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『恋をしつづける女たちへ 新しい男と女 愛の進化論』(徳間書店)

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『恋をしつづける女たちへ 新しい男と女 愛の進化論』(徳間書店)
秋山さと子/著 初版1991年 1200円

※2001.5~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト2」カテゴリーに追加しました。

秋山さと子:
1923年 東京生まれ
19歳で結婚(彼氏が事故死後、親のすすめた縁談だったが)28歳で離婚
ジャズ歌手、デザイナー、放送、映画の宣伝等を経た後、35歳で駒沢大で仏教を学ぶ
39歳で4年間、スイスでユング研究所で学んで帰国後、同大学の博士課程を卒業
現在、東京ユング研究所(ユングクリニック)主宰


【内容抜粋メモ】

女は、心を中心に楽しんだり、悲しんだりして暮らす一生のほうが自然
男女それぞれが自立して初めて共感、愛が生まれる
刺激ではなく、人生で本当に困っている時に助けてくれる男が見つけられた最高

子どもは「自由教育」

恋愛まで「画一化」したのは戦後の民主主義の平等が「皆同じならよし」と履き違えたから

頼れるのは自分だけ “周囲の人がいる”と考えること自体“夢見る”行為


その人が女である以上、何をやっても女らしい

「女らしさ」は、異性と関わる時に自然と発揮される
育て方というより「内から出る本質的なもの」
あえて母の時代遅れな「女らしさ」を押しつけない

力か頭かの「権力志向」という意味で、男はなにも変わっていない
本能と権力志向をやめないかぎり、戦いはやまず、「真の平和」は訪れない

日本はとくに「立身出世」が“男らしさ”の象徴だった
今は徹底した「自己中心主義」の生活志向の男がいる

「いい生活を」と思って、一生懸命働いて、ふと気づけば生活を犠牲にしている
そばに女がいれば、男を意識しても男らしさ、女らしさより、「人間らしさ」を追求


●「リビドー」人の行動の基底となる根源的欲望
フロイトは、「エロス(性愛)
アドラーは、「優越欲求」+「権力(パワー)」=人の二大本能 と説いた

女が泣くのも、「擬態」を使ってでも最後には勝とうとするから



●ユング
エロスと権力が統合、1つの個として、互いが理解しあうのが人のあり方で、文化形成の源

女の特性:感情、直感
男の特性:思考、感覚

4つの統合が人としての完成(男女とも足りない部分を補う)

男は、昼(パワー)+夜(エロス)がバラバラに存在して両極をつなぐ 心(感情)を忘れてしまった
女は、優しさ(心)で、頭と体(下半身)をつないで、男は自己を統合したものに感じてきた

男も心を育て、表現できれば、女をもっと理解できる


「カソリック」
ゲイ、堕胎、ピルは禁忌→将来、信者が増えないため

「ホモセクシュアル」
心とsexの世界+ナルシシズム、美の世界に生きている



●二重労働(仕事+家事・育児)の結婚を嫌う女たち
女は、男同様に働けるよう教育されてきていない分、余計に疲れる 今が過渡期

既婚者(親など)の不満だらけの生活を見て、夢を見なくなったのも一因
相手を十分信頼できるなら結婚しない関係もOK


結婚しない関係の強敵は“寂しさ”
男女のライフスタイルを考えると“スープの冷めない距離”で別々にいるのは、よりよい関係のひとつ


保守的な女性群
今のOLは、親に代わる「依存相手」を待つ

依存すれば、たちまち支配される


結婚
女:誰かと関わり、交わることが大切
男:社会的役割、性衝動の上で必要

昔は、完全に「家と家」だったから、女は「モノ扱い」だった

結婚の一面は明らかに「束縛」
女が「楽したいだけ」と考えれば、男も昔同様「雑用をやってくれればいい」と考える


不倫より情事
夫婦愛は積み上げていくもので、意識的な読みがある分、恋愛と違う
自分に責任が持てれば恋もOK

旧来の「結婚制度」で不満だらけの日常よりずっといい
なにかに夢中な人は、いつも美しい


親は嫁より、娘夫婦に面倒をみてもらうほうが幸せ
家族1人1人の「自立」と「空間的な自立」は、大きく関係し、
現代の難問のすべて(父の権威、母の自立、子どもの教育)と関係している


秘密
男女が社会的に自立して、夫婦関係をもつというのは、秘密をもつということ
親から子が自立する時は、親に言えない秘密をもつこと
自分の秘密を、自分で処理すること=「自立」

お互いに自立して、好奇心をもって夫婦生活を楽しむのが、これからの結婚関係


女性が老いる時に大切なのは、意識して「優しさ」を獲得すること
政界も、会社も、日本では「大家族的家制度」に基づく考え方が蔓延している
日本の家族のありように社会全体の縮図がある
昔から、女が表象的に上位にあっても、世俗的なことはすべて男が仕切っていた権力構造 例:卑弥呼

一部の優れた女性だけが「パイオニア精神」を発揮するのではなく
すべての一般女性が各個性に応じて仕事を選び、力を発揮するのが重要


いろんな可能性を試してみる
本当に好きか、親や誰かの影響で思い込んでいるだけか、見極めが必要
自分がイヤでも、とにかく受け入れてみることから社会参加への第一歩が始まる

常に感情がともなうため、好きじゃなきゃ何もできない側面、
主体的であっても、狭い見方になる傾向がある
論理的構造に弱い

「感性」でひらめいたものを「悟性」「理性」にまで高めなければ
きちんと自分を表現することはできない



書くこと
自分の感情だけでなく、論理的な考えを書く
思ったこと、考えたことを「対象化」する作業
「客観視」する訓練が必要

「発想」→仕事に作り上げ→整理し→まとめる能力



「仕事」は社会に場をもつこと
やる気に満ちた女性が増えた一方で、自分で女性の能力の限界を勝手に設定している若い女性も多い
ちょこっと仕事して、旅行や洋服にすべて使い、本当の生活は「白馬の王子」に託している
待ち続けつつ、条件を高くして、結婚しない
「将来は豊かな生活」という幻想を追う

「夢の実現」は、カッコ悪くても、社会を這いずり回って1つ1つ積み上げていくもの


恋愛
自分の内の無意識の「男性性」を投げかけて夢を描くこと
「男性性」が徐々に昇華されて、男性が理解できる“優しい女”になれる

未熟なまま表出すると「オバサン」になる=未熟な「男性性」
→攻撃的 客観性がない 非論理的 権力

未熟な男性は「オヤジ」になる=未熟な「女性性」


未熟な心理学知識は、女性の自立の大きな問題となる
好みで覚えた部分のみ押しつける
相手への配慮がなく、感情と混ざる

「オバサン」
人として発展途上で、美しく歳をとった女性によみがえる前段階のあがき

自分の感情による自然な優しさではなく、
感情を乗り越えた、周りを見た上での意識した優しさをもつこと

本来の女性の「包容力」+男性の「決断力」「論理性」を兼ねた「統合的」な人間になること



●「DINKS」double income が合理的で生きやすい
どっちが稼ぐと考えず、男女共稼ぎ、足りないほうを多いほうがとりあえず助けると考えると
補われる女は男に感謝するようになる
家事の負担の面で男は女に感謝すべき

1人より2人で暮らすほうがいろいろ便利で
一方を支配して利用する関係ではない

双方が生活のパートナーとして機能し、補い合い、感謝しあうというルールが必要
互いがシングルという発想で、シングルからダブルインカム

子どもがいようがいまいが、尊敬と感謝のパートナーシップで生活する


本来、仕事には男女の区別はない
総合職:男並みの職務と昇進を想定した
一般職:昔通り補助的な役割→社会で甘えた存在

産休・子どもを仕事場に連れてくる「アグネス・チャン論争」が「公私混同」だと言われた

能率重視の男社会に、女の情緒性を入れることで別の効果を生む

男も「自分たちの子ども」と考えるべき

プロの保育者のいる保育所がたくさんできて初めて男女共働きが可能となる


子どもは自立していく存在 「男性至上主義的傾向」
長い人生の中で4~5年は、ほんの数年と自覚し、父母ともに仕事をペースダウンして家庭で子育て

小学4年生くらいになった子どもは立派に自立すべきで、
親がいつまでも手をかけたり、子どもが親がかりでは×

「レディーファースト」
ヨーロッパの「レディーファースト」は結局、人形扱い=「女性は考えずにキレイに座っていろ」


キーワード1:男の思いやり
自分も相手もしっかり見据えて、理解する 「妥協」とは違う
人、男の“本当の強さ”は、困難の上で「思いやり」を表現することにある


キーワード2:女の優しさ
①女の卑屈さからくるもの=男が怖いから優しさを武器に誤魔化す
②強さからくるもの

力では弱く、自分を守る必然性から自縛 自己主張も控えていた
これまでの鬱積から、あれもこれもと行動し「やればできる」と
目下、逆に「混乱状態」にある

女性の本来もつ優しさをもって、過度な自己主張を控える

「優しさ」=「客観性」人の文化の発展と深く関わっている
女性だけでなく、本来、人のもつ、自分をこえて、広く大きくものを見ようとする人間性
他人のあり方を見て、改めて考えることが、関係をもつ基本的な立場


「パートナーシップ」思いやりの上に立った人の関係性のあり方
男女互いの意見を包み隠さず言うことで関係は成熟する
男は、優しさをもっていても、表に出すと変な目で見られる旧来の「陋習(ろうしゅう)」がある

国際関係にも「思いやり」が必要
強い者に優しく、弱い者に強くでるのは「軟弱」
今までの男は軟弱だった

強くなければ男じゃない思いやらなきゃ男じゃない
強くなければ女じゃない優しくなければ女じゃない

同じ志をもって、パートナーシップで世の中を平和にしていく時代





1行1行が「なるほど」の連続
感情に生きる同性でありながら、ここまで男女のあり方を
論理的かつ分かりやすい表現で提示してくれるのはありがたい
マニュアルなしじゃ生きられない今の私たちには、バイブルのごとし

しかも1991年当時、すでに御歳68歳なのに、この柔軟な考え方/驚
全然、古臭くなく、ちゃんと時代、時代の迷える男女の心中をとらえているのがスゴイ

そこには、たくさんの経験に基づいたものと、心理学の知識、仏教などの宗教はじめ
幅広く、深い知識が絶妙に融合しているのが分かるから説得力がある




2017年のメモ:
今読んでも「なるほどねえ」て思うのは、世の中が、1991年も、これを読んだ2001年も
それをメモっている2017年になっても、男女の格差が全然埋まっていないからじゃないのかな
なかなか埋まらないねぇ・・・まるで、こないだ見た「あさイチ」の悩みとまったく同じじゃん

「オンナ×働く」 モヤモヤ大特集@あさイチ

ずーーーーーーっと過渡期のまんまなのかねえ
なんだかなあ・・・




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