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『ほらふき男爵の冒険』(福音館書店)

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『ほらふき男爵の冒険』(福音館書店)
原題 DIE WUNDERBAREN REISEN UND ABENTEUER DES FREIHERRN VON MUNCHHAUSEN by Peter Nickl 再話
ペーター ニクル/著 ビネッテ・シュレーダー/イラスト 矢川澄子/訳
初版1977年(1982年) 1600円

※1996.10~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト1」カテゴリーに追加しました。

原題は「ミュンハウゼン男爵の素晴らしき旅と冒険の物語(陸上篇)」

「あとがき」から、どうやらこの男爵は実在人物で、話に基づく2つの原本があって
今作は絵本スタイルで一部を“再話”したものらしい

彼の存在すらホラ話に思えるほど、この本の内容は苦笑するほどの大ボラ話ばかりで
そのナンセンスを楽しむもの

テリー・ギリアム監督の映画『バロン』(notes and movies(1994.10~ part8)参照)
この物語がホラとして世に知れ渡ったことを不名誉に思い、腹を立てた本人が
トルコ戦争当時を思い出して語った設定で、

この絵本の中の「泥沼から馬ごと自分の髪を引っ張って持ち上げ」たり
「飛ぶ弾に乗って敵陣に向かい、帰りも弾に乗って戻ってきた」エピソードも映像化している

この他「海上篇」もあるとのこと

挿絵があの幻想的で、退廃的なタッチが魅力のビネッテ・シュレーダーだからまたイイ

私が持っていたカレンダーにあった絵は、この間、図書館で見つけた洋書絵本として
すでに出版されているものの抜粋だったわけね


ここに「あとがき」に載っている年表の概略を書く

ヒエロ=ムス・カール・フリードリヒ・フォン・ミュンハウゼン男爵

1720年生まれ

1736年 ロシアとトルコ戦争兵役参加

1744年 結婚、狩猟、犬馬の調教、自分の城に客を招いたり、小旅行を楽しむ

1781年 アウグスト・ミュリウス「粋人必携」内でM-h-s-nのホラ話を発表

1785年 ルドルフ・エリック・ラスペ それを旅行記として初の英訳出版

1786年 ゴットフリート・アウグスト・ビュルガーが独訳 独自の物語も追加して出版
後々も多数出るがミュンハウゼン男爵自身の実話には基づかない

1794年 ラスペ・ビュルガー死去
ミュンハウゼン男爵は再婚後(妻の死後)すぐ財産目当てと知り、離婚訴訟を起こす

1797年 死去

晩年は栄誉に包まれながら、自分がホラ話と結びついて有名になったことにひどく腹を立てていたという



主に狩りの話が多い

ベーコンを飲んだ数十羽の鴨に家まで運んでもらったとか
鹿の角にサクランボの種を撃ち込み、たわわな木ごと倒してチェリーソースがけの鹿肉になったとか



グレハウンドがウサギを追いかけて互いに子どもを産み、6匹のウサギと6匹の犬が手に入ったとか

戦闘で下半身そっくり切り離された愛馬(彼は雌馬と仲良くしていた)を
木の枝で縫い合わせていい乗馬の木陰になったり、

月までオノを取りに行って、縄を結い、地に落ち、
家から鋤を取ってきて(もう穴から出てるじゃん)深い穴から脱出したとか

最後は、凍ったラッパから溶け出した楽しげな音色でおしまい

バカバカしくも奇想天外なアイデアがイイ



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