■『THE X FILES WHIRLWIND~旋風(つむじかぜ)』(角川文庫)
原題:WHIRLWIND by Charles Grant
クリス カーター、チャールズ・グラント/著 南山宏/翻訳
初版1995年 560円
※1995.9~のノートよりメモを抜粋しました。
※「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。
解説によると、今作はスピンオフ(タイアップの特別企画)で、
ノベライゼーション版ではなく、オリジナル小説版
つまりテレビ番組にはなく、反響が大きかった勢いで、ほかのライターに急遽書かせたものということで
もとになった原作じゃなくてちょっとガッカリしたけど、
主人公2人のイメージが固まっているだけに、ライターも彼らの説明は要らないし、
特殊なテーマでもまわりくどい説明が要らないから、自然にストーリーに入っていける良さがある
だから読んでいると、そのままテレビの映像が頭に浮かんでくる
奥付を見ると、7月初版で、8月にはすでに再版発行
小説の日本での売れ行きも上々のようだ
今作は第2弾のもので、1冊目『闇に潜むもの』ほかも興味ある
▼あらすじ(ネタバレ注意
砂漠に囲まれたニューメキシコで新婚夫婦の死体が発見される
最初の目撃者は初老の大女優アニー
彼らは車の中で全身の皮と肉を剥ぎ取られていた
そして同じ砂漠でキャンピングカーで観光に来ていた家族のうち、
長男が同じように殺され、妹が現場で事件を目撃
証言では「囁き声が聞こえ、幽霊を見た」
モルダーとスカリーは、上司スキナーに命じられて現地に向かう
FBI内部抗争を恐れながら、地元の保安官スパロウとアニーのもとを訪ね
「彼女は風を読む」と聞かされる 家族にも話を聞く
検死官は地元の悪評を抑えるため、偽装結果を出したと告げる
本当は死体は“激しくこすられ、一瞬にして皮や肉が剥がれ、血がすべて抜きとられたショック死”
町にはコノカイン族の住むメサという村落があり、
現代文明を拒んで外界との接触を寄せ付けない彼らは無関係ではなさそうだ
以前、バーで人殺しをして刑期を終えないうちに釈放された、
ならず者のコノカイン族・サイオラが町に戻ってきた
彼の疑いも強い
インディアンが作る民芸品を売買し、ひと財産作っている、大柄で強い女性ドナは
身の危険を感じて高飛びするところをモルダーらに引き留められる
再度試みるが、彼女も犠牲となる
彼女と仕事仲間でありコノカイン族との橋渡しでもあるニックは、以前ドナと恋人同士でもあった
また、サイオラとも付き合っていて、バーでの殺人事件の原因はドナだった
サイオラとニックは憎み合っている
そこに別の事件が起きる
酔って家路を急ぎ、夜の砂漠の1本道を車で走らせていた男が、
見えない車を見てよけそこない横転して重傷
事故車を調べると、激しくこすった跡と、砂埃
調査が進んできたある夜
モルダーも囁き声を聞き、見えない影に襲われる
次の朝、その場所に戻り、周囲の枝が円になって折れているのを見て、
強力なつむじ風が原因だったと推測する
ニックにガイドを頼んでメサに入り、7人衆の1人デュガンと会う
7人衆は、年に1度、1週間もの間、洞窟にこもり、何も食べずに祈祷の儀式を行う
FBIをしりぞけようとするデュガンだが“サングレビエント(血の風)”の話を聞くと2人を外に追い出す
村人は皆、家にこもり、モルダーは自分らが標的にされたことを悟り、
熱射と風の中、やっと村を出て、アニーの家まで必死に歩く
すぐそこまで迫る“血の風” それを操っていたのはニックだった
トラックでもひき殺そうとし、銃で撃たれたが、風は消えない
彼の首からさげたまじない袋を撃つと風は消滅した
報告書をどうにか書き上げ、ニューメキシコを去る2人
「彼らの作り出すパワーを想像してみろよ、モルダー」
*
超自然現象はお手のもののモルダーが、なかなかつむじ風に気づかないのが
読者には、タイトルからなにからヒントがありすぎて分かりきっているだけにもどかしい
『THE X FILES』は、どれも一応、実際にあった事件をヒントにしているけれど、
この話もどこかで起こった話なのかしら?
2人が危機一髪、風に襲われるクライマックスシーンは、助かると分かっているけれども、なかなか読み応えがある
2人の性格の掘り下げや、関係性は、状況上変化し得ないから寂しくもある
でも、今回学んだ1つの考え方だけど、制作側からどう仕掛けているか?って面から作品を観るのも一興かも
その分、リアリティの面白味は欠けるけど、映画も本も必ず売る側の意図が存在するわけで
どう面白くするか、ファンを引き留め、盛り上げていくか
仕掛け人の代表クリス・カーター氏ほか制作スタッフの“よみ”が見事当たって大成功した今シリーズ
いちファンでありながら、ファンに対して供給し続けるスタッフの動きを感じることができるのも『THE X FILES』ならでは
ほぼリアルタイムで、今まさにみんなで盛り上げているっていう熱気と勢いがあるんだよね
※ドラマシリーズのメモは「ドラマのマイベスト」カテゴリーにあります
原題:WHIRLWIND by Charles Grant
クリス カーター、チャールズ・グラント/著 南山宏/翻訳
初版1995年 560円
※1995.9~のノートよりメモを抜粋しました。
※「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。
解説によると、今作はスピンオフ(タイアップの特別企画)で、
ノベライゼーション版ではなく、オリジナル小説版
つまりテレビ番組にはなく、反響が大きかった勢いで、ほかのライターに急遽書かせたものということで
もとになった原作じゃなくてちょっとガッカリしたけど、
主人公2人のイメージが固まっているだけに、ライターも彼らの説明は要らないし、
特殊なテーマでもまわりくどい説明が要らないから、自然にストーリーに入っていける良さがある
だから読んでいると、そのままテレビの映像が頭に浮かんでくる
奥付を見ると、7月初版で、8月にはすでに再版発行
小説の日本での売れ行きも上々のようだ
今作は第2弾のもので、1冊目『闇に潜むもの』ほかも興味ある
▼あらすじ(ネタバレ注意
砂漠に囲まれたニューメキシコで新婚夫婦の死体が発見される
最初の目撃者は初老の大女優アニー
彼らは車の中で全身の皮と肉を剥ぎ取られていた
そして同じ砂漠でキャンピングカーで観光に来ていた家族のうち、
長男が同じように殺され、妹が現場で事件を目撃
証言では「囁き声が聞こえ、幽霊を見た」
モルダーとスカリーは、上司スキナーに命じられて現地に向かう
FBI内部抗争を恐れながら、地元の保安官スパロウとアニーのもとを訪ね
「彼女は風を読む」と聞かされる 家族にも話を聞く
検死官は地元の悪評を抑えるため、偽装結果を出したと告げる
本当は死体は“激しくこすられ、一瞬にして皮や肉が剥がれ、血がすべて抜きとられたショック死”
町にはコノカイン族の住むメサという村落があり、
現代文明を拒んで外界との接触を寄せ付けない彼らは無関係ではなさそうだ
以前、バーで人殺しをして刑期を終えないうちに釈放された、
ならず者のコノカイン族・サイオラが町に戻ってきた
彼の疑いも強い
インディアンが作る民芸品を売買し、ひと財産作っている、大柄で強い女性ドナは
身の危険を感じて高飛びするところをモルダーらに引き留められる
再度試みるが、彼女も犠牲となる
彼女と仕事仲間でありコノカイン族との橋渡しでもあるニックは、以前ドナと恋人同士でもあった
また、サイオラとも付き合っていて、バーでの殺人事件の原因はドナだった
サイオラとニックは憎み合っている
そこに別の事件が起きる
酔って家路を急ぎ、夜の砂漠の1本道を車で走らせていた男が、
見えない車を見てよけそこない横転して重傷
事故車を調べると、激しくこすった跡と、砂埃
調査が進んできたある夜
モルダーも囁き声を聞き、見えない影に襲われる
次の朝、その場所に戻り、周囲の枝が円になって折れているのを見て、
強力なつむじ風が原因だったと推測する
ニックにガイドを頼んでメサに入り、7人衆の1人デュガンと会う
7人衆は、年に1度、1週間もの間、洞窟にこもり、何も食べずに祈祷の儀式を行う
FBIをしりぞけようとするデュガンだが“サングレビエント(血の風)”の話を聞くと2人を外に追い出す
村人は皆、家にこもり、モルダーは自分らが標的にされたことを悟り、
熱射と風の中、やっと村を出て、アニーの家まで必死に歩く
すぐそこまで迫る“血の風” それを操っていたのはニックだった
トラックでもひき殺そうとし、銃で撃たれたが、風は消えない
彼の首からさげたまじない袋を撃つと風は消滅した
報告書をどうにか書き上げ、ニューメキシコを去る2人
「彼らの作り出すパワーを想像してみろよ、モルダー」
*
超自然現象はお手のもののモルダーが、なかなかつむじ風に気づかないのが
読者には、タイトルからなにからヒントがありすぎて分かりきっているだけにもどかしい
『THE X FILES』は、どれも一応、実際にあった事件をヒントにしているけれど、
この話もどこかで起こった話なのかしら?
2人が危機一髪、風に襲われるクライマックスシーンは、助かると分かっているけれども、なかなか読み応えがある
2人の性格の掘り下げや、関係性は、状況上変化し得ないから寂しくもある
でも、今回学んだ1つの考え方だけど、制作側からどう仕掛けているか?って面から作品を観るのも一興かも
その分、リアリティの面白味は欠けるけど、映画も本も必ず売る側の意図が存在するわけで
どう面白くするか、ファンを引き留め、盛り上げていくか
仕掛け人の代表クリス・カーター氏ほか制作スタッフの“よみ”が見事当たって大成功した今シリーズ
いちファンでありながら、ファンに対して供給し続けるスタッフの動きを感じることができるのも『THE X FILES』ならでは
ほぼリアルタイムで、今まさにみんなで盛り上げているっていう熱気と勢いがあるんだよね
※ドラマシリーズのメモは「ドラマのマイベスト」カテゴリーにあります