Quantcast
Channel: メランコリア
Viewing all articles
Browse latest Browse all 8633

notes and movies(2001.1〜 part3)

$
0
0
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづきで茶色のノートのラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


■『ブーベの恋人』(1963)
監督:スイジ・コメンチーニ 出演:クラウディア・カルディナーレ、ジョージ・チャキリス ほか
政治事情が絡んでくると弱いんだが・・・とにかく可愛いCCと
『ウエストサイド物語』でスターになったチャキリスの若々しい魅力でいっぱい。
最初は小生意気な娘が愛を知って、次第に女性へと成長していく様子をCCが見せる。
貧しい田舎娘が街でヒールを買ってもらったり、レストランでパイをほおばったりする無邪気なシーンも印象的。


■『秋日和』(1960)

監督・脚本:小津安二郎 出演:原節子、司葉子、岡田茉莉子、佐田啓二、佐分利信 ほか
新宿TSUTAYAにまだまだ小津と、それぞれの俳優のいい作品がいっぱいあって嬉しい
今作品は、原が母親役を演じ、映画最後を飾った作品じゃないかな?
母と娘の微妙な心のやりとりと、3人の男のそれぞれキャラがハッキリしてて
笑いもあり、『東京物語』の感動に通じる余韻の残る秀作。

1人残された母は狭いアパートに1人の寝床を敷いて
すっかり静かになったが、娘の幸せを願う微笑みを浮かべる。
この寂しさと喜びの複雑な微笑みがまた素晴らしく印象に残る。

知人の話だとまだ時々鎌倉でひっそり暮らす原がフォーカスされるというがスゴイ!
華のある素晴らしい演技をたくさん残しながら40代ですっぱりと女優を辞めて、隠遁生活なんて不思議な魅力を持つスターだ。


■『あの手この手』(1938)

監督:市川崑 出演:久我美子、森雅之 ほか
久我と森のステキな共演 ずいぶん前の作品なのに、話していることとか考え方が今と同じ。
昔がモダンだったのか、今が進歩していないのか
軽妙なやりとりのコメディ、でも市川崑監督って金田一耕助シリーズとかの重いテーマの映画が多いんじゃなかったっけ?

「中年男の魅力が分かってきた」とちょっと意味深。
そりゃ森さんみたいなおじさまがいたら、毎日でも訪ねに行きたいよ。
久我はへんてこりんなヘアスタイル。


■『夕やけ雲』(1956)

監督:木下恵介 出演:久我美子、田村高広 ほか
16歳という微妙な歳の少年が、大人に成長するまさにターニングポイントを数々の別れを通して描いた。
久我は貧乏が嫌で器量良しなのをバネに、なんとか玉の輿に乗ろうとする姉役。
久我自身、お嬢さまから家のために働かなきゃならなかった境遇があるから、共感する部分もあったのかも?

「苦労したけど幸せだ」と親が互いをいたわりあう心、長男のプレッシャーを考えて慰める母の心、
「絶対迎えに行くから待ってろよ!」と妹にいって見送った兄の心、家族を助けるために静かに家を出る妹の心。

「大人は何でも自由でいいなあ」
「自由なのは子どものうちだけ。大人になったら度胸を持たなきゃ」

いろんな責任、重圧も、金に変えられない、守るべき人、愛し支え合って、
日々一生懸命生きてゆくことの尊さにはかえられない。

「人生始まったら、もう後戻りはできないんだから」

苦労も含めて幸せとして感じいるものなのかもしれない。


■『父ありき』(1942)

監督:小津安二郎 出演:笠智衆、佐野周二、佐分利信 ほか
不思議だよなあ。小津作品って、なんてことない日常を淡々と描いていて、
静止画の堅い動き、どっちかというと不自然なくらい、なんというか格式ばった動きなんだけど、
ラストにぶわあああっと感動が押し寄せて、余韻が残る
上品で節を重んじた昔の日本人の生き方、一本筋の通った生き方というのが、笠智衆のキャラとともに心に染み入る。

「学校出たらまた一緒に暮らそう。ライスカレー食べるか?
「出来るかぎりのことをして、一つの仕事を続けて初めて良さが分かる」

だいぶ古くてフィルムの雑音と傷みの激しいのが残念。聞き取れないセリフもあった。
息子役は大仏顔で腹話術みたいで可笑しいw
初めて息子からの小遣いをありがたく頂く父、母の霊前で立派に線香をあげる姿を頼もしく見つめる父。
短い時間の中に、父を慕う息子と、子を想う親の愛情があふれんばかりに描かれている。


■『女の園』(1954)
監督・脚本:木下恵介 出演:高峰三枝子、高峰秀子、岸恵子、久我美子 ほか
かなりガチガチの社会派ドラマだった。
でも彼らの学生運動、女性解放運動の努力がなかったら、今の状態はなかっただろうけど。
今もお嬢さま学校はあって、校風や校則はこの作品とちっとも変わっていないだろうし、
今の教育だって、もっと学生本人が叫ばなきゃ、時代に合わせてどんどん進化するのが本来のあるべき姿つーか、
十分変わったとは言い切れない。

「アタックNO1」みたいに、世の中の悲運を全部背負ってるみたいなヨシコの濃い〜キャラが重くて、
反対に怨念に憑かれた女能役者みたいな寮母役の高峰の迫力がスゴイ!
リーダー格なんだけど、財閥の娘っていうのが久我にハマってる。音楽もほとんど葬送曲。

その後どのくらい変化したか、しなかったかが描かれていないのは残念。本当の教育は難しい。
校風をゆるめると援助交際、ドラッグなどの問題も起きるしね。
自由と責任、心の教育のできる教師が一体何人いるか。教師から教わる子どもへの影響は大きいから、
やはり大人から教育し直さなきゃいけないのかな?


■『Paris When it sizzles』(1964)
監督:リチャード・クワイン 出演:オードリー・ヘップバーン、ウィリアム・ホールデン、ピーター・セラーズ ほか
ピーター・セラーズがゲスト出演ってことで楽しみにしてたのに結局分からなかったのが残念。
オードリー35歳?とは思えないキュートさ。夢物語のように進む軽いラブコメディで
仮装パーティには、ハーポとかジャズシンガーの黒人に扮した人とか、ちょっとした楽屋落ちが面白い。

実際、今作が大入りになったかは不明。ここまで描いて不作だったら冗談にもならないけど
今作で一番いい思いをしたのはオードリーととにかくキスシーンがいっぱいあったホールデンじゃなかろうか?w
たしか実際に付き合いを申し込んで断られたんだっけ? で、メル・ファーラーが旦那だっけ?
これまたどこに出ていたか分からんかったけど。

トニー・カーティスが端役といいつつ、けっこーおいしいコメディ役だったのが笑いのオチ。
ヌーヴェルバーグ風の役者を臭く演じたり、似たようなセリフにブツクサ言ったり・・・
今の映画界は少しは変わったのかな? 単純なラブストーリーに大スターなら絶対ウケル説はまだ健在!?


■『挽歌』(1957)

監督:五所平之助 出演:久我美子、森雅之、高峰三枝子 ほか
この組み合わせはパーフェクト 優しくて、時に激しくて、妖しくて、
不倫の恋にも大人の男の責任をとる桂木役の森雅之さん
ちょっと生意気で、泣き虫で、気性の激しい少女と大人の女性の間を行き来する久我さんの
熱くて切ないラブシーンが満載。久々切なく、胸が苦しく高鳴る思いを味わえる。
それだけに、ラストがなんとも辛い。

「無理にでも探して連れ去ろうと思っていたんだ。今夜は帰らないつもりだから君も決心してくれ」
てカッコイイくどき文句
行った先の旅館も、湖畔のなんとも趣味のいいところ。

「会いたくない気持ちは分かるが東京に行く前に今夜だけは残っていてほしい」

(今作での久我のセリフ「わたしをアミにしておいて!」みたいなセリフがステキすぎる。


■『浮草物語』(1934)

監督:小津安二郎 出演:坂本武、飯田蝶子、八雲理恵子 ほか
喜八シリーズものでサイレントの弁士つき。前回観た時、体を掻くシーンが目に付いて、
昔はノミとかいて大変だったのかな。エアコンもないしって思ってたけど、
小津独特の演出のひとつだと後で本で読んで知ってから、今作にもたくさん出てくるのが気にならなくなった。
喜八シリーズって寅さんに通じる人情もので、笑いあり、ホロッとくる涙あり、
あったかみのあるキャラクターと人間関係がイイ。


■『日本誕生』(1959)
監督:稲垣浩 出演:三船敏郎、上原美佐、原節子、司葉子、鶴田浩二、香川京子 ほか
古事記の神話と、ヤマトタケルノミコトの話を映像化。ヤマタノオロチなんか円谷特撮そのものw
完全版なのか? 誰がどの役かちょっと分かりにくい。
原がイイ役なのにシーンとセリフが少なくて残念。
ごっつい三船が女装してクマソにとりいり、美しいと引き寄せられるシーンは笑える

神話はスサノオノミコトのヤマタノオロチ退治、アマテラスの岩戸開きまで語られる。
隠れた女神を呼び戻すために巫女が踊って、皆の笑いで何事かと覗いた女神に鏡を見せ、
「私より尊い神とは誰か?」「あなたさま自身です」

かなり豪華なスターの共演。大晦日の夜の特番風。
もっと神話の世界の映像化をふくらませてほしかったな。




【読書感想メモ】
「ターシャ・テューダの世界 ニューイングランドの四季」ターシャ・テューダ著
「大事なことはみーんな猫に教わった」Suzy Becker著 谷川俊太郎訳
「日本映画監督列伝1 小津安二郎の謎」小学館
「7年目のセキララ結婚生活」けらえいこ著
「マンガ日本の古典1 古事記」石ノ森章太郎著
「マンガ日本の古典3 源氏物語」長谷川法也著


【歌詞をメモした曲】
♪LIFE/Des'ree


【イベントメモ】
「新田さんライヴ」@池袋マンホール
「フリーマーケット」@明治公園
「ながの山と花フェスタ」@エムウェーブ
浜離宮恩賜庭園、清澄庭園、深川江戸資料館、深川不動尊、六義園、染井霊園、とげぬき地蔵、相模湖ピクニックランド、東御苑


何冊もあったリングノートもこれがラスト。
次回からはルーズリーフシリーズに入りますv



Viewing all articles
Browse latest Browse all 8633

Trending Articles