■『リトル・チルドレン』(ブロンズ新社)
原題:Little Children by William Saroyan
ウィリアム・サローヤン/著 吉田ルイ子 /訳
初版1984年 1200円
※2002.5~のノートよりメモを抜粋しました。
※「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。
▼あらすじ(ネタバレ注意
期待通りの名作ばかりのショートストーリー集。
短い中にアメリカを瑞々しくも哀しく浮き彫りにしたドラマが凝縮されている。
Laughing Sam
生まれてからずっと泣きつづけていたのに、笑うことしかできず、エレベータに轢かれた。
The Sunday Zeppelin
兄貴と親友が日曜学校の寄付金を誤魔化して、秘密の言葉を交わすのに憧れる弟。
待ちに待って届いたのは、紙のオモチャだった。
Corduroy Pants
叔父から譲ってもらった流行遅れのダブダブなズボン
バイトしてやっと買ったコーデュロイのズボンは、すでに流行遅れだった。
The Coldest Winter
フットボールの試合で脚を怪我して、憧れの女の子へのラブレターも失敗。
O Higher Accountancy O Traffic Management
子だくさんの中でも優等生の息子自慢で張り合うお隣り同士。
「いつか何かしてくれる」という期待に押し潰される2人の少年。
The only guy in Town
ギリシア人の男にあることないことニュースを言っている新聞売りの少年。
24時間の喫茶店を開いて、結婚し、別の町へ移ってしまう。
「僕たちもこんな小さな町にはいられないよ」
The first day of school
登校初日、脅えていた少年がガムを噛んで怒られた少女と仲良くなる。
「キミ、何を噛んでるの?」
「ゾウの生肉です」
「ツッティフルーティ」
並んで座る父と子の姿を見て、家政婦は涙を浮かべる。
The man who got fat
働き者で、ほがらかなユダヤ人オペレータは、事業で大成功して太りはじめ、事業に失敗し、太り過ぎで死んだ。
「哀れなキャッツさん! 世の中に6つか7つ、理解できない、関係したくないことあるけれど、
この種のことで死ぬなんて、それを全部合わせたようなものさ」
Around the World with General Grant
父は貧乏で、その旅は死んでも終わらず、兄と弟は世界に夢を馳せる。
汽車に飛び乗った弟は怖くなり、隣り駅で降り、必死に歩いて家路に着く。
The Messenger
老婆が危篤で、医師を呼びに頼まれた少年は、憧れの女の子が金持ちの男の子と一緒にいたせいですっかり忘れ、
18歳になり町へ戻り、老婆は当時もうすでに死んでいて、隠していた息子は精神病院行き。
医師はアル中で家から出ないと知り、孤独を感じる。
Many Miles Per Hour
兄弟の憧れは、ハイウェイを飛ばすフォードの男。
ある日、ジュースをおごってもらい、レーサーになる夢を語るが、村祭りのレースで転倒して即死する。
「ジョー、あの、いい奴、覚えてるだろう。奴は死んじまったんだ」
“スピード・ウォーレスみたいないい奴をあんな目に遭わせた世の中の何かに向かって
パンチを食らわせようとしているかのように見えた”
The World's Champion Elevator Operator
毎日、退屈なエレベータボーイをしているエルマーは、判事に誉められてコンテストを思いつき、同僚の男とモメて支配人に怒られる。
“町は丁度いいくらいにこじんまりとしていて、彼はあらゆることの世界チャンピオンに近かった”
The Mexicans
誰も雇わないというブドウ畑の持ち主に「大勢を養わなきゃならないから、給料が足りない」というメキシコ人。
雑種の犬を4匹も家族のように飼う彼らに、ついに領主は
「この冬、奴と13の口を養えれば、今年はそう悪くはないだろう」と納得してしまう。
The Peasant
アルメニアからNYへ働きにきたサルキスは、話す相手もなく、神父が紹介した娘もサイアク。
カリフォルニアに移り、結婚し、成功もしたが、ついに馴染むことはできなかった。
「我が同胞の友よ。アメリカは好きかね?」
「私の知ってることといえば、行ったり来たりしながら、
知ってる人や、全然知らない人と一緒に
ただ台をひっくり返している、それだけですよ」
The Crusader
ピンボールにたむろす小さな町の人々。久々に戻ったジェフは、小学校の同級生のウェイトレスを見つける。
「僕は、食べ物と、水と、空気があれば生きていける。
始まりがなくたって生きていけるんだ。
でも、僕はその始まりだけが欲しいんだ」
The Cat
セメント工事をする男に「猫飼ってる?」と聞く少女。
加わった少年は、まだ柔らかいセメント道路に名前を刻んだ。
Where I come from people are polite
墓地会社の事務員で入った青年は、代わりに解雇された老女をかばって辞職する。
その小切手で新品のハーレーダビッドソンを店から借りて、モントレーまで行ったせいで
お金は戻らなかったが、すごく幸せだった。
原題:Little Children by William Saroyan
ウィリアム・サローヤン/著 吉田ルイ子 /訳
初版1984年 1200円
※2002.5~のノートよりメモを抜粋しました。
※「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。
▼あらすじ(ネタバレ注意
期待通りの名作ばかりのショートストーリー集。
短い中にアメリカを瑞々しくも哀しく浮き彫りにしたドラマが凝縮されている。
Laughing Sam
生まれてからずっと泣きつづけていたのに、笑うことしかできず、エレベータに轢かれた。
The Sunday Zeppelin
兄貴と親友が日曜学校の寄付金を誤魔化して、秘密の言葉を交わすのに憧れる弟。
待ちに待って届いたのは、紙のオモチャだった。
Corduroy Pants
叔父から譲ってもらった流行遅れのダブダブなズボン
バイトしてやっと買ったコーデュロイのズボンは、すでに流行遅れだった。
The Coldest Winter
フットボールの試合で脚を怪我して、憧れの女の子へのラブレターも失敗。
O Higher Accountancy O Traffic Management
子だくさんの中でも優等生の息子自慢で張り合うお隣り同士。
「いつか何かしてくれる」という期待に押し潰される2人の少年。
The only guy in Town
ギリシア人の男にあることないことニュースを言っている新聞売りの少年。
24時間の喫茶店を開いて、結婚し、別の町へ移ってしまう。
「僕たちもこんな小さな町にはいられないよ」
The first day of school
登校初日、脅えていた少年がガムを噛んで怒られた少女と仲良くなる。
「キミ、何を噛んでるの?」
「ゾウの生肉です」
「ツッティフルーティ」
並んで座る父と子の姿を見て、家政婦は涙を浮かべる。
The man who got fat
働き者で、ほがらかなユダヤ人オペレータは、事業で大成功して太りはじめ、事業に失敗し、太り過ぎで死んだ。
「哀れなキャッツさん! 世の中に6つか7つ、理解できない、関係したくないことあるけれど、
この種のことで死ぬなんて、それを全部合わせたようなものさ」
Around the World with General Grant
父は貧乏で、その旅は死んでも終わらず、兄と弟は世界に夢を馳せる。
汽車に飛び乗った弟は怖くなり、隣り駅で降り、必死に歩いて家路に着く。
The Messenger
老婆が危篤で、医師を呼びに頼まれた少年は、憧れの女の子が金持ちの男の子と一緒にいたせいですっかり忘れ、
18歳になり町へ戻り、老婆は当時もうすでに死んでいて、隠していた息子は精神病院行き。
医師はアル中で家から出ないと知り、孤独を感じる。
Many Miles Per Hour
兄弟の憧れは、ハイウェイを飛ばすフォードの男。
ある日、ジュースをおごってもらい、レーサーになる夢を語るが、村祭りのレースで転倒して即死する。
「ジョー、あの、いい奴、覚えてるだろう。奴は死んじまったんだ」
“スピード・ウォーレスみたいないい奴をあんな目に遭わせた世の中の何かに向かって
パンチを食らわせようとしているかのように見えた”
The World's Champion Elevator Operator
毎日、退屈なエレベータボーイをしているエルマーは、判事に誉められてコンテストを思いつき、同僚の男とモメて支配人に怒られる。
“町は丁度いいくらいにこじんまりとしていて、彼はあらゆることの世界チャンピオンに近かった”
The Mexicans
誰も雇わないというブドウ畑の持ち主に「大勢を養わなきゃならないから、給料が足りない」というメキシコ人。
雑種の犬を4匹も家族のように飼う彼らに、ついに領主は
「この冬、奴と13の口を養えれば、今年はそう悪くはないだろう」と納得してしまう。
The Peasant
アルメニアからNYへ働きにきたサルキスは、話す相手もなく、神父が紹介した娘もサイアク。
カリフォルニアに移り、結婚し、成功もしたが、ついに馴染むことはできなかった。
「我が同胞の友よ。アメリカは好きかね?」
「私の知ってることといえば、行ったり来たりしながら、
知ってる人や、全然知らない人と一緒に
ただ台をひっくり返している、それだけですよ」
The Crusader
ピンボールにたむろす小さな町の人々。久々に戻ったジェフは、小学校の同級生のウェイトレスを見つける。
「僕は、食べ物と、水と、空気があれば生きていける。
始まりがなくたって生きていけるんだ。
でも、僕はその始まりだけが欲しいんだ」
The Cat
セメント工事をする男に「猫飼ってる?」と聞く少女。
加わった少年は、まだ柔らかいセメント道路に名前を刻んだ。
Where I come from people are polite
墓地会社の事務員で入った青年は、代わりに解雇された老女をかばって辞職する。
その小切手で新品のハーレーダビッドソンを店から借りて、モントレーまで行ったせいで
お金は戻らなかったが、すごく幸せだった。