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『マンガ日本の古典7 堤中納言物語』(中央公論新社)

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『マンガ日本の古典7 堤中納言物語』(中央公論新社)
坂田靖子/著 初版1995年 1300円

※2001.5~のノートよりメモを抜粋しました。
「マンガ感想メモリスト2」カテゴリーに追加しました。

10~14Cの作と推測される
10の短篇と数行の断章からなる物語集
作者等の定説がない
ユーモアと奇抜な構成で平安の豊かな文学をうかがわせる

▼あらすじ(ネタバレ注意

花桜折る少将
桜見物の男が姫を発見、夜盗み出したら老婆だった

このついで
長雨に男女が思いついた話をする 通う男を待つ女、尼になる姫・・・

虫めづる姫君
眉もそらず、お歯黒もせず、袴を履いて、かなじゃない漢字で手紙を書
男の童と毎日虫を集める珍しさに2人の男がヘビ人形を贈る
「2巻目に続く」とあって続きはなし とってもシュール

ほどほどの懸想
仕えの男と女が主人と姫の仲をとりもつ

逢坂越えぬ権中納言
菖蒲(あやめ)の根を比べる勝負で右と左に分かれて競った後、
男が片思いの姫に押しかけ「恨むべきかたこそなけれ夏衣 うすきへだての つれなきやなぞ」
とは哀しい歌だが、逆に言えばしつこいストーカーだよな

見合
不遇な姫と猪の如き義姉の見合せの勝負に心寄せた男が仏を偽って高価な一式を贈る

思わぬ方にとまりする少将
不遇な姉妹に惹かれた少将と権の少将は、強引に契っておきながら人目を忍んで音沙汰なし
使いの者が間違えてしまい逆に連れてきても、まあいいからとスワッピング状態
“前世の因縁”といってもあんまり

はなだの女御
女たちがいろんな人を花に例える様を覗き見た男の歌に返事なし

はいずみ
浮気相手の父から正妻にと迫られ、妻は行くあてもなく田舎家に身を引いたのを憐れに思って迎えに行く
断りに行った浮気相手は急のことに慌てて、おしろいの代わりにはい墨(眉用)を塗ってしまった

よしなごと
旅仕度を借りるのにも遠回しな手紙が風流?


って、最後はなんともハンパなまま終わっている やっぱシュールだ

作者のあとがきも面白い

平安時代は、女は家から一歩も出ないで、男が妻のもとへ通う“通い婚”だったのね
浮気し放題で、覗き見て、気に入れば寝所に入っちゃう、ほとんどレイプ

おはぐろもグロいけど、風呂に入らずお香で誤魔化していたとなると、
実際はそんなに風流ではなかったかも?

恋愛話が多いのは、ほかにすることなかったのかな



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