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やさしさの扉をひらく『ちひろの世界』(講談社)

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講談社カルチャーブックス やさしさの扉をひらく『ちひろの世界』(講談社)
松本猛、松本由理子/著
初版1991年 1997年 11刷 1456円

※1997.7~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。


【内容抜粋メモ】

80ページにわたり数十点もの絵がカラーで載っている。

後半は、ちひろの一人息子・猛と妻・由理子が、ちひろの妹2人、夫・善明、
知人から聞き集めた話、ちひろの手帳、日記等からの文を織り交ぜて、
まるで小説で一人の女性の一生を読むような、優しいタッチの文章で綴られてゆく波乱万丈の物語。


▼あらすじ(ネタバレ注意
教師で、職業婦人の母・文江と、兵役を経て、建築技師、外国旅行もして
絵を描く、粋な人だった父・正勝の間に生まれた長女ちひろ。1918年生まれ。

恵まれた少女時代。
14歳で本格的に弟子入りして絵を描くが、親の意向で、
花嫁修業のため書を習い、教えるほどの腕になる。

関東大震災、満州事変、2.26事件、日中戦争から、第二次世界大戦へと日本は戦争一色の時代となる
ちひろは、20歳半ば、強制的な結婚で、大連に渡り、
わずか1年後、夫の自殺で帰国。

油絵に出会い、再び絵の道に。
1945年、東京大空襲で家を焼け出され、母の実家である長野に疎開。
共産党に入党。新聞のカット等を手がけていたが、紙芝居『おかあさんのはなし』で文部大臣賞を受賞。

31歳で党員・松本善明と結婚。翌年、猛が誕生。
初めて通して絵を描いた『ひとりでできるよ』『あいうえおの本』は、サンケイ児童出版文化賞を受賞。

母とヨーロッパ旅行でアンデルセンの生家を訪ね、帰国後『絵のない絵本』を描く。
夫は参議院議員となる。

『ことりのくる日』で、1973年ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞(!)、
『戦火のなかの子供たち』で、ベトナム戦争に巻き込まれる子らを思う。

1974年、55歳で原発性肺がんのために死去。
遺作は『赤いろうそくと人魚』。
その8ヶ月後にベトナム戦争が終結した。


ちひろ美術館で買った『美術館通信』(1部200円)も情報が豊富。
アメリカ出身の有名な絵本画家、ノーマン・ロックウェルの美術館で開かれた
初の個展も大好評だったという。

後世の、究極まで省略した線、絶妙な水彩の色使い、にじみ方などは、ちひろだけの手法。
包み込む母性、人柄も絵と等しく、魅力的だったのね。



私が一番好きなちひろの絵




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