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『ぼくの伯父さんの休暇』(リブロポート)

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『ぼくの伯父さんの休暇』(リブロポート)
原題 Les Vacances de Monsieur Hulot by JEAN-CLAUDE CARRIERE
原案・映画:JACQUES TATI ジャン=クロード カリエール/著 
Pierre Etaix/絵 小柳帝/訳
初版1995年(1996.2 第3刷) 1236円

※1996.7~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。



久々の読書で約1日。集中するのが難しく、可笑しいほど居眠りをしながら
(タチの映画の登場人物に加わったみたい)読み終えた

訳者がプラプラ寄った蚤の市で奇跡的に発見した本書が、30年ほど前に書かれたもので
それを5年越しに翻訳したのを、有楽町に派遣された私が
ブラっと寄った古本屋で偶然見つけた驚きと喜びは訳者と同じだった。

3ヶ月で、第3刷
この好調な売れ行きは、日本にも根強いタチファン仲間がいることを教えてくれる

映画のノヴェライズ(小説化)という特異な形で、
個人のイメージを壊される不安もぬぐいきれなかったが、
そこはタチ自身の太鼓判コメント付きで、しかも著者は今作でデビューを飾り、
続く『僕の叔父さん』の助監督まで務めたというカリエール

しかもヴィデオの表にも使われていたと思われるピエール・エテックスが挿絵
タチ演じるユロ氏ほかのキャラクターが、そのまま絵となった感じが見事
彼もまた監督として数々の「え、あの作品?!」ていうのを撮っている

こういう縁の物語は、時に神業的偶然で感動

本書は、解説のとおり、映画の数々のスラップスティックな笑いにエピソードの肉付けをして
絶妙な説明で言葉に換えている



私も記憶に残っていなかった、ラストにユロ氏に住所を渡す老人
(夫婦2人であちこち散歩していたエキストラ程度にしか覚えていない)
の日記という構成がちょうど的を得ている

ユロ氏本人以外、彼の起こす奇想天外な事件の数々を目撃し、私たちに伝えてくれる人は
そう言われてみれば、可能性として彼しかいない

花火を消そうとして、水まきと追いかけっこをしたシーン等、
所々、彼が見ていなくても、推測や、他の人の証言で辛うじてギャグの説明をしている工夫もある


なぜか、海辺のヴァカンスに虚無感覚を持っているところがフランス作品らしい
休暇においても、同じ日常行動の焼き直し、普段の単調さをそのまま移しただけ

そこに最大限楽しもうとやってきて、平穏を破壊する(あくまで無意識に)モンスター、ユロ氏登場
サラリーマンか、金持ちか、過去も実体もない、この男のひと夏の騒動


今、タチはどこにいるのかしら?
けっしてハンサムじゃない、ヒョロ背の高い、このハイセンスな男は今どこに?





古書店で偶然見つけた最大の貴重本
何回もの引越しで大概の本は売り払ったけれども、これは数少ないコレクションの1つv

箱に入っていて、装幀もオシャレ
映画を観てから読んだので、なるほどこんな視点があったかと目からウロコだった 2016



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