■きちんと知りたい!卵子凍結
自分の卵子を使って妊娠するためにする卵子凍結
高まるニーズに大阪ではセミナーが開かれた
凍結には1回につき数十万円かかるが、毎回予約で一杯になる
その背景には、卵子の老化が不妊につながるのを防ぎたいという女性の切なる思いがある
【体験者に密着取材した卵子凍結の手順】
40歳独身:
将来もし不妊になったら「使える手段あります」とはいえる 保険ですかね 隠し球
1週間ホルモン注射をして卵の成熟をうながす
通常、卵子が育つのは月1回だが、注射でより多くの卵子を成長させる
1週間後、卵巣に腫れが出て、「(下腹)全体が重い」
立っているのが辛いので、上司に立ち仕事をかえてもらった
10日目、卵子を取り出す手術
強い痛みを伴うため全身麻酔が基本
ストロー状の針を膣の壁から貫通させて卵巣まで刺しこみ、卵子を1つずつ吸いだす
全身麻酔をしていても針を刺すたびに体がこわばって反応/怖怖怖
約30分で19個の卵子を取り出した
そのまま凍らせると水分が膨張して細胞が壊れるので、水分を抜いてより安定した状態にする
液体窒素タンクに保管
麻酔が覚めたら医師の問診を受け、終了
痛みはしばらく残るんだ
医師:
今日1日ムリせず、動かないほうがいい
少量の出血は大丈夫だが、痛みが酷いようならすぐ連絡してください
ホルモン注射+手術代でこのクリニックでは35万円かかった 合計98万円
有働:とくにアメリカだとフツーにすすめられる アラフォー同士でよく話す
●卵子をとるのは「体外受精」と同じ~卵子凍結との違いは?
専門家:
将来、卵子が多いほうが妊娠しやすいため、たくさんとろうとすると注射も増えて
卵巣が腫れたり、麻酔事故、お腹の中で出血、膿がたまったり、不妊につながることも稀にある
若いうちのほうがいいが、経済的なこともあるので人それぞれ考えてもらう
日本産婦人科学会は推奨しないと発表
専門家::
リスクがあることから、もともとは健康な女性は対象外だった
がん患者、抗がん剤治療前に受けるものだったが、広まってしまったので
●医療機関側へのアンケート
医療機関側の意見もいろいろあり、分かれている
「するかしないかは女性の選択肢だから、来た方は受け入れる」
「20~100万円ほどかかるので商業主義でしかない」
病院は二極化していて、そこの代表者の意見によって行うか決めているのが現状
●事故で病院とのトラブルは?
海外ではある 裁判の例もある
日本ではガイドラインがあり、推奨しないと言っているため
事故があってもなかなか分からない
●卵子凍結で出産した40代半ばの女性も取材
看護師のAさんは、パートナーがいないまま39歳になり、卵子凍結を決意した
「好きな人もいなかったから、とりあえず、卵の老化をいったんストップできたことで
追い詰められていた気持ちがちょっと解放された」
その後41歳で結婚 すぐに不妊治療をしたが妊娠はしなかった
凍結した卵子を使って妊娠・出産し、子どもは元気に保育園に通っている
しかし、子どもの成長が不安で夫に言えなかった
打ち明けたのは2歳になってから
「やってよかった、周りには薦めたい気持ちもあるけれども、
時間、お金、自分の体に侵襲(負担)、リスクもあるので
“絶対やったほうがいい”とはやっぱり言えない」
●妊娠につながるケースは実は少ないと判明
体外受精のために解凍した人は85人、うち妊娠したのは12人
ほとんどは凍結させたまま使っていない
それを受けて、卵子凍結を中止した医療機関もある@渋谷
6年前の開始以来、32人の卵子を凍結したが、実際に出産したのは1人だけ
医師:
依頼した女性のほとんどは独身、40歳を前にして、パートナーがいない方
駆け込み寺のように集まってきたのが事実
このクリニックでは卵子の保管期限を45歳までと定めた
期限を過ぎた卵子を破棄することを重ねるうち、
卵子凍結は希望を持たせるだけで、なかなか出産に結びつかないと痛感した
医師:
希望だけ与えて、現実は厳しい
夢だけ与えるというのは、医療としては違うんじゃないかと感じた
Q:リスクをかけて凍結したのにトライしないというのはどういうことですか?
卵子凍結をするのは30代後半になって切羽詰っている人
20代くらいからライフプランとして考えることとは、今の日本の現状は違っている
Q:卵子凍結はどれくらいもつ?
長くもたせることに意味があるかは別にして、科学的にはいつまでも使えます
イノ:せっかく辛い思いしてとったのに、もうイイですっていう選択も迫られるのはさらに辛いですよね
●出産率
医師:
若い時に卵子凍結をしたほうが確率は高まる
今の体外受精は、受精卵ができて、それを凍結保存する→すぐ戻して、妊娠に使うが
卵子凍結は将来のことなので、たくさんとっても実際受精されるのか分からない
受精卵よりも凍結した卵子は弱いので、技術は上がっているが確率は落ちる
ヤナギー:
とくに今の女性の働き方の部分と密接に関係しているように感じますね
記者:
一部の特別な人がやっていると思う方が多いが、働いているフツーの方に広まっていると感じた
この技術があるからと安心してほしくはないですし、企業も薦めてはいけないと思った
これは社会の映し鏡だと思う
20代ではなかなか産みにくい、じゃあ、30代なら産めるのかといってもそういうわけではなく
いつまでも産みにくい
これを女性たちの悲鳴だと思って、産みやすい環境、風土を整えなければいけないと強く感じた
自分の卵子を使って妊娠するためにする卵子凍結
高まるニーズに大阪ではセミナーが開かれた
凍結には1回につき数十万円かかるが、毎回予約で一杯になる
その背景には、卵子の老化が不妊につながるのを防ぎたいという女性の切なる思いがある
【体験者に密着取材した卵子凍結の手順】
40歳独身:
将来もし不妊になったら「使える手段あります」とはいえる 保険ですかね 隠し球
1週間ホルモン注射をして卵の成熟をうながす
通常、卵子が育つのは月1回だが、注射でより多くの卵子を成長させる
1週間後、卵巣に腫れが出て、「(下腹)全体が重い」
立っているのが辛いので、上司に立ち仕事をかえてもらった
10日目、卵子を取り出す手術
強い痛みを伴うため全身麻酔が基本
ストロー状の針を膣の壁から貫通させて卵巣まで刺しこみ、卵子を1つずつ吸いだす
全身麻酔をしていても針を刺すたびに体がこわばって反応/怖怖怖
約30分で19個の卵子を取り出した
そのまま凍らせると水分が膨張して細胞が壊れるので、水分を抜いてより安定した状態にする
液体窒素タンクに保管
麻酔が覚めたら医師の問診を受け、終了
痛みはしばらく残るんだ
医師:
今日1日ムリせず、動かないほうがいい
少量の出血は大丈夫だが、痛みが酷いようならすぐ連絡してください
ホルモン注射+手術代でこのクリニックでは35万円かかった 合計98万円
有働:とくにアメリカだとフツーにすすめられる アラフォー同士でよく話す
●卵子をとるのは「体外受精」と同じ~卵子凍結との違いは?
専門家:
将来、卵子が多いほうが妊娠しやすいため、たくさんとろうとすると注射も増えて
卵巣が腫れたり、麻酔事故、お腹の中で出血、膿がたまったり、不妊につながることも稀にある
若いうちのほうがいいが、経済的なこともあるので人それぞれ考えてもらう
日本産婦人科学会は推奨しないと発表
専門家::
リスクがあることから、もともとは健康な女性は対象外だった
がん患者、抗がん剤治療前に受けるものだったが、広まってしまったので
●医療機関側へのアンケート
医療機関側の意見もいろいろあり、分かれている
「するかしないかは女性の選択肢だから、来た方は受け入れる」
「20~100万円ほどかかるので商業主義でしかない」
病院は二極化していて、そこの代表者の意見によって行うか決めているのが現状
●事故で病院とのトラブルは?
海外ではある 裁判の例もある
日本ではガイドラインがあり、推奨しないと言っているため
事故があってもなかなか分からない
●卵子凍結で出産した40代半ばの女性も取材
看護師のAさんは、パートナーがいないまま39歳になり、卵子凍結を決意した
「好きな人もいなかったから、とりあえず、卵の老化をいったんストップできたことで
追い詰められていた気持ちがちょっと解放された」
その後41歳で結婚 すぐに不妊治療をしたが妊娠はしなかった
凍結した卵子を使って妊娠・出産し、子どもは元気に保育園に通っている
しかし、子どもの成長が不安で夫に言えなかった
打ち明けたのは2歳になってから
「やってよかった、周りには薦めたい気持ちもあるけれども、
時間、お金、自分の体に侵襲(負担)、リスクもあるので
“絶対やったほうがいい”とはやっぱり言えない」
●妊娠につながるケースは実は少ないと判明
体外受精のために解凍した人は85人、うち妊娠したのは12人
ほとんどは凍結させたまま使っていない
それを受けて、卵子凍結を中止した医療機関もある@渋谷
6年前の開始以来、32人の卵子を凍結したが、実際に出産したのは1人だけ
医師:
依頼した女性のほとんどは独身、40歳を前にして、パートナーがいない方
駆け込み寺のように集まってきたのが事実
このクリニックでは卵子の保管期限を45歳までと定めた
期限を過ぎた卵子を破棄することを重ねるうち、
卵子凍結は希望を持たせるだけで、なかなか出産に結びつかないと痛感した
医師:
希望だけ与えて、現実は厳しい
夢だけ与えるというのは、医療としては違うんじゃないかと感じた
Q:リスクをかけて凍結したのにトライしないというのはどういうことですか?
卵子凍結をするのは30代後半になって切羽詰っている人
20代くらいからライフプランとして考えることとは、今の日本の現状は違っている
Q:卵子凍結はどれくらいもつ?
長くもたせることに意味があるかは別にして、科学的にはいつまでも使えます
イノ:せっかく辛い思いしてとったのに、もうイイですっていう選択も迫られるのはさらに辛いですよね
●出産率
医師:
若い時に卵子凍結をしたほうが確率は高まる
今の体外受精は、受精卵ができて、それを凍結保存する→すぐ戻して、妊娠に使うが
卵子凍結は将来のことなので、たくさんとっても実際受精されるのか分からない
受精卵よりも凍結した卵子は弱いので、技術は上がっているが確率は落ちる
ヤナギー:
とくに今の女性の働き方の部分と密接に関係しているように感じますね
記者:
一部の特別な人がやっていると思う方が多いが、働いているフツーの方に広まっていると感じた
この技術があるからと安心してほしくはないですし、企業も薦めてはいけないと思った
これは社会の映し鏡だと思う
20代ではなかなか産みにくい、じゃあ、30代なら産めるのかといってもそういうわけではなく
いつまでも産みにくい
これを女性たちの悲鳴だと思って、産みやすい環境、風土を整えなければいけないと強く感じた