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たむらしげる『羊の宇宙』(講談社)

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『羊の宇宙』(講談社)
夢枕獏/作 たむらしげる/絵 初版1998年 1400円

たむらさんとの出会いは、当時定期的に買っていたテレビ週刊誌『TVステーション』の表紙。
今みたくネットのない時代だから、テレビ週刊誌を買って、1週間分の映画など、番組表に赤丸をつけるのはもちろん、
エンタメ情報も豊富だったから、切り抜いて、ノートやスクラップブックに貼っていた。
その前は、レモンを持った『ザ・テレビジョン』だったな。


※2001.5~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。


▼あらすじ(ネタバレ注意

近未来か!?
118歳の老物理学者アルベルトと助手(?)カールは、
中国の山中に広がる草原で、羊の放牧をする移動民族カザフ族の少年と問答をする。

「物理の根本理論E=mc2は、ブッダの説いた『般若心経』の“色即是空”に通じる。
 物質の真の相は真空である」

彼らの結論は「人は誰に遠慮なく、幸福になってもいい」

少年との話:
「クルマが馬より速いのは、それほど意味はない。余った時間、もっと忙しくしてしまうから」

「石は、引力に引っ張られているのじゃなく、落ちたがっている」

「宇宙は水素とヘリウムでできているんじゃなく、羊と羊でないもの、
 こことここでない場所でできている」

「物は空間と時間と癖でできている」

「一番速いのは光じゃなく、父が父になること」(思考ってことかな?)

「物質は時間を入れる器。時間も物質を入れる器」


自然と一体でゆったり生きる者が考えると、自然と悟りが開けるものなのかな?
老人がアルバート・アインシュタインだったってオチはイイ。

たむらさんの静的なイマジネーションふくらむミステリアスな絵と文が
独特の世界を作ってる、大人のための、ちょっとハイソな絵本。
色がキレイ!




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