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『火の鳥 4 鳳凰編』(角川書店)

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『火の鳥 4 鳳凰編』(角川書店)
手塚治虫/著 毛利彰/装画
初版1986年(1989年 27刷) 1000円

※2001.8~のノートよりメモを抜粋しました。
「マンガ感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。

そろそろこのシリーズも読破しつつある。
全部1冊完結ながら、登場人物が縦糸のように登場して絡んでいるから、
全部もう1回読み直したいほどの長大作。

今作は史実に基づいた歴史ものか?
“仏教は、当時の政治と結びついて、半強制的に広められた”という解釈にビックリ。

「宗教などそんなものだ」

たしかに、各々の信仰のために内戦、戦争を繰り返す人間の愚行を見ると、否定もできない。


▼あらすじ(ネタバレ注意
生まれてすぐ事故に遭い、片目、片腕となって村はじきになった我王は、
次第に人の情が歪み、殺人、盗みをやり放題。

都の有名な仏師・茜丸の右腕を切り、妹と名乗る速魚を奪って暮らす。

坊主に死相を読まれ、悪仲間にそそのかされて速魚を殺し、
彼女は、彼が少年時代に助けたテントウムシの精と知り愕然とする。


良弁坊主と再会。
ともに行脚し、信仰心(輪廻)を見い出してゆく。

茜丸は、権力者・橘諸兄から命令を受け、鳳凰の像を彫るべく旅に出て、アバズレの乞食女ブチと会う。

我王は、ひでり、貧困に苦しむ民衆をうむ政治、世の中への憤怒を彫り、天才仏師の腕を見せる。


3年経っても彫れない茜丸を救った吉備真備のもとで、
ついに輪廻と火の鳥の夢を見て完成させ、プロの仏師として大成する茜丸。

我王は賊と疑われて捕われた後、見事な鬼瓦をつくる。
良弁上人は、政治に利用される宗教を憂いて即身仏となる。

東大寺大仏の金集めをしていた我王は、生き物など無だと叫ぶ。


大仏殿の鬼瓦制作で競う茜丸と我王。
プロのプライドを持つ茜丸と、自らの子々孫々まで続く不遇の死と苦しみを見せられた我王。

結果は、我王の怒りに満ちた作品の迫力勝ちが、茜丸に軍配が上がり、
罪人としてもう1本の腕まで切り落とされる。

正倉院が燃え、火中に入って茜丸は焼死。

我王は、自然と世界の生に輝く美に感動し、仏師として生き長らえる決意をする。



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