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ゾウがいない動物園? "はな子"が残したメッセージ @週刊ニュース深読み

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ゾウがいない動物園? "はな子"が残したメッセージ @週刊ニュース深読み

専門家:
小菅正夫さん(札幌市円山動物園 担当参与)
宮嶋康彦さん(写真家)
佐渡友 陽一さん(帝京科学大学 講師)
名越章浩(NHK 解説委員)
 
ゲスト:
髙田延彦さん(元総合格闘家)
大林素子さん(タレント)


戦後、日本にやって来てからずっと愛されてきたゾウのはな子さんが、69歳で他界された。
体高2m30cm、体重は元気な頃は3000kg/驚
ここ数年、ゾウのいない動物園は、全国に増えている。

 




戦後、動物園の歴史
産まれてまもなくタイから昭和24年に上野動物園にやってきたはな子さん。
 


この模型もカワイイ。最初は上野だったのか/驚
でも、こんな小さい頃から親から引き離して1人で異国に連れてこられたんだね・・・


戦時中にもゾウはいたが、空襲で檻が壊れて野に放たれたら危ないという理由で、“お国のため死になさい”と殺処分された。



ゾウは当時“平和の使者”と言われた。
はな子をキッカケに、戦後日本はゾウブームに沸き返る。
ピークは「高度経済成長期」。小さい子を持つ親からの要望が多かった。



自治体がどんどん動物園をつくった。海外から大型動物をたくさんを輸入した。
今でも市町村が運営している動物園が多いのはその名残りとも言える。

はな子さんは、近隣の熱烈な希望から井の頭自然文化園に移動。



全国の動物園が2倍に増えた。どんどん珍しい動物を増やし、70年代にはパンダもきた
  

80年代はコアラブーム


ゾウは3倍に(グラフもカワイイ


バブル崩壊。子どもの数も少なくなった。
80年代、ディズニーなどのテーマパークも人気になり、レジャーが多様化



ゾウたちは同じ頃に寿命を迎えて亡くなっていった。

それまでは、亡くなれば、また海外から輸入していたが、『ワシントン条約』により、商業目的の売買はひかえようというルールとなった。


・研究・繁殖目的などがないと輸入は禁じられている。
・繁殖のできる施設をまず整えないといけない。

ゾウは今も象牙のため乱獲されている。


「日本は、狭い場所で1頭だけ飼うなんて酷いから譲れない」と批判が出るようになる。
海外では、ゾウは複数で、より広く、自然に近い環境で飼われている
自治体の財政は厳しく、これ以上場所を広げるのはムリ。

「繁殖」させようとしても、高度経済成長期に買ったゾウはほぼメスだった。
オスは発情期に暴れて飼いにくいため。



高度経済成長期の子どもたちが「団塊世代」となり、はな子を見に来た


費用がかさむため、井の頭自然文化園で今後飼う予定はない。



小菅正夫さん(札幌市円山動物園 担当参与)の考える理想のゾウ舎:

絵が上手すぎて、逆に分かりにくいような

野生のゾウは30頭の群れがいても、核となるのは仲良しのメスのグループ
その最低の群れを連れてきて、オスを1頭を入れ、オス1:メス3で飼い始める計画を立てて準備している
お金がかかる。施設20億円+エサ代ほか。

札幌市でアンケートとったらゾウ飼いたいと意見が出た。


宮嶋康彦さん(写真家)が撮ったはな子:

亡くなる半年ほど。30年間撮影してきた

小菅:これ見てしあわせそうに見えました?

宮嶋:
しあわせそうに見えるはずがないから撮影の対象なんですよね
1頭きりで、ついに他のゾウを知らずに死んでしまったのは非常な悲劇だと思う
お見合い的な話もなかった。


日本の動物園から消えるかもしれない動物たち


条約での輸入規制、死亡率、繁殖率を推計したもの
(自然のまま生きててくれたら、それでいいけど、それですら難しい状況なんだ

 
はな子さんは、「動物園」のあり方を改めて考えさせる存在だったんだね


「動物園」のあり方

髙田さん:
小さい頃、楽しみにして行ったけど、可哀相だなと思った。見世物小屋的な、虐待に近い

小菅:
これまではゾウという個体を見せればよかったが、これからはゾウの暮らしを見せるよう変えないといけない
環境に満足し、子育てしている姿を見せるのが動物園にとって一番の答え
今、現場の技術者たちが努力をしている

動物園の動物にとって一番苦しいのは、1日中やることがないということ
やることをたくさん作って、1日があっという間にすぎて「あ~今日はよかった」と思えるような暮らしを作らないといけない
(なんだか、ヒトにも通じる。環境や生活満足度。狭い所で、決められた事ばかりしていてはしあわせじゃない

小野:
究極の動物のしあわせは、ヒトに飼われることじゃないですよね?
動物園は本当は何のためにあるんですか?
テレビやネットで動物を知る機会はいくらでもあるのに、なぜ動物園で生きたゾウを見なければいけないのか?

小菅:
ゾウにいのちがある、ヒトにもいのちがある、そのお互いのやりとりは、意識とかの問題じゃないところにあると思う

佐渡友:
いのちを実感することに動物園の大きな意味があると思う



小菅:
(フリップを「ちょっと貸して」ともらって、この方もかなり熱い人だなw
動物園の役割って昔からこの4つと言われているが、上の3つは今の動物園は絶対やらなきゃいけないこと

で、レクリエーションは、一番下に書いてあって、みんなバカにしているけど、一番重要なことで
動物園て何が楽しいかというと、そこに動物がいるから
動物といて、いっしょに楽しめる人間でなければ、まず、動物を守ろうなんて思わない

「種の保存」でいうと、日本のトキは絶滅した。昔は北海道から沖縄までいた
あの時に動物園に入れていたら、今ごろは全国にいるはず
絶滅しそうになったら、動物園から放してあげればいい。中国で繁殖させたのを輸入する必要もなかった

多くの人は“ただ動物を飼っているだけ”と思っているけれども、
我々は世界の動物園と協力して種自体を維持して守ることだと思っている。


宮嶋:
動物園の存在意義は、知らないものを知ることだと思う
相手を知らないと誤解を生じたりとか、攻撃したりとか、ライオンも知らなければ人間にとっては恐怖でしかない
生きている存在と触れることで、種に対する意識も高まるはず


<FAX>

「動物園が減った理由の1つは、動物園に人が行かなくなったからでは?」

「全国の動物園が、みな旭山動物園のように手厚く、高い意識でやっているわけではないのでは?」


*************プレゼン2 これからの動物園

ありのままを見せる取り組み


3割以上が平均寿命を超えている。ペリカンのペリーはたぶん54歳!
こまめに健康をチェックして、今いる動物により健やかに生きてもらおうという取り組み
ここでは日本初、ライオンに麻酔をかけずに血を抜いている。体の負担が相当違う

検査の様子も公開している
 
バックヤードも見せることで、老いる姿も見せて説明することで、客が増えた


動物園の経営のあり方を問う
 

2002年再オープン。園内の掃除、花を植えたりもする(動物園のボランティアやりたい!


職員の時間ができたことで「繁殖」などの取り組みに専念できるようになった

繁殖の難しい「ワオキツネザル」の繁殖に成功
これまで売買だけだったマダカスカルと一緒に研究し、結果を提供し、世界に知られるまでになった




小菅:
到津はとても歴史の長い動物園で、これまでもずっと市民とともに活動してきた
26万人の署名がたった2週間で集まった。

名越章浩(NHK 解説委員) :
昭和12年から夏に小学生を対象に「民間学園」という6日間の学習プログラムを開催し、
動物が生きる環境、環境破壊の仕組み、動物のことを学ぶことから、「動物園を守らなければ」という意識が生まれた


「いのち」を伝える

小菅:
生まれてから死ぬまでが「いのち」、それを伝えるのが動物園の仕事

小野:これまで動物園で動物が老いて、死ぬ姿を見たことがないです

小菅:
以前、年老いたオオカミを「出たかったら外に出なさい」てやったら園長に怒られた
「みすぼらしいもの出して、なにやってんだ!」と言われて「死にゆくものの、なにがみすぼらしいんですか?」
と園長と大げんかした(泣ける・・・

一生懸命生きて、子をなして、最後は1人で死んでいく、これが生きるということなんだということを誰が伝えるんだ
それは動物園だと思った

名越:
ジャガーががんで死んだ。腹水がたまってパンパンにふくれてたが、病状などつぶさに説明して見せたら、
それを見に来るお客さんがいて、自分と思いを重ねるんですね

小菅:
とくに子どもたちね

名越:
大牟田市動物園は、以前、年間来園数は14万人まで下がっていたが、21万人にまで増えた理由は、
ありのまま見せることが大きな共感を呼んだから

小菅:
昔は移動に時間がかかり「100km以内ルール」というのがあった。
今は「これをテーマに絞ってやっていきます」という理念を掲げて、追求していき、
市民が賛同してくれれば、いろんなあり方の動物園ができると思う

佐渡友:
今はいろんなタイプの動物園ができている。
大きい施設で、お金を使って、いろんな動物がいますという動物園から
小さいけれども、地元の動物を大切にしますという動物園が住み分けをするのが大事だと思う
(ウチの区にもあるけど、小さい動物園もステキだと思う

宮嶋:
自分たちと同じフィールドで住んでいる地元の動物。
ニホンジカとか、カモシカ、タヌキなどを真面目に見せて、珍獣嗜好に寄らない

小菅:
「里山」の動物園を目指している。トンボやカエルがここでちゃんと増えてるよ、とかね


目がキラキラしてる。ほんとに動物好きなんだな。そしたら「害獣」扱いで殺処分されることも減るかなあ?

【ブログ内関連記事】
シリーズ鳥獣害を考える3『かわいい目のシカが害獣ってどうして?』(農山漁村文化協会)


髙田:やっぱり大型動物もいっぺんに見たい

小菅:
総合動物園も地域ごとにできると思う
北海道には4つ動物園があって、円山動物園は、総合動物園、旭山動物園は、特化した専門動物園





これも地上波でやらないかなあ!

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