■『森のささやき』(出版文化社)
葉祥明/絵・文 リッキー・ニノミヤ/訳
※「作家別」カテゴリーに追加しました。
“森のささやきが聞こえなくなったとき、森は消える”
▼あらすじ(ネタバレ注意
自然や動物が大好きな少年は、荒野に立つ巨木に声をかけられる
「わたしは君が気づいてくれるのを長い長い間待っていたんだよ」
「周りを見てごらん ほとんどの木が燃やされたり、伐られたりして荒地になってしまった」
「うん、でも僕が生まれた時からだよ」
「以前はたくさんの木が見渡すかぎり広がっていたんだよ でももうない
木がなくなると、野生の生き物も消えてしまう
森と生き物はお互いに支え合っているんだ
土は固く乾き、木も草も育たなくなって 砂漠になってしまう
知ってるかい? 地下では、水が幹をのぼって、枝や葉にいきわたる
太陽によって温められて水蒸気となり、雲になる
雲は雨を降らせて 土に還る
根は、たくさんの生き物たちに食べ物と棲みかを与えているんだ
だから、君に森をもう一度つくってもらいたい やってくれるね?」
「うん、もちろん! でも僕まだ子どもだよ」
「子どもだから頼むのさ
森をつくり直すのに 一番大切なのは、希望と夢をもって
いつか必ず木と森が戻ると信じることなんだ
子どもたちがこの夢を分かち合えたら、実現するよ!」
「そっか、僕だけじゃないんだね!」
「足元を見てごらん 小さな苗が見えるだろう?
水、太陽、豊かな土地、そして、人間の愛情があればいいんだ」
「やってみるよ!」
「この木は、君のきょうだいだ
君とともに育ち、すぐに君の背を越える
君が大人になる頃には、豊かな緑の森になるよ」
「みんなで木を植えよう 君と僕といっしょに」
「そしたら、鳥、蜂、虫、いろんな生き物が帰って来るだろう
すると、君の心も魂も幸福に満たされて
自然とともに平和に生きていけるだろう」
「おかえり、小さな虫たち
おかえり、小さな鳥たち
おかえり、みんな!
ありがとう心やさしい子どもたち
わたしは君と、君の子どもたち、またその子どもたちを
何世代も見守っていくよ」
もし、このメッセージを聞いたすべての子どもたちが
行動を起こしたら、森はふたたびもとの姿に戻ることだろう
【著者によるあとがき 内容抜粋メモ】
地球は、人類誕生以前は鬱蒼とした森に覆われていました
ヒトは森を切り拓き、文明を作ってきたのです
20Cになり「文明」は、森を破壊し、恐ろしい速さで地球から消えています
水、土地、空気はとても親密に関係しています これらはすべてひとつなのです
森の再生には世代を越えた長い植林活動が必要です
だから、私は世界の子どもたちに、彼らの子どもたちのためにも
この重要な担い手になって欲しい
あなた方は、ヒトと地球の未来の希望なのです
***
ヒトが大勢増えて「開拓」し「文明」を広げるごとに、
自然は猛烈なスピードで消えていき、汚れていく
宇宙開発も夢があるけれども、まず、地球の再生が第一じゃないだろうか
ヒトは今その宇宙すら、たくさんのゴミでいっぱいにしている
まるですべてのモノを、ヒトが自由に使い捨てていいかのように
木を伐って、家を建て、家具をつくり、
トイレットペーパー、ティッシュ、コピー用紙、あらゆるモノに姿を変えることで
森の姿はより見えなくなっている
どこか遠くにまだまだ無限にある尽きない資源だと信じている
石油や天然ガスなど、ほかの天然資源と同じように
そうして無限に消費し続ける大人ではなく
これからを生きる子どもたちに向かって
葉さんは、絵本という手段を使って語りかけている
この本だって森からできている
子どもを本に導くのは大人の力も必要だ
林業も担い手が少なく、利益が上がらないなどの理由で衰退していると聞いた
ヒトはお金にならないことはやりたがらない
世界中が砂漠化しているのは事実で、
それがゆくゆくはヒトを滅亡させることには気づいていないかのようだ
本書の「ACT NOW」(今、行動しよう)という言葉の重みを感じる
実際、山まで行って木を育てるのは、カンタンではない
私が出来ることは、せいぜい身の回りの紙を無駄使いせず、
使った紙をリサイクルに回すことくらい
パルプ100%の紙をふんだんに使える現代の日本人は
経済的には豊かかもしれないけれども
わらばん紙や、もっと素朴な資源を大事に使っていた時代のほうが
ココロはより豊かだったことだろう
本書は、なぜか英文のほうがより分かりやすく、詳しく書かれているように感じた
日本文はとても短く、分かりやすいけれども、核の部分が伝わりにくい気がする
それでも葉さんの描く樹、子ども、自然の絵だけでも充分に訴えかけ、
未来への希望を感じさせる終わり方になっている
私たちは、自分たちが大量消費してきた自然のサイクルを
子どもたちにも戻してもらえるよう、伝え続けることができるだろうか
葉祥明/絵・文 リッキー・ニノミヤ/訳
※「作家別」カテゴリーに追加しました。
“森のささやきが聞こえなくなったとき、森は消える”
▼あらすじ(ネタバレ注意
自然や動物が大好きな少年は、荒野に立つ巨木に声をかけられる
「わたしは君が気づいてくれるのを長い長い間待っていたんだよ」
「周りを見てごらん ほとんどの木が燃やされたり、伐られたりして荒地になってしまった」
「うん、でも僕が生まれた時からだよ」
「以前はたくさんの木が見渡すかぎり広がっていたんだよ でももうない
木がなくなると、野生の生き物も消えてしまう
森と生き物はお互いに支え合っているんだ
土は固く乾き、木も草も育たなくなって 砂漠になってしまう
知ってるかい? 地下では、水が幹をのぼって、枝や葉にいきわたる
太陽によって温められて水蒸気となり、雲になる
雲は雨を降らせて 土に還る
根は、たくさんの生き物たちに食べ物と棲みかを与えているんだ
だから、君に森をもう一度つくってもらいたい やってくれるね?」
「うん、もちろん! でも僕まだ子どもだよ」
「子どもだから頼むのさ
森をつくり直すのに 一番大切なのは、希望と夢をもって
いつか必ず木と森が戻ると信じることなんだ
子どもたちがこの夢を分かち合えたら、実現するよ!」
「そっか、僕だけじゃないんだね!」
「足元を見てごらん 小さな苗が見えるだろう?
水、太陽、豊かな土地、そして、人間の愛情があればいいんだ」
「やってみるよ!」
「この木は、君のきょうだいだ
君とともに育ち、すぐに君の背を越える
君が大人になる頃には、豊かな緑の森になるよ」
「みんなで木を植えよう 君と僕といっしょに」
「そしたら、鳥、蜂、虫、いろんな生き物が帰って来るだろう
すると、君の心も魂も幸福に満たされて
自然とともに平和に生きていけるだろう」
「おかえり、小さな虫たち
おかえり、小さな鳥たち
おかえり、みんな!
ありがとう心やさしい子どもたち
わたしは君と、君の子どもたち、またその子どもたちを
何世代も見守っていくよ」
もし、このメッセージを聞いたすべての子どもたちが
行動を起こしたら、森はふたたびもとの姿に戻ることだろう
【著者によるあとがき 内容抜粋メモ】
地球は、人類誕生以前は鬱蒼とした森に覆われていました
ヒトは森を切り拓き、文明を作ってきたのです
20Cになり「文明」は、森を破壊し、恐ろしい速さで地球から消えています
水、土地、空気はとても親密に関係しています これらはすべてひとつなのです
森の再生には世代を越えた長い植林活動が必要です
だから、私は世界の子どもたちに、彼らの子どもたちのためにも
この重要な担い手になって欲しい
あなた方は、ヒトと地球の未来の希望なのです
***
ヒトが大勢増えて「開拓」し「文明」を広げるごとに、
自然は猛烈なスピードで消えていき、汚れていく
宇宙開発も夢があるけれども、まず、地球の再生が第一じゃないだろうか
ヒトは今その宇宙すら、たくさんのゴミでいっぱいにしている
まるですべてのモノを、ヒトが自由に使い捨てていいかのように
木を伐って、家を建て、家具をつくり、
トイレットペーパー、ティッシュ、コピー用紙、あらゆるモノに姿を変えることで
森の姿はより見えなくなっている
どこか遠くにまだまだ無限にある尽きない資源だと信じている
石油や天然ガスなど、ほかの天然資源と同じように
そうして無限に消費し続ける大人ではなく
これからを生きる子どもたちに向かって
葉さんは、絵本という手段を使って語りかけている
この本だって森からできている
子どもを本に導くのは大人の力も必要だ
林業も担い手が少なく、利益が上がらないなどの理由で衰退していると聞いた
ヒトはお金にならないことはやりたがらない
世界中が砂漠化しているのは事実で、
それがゆくゆくはヒトを滅亡させることには気づいていないかのようだ
本書の「ACT NOW」(今、行動しよう)という言葉の重みを感じる
実際、山まで行って木を育てるのは、カンタンではない
私が出来ることは、せいぜい身の回りの紙を無駄使いせず、
使った紙をリサイクルに回すことくらい
パルプ100%の紙をふんだんに使える現代の日本人は
経済的には豊かかもしれないけれども
わらばん紙や、もっと素朴な資源を大事に使っていた時代のほうが
ココロはより豊かだったことだろう
本書は、なぜか英文のほうがより分かりやすく、詳しく書かれているように感じた
日本文はとても短く、分かりやすいけれども、核の部分が伝わりにくい気がする
それでも葉さんの描く樹、子ども、自然の絵だけでも充分に訴えかけ、
未来への希望を感じさせる終わり方になっている
私たちは、自分たちが大量消費してきた自然のサイクルを
子どもたちにも戻してもらえるよう、伝え続けることができるだろうか