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『エリック・ザ・バイキング』(日本放送出版協会)

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『エリック・ザ・バイキング』(日本放送出版協会)
原題 The Saga of Eric the Viking by Terry Jones
テリー・ジョーンズ/著(1983) 山岡洋一(アイ・ビイ・ティー)/訳 マイケル フォアマン/絵
初版1990年 2700円

※1996.12~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト1」カテゴリーに追加しました。

映画『ERIC THE VIKING』(1990)(notes and movies(1994.10~ part8)参照)


これは買うべきかも
映画はコメディ色が強く、話もだいぶ違っていたけど、原作は愛と勇気と冒険に満ちた素晴らしい名作
こんな物語が生み出せるなんてT.ジョーンズはスゴイ

息子ビルのために書き、妹サリーの兄妹がアイデアをいろいろ出したそうで
奇想天外な世界を創造する手助けになっている

イギリス、アメリカ、オーストラリア、デンマーク、スウェーデン、ドイツ、そして日本と
「イギリス児童文学協会賞」をとった今作は、世界中でこれからもたくさんの人々の心を
冒険と感動で熱くし続けることだろう


▼あらすじ(ネタバレ注意

千年以上も昔、エリックという海賊が金の竜号で仲間と共に
「太陽が沈むところにある国」を見つける冒険に出る
海賊といっても、彼ほど正義感、知恵、友情、勇気をもったヒーローはいない


フィヨルドの魔女
フィヨルドの魔女に騙され、罠にかかりそうになる
「何を知りたいのか分からないなら教えられるはずがない」


北海の大竜
北海の大竜に出会い、怪力スベンが枕の羽でクシャミをさせて脱出


海の老人
このキャラクター好きだな イラストがまたブキミ
「陸のありかを教えたら仲間になれ」と約束させるが、それはイッカクの背で
老人のヒゲを切り笑い者になった 彼は消え去る


石になる島
石になる島で仲間も船も石になる
3匹の猫の首をはね、元に戻し、呪文をかけられていた魔法使いと娘の宮殿に招かれる


黒い小鬼
黒い小鬼もイタズラ者だけど可愛いキャラクター
娘フレイアのクツや指輪、服まで盗み、仲間と隅々まで探しても見つからない
そのはず、彼はフレイアの髪の中にいた
呪文で黒い子犬に変えられる


犬の頭の兵士
犬の頭の兵士は、人々の抱く恐怖心を増幅させる怪物
彼から奪った星の剣で一網打尽


3つの贈り物
島に着いたが雪で仲間とはぐれたエリックとあごひげラグナーは、魔法使いがくれた餞別のうち
「今日のための贈り物」を開けると、骨で犬が集まりそりをつくる
「明日のため」のは、とうもろこし1粒で鳥が舞い降り、蒸し焼きのごちそうになった

魔法のマントで温かいラグナー
「髪の毛1本、鼻毛が1本、すね毛が1本寒いだけだ」
というエリックが翌朝、凍死しているのを悲しみ
「昨日のため」のを開けると、鏡から元気な昨日のエリックが出てくる 仲間とも再会


おおかみ山
一番感動した

「狼山の掟を守らないと死ぬ」
ヤギは「全ての生き物を八つ裂きにすることだ」と言い、
クマは「常に腹を空かせていること」と言う

しかし、両方ともオオカミに殺されて、とうとうエリックと、足を折ったスベンも追いつめられ
「死のうが生きようが仲間だ」と誓うのを見て、
「仲間のために生き、仲間のために死ぬ これこそオオカミの掟だ」と言ってオオカミは消えた


難しい問題
父が雪の中で苦しんでいると泣く女の子を哀れみ、探しに行って戻らない仲間
勘の鋭いトルキルドだけが見抜き、エリックが心臓をとられる前に正体が魚のそれを雪に放り出す
「でも、女の子が本物だったら同じことをしただろう」


サングブランドの試練
雪の中に出て旅を続けるべきだというサングブランドを止めるエリック
頭を決め直すのにテストする

弓では木のコブを狙ったエリックの勝ち
剣では岩を砕いたサングブランドの勝ち 剣は折れてしまう
勇気ではサングブランドは炎の中で腕を失う

「オレが頭なのは、オレの判断を皆が信じ、見栄のためでなく皆のためを考えているからだ」

エリックは頭に戻る


大ワシ
大ワシに連れ去られたラグナー 彼を探して川の精に会う
「見たからといって信じちゃいないさ」
ワシはエリックの心の中の疑いが形となったものと知り、ラグナーを助け出す


おしゃべり谷
素晴らしい緑の谷では、黄金の木に触れると植物のおしゃべりが聞こえ
銀の枝に触れると動物の声、葉は池の水を飲み、池の声を聞く
旅を忘れて聞き入る仲間を救ったのは、声が聞こえなくなるランを食べたラグナー


魔犬
やっと船を見つけると、魔犬が舵のところにいる
1つだけ答えられる質問とは主人の名前
「魔法使いよ 汝の犬を呼び戻せ」
犬は去る


世界の淵
世界の淵に着いてしまう 海がすべて滝から落ち、目の前には何もない暗黒の世界
エリックは滝の裏の洞窟に出る
もれる光を登っていくと、船をつなぎとめた竜の牙だった
仲間と船を滝から洞窟に入れて湖を進む


14番目の球
オレンジ色の球が浮かび、中からハリネズミのような生き物が出てくる

「球を見つけた人次第で出てくるものが違う
 オレは見たとこ怪物だが親切なのさ」

この洞窟を作った小さな老人コボルトは、やたら皆を引きとめる


毒ヘビの雨
毒ヘビの雨が降り、咬まれるとずっとそこに住んでいたくなる


人魚の庭
王さまのコボルトは宴会を開く ヘビの毒消しを人魚に教えてもらい、
湖の底で薬草を見つけるが、美しい人魚は海の老人に変わる
トルキルドが手首を削り落として助ける
老人のおかげで海と通じていることが分かって脱出する


巨人のハープ
これもイイ話

島に着くと、聴いたことのない美しい音楽が聴こえ、導かれると巨人に捕まる
「ヒツジを獲ったな!」彼には音楽は聴こえない

逃げた洞穴ではハープが風で鳴り、音に憑かれた人や動物が生霊となっていた
ハープの弦を切り、巨人に話すと、彼は優しい巨人で、友だちも多く、
いつもさまよって友のいない風にねたまれ、ハープをとられたとか

巨人にだけ聴こえないなんて可哀相 お礼に水のなくならない水差しをもらう


死神の挑戦
仲間のかわりにエリックは死神とチェスをする約束をかわす


太陽が沈むところにある国
ついに到着 自然にあふれ、種をまくと、たちまち実がなる肥沃な土地
しかし、そこの住人は胸に顔のある怪物で1匹倒すと、大勢の仲間を連れてきた

逃れた山は火山 絶体絶命の時、再び星の剣を見つけるトルキルド
怪物はいったん目が見えなくなり、トルキルドも盲目となる

国を支配しようとするエリックらに星の剣の歌は

♪われらの冒険こそが目標 われらの行いこそが黄金

だと戒める

「オレたちは、とうとうこの国を見つけた 自分の家に帰れる
 持って帰れるのは三日月一杯の土だけだ」


最後の罠
故郷を目前にして渦巻きにハマり、海の底に着く
そこで死んだと思った父に会うエリック
仲間を助けるため、海の老人と暮らす取引をしていたのだった

水の壁にはばまれて、父が仲間か選ばなければならなくなり
星の剣を自分の青い剣にあて、力が移った時、岩にトンネルをあける

「氷のような海は、海の老人の王国だが、トンネルには力は及ばない」


故郷に帰る
とうとう故国に着いたが、死神との約束を果してチェスをするエリック

「負けると分かってなぜする」
「相手が誰だろうとチェスは楽しい」

「皆は死神に怯えながら暮らしている」
「私には昔からの友のようなものだ」

「私が選ぶ人間は必ず死ぬ」
「死のうと思えばいつでも死ねる ここから飛び降りればいい お前に呼んでもらう必要はない」

「一人残らず私のものになる お前には何も残らない」
「違う」と言ったのはエリックの大人になった息子

「オヤジをさらってもオレが残る 俺が死んでも、オレの息子が残る
 死神はなんでもできると思ってるようだが、命を滅ぼすことはできないのさ」

死神は消え、家族と再会したエリック

「オレたちが太陽の沈む国の冒険から持ち帰ったのは、空気と火と土と水だ」

巨人の水差し、三日月の中の土、火のやどった青い剣

「正義と真実のために闘うかぎり、この剣はどんな敵からも仲間を守っていける
 そして4つ目は、オレの体の中にある命
 生きているかぎり、皆のために使おう」

皆は祝いの宴会を開き、冒険談を語り明かした



著者紹介でテリーがクシャミをしている写真が笑える
でもただ人を笑わせるだけの人じゃないのよね





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