フランセス・バーネット/著
※1993.9~のノートよりメモを抜粋しました。
※「読書感想メモリスト1」カテゴリーに追加しました。
『秘密の花園』に続いて手にした本書
今まで読んだことがなかったのが不思議なほど、世界で愛されている児童文学
10歳ほどの少年とは思えない純粋さ、利発さ、理想的な姿の美しさを繊細に描きだして、
伯爵のたった一人の跡継ぎとして何不自由ない生活に迎え入れられても
ちっとも変わることのない純粋無垢、無欲で、心優しい心を世界中の子どもたちに語っている
幼い頃、皆に愛された立派な父が亡くなり、残されたセドリックと美しい母
突然、祖父にあたる伯爵から使いが来て、父の兄2人が亡くなったため
セドリックが跡継ぎとなるべくイギリスの城に住まなければならなくなり
母と子は別々の城に住むことになる
アメリカの女性と結婚したことで、その母子を憎んでいた伯爵が、
次第に少年の優しい心、他人を一番に考えて、けして祖父を疑ったり、怖れたりせず
誰より愛して、誰からも愛される小さなフォントロイを愛して
今までの勝手な自分本意の言動を恥じ、その母と子を愛するにいたるまでの話
イギリス、そして他の国でもいまだに続いている貧富の差や身分階級制度が今作では重要な設定で、
莫大な富を持ちながら、心から分かり合える友人を一人も持たない老伯爵
対照的に、貧しく、学は足りないかもしれないけれども
情け深く毎日をイキイキ暮らしている労働者たち
この双方が、ラストに出会い、ぎこちないなりにお互いに交流しようと努力する様子は
作者、読者の願いの反映でもある
愛する夫を亡くしても、少年を立派に育てあげた母親は、今作のもう一人の主人公
道徳的で、情けある彼女が、ことあるごとに息子に説いて聞かせる
優しくなるための言葉は、いちいち心に沁みわたる
ひとつ疑問が浮かぶとしたら、何度もその母と子の姿の美しさが描かれていること
伯爵やほかの人々が残らずセディをひと目見て気に入るのも
姿が立派だったのが大きな理由に描かれている
読んでいて気持ちはいいけれども、子どもに説くとしたら
やっぱり人は見た目より、心の美しさを説くべきでは?
でも、セディが心躍るたびに「耳まで真っ赤にして」という表現が
何十回も出てくるところは、目にとまらない人はいないだろう
バーネットが今作を自分の息子をモデルに書いたというのも、その要因の1つかもしれない
『秘密の花園』同様、親を亡くした悲しみ、親戚を頼って異国へ渡るという設定も
作者自身の境遇と重なるのが彼女の作品の大きな特徴
それからセディの生涯の友である果物屋のおじさんと、靴磨きの青年が
友の突然の環境変化に親身になって心配するくだりはなんともユーモラスでイイ
※1993.9~のノートよりメモを抜粋しました。
※「読書感想メモリスト1」カテゴリーに追加しました。
『秘密の花園』に続いて手にした本書
今まで読んだことがなかったのが不思議なほど、世界で愛されている児童文学
10歳ほどの少年とは思えない純粋さ、利発さ、理想的な姿の美しさを繊細に描きだして、
伯爵のたった一人の跡継ぎとして何不自由ない生活に迎え入れられても
ちっとも変わることのない純粋無垢、無欲で、心優しい心を世界中の子どもたちに語っている
幼い頃、皆に愛された立派な父が亡くなり、残されたセドリックと美しい母
突然、祖父にあたる伯爵から使いが来て、父の兄2人が亡くなったため
セドリックが跡継ぎとなるべくイギリスの城に住まなければならなくなり
母と子は別々の城に住むことになる
アメリカの女性と結婚したことで、その母子を憎んでいた伯爵が、
次第に少年の優しい心、他人を一番に考えて、けして祖父を疑ったり、怖れたりせず
誰より愛して、誰からも愛される小さなフォントロイを愛して
今までの勝手な自分本意の言動を恥じ、その母と子を愛するにいたるまでの話
イギリス、そして他の国でもいまだに続いている貧富の差や身分階級制度が今作では重要な設定で、
莫大な富を持ちながら、心から分かり合える友人を一人も持たない老伯爵
対照的に、貧しく、学は足りないかもしれないけれども
情け深く毎日をイキイキ暮らしている労働者たち
この双方が、ラストに出会い、ぎこちないなりにお互いに交流しようと努力する様子は
作者、読者の願いの反映でもある
愛する夫を亡くしても、少年を立派に育てあげた母親は、今作のもう一人の主人公
道徳的で、情けある彼女が、ことあるごとに息子に説いて聞かせる
優しくなるための言葉は、いちいち心に沁みわたる
ひとつ疑問が浮かぶとしたら、何度もその母と子の姿の美しさが描かれていること
伯爵やほかの人々が残らずセディをひと目見て気に入るのも
姿が立派だったのが大きな理由に描かれている
読んでいて気持ちはいいけれども、子どもに説くとしたら
やっぱり人は見た目より、心の美しさを説くべきでは?
でも、セディが心躍るたびに「耳まで真っ赤にして」という表現が
何十回も出てくるところは、目にとまらない人はいないだろう
バーネットが今作を自分の息子をモデルに書いたというのも、その要因の1つかもしれない
『秘密の花園』同様、親を亡くした悲しみ、親戚を頼って異国へ渡るという設定も
作者自身の境遇と重なるのが彼女の作品の大きな特徴
それからセディの生涯の友である果物屋のおじさんと、靴磨きの青年が
友の突然の環境変化に親身になって心配するくだりはなんともユーモラスでイイ