじい」
初日。急に不安に襲われる近松。人の不幸を題材にする浅ましい奴だと思われないだろうか、
平野が怒って乗り込んでくる妄想を見る。
だが、芝居には平野や番頭、天満屋、お袖、母も観に来る。
近松は黒田に捕まり、また刀を向けられる。
「夢だったんですよ、物語の登場人物になるのが。書いて欲しかったですよ、先生に!
物語を盛り上げるのは常に敵役。しかし去り際がいただけない。これでは負け犬ではないですか。
曽根崎心中は2人の死で終わりじゃない。作家を黒田がたたき殺すという意外な結末が待ってるんです。いい筋書きでしょ?」
「浄瑠璃にして、なにがあかんのか。わしが書かんなら、誰が書くねん!
わしはこの浄瑠璃で金もらう。名声かて欲しいと思うてる。浅ましい腐れ下作者や!」
ここで再び万吉登場。
「わいはこの日のために“不孝糖・万吉”になったんや」
黒田は万吉に任せて、芝居小屋に走る近松。
汗だくの義太夫さんのカツラの線が見えてますよ・・・
芝居が終わっても、しぃーーーーーーーんと静まり返った小屋。
「すべったんか? ウケたんか? どっちや?」
結果は、みな号泣の大成功!
母「見事であった。そなたは日本一の孝行者じゃ」
一方、川へ落ちた黒田は捕まり、万吉は見つからない。
近松も川へ落ち、引き上げられたのは、幼い頃に遊んだ人形。これには泣いた。
近松も小さい頃、「人情浄瑠璃」と言い間違えていた。
「万吉おまえやったんか。わしにええ浄瑠璃書かせようと思うて」
平野家の宴で2人は生きてると告げられる近松。
死体は天満屋の女将と主人だった。
2人は越前の弟のもとでサバをとっているという。
父「生きとってくれたら、そんでええ」
「ウソの浄瑠璃は書けへん!」と激怒する近松に、万吉の声が聞こえる。
「ウソとホンマの境い目が一番おもろいやおまへんか。それを上手に物語にするのがあんたの仕事でっしゃろ」
♪我が良き友よ(しっくりくるなあ・・・
『曽根崎心中』(ウィキ参照
元ネタとはちょっとストーリーが違うのか?
映画などなかった時代、こんな風に人々は芝居小屋で物語を楽しんでいたんだなあ。
原作:近松門左衛門 脚本:藤本有紀
出演:松尾スズキ(ナレーター)、青木崇高、優香、小池徹平、早見あかり、高岡早紀、岸部一徳、富司純子 ほか
部長の大阪弁、ちょんまげ姿が新鮮。だけど違和感なし。
大阪弁に苦労した話をしていた記憶があるけど、私は関西人じゃないから
微妙なイントネーションの違いは分からず、全然、苦労感は感じられず、
自然体に見える。それが逆にスゴイことなのかも。
部長が主役だから予録して観たけど、意外と?笑いよりも最初から感情移入する人間ドラマだった。
急に歌いだしたりするシーンや、本人によるナレーション、ツッコミは可笑しくて、
重くなりがちなあだ討ち物語、しかも時代劇を、現代とまぜこぜにしてエンタメ風味にしている。
でも、やっぱりこれは遊女の哀しい過去、親を越えられない跡取り息子、脚本を書けない男、
それぞれの人間ドラマの芯があってこそ。
近松門左衛門さんも、人形浄瑠璃も、『曽根崎心中』もほとんど知らなくても楽しめるドラマだった。
▼あらすじ(ネタバレ注意
第1回「近松優柔不断極(ちかまつゆうじゅうふだんのきわみ) 大阪で生まれた女」
人形浄瑠璃『曽根崎心中』は大好評。それを見て、感慨無量の近松。
時はさかのぼって、元禄16年。芝居小屋の客は4人ほどで誰も観ていない。
主人・平野の家で、番頭は面白くなかったと本人の前で悪口言い放題。
平野「さっさと傑作書きなはれ」
ここで音程の外れた歌が入るw 大河でナレーション?
♪大阪で生まれた女
近松(妻に捨てられた50歳のやもめ)の母・喜里は気位が高く、いつも説教される。
「20年前、武士を捨て、故郷の越前を捨てた時に止めればよかった」
犬公方・綱吉は、動物も孝行も大好きで、町では親孝行になれる「孝行糖」まで売られる中、
親不孝になる「不孝糖」なる飴を売る男・万吉に出会う。
柴さんかあいい!
油屋の黒田九平次が平野を訪ね、今後ともよろしくと挨拶する。
黒田屋は、近松の浄瑠璃も誉めちぎり、歌舞伎の新しい小屋を造る予定だから
ストーリーを書いて欲しい。今の5倍の手当てを払います、と依頼する。
万吉は何か裏があるというが、「筋を守ると約束してくれたら引き受ける」といったんは契約してから、
武家の次男坊として生まれ、寂しかった時、人形と遊ぶのが好きだったことを思い出して、断ると、
黒田屋は一変して激怒し小刀を抜く。「商いと道楽とは違うんだ。竹本座を捨ててくれますね?」
そこにまた万吉が現れて救ってくれる。
「傑作を書いて、名前を残すのや!」「ちかえもんて、わしのことかわいらしい名前で呼んだ」て、
部長の顔七変化っぷりも見どころの1つw
平野の跡取り息子・徳兵衛は、絵に描いたような放蕩息子で、
毎日、店の金を使って、遊郭「天満屋」に通っている。
年増の遊女・お袖はいつも近松のそばにいるんだね。
第2回「厄介者初、井守黒焼(やっかいものおはつといもりのくろやき) 悲しくてやりきれない」
不孝糖をいっしょに売るはめになる近松。万吉は家にいついてしまう。
♪悲しくてやりきれない を歌う近松w
天満屋の新入り・お初はトラブルばかり。
万吉はお初にひと目惚れして嫁にしたいと言い出し、近松は女が寄って来る十カ条をアドバイス。
1.見栄 2.男 3.金 4.芸 5.精(仕事熱心)
6.おぼこ(年増が惚れる) 7.ゼリフ(口が上手い) 8.力 9.肝 10.評判
これらすべてを自分も持ってないと気づいて驚く近松w
惚れ薬と言われる「イモリの黒焼き」を飲んで、最初に見た者に惚れると教える。
お袖はお初の面倒をみるよう女将に言われて近松にも引き合わせる。
お初「こないな所で上を目指して何になります? 太夫に登り詰めたところでアホらしいだけや。いっそ死にとうおますわ」
平野は大坂中の一番の金持ちと聞いて、目の色を変えるお初。
お袖から「ええ歳してしょうもないこと言うてんのがかあいらしい」と言われ、近松も恋!?
「男やったら正々堂々惚れさせてみい!」と万吉にゆったものの、にゃんこにイモリが効いたのを目撃する!
お初をお仕置きとして木に縛りつけるお玉。慰める万吉。
「存分に親不孝したらスカっと笑うた顔見せてや」
近松はイモリの黒焼をお袖に飲ませようとして、間違って母がすったゴマを入れ、万吉がお初に舐めさせた飴のほうがイモリ。
お初が見たのは徳兵衛で2人は一気に惚れ合う仲に。
「お初が初めて笑ろたんや、よかった」と泣く万吉。
「今日も1行も書けてない~」
第3回「放蕩息子徳兵衛(あほぼんとくべえ) 学生街の喫茶店」
徳兵衛はお初に惚れ込む。「お前を身請けするつもりや。いずれ堂々とおやじに言うさかい」
ここで、♪学生街の喫茶店 を歌う近松。
「ネタがない、どれも似たり寄ったりや」
赤穂の義士が切腹したと号外が配られ、『赤穂義士』を思いつく。
大坂一=日本一の金持ちの平野の家に万吉といく近松。
徳兵衛「私の代になったら竹本屋から手を引く」
「あすこまで突き抜けた不孝もん見たの初めてや」と悔しがる万吉。
黒田は平野をもてなすため、天満屋に来て、とびきりの美人を用意してくれと頼み、お初が呼ばれる。
大陸から珍しいものを取り寄せたいので、平野に力添えしてほしいと頼む黒田。
黒田「平野屋でもっとも稼ぎとなっているものを任せてもらえれば、もっと大きくします」
当時、外国との取引は、幕府から認められた限られた者しか取引できないこと。法破り?
番頭は蔵の中を徳兵衛に見せようとして忠右衛門に止められる。徳兵衛は父を見返すために万吉と見事に飴を売ってみせるが
天満屋で父と鉢合わせとなり、「始末すること」「放蕩は慎むこと」「孝行すること」が家訓と叱られる。
江戸の寿屋に徳兵衛を預けようとするが、万吉が間に入り、思わず近松も話に入る。
「赤穂義士かて命投げ打つ覚悟があったのか? 忠義より命が大事。徳兵衛さんは、義理に縛られてのたうち回ってますのや」
徳兵衛は涙ながらに父にたてつき、番頭もかばう。
父「明日から手代からやりなおせ」
このやりとりを聞いていた黒田屋。
夜のシーンが多いな。
第4回「善悪不明九平次(ぜんかあくかくへいじ) 傘がない」
「討ち入りしたのは47人、腹を切ったのは46人。その謎を書けばいい」と近松にアドバイスする万吉。
「テレビの前の善男善女のみなさま」てw 所々アニメも入る
消えたのは寺坂吉右衛門だが、真相はいまだにミステリー。
この大坂に身を隠しているという噂を聞いたと母が言う。「きっと寺坂さんには理由があるはずや」
黒田は、去年の暮れに現れて商売を大きくした。赤穂義士のちょっと後だが、得体の知れない男。
「もしや寺坂はん?」と尾行し、黒田の密命を探る決意をする近松。
天満屋に役人が入り、徳兵衛が不孝を理由に捕まるが、
黒田のとりはからいで徳兵衛は無事戻る。「いつでも相談に乗りますよ」と言われて信用するが、
「黒田屋には近づくな!」と父は怒鳴る。
ここで♪傘がない を歌う近松。
黒田屋を訪ねる万吉と近松。
万吉「あほぼんを捕まえさせたのはお前だな。恩を売って意のままにするつもりやな」
近松は白い粉クスリのようなものを指さして、
「あれは何でっか!? 赤穂の塩でんな。あんたを浄瑠璃に書きたい。赤穂は塩で豊かになった」と自分の説を唱えると、
「いかにも私は寺坂です。このことは内密に。しかし大坂で商売するワケは少々違います。
寺坂だけが足軽で浅野家の中で軽んじられていた。みな憎かった。
すべて私の企みだったのです。忌々しい上下をひっくり返し、自分だけが生き残る」
と言ってから浄瑠璃調のつくり話だとすり替える。
万吉は信じない。本物の寺坂は姫路に身を寄せているという母の情報。
近松「ほんなら、どこの誰なんや・・・」
黒田をもてなすお初に秘密を明かす。
「徳兵衛を捕らえさせたのはそもそも私の仕組んだことだ。
恩を売って、いずれ面白い手駒となるだろう。平野屋を乗っ取るためのね。
平野屋は暴利をむさぼっている。その財の源は、朝鮮人参だ」(密売?
おまえは徳兵衛に惚れてなどいない。狙いは平野屋忠右衛門だろ?」
近松の本『出世景清』をお初がそらんじていたと万吉が言う。
第5回「標的、忠右衛門(ターゲットはちゅうえもん) フランシーヌの場合」
黒田「京で(お初の)過去を調べた。平野にあだ討ちをする魂胆だ。
しかし、忠右衛門が遊女を跡取り息子の嫁にするとは思えない。私と手を組まないか」
お初「わてはこの手であだ討ちします。邪魔せんといてな」
♪赤穂浪士の歌
『出世景清』は平家の残党が源頼朝を狙うあだ討ちの話。映画の予告編調になって“Don't miss it!!”てw
お初が『出世景清』のファンだと思って浮かれて訪ねる近松だが、完全否定される。
本当は幼い頃に人形浄瑠璃で観ていた。
徳兵衛から「お前を身請けしたいと本気で思ってる」と言われ複雑なお初。
忠右衛門「先々を考えて、寿屋の娘を妻に迎え」
徳兵衛「私には心に決めたおなごがいる。天満屋のお初や」
お袖「わてらのようなおなごは昔のことを詮索されたないねん」
人形浄瑠璃を観たのを羨ましがるお袖。
床で臥せるお初。お袖に話した告白を聞いてしまう近松。
お初の父は役人。人形浄瑠璃が好きで9つの時に連れて行ってもらった。
忠右衛門と気が合っていたが、不正な取引で大儲けしてると知ってしまい、止めるよう訴えた。
その後、裏取引をでっち上げられ牢屋へ入れられ、厳しい取調べの上、斬首された。
ほどなく母も亡くなった。強欲な伯父に引き取られ、京の遊郭に売られた。
「不正の証拠をつかんで、無念を晴らすためや! 徳兵衛を見た時チョロイと思った」
近松は人間関係をメモり、万吉にバレる。
万吉は平野に「お初に会え」と場を作り、平野は約束する。
お初の話を聞いてたのはオレだと明かす近松。
近松「こないやとこであだ討ちしたら、お初も死罪は免れない」
万吉「積年の恨みを晴らさなければ、笑うことはできない」
近松「それは古い昔のこっちゃ。若い娘の救われる道はなんぼでもあるのや」
お初「もう回りくどいことはしまいや。刀を抜くかどうかは忠右衛門の出方次第や」
それは黒田の耳にも入る。
ナレーション「安心してください。これは痛快娯楽時代劇です」
義太夫さんが「歌舞伎に人気をとられた。竹本屋を閉めようと思っている」ともらしてた、そんな時代だったんだな。
第6回「義太夫些少活躍(ぎだゆうわりとかつやく) 知りたくないの」
近松「わしならどう展開させる?」
お初は平野を刺そうとして番頭を刺してしまう。番頭は実は平野に助けられたタヌキだったというオチしか思い浮かばないw
そこに徳兵衛も入ってこようとして止めるウソに「お袖を身請けしたいから銭を貸してくれ」と言ってしまう。
「お初はよそに身請けが決まりましたんや」とウソをつくと逆効果に。
平野はお初の素性に気づいていていて、父への見舞金だと大金を渡す。
「小娘で潰れる平野屋やない。その金でどこへでも行け」
銭を返し「認めますのやな。ひと言でええ、謝っておくんなはれ」
徳兵衛は父がお初を身請けするのだと誤解。
万吉は徳兵衛に近松の覚書を見せる。
♪知りたくないの
「すまんかったな。私はなんにも知らなかったんや。私はほんまに阿呆ぼんや」
徳兵衛は自殺しようとして、近松の尻を刺してしまう。
万吉「まだ言うてないことがあるな」
見かねた番頭がすべてを話す。
朝鮮人参を不正取引したのは、体の弱い妻・お鶴に薬としてあげるため。
それでも亡くなってしまい、悲しみを癒やすために立ち寄ったのが景清の初演。
これを観て、武士をひれ伏せさせる豪商になり、あだ討ちすることを決心した。
朝鮮人参の取引を始めて豪商となった平野は、お初の父・蔵役人カクノシンと知り合った。
カクノシンは朝鮮人参の取引を知ってしまう。「知ってしまった上は黙っておるわけにはいかん!」
罪をでっち上げたのは忠右衛門ではなかったことも分かる。
「根っからの商人にはこないなことしか出来へん。こっから出て、生き直してくれ」
「これが定めと受け入れ生きて参ります。これがあなたへのあだ討ち、父への孝行にございます」
徳兵衛「お前は強いおなごやな。惚れ直したで。体に気つけてな」
黒田は隣りで聞いていた。
近松:
なんでみんなあないに息苦しい生き方せんならんのやろ。
己の生き方を貫いているようでいて、結局、世の仕組みにがんじがらめにされとるだけや。
母「ノブモリはまた傑作を書けるでしょうか? ムダなことなら誰かゆうて欲しい」
義太夫「近松は当代きっての浄瑠璃作者です!」
ナレ「連続時代劇。来週への引きが不可欠です」w
お初が呼ばれたのは黒田。
「景清はあだ討ちを果たせなかった。お初は徳兵衛に心を奪われるていたらく。
お陰でまた筋書きを替えなくてはならなくなった」
近松「なんや忘れてるような気がしてな」「油のムダでっせ」「ん、油?」
お初「乗っ取りは止めておくんなはれ」
黒田「止めたければ手立ては1つ。私に身請けされればいい。
誇りを傷つけられ、絶望に歪んだ顔が私の一番の好物なんだ」
第7回「賢母喜里潔決断(ははうえきっぱりけつだん)」
お初は身請けの話を引き受けるしかなかった。
♪近松がよなべをして浄瑠璃書いていた~(かあさんの歌)
越前に住む弟(医師)から帰って来いと母に手紙がくるが、近松が心配で帰れないと言うと、
それがプレッシャーで書けないんだ!と反論してしまう。
徳兵衛はついに朝鮮人参の蔵を見る。
父「ほんまにアレに継がせてええやろか」
番頭は、お初を忘れさせるために、今は仕事に精を出すことが必要だと言う。
万吉は徳兵衛に黒田がお初を身請けすることを話すと「あの人はええ人や」と諦めている。
黒田は大坂町奉行所与力・鬼塚新右衛門と会う。彼が間をとりもってた。
近松は義太夫に愚痴る。「みなまで言うな」(バンバンの歌詞にあるね。こういう時に使うのか!
義太夫「傑作書いて、後添いもろて安心させ。わしらもええ歳や。当てることを考えずに書きたいものを書いたらええ」
母が倒れる。「やぶ医者の楽しみいうたら浄瑠璃くらいですからな」とお代はとらない。
(昔の高い枕って首に悪そう!
「母親とは愚かなものじゃな。いつまでも自分が子どもの世話をしたと思うておる。
かえって邪魔になってるとも気づかずに。存分に書かせてあげたいのじゃ」
義太夫「ちかえもんのことはわしに任せて下さい」
黒田は徳兵衛に挨拶に来る。
「長いくるわ暮らしのためか、お初はロウガイ(肺結核)かもしれません。少し分けていただきたいのです。朝鮮人参を!」
何も疑わず「すぐに運ぶ」と約束する徳兵衛。お代をきっと返すために証文を書くという黒田。
風邪をひいて、親身に世話をしてくれるお袖に「わしの嫁さんになってくれ!」“言うてもたあ~プロポーズしてもうたあ”
だがすぐに「あかん」と即答される。「後に名を残す作家はんが、あたしみたいな嫁さんもろたらあかん」
♪よこはま・たそがれ
黒田に朝鮮人参を持っていくと、シラを切られ、皆の前で殴られ蹴られ、平野屋取り潰しの危機となる。
母は「明日、朝早く越前に帰ります。お前はきっと傑作を生み出す作家じゃ。身なりには気をつけて」と羽織を渡す。
♪かあさんがよなべをして羽織を縫ってくれた~ルルル~
徳兵衛が近松のもとに泣きついて来る。「お初に最後にひと目会いたいんや」
万吉はお初と徳兵衛を会わせる。「私の代わりにお初を見守ってくれ」
万吉「今生があかんかったら、あの世で一緒にならんかい」
黒田は朝鮮人参を献上しようとして、奉行に渡した中身は万吉がすり替えた「不孝糖」!
万吉はお初と旅に出る。
第8回「曽根崎心中万吉心中(そねざきしんじゅうとまんきちのおもい)
天神の森で心中した2人の死体に号泣する忠右衛門と番頭(顔も見えなくて怪しい・・・
黒田屋は取り潰しとなり姿をくらました。
「それが恋ちゅうもんなんか? なんでや、なんでや・・・」
ついに書き始める近松。「涙の代わりに言葉が溢れて止まらん」
それを義太夫に見せると、「5月7日に幕開けるで」と即答する。
なんだかボロボロになってお袖に会いに行く。
「初日に幕開くさかい、お前に観に来て欲しい」と身請けのための芝居の前金を用意する。
「行くに決まってるやろ、くそじじい」
初日。急に不安に襲われる近松。人の不幸を題材にする浅ましい奴だと思われないだろうか、
平野が怒って乗り込んでくる妄想を見る。
だが、芝居には平野や番頭、天満屋、お袖、母も観に来る。
近松は黒田に捕まり、また刀を向けられる。
「夢だったんですよ、物語の登場人物になるのが。書いて欲しかったですよ、先生に!
物語を盛り上げるのは常に敵役。しかし去り際がいただけない。これでは負け犬ではないですか。
曽根崎心中は2人の死で終わりじゃない。作家を黒田がたたき殺すという意外な結末が待ってるんです。いい筋書きでしょ?」
「浄瑠璃にして、なにがあかんのか。わしが書かんなら、誰が書くねん!
わしはこの浄瑠璃で金もらう。名声かて欲しいと思うてる。浅ましい腐れ下作者や!」
ここで再び万吉登場。
「わいはこの日のために“不孝糖・万吉”になったんや」
黒田は万吉に任せて、芝居小屋に走る近松。
汗だくの義太夫さんのカツラの線が見えてますよ・・・
芝居が終わっても、しぃーーーーーーーんと静まり返った小屋。
「すべったんか? ウケたんか? どっちや?」
結果は、みな号泣の大成功!
母「見事であった。そなたは日本一の孝行者じゃ」
一方、川へ落ちた黒田は捕まり、万吉は見つからない。
近松も川へ落ち、引き上げられたのは、幼い頃に遊んだ人形。これには泣いた。
近松も小さい頃、「人情浄瑠璃」と言い間違えていた。
「万吉おまえやったんか。わしにええ浄瑠璃書かせようと思うて」
平野家の宴で2人は生きてると告げられる近松。
死体は天満屋の女将と主人だった。
2人は越前の弟のもとでサバをとっているという。
父「生きとってくれたら、そんでええ」
「ウソの浄瑠璃は書けへん!」と激怒する近松に、万吉の声が聞こえる。
「ウソとホンマの境い目が一番おもろいやおまへんか。それを上手に物語にするのがあんたの仕事でっしゃろ」
♪我が良き友よ(しっくりくるなあ・・・
『曽根崎心中』(ウィキ参照
元ネタとはちょっとストーリーが違うのか?
映画などなかった時代、こんな風に人々は芝居小屋で物語を楽しんでいたんだなあ。