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『チャーリー・ブラウンなぜなんだい? ともだちがおもい病気になったとき』(岩崎書店)

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『チャーリー・ブラウンなぜなんだい? ともだちがおもい病気になったとき』(岩崎書店)
チャールズ・M・シュルツ/作 細谷亮太/訳

チャールズ・M・シュルツ:高校卒業後、アート・インストラクション・スクールで漫画の通信講座を受け、後にその講師となる。
(通信講座から世界的漫画家になるなんてスゴイ

細谷亮太:聖路加国際病院小児科部長。著書もいろいろある。

『みんな、絵本から I love reading books with you,Mammy』(講談社)でススメていた本を借りてみた。


『ピーナッツ』のキャラクターの中で、私の一番大好きな、小さな哲学者ライナスが活躍するストーリー。



まえがき:
白血病というのは、血液のがんです。
コネチカット州にある“The Hole in the Wall Gang Camp(壁の穴ちびっ子キャンプ)”には、
本書に出てくるジャニスのような子どもたちがたくさんいます。
このキャンプは、重い病気でも、自分はほかの子と全然違っていないじゃないか、と思える場所です。

子どもががんになる、それは誰にとっても大問題です。
本人はもちろん、その子の友だちやきょうだいにとっても、
どうして病気の子ばかり大事にされるのか、時々分からなくなってしまいます。

人のことを分かってあげるということは、生きていく上でとても大切です。

~壁の穴ちびっ子キャンプ創設者兼社長 ポール・ニューマン



▼あらすじ(ネタバレ注意
ライナスは、数ヶ月前に引っ越してきて、後ろの席に座っているジャニスがブランコに乗る時、押してあげるのが楽しい。

ある日、スクールバスで腕をぶつけて、ジャニスは「このごろ、ぶきっちょになったみたいなの」と体のアザを見せる。
その後、高熱を出して、保健室に行ってから、全然連絡がとれなくなって心配になるライナス。



ライナスとチャーリーは、ジャニスが入院していることを知ってお見舞いに行く。
彼女は白血病で、骨に針を刺して骨髄(血をつくるところ)をとった検査の話をする。

「いま、静脈注射の点滴をしてるの。化学療法をやってるのよ。
 この薬が、私を治してくれるんだけど、髪の毛も抜けちゃうらしいのよ。
 でも、心配しないで。私、学校に戻って、ブランコにのりたいんだもの」

帰り道、心が痛んだライナスは、チャーリーに聞く。
「どうして、チャーリー・ブラウン、なぜなんだい?」
チャーリーは答えませんでした。



家に帰り、姉ルーシーから牛乳をもってくるよう言われ、
ジャニスの話をすると、伝染るかもしれないからと言われる。

「がんはうつらないんだよ」

と説明しても「どっちでもいいけど、牛乳はかえすわ」



冬、ジャニスは学校に戻ってきて、喜ぶライナスだったが、
いじめっ子の男の子が彼女の帽子が変だと言って取ってしまうと、
髪の毛がないことをからかい、ジャニスは泣いてしまう。



ライナスは怒って
「あの子と同じ目に遭ってみたいか、よく考えてみろよ!」

男の子は、帽子を拾い、恥ずかしそうに
「ごめんね。ねえ、その帽子すっごくいいね」と言いました。

クラスの女の子が、
「先生は、いつだってジャニスだけえこひいきしてるわ」と言った時も、
「それは、あの子が病気だからだよ」とかばうライナス。



ライナスがジャニスの家にクリスマスプレゼントを届けに行くと、
姉と妹が出てきて、ジャニスは治療のために病院に戻ったという。
おまけに、彼女ばかりプレゼントをいっぱいもらったりしていることを話す。

「あたしたち、ジャニスに気をつかわなくちゃいけないの。水ぼうそうになってもダメなのよ。
 ほんと、ジャニスは悩みの種よ。
 ジャニスが病気になってから、あたしたち、いつも、なにかほっとかれてるって感じ」



翌年の春、ジャニスはやっと戻ってきて、ライナスにブランコを押してと頼む。
「びっくりさせることがあるのよ、ライナス」

「もっともっと高く、押して」
と言われて強く押すと、ジャニスの帽子が飛ばされ、きれいな金髪がなびき、
ライナスは歓声を上げ、ジャニスも声をたてて笑う。




【ご両親のための用語解説 抜粋メモ】
骨髄の状態を診るためには、胸の骨、腰の骨、背骨、足などの骨に針を刺して標本をとる。「骨髄穿刺」
局所麻酔が使われることが多い。

化学療法:抗がん剤による治療。


【あとがき 看護婦さんの手紙から生まれた本 抜粋メモ】
スタンフォード大学子ども病院の看護婦さんが、シュルツ氏に一通の手紙を書いた
「がんと闘っている幼い子どもたちのために、スヌーピーとその仲間の力を貸してほしい」
シュルツ氏やCBSの協力でテレビアニメができ、本がつくられた。

以前、私の病棟で働いていて、アメリカに住んでいる看護婦さんが、それを見て、早速、私に手紙をくれた
オリジナルも、日本語版も看護婦さんの手紙からはじまった。

私が小児がんと関わって、もう20年になる。
治療法の進歩で、半数以上が完治するようになったが、
長期生存者が増えるにつれ、家庭や悪口でたくさんの問題が目立ちはじめた。

世間がつくる壁、親や病気の子ども本人のつくる壁が、社会的問題の原因。
私たちは医療チームをつくり、壁の除去に取り組んだ。

まずは小児がんの辛さを分かってもらうこと。
本書が1つの突破口となって、小児がんだけでなく、
その他、いろいろな理由で苦しい立場に立つ子どもたちの周りの壁が
少しずつでも取り払われていけば、こんな嬉しいことはありません。



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