■知って欲しい!養子・里親@あさイチ
ゲスト:中井美穂さん、大久保佳代子さん、川嶋あいさん
専門家ゲスト:林浩康さん(日本女子大学 人間社会学部 社会福祉学科 教授)
リポーター:佐藤俊吉アナウンサー
以前、「あさイチ」などで、不妊治療の難しさについて特集した際、
養子・里親ではダメなのかなと思った 自分たちの血が流れてないとイヤなのかなあ?
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子どもは欲しいけれど...不妊治療 理想と現実@週刊ニュース深読み
きちんと知りたい!卵子凍結
「NPO法人環(わ)の会」
“「子どものための養子縁組」をモットーに、26年前から活動を続けています。これまでに355人の養子縁組を支援してきました。
月に1度、説明会を開いています。詳細は、直接お問い合わせください。”
参加者の声:
「結婚して9年目 6年ほど(不妊)治療をして、やはり難しいということで、養子を考えようと思って」
よく分からない制度も多いため、親子会では、先輩親子が希望する参加者に実体験を語っている
先輩親子:
縁組の時、話が進み始めると転がるように進んでいく
参加者:
どのタイミングで、子どもが養子だと言っていますか?
先輩親子:
マンションのお隣りさんにも言った 突然大きい子がきてビックリして
ああ、そうですか、て感じで仲良く遊んでもらっている
●施設などで暮らす子どもは、全国に45000人
とくに幼い子どもたちが預けられる「乳児院」
ここでは約50人が寝食をともにしている
親の病気、虐待、経済的な困窮など預けられた理由はさまざま
ゴハンはだしを使った家庭的な料理を心がけている
できるだけ家庭的環境に近づけるため努力しているが限界もある
担当者の声:
ここで遊べる時間は10~15分(親のように1日中一緒にいることは出来ない
それ以上のものは、おウチにあるんだなと思う
だから私たちも「おウチに帰れるように」と思う
しかし、産みの親の元に帰れるのは半数ほど
●去年、「児童福祉法」が改正され、養子縁組の斡旋がより積極的になる予定
「特別養子縁組」はここ数年で急増中
法的には家族でなくても一時的に子どもを育てる「養育里親」はおととし3000以上になった
大久保さん:
若い頃は関心がなかったが、46歳になって関連本を読んで仕組みを知って、こんなのもあるんだと考えつつある
でもまだ現実的ではない
中井さん:
興味はあるけれども、自分できちんと責任を負えるかとか、
実体験を聞くといろいろ大変らしいと聞くと臆病になってしまう
川嶋さんは、生まれてすぐ乳児院に預けられ、3歳の時に養子になった
川嶋さん:
今でも施設でライヴを演ることもある
少子化なのに、施設の子どもは4万5000人にもなってしまったことに驚いている
有働:
アメリカにいた時、子ども産むことについて考えたことがある
アメリカでは友人のアダプトの家族はハッピーな感じだったが
日本と環境が随分違うので、難しいかなと思った
ヤナギー:
社会的な積み重ねが、日本の場合と少し違うのかなという感じ
●「特別養子縁組」・「普通養子縁組」について 制度が複雑
大きく分けると3つの方法がある
「特別養子縁組」
生みの親との関係は完全に切れて、育ての親の実の子になる 戸籍上移る
子どもの年齢は、原則5歳まで
「普通養子縁組」
生みの親との関係は続くので、育ての親と2つの親子関係ができる 戸籍に名前が残る
子どもの年齢制限なし
「養育里親」
育ての親とは法律上では家族ではない 1つの屋根の下で暮らしている
※生みの親と絶対会ってはいけないわけではない
●「特別養子縁組」
この3年で急増している
どういう過程で縁組になるのか? 例:ヒデくんと、タロウ&ユミコさん夫婦
「特別養子縁組」でヒデくんを迎えた
ユミコさん:
可愛さが日に日に増していく 所有物ではない 自分の分身でもないから
彼の人格を尊重しながら育てられるというのは、いい意味で養子縁組の利点
結婚したのは5年前 不妊治療を繰り返したが子どもはできず、養子を迎えようと考えたが
ヒデくんと養子縁組するには、いくつものステップが必要だった
1.相談先を決める(ネット等
窓口は各地の「児童相談所」(全国に23)と「民間の斡旋事業者」(全国に210)
それぞれ親になるための条件が違い、比較・検討が必要
(専業主婦(主夫)は厳しいねえ・・・
法律上、迎える側の年齢制限はないが、たとえば子どもが0歳の場合
親子の差が45歳くらいが望ましいという1つの基準がある所がある
Q:上手な相談先の見つけ方は?
専門家・林さん:
各都道府県に平均4~5箇所ある民間のほうが数が多く、身近かと思う
「児童相談所」は23箇所のうち、6箇所が都内にあるので
地理的問題から民間に頼らざるを得ない状況
有働:なぜ少ない?
専門家:
財政支援がないのが大きな理由
「児童相談所」は税金等投入して運営費は保証されているが
民間は公的支援がないため、育て親の支払い(運営、託すまでの期間の場所代)に依存せざるを得ない
(日本は子ども、子育てに厳しい国だなあ・・・
イノ:法律が変わったのに補助はない?
専門家:施行されてない「斡旋法」では、自治体が支払いを検討すること、という文が入った
有働:年齢制限は必要?
専門家:
子どもの立場を考えた時、2つの要因があると思われる
1つは「経済力」 子どもが成人するまでは、労働を継続していること
もう1つは「体力的」なこと 乳幼児の育児は大変なので
2.説明会に参加
夫婦が選んだのは、26年前から活動を続けている「環の会」
3.夫婦面談
子どもの年齢、性別、先天的な病気のリスクなど条件を出すことは出来ない
親になる覚悟が問われる
タロウさん:
「何があってもわが子として育てていけますか?」という覚悟を問うてくる
ユミコさん:
子どもについて夫婦が話し合えるかっていうのを見ているのかなと思った
親になる準備ができていると判断されれば、次の段階に進む
あとは子どもとの縁を待つ(これも他の親子同様、天の采配だな
ユミコさん:
夫婦で本当に真剣に考えて、じゃあ私たちならどうする?
タロウさん:
「どういう子でも受け入れよう」だけ
子どものいる家族っていう形にプライオリティを置いたので、そのまま進んだ
4.子どもを託される
説明会から半年後(早いな)、生まれて間もないヒデくんを託された
ユミコさん:
この子に出会った瞬間に(写真を)撮っていますね
タロウさん:
生みのお母さんから託していただいた時に撮った
Q:初めて抱っこした時の気持ちは?
ユミコさん:
どうやって抱っこするんだろうって普通に思った 首もすわってないし
でも「この子かぁ この子がウチの子になるんだ」とも思いました
(子どもがいる状態で自然と話せてるのもイイね
5.法的な手続きへ
その後、6ヶ月以上、親子関係が維持できるか判断する期間が設けられる
問題なければ、家庭裁判所の審判により縁組成立 公的に親子になる
ユミコさん:
やっとこれで法的に証明される、もう離されることはないという安心感があった
夫婦初めての養子が利点になった
父母の役割を決めずに分担できた(食事をあげるタロウさん
男女差がなく、2人ともお父さん、お母さん
もちろん母乳はあげられないので、できるほうがやる
いるほうが面倒をみるみたいな感じ
(最初に専業って枠を作られても、あとは夫婦次第なんだな
私たちの血のつながった子だったら、こんなに可愛いかとか
こういう子育てが出来ているかはちょっと分からない
“なんでできないの? これが嫌いなの?”とかって思っちゃってたかもしれない
中井:
実際の出産だと十月十日、体の変化が女性にはあるけど
それがなく、どっちもお父さん、お母さんて、たしかにそうかも
大久保:
でも年齢制限が46てあったり、専業とか厳しい条件を作らないと迎え入れられないですよね
●迎える子どもの年齢が上の場合の悩みの例
ミワさん、タクさんは、「特別養子縁組」の申請に向けて準備中
3歳のカンちゃん(女の子)
タクさん:言っていることはほぼ分かっている
39歳で結婚した夫婦 8年間の不妊治療後、児童相談所で養子縁組の申し込みをした
登録から1年半後、当時2歳のカンちゃんと出会った
乳児院でのカンちゃんは決まりを守るききわけのいい子だった
半年後、自宅に来ると激変(甘えたかったんだよね
大きな声で激しく10~20分くらい泣き続けることが1日に何回も続いたり
夫一人で世話をしているある日、
タクさん:
朝の時間だったか、着替えが上手くいかず「これが着たい」「これじゃなきゃヤダ」とよく泣いていた
近所からの通報で警察が来てしまった
ミワさん:
たぶん虐待と疑われての通報だと思うけど、自分にとってはショックだった
一生懸命、子どもとの関係を作ろうともがいている時期で、自分も苦しかった
人形劇に連れていくと、会場内を駆け回った
ミワさんは叱らず、親として信頼される行動を繰り返した
「カンちゃんだーい好き」と抱っこするなど
(鬼のごとく怒っている、余裕のママさんも多い中、素晴らしい
ミワさん:
娘が不安定になった時は、抱きしめて
「大好きよ ママのところに来てくれて、とっても嬉しいの」と
ずっと言い続けていたら、何ヶ月か経ったらすごく落ち着いて
泣くことも少なくなった(愛情を試してたのかもね
イノ:
養子縁組関係なく、2歳児ってそうw
それを乗り越えるのは夫婦の力だったりする
専門家:
生みの親子だと100%依存することで安心・安全感を感じて
信頼することが、将来生きていく力になっていく
育て親子、中途からの養育だと、場合によっては育ち直しの経験が必要になってくる
どんな自分であっても育て続けてくれるかという「試し行動」
親に自分を表現して確認するようなことが、本能的、無意識的に起こる行動
そういうプロセスを無条件で受け入れてもらう過程が必要になってくる
FAX「伯父夫婦に育てられ、養子であることを隠していたため、関係がこじれた」
川嶋:
初めて知ったのは、中学1年の時 母から「書類をとってきて」と言われて
出生に関する書類に別人の名前があって、母に聞いた
母は一生隠していたかったのかもしれない
今まで見たこともない悲しい顔をして事情を話してくれた
その時はパニックで信じられなかった
母が「でも、あいは本当の娘やけんね」ていうひと言と
あとあと振り返ると、どんな時でも強い心で育ててくれたこと
愛情を感じて、それが宝物になった
血のつながりより、自分を守ってくれている人がいるだけで
養子でも関係ない、母はこの人だと思うようになった
ヤナギー:どれくらい期間かかった?
川嶋:
15の時に母が亡くなり、ふとした時切なくなっていたけれども
養子だと分かった後も態度を変えず、逆に激しいくらいの愛情を注いでくれたから
どうでもいいかなと自然と思えるようになった
実感は自分ではないが、徐々に乗り越えてきたのかなと思う
一緒に過ごす時間をたくさん作ったことがよかった
イノ:もし、知らないほうがよかったかなと思うことはある?
川嶋:
今となってはどっちでもいいと思っている
母にとって私はどういう存在かを知りたかっただけ
愛情が一番必要なことだったから
FAX(20代女性):
1歳過ぎまで乳児院で育ち、その後養子になった
番組では養子を推進する感じだったが、私は反対です
そもそも子どもはモノではない
養母は妊娠経験がないため、自分の子どもの妊娠の際キツくあたられたこともあった
自分の出自を知ることも出来ず、里親のデメリットにも注目してほしい
専門家:
家庭のあり方、育て親の質が課題
だからこそ研修があったり、家庭訪問がある
イノ:自分が妊娠した場合どうするかという話もある?
専門家:
稀だけれども実子ができる場合もあると思う
●シングルでも可能
「特別養子縁組」は夫婦でないとできないが、「普通養子縁組」の場合、法律上はシングルでも可能
(アンジーとか、海外には多いよね
看護師のアキコさん(50代)の例:
独身だが、養子アキコさんを育てている 今年中学3年生
アキコさんは31歳で離婚 実家で両親と暮らしていた
もともと子ども好きで、38歳の時、児童相談所に養子縁組を申し込んだ
アキコさん:
自分が産まなくても、子どもを大人になるまできちっと育てる経験ができる
それはすごく意義があるかなと思った
登録から3年後に8ヶ月の女の子と出会った
職場の理解もあり、半年間、育児に専念
アキコさん:
髪の毛が天然パーマでくりくりっとなって、すごく可愛い赤ちゃんでした
小学1年生の時に養子であると打ち明けた
アキコさん:
気持ちを分かってくれているのが伝わってきて、やっぱり嬉しいです
願いは、娘が好きな仕事をして自立すること
そのことで自分が独身なことが不利とは考えていない
アキコさん:
片親だけっていうのも、若干、不安要素でもあるかなと思うけれども
でも今、社会の形が本当に変わってるし、それなりの経済的安定があるなら
「しっかりその子を支援して大人にさせたい」という気持ちのある大人なら
全然(独身でも)問題はないと思う
大久保:
40過ぎまで一人で生きてきた人間が、一人の人格をもつ子どもを
責任もって育てる自信が今は持てないから、強い意志が必要だなと思った
イノ:職場の理解も大事ですよね
有働:
友だちも40代で受け入れたが、キャリアウーマンだから
昼間は近所の人が助けたり、ベビーシッターが雇えたり
職場でも急に抜けられないポジションだけど、それも変わらず周りがサポートしてくれていた
それを日本ですぐやれるかというと、迷惑をかけるのでは?とか
私自身に資格や力量があるかとか思ってしまう
中井:
自分は親になると思っていたのが、ならない人生をこれからずっと生きるんだなって考えた時
養子縁組を自分に課せられるかってすごく悩む 責任感の怖さ
有働:友人の場合は周りがチームみたい それだったらやれそう
イノ:自分も一人、あなたも一人なんだからって感じ?
有働:そういう家族感が違うのかもしれない 日本の家族感でやれるのかと思う 周りの理解とか
専門家:
夫婦でも一方が会社人間で子育てにほとんど関わらない実態もあるから
夫婦だから養育関係が望ましいというわけではない
シングルでも身内で常に助けてくれる人がいるとかならば、養育環境次第だと思う
でもやはり「家庭は夫婦でなければならない」という価値観を反映している
実態は「特別養子縁組」がほとんどで、「普通養子縁組」は極めて珍しい
●「養育里親」について
近年増えている
里親と里子の関係とは?
例:里子として育てられたアミコさん(24)
アミコさんは生まれてすぐ施設に預けられた
里親はセツコさんとトヨユキさん夫婦 名字が違う
夫婦のもとに来たのは小学5年生の時
施設の暮らしに慣れていたため、家庭で当たり前のことにも最初は戸惑った
アミコさん:
前の日の夕飯の残りとか出てくる 施設はそれがない 食中毒とかもあるので
次の日も同じものが出てくるって衝撃 これ食べなきゃいけないのかなって
セツコさん:
すごい抵抗してた 翌日のほうが美味しいものもあるのに
もちろん傷むものはダメだけど、おでんとか翌日のほうが美味しい
お弁当のおかずにちょっと入れたりとか そいういうのは絶対ダメなんですよ
心にしこりが残っていたアミコさん
年に1回行われる施設職員との面談で「私のお母さんはどこ?」と聞き続けていた
アミコさん:
(生みの親から)捨てられたという思いのほうが大きい
子ども的にはずっと自己否定しかできない
「誰も近寄らないで」みたいな空気も出しちゃうし
「一人でいいや」って思う部分もあった
セツコさんは児童相談所と話し合い、中学3年生の時、
アミコさんが施設に預けられたいきさつを話してもらった
経済的に苦しかった母の事情を初めて知った
アミコさん:
そこでやっと今までの自分の生い立ちを整理することができて
お母さんのことは1回終わりにしようというか
会いたいとは思うが、「探したい」とかはなくなって
それよりは、今の自分を育ててくれている家庭や家族のほうが大事
ほんとにその場を頑張ってセッティングしてくれたので、感謝してますよ
ルーツを振り返ることが出来て、育ての親との距離も近くなっていった
アミコさん:
なんか自然と「ママ、パパ」と呼ぶようになって
最初はすごいぎこちなかったんですけど、普通にそう呼ぶようになっていた
高校卒業と同時に「養育里親・里子」の関係は終わった
奨学金を利用して大学へ進学し、看護師になった
一人暮らしをしているが、ときどき里帰りし、「実家」と呼んでいる
アミコさん:
自分の居場所と思える場所 なおかつ、自分を見てくれる、愛してくれる人がいれば
それはそれで家族なのかなという感じ
セツコさん:
だんだん「ここでやっていくんだな」とか「ここが自分のウチになるんだな」とか
もっと広く言えば「ここが自分の故郷になるんだな」みたいになってくれたらいいなと思う
川嶋:
結婚したからとか、子どもが出来たから「家族」なんじゃなくて
子どもが家に来て、辛いことも、嬉しいことも、同じ時間を全部共有していくことで
少しずつ家族になっていくのかなと思った
親御さんにとっても、子どもにとっても居心地のいい空間をお互い歩み寄りながら作っていけば
1つの家族、家になるのかなと思う
イノ:アルバム見たりして、自分の歴史を知って、見ていてくれた人って、ほぼ“お母さん”なんだなと思った
中井:
留学生を迎える「ホストファミリー」て感覚と近いのかなって思った
●さまざまな「養育里親」の形~「乳幼児短期里親」@福岡市
福岡市は、事情があって親と暮らせない子どもを数日間で預かる「乳幼児短期里親」制度をはじめた
預かるのは市内に住む一般家庭
この日は6ヶ月の赤ちゃんを預かることに
奥さんの声:
家族、親戚、祖父母などが近くにいなかったら、
地域の周りのいろんな人が介入してもいいんじゃないか
(子どもをみんなで育てるって昔もそうだったし、未来的でもある
市内に住む主婦ヤマサキさんは「養育里親」に登録
数日前、児童相談所に呼び出され、娘アンジュさんと駆けつけた
別室には数時間前に生みの母から預けられたなーちゃん(6ヶ月)がいた
今後の養育者が決まるまでの間、預けられることになり
アレルギーやミルクの量など細かいことまでしっかり引き継ぎをする
新たに事業を立ち上げています
赤ちゃんたちが安定した環境の中で毎日を過ごせることが、情緒的な安定にもつながる
なーちゃんはヤマサキさん宅で1ヶ月ほど過ごす予定
ヤマサキさん夫婦には小学生の実子が2人いる
長女が小学生になった時点で、「乳幼児短期里親」に登録した
これまで2人の子どもを預かっている
ヤマサキさん:
1人目は生後7日の赤ちゃんで、産婦人科から直接きた
2人目の子はシングルマザーの病気が治るまで預かった
ヤマサキさん:
子育てしてたら大変な時ってすごく同じと分かるから
いろんな形で、祖父母も含め、子育てにいろんな人が介入していいんじゃないかなと
これを始めてすごく実感している
1週間後、ミルクを飲む量も増えた 子どもたちも手伝ってくれるようになった
おんぶヒモなどお金もかかるので、国と市から月13万円が支給される
(初めて、子育てや家事が“仕事”として給料化されたみたいな感じがするね
ヤマサキさん:
娘も自分の赤ちゃんの時が気になるみたいで「私はどうだった?」とかすごく聞いてくるようになった
有働:短期間でも預けるのはなーちゃんにとってもいいこと?
専門家:
育つ環境として「個別応答」的な環境が必要と言われる
できるだけ応答する人が一貫しているほうが望ましい
施設だとシフト制だったり、辞める人もいる、泣いたらすぐ対応する状況にない場合もある
児童相談所にいる子どもを託されるので、多様なニーズがある
親族関係が複雑な中で、預かってもらえるのは民間と大きな違いがある
<FAX>
養育里親をしている人:
施設にいる子どもが増えて、里親家庭で育つ子どもが増えない理由は、里親に対する誤解があると思う
里親をしていると「子どもが欲しかったの?」「養子にするの?」とよく聞かれる
実親さんの中には里親さんに子どもを取られてしまうと思われる方もいて
「施設ならいいけど、里親は絶対ダメ」として施設入所になるケースも多いと聞く
里親制度は、子どもの幸せを考えて作られたので理解してほしい
40代女性:
血縁だけが親子の絆ではないと感じた
血縁をこえた社会全体で未来ある子どもたちを育てる意識が不可欠だと思う
有働:
川嶋さん自身がこれから家族を作るにあたり、養子や里親については積極的?
川嶋:
考える時もあるが、私も覚悟をもって暮らさなきゃいけないことを考えると怖いという思いがわいてくる
まだあやふやな感じ その子とうまくやっていけるかなって
一方で、母のことを考えると、そんなこと関係ない 自分も同じように家族になれるのではという希望もある
どっちもある
ヤナギー:
今日はうまくいっているケースばかり取り上げたけれども
うまくいってない現実もあることも考えないと、あとでとんでもないことになる
イノ:まずは知ることが大事だと思ってやりました
(ヤナギーチョイスはいつも的確だね
ヤナギー:
僕たちはどうしてもこれまでの既成概念で考えがちだけれども、社会はどんどん変化している
もういっぺん今の社会はどうで、これからどう変わればいいのかという
受け入れるものを徐々に作ってもいいのではという気がした
川嶋:
実母は亡くなっていて会えなかった
複雑な事情はあったけれども、不幸だと思ったことがなくて、
育ててくれた強い愛情のお蔭だと思うので
もっとポジティヴなイメージをもってくれたらと思う
名前は実母がつけてくれた 実母の親友の手紙を見つけて分かった
たくさんの人に愛されてほしいから「あい」とつけた
ヤナギー:
この世に生を受けたら、みんな幸せになる権利があるんですからね
専門家:
身内の理解ってやはりすごく大切
「冠婚葬祭に連れて行ってもらえない」という話も聞いたことがある
なので、気長に理解を求めることも必要でしょうけど
一方で、子どもが来てから周りの状況が変わったという場合もあるので
完全に同意を得るのは難しい場合もあると思う
ヤナギー:
昔をさかのぼると、「家系」を守るために養子をもらっていたことを考えると
血が乱れるということとは違う発想で考えた時代があった
(まさにレキシさんの♪KATOKU
イノ:
日本全体が理解していかないと、子どもが安全に大人になれない
有働:
行ってからトラブルになった時、いい方法は?
専門家:
場合によっては、説明会や研修等に親族も一緒に行くとかで意識が変わることもある
偏見や無知が同意にならないケースになっているので、「知る」ことで意識が変わることもある
大久保:
やっぱり知らないから不安になるけど、知るとこういう仕組みなんだって思った
***
毎回「知ることから」って切り口で紹介しているのに、
毎回、頭ごなしな反対意見はくるよね
正しい知識を知った上での反対なら分かるけど
「子どもは動物をもらってくるのとは違う」というメールもあったけれども、同じだと思う
そこには、ヒトは動物とは違う、という偏見がある
動植物も同じ「命」
「育てる」ことが出来るヒトの懐の広さに、私はいつも感動するんだ
ゲスト:中井美穂さん、大久保佳代子さん、川嶋あいさん
専門家ゲスト:林浩康さん(日本女子大学 人間社会学部 社会福祉学科 教授)
リポーター:佐藤俊吉アナウンサー
以前、「あさイチ」などで、不妊治療の難しさについて特集した際、
養子・里親ではダメなのかなと思った 自分たちの血が流れてないとイヤなのかなあ?
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子どもは欲しいけれど...不妊治療 理想と現実@週刊ニュース深読み
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「NPO法人環(わ)の会」
“「子どものための養子縁組」をモットーに、26年前から活動を続けています。これまでに355人の養子縁組を支援してきました。
月に1度、説明会を開いています。詳細は、直接お問い合わせください。”
参加者の声:
「結婚して9年目 6年ほど(不妊)治療をして、やはり難しいということで、養子を考えようと思って」
よく分からない制度も多いため、親子会では、先輩親子が希望する参加者に実体験を語っている
先輩親子:
縁組の時、話が進み始めると転がるように進んでいく
参加者:
どのタイミングで、子どもが養子だと言っていますか?
先輩親子:
マンションのお隣りさんにも言った 突然大きい子がきてビックリして
ああ、そうですか、て感じで仲良く遊んでもらっている
●施設などで暮らす子どもは、全国に45000人
とくに幼い子どもたちが預けられる「乳児院」
ここでは約50人が寝食をともにしている
親の病気、虐待、経済的な困窮など預けられた理由はさまざま
ゴハンはだしを使った家庭的な料理を心がけている
できるだけ家庭的環境に近づけるため努力しているが限界もある
担当者の声:
ここで遊べる時間は10~15分(親のように1日中一緒にいることは出来ない
それ以上のものは、おウチにあるんだなと思う
だから私たちも「おウチに帰れるように」と思う
しかし、産みの親の元に帰れるのは半数ほど
●去年、「児童福祉法」が改正され、養子縁組の斡旋がより積極的になる予定
「特別養子縁組」はここ数年で急増中
法的には家族でなくても一時的に子どもを育てる「養育里親」はおととし3000以上になった
大久保さん:
若い頃は関心がなかったが、46歳になって関連本を読んで仕組みを知って、こんなのもあるんだと考えつつある
でもまだ現実的ではない
中井さん:
興味はあるけれども、自分できちんと責任を負えるかとか、
実体験を聞くといろいろ大変らしいと聞くと臆病になってしまう
川嶋さんは、生まれてすぐ乳児院に預けられ、3歳の時に養子になった
川嶋さん:
今でも施設でライヴを演ることもある
少子化なのに、施設の子どもは4万5000人にもなってしまったことに驚いている
有働:
アメリカにいた時、子ども産むことについて考えたことがある
アメリカでは友人のアダプトの家族はハッピーな感じだったが
日本と環境が随分違うので、難しいかなと思った
ヤナギー:
社会的な積み重ねが、日本の場合と少し違うのかなという感じ
●「特別養子縁組」・「普通養子縁組」について 制度が複雑
大きく分けると3つの方法がある
「特別養子縁組」
生みの親との関係は完全に切れて、育ての親の実の子になる 戸籍上移る
子どもの年齢は、原則5歳まで
「普通養子縁組」
生みの親との関係は続くので、育ての親と2つの親子関係ができる 戸籍に名前が残る
子どもの年齢制限なし
「養育里親」
育ての親とは法律上では家族ではない 1つの屋根の下で暮らしている
※生みの親と絶対会ってはいけないわけではない
●「特別養子縁組」
この3年で急増している
どういう過程で縁組になるのか? 例:ヒデくんと、タロウ&ユミコさん夫婦
「特別養子縁組」でヒデくんを迎えた
ユミコさん:
可愛さが日に日に増していく 所有物ではない 自分の分身でもないから
彼の人格を尊重しながら育てられるというのは、いい意味で養子縁組の利点
結婚したのは5年前 不妊治療を繰り返したが子どもはできず、養子を迎えようと考えたが
ヒデくんと養子縁組するには、いくつものステップが必要だった
1.相談先を決める(ネット等
窓口は各地の「児童相談所」(全国に23)と「民間の斡旋事業者」(全国に210)
それぞれ親になるための条件が違い、比較・検討が必要
(専業主婦(主夫)は厳しいねえ・・・
法律上、迎える側の年齢制限はないが、たとえば子どもが0歳の場合
親子の差が45歳くらいが望ましいという1つの基準がある所がある
Q:上手な相談先の見つけ方は?
専門家・林さん:
各都道府県に平均4~5箇所ある民間のほうが数が多く、身近かと思う
「児童相談所」は23箇所のうち、6箇所が都内にあるので
地理的問題から民間に頼らざるを得ない状況
有働:なぜ少ない?
専門家:
財政支援がないのが大きな理由
「児童相談所」は税金等投入して運営費は保証されているが
民間は公的支援がないため、育て親の支払い(運営、託すまでの期間の場所代)に依存せざるを得ない
(日本は子ども、子育てに厳しい国だなあ・・・
イノ:法律が変わったのに補助はない?
専門家:施行されてない「斡旋法」では、自治体が支払いを検討すること、という文が入った
有働:年齢制限は必要?
専門家:
子どもの立場を考えた時、2つの要因があると思われる
1つは「経済力」 子どもが成人するまでは、労働を継続していること
もう1つは「体力的」なこと 乳幼児の育児は大変なので
2.説明会に参加
夫婦が選んだのは、26年前から活動を続けている「環の会」
3.夫婦面談
子どもの年齢、性別、先天的な病気のリスクなど条件を出すことは出来ない
親になる覚悟が問われる
タロウさん:
「何があってもわが子として育てていけますか?」という覚悟を問うてくる
ユミコさん:
子どもについて夫婦が話し合えるかっていうのを見ているのかなと思った
親になる準備ができていると判断されれば、次の段階に進む
あとは子どもとの縁を待つ(これも他の親子同様、天の采配だな
ユミコさん:
夫婦で本当に真剣に考えて、じゃあ私たちならどうする?
タロウさん:
「どういう子でも受け入れよう」だけ
子どものいる家族っていう形にプライオリティを置いたので、そのまま進んだ
4.子どもを託される
説明会から半年後(早いな)、生まれて間もないヒデくんを託された
ユミコさん:
この子に出会った瞬間に(写真を)撮っていますね
タロウさん:
生みのお母さんから託していただいた時に撮った
Q:初めて抱っこした時の気持ちは?
ユミコさん:
どうやって抱っこするんだろうって普通に思った 首もすわってないし
でも「この子かぁ この子がウチの子になるんだ」とも思いました
(子どもがいる状態で自然と話せてるのもイイね
5.法的な手続きへ
その後、6ヶ月以上、親子関係が維持できるか判断する期間が設けられる
問題なければ、家庭裁判所の審判により縁組成立 公的に親子になる
ユミコさん:
やっとこれで法的に証明される、もう離されることはないという安心感があった
夫婦初めての養子が利点になった
父母の役割を決めずに分担できた(食事をあげるタロウさん
男女差がなく、2人ともお父さん、お母さん
もちろん母乳はあげられないので、できるほうがやる
いるほうが面倒をみるみたいな感じ
(最初に専業って枠を作られても、あとは夫婦次第なんだな
私たちの血のつながった子だったら、こんなに可愛いかとか
こういう子育てが出来ているかはちょっと分からない
“なんでできないの? これが嫌いなの?”とかって思っちゃってたかもしれない
中井:
実際の出産だと十月十日、体の変化が女性にはあるけど
それがなく、どっちもお父さん、お母さんて、たしかにそうかも
大久保:
でも年齢制限が46てあったり、専業とか厳しい条件を作らないと迎え入れられないですよね
●迎える子どもの年齢が上の場合の悩みの例
ミワさん、タクさんは、「特別養子縁組」の申請に向けて準備中
3歳のカンちゃん(女の子)
タクさん:言っていることはほぼ分かっている
39歳で結婚した夫婦 8年間の不妊治療後、児童相談所で養子縁組の申し込みをした
登録から1年半後、当時2歳のカンちゃんと出会った
乳児院でのカンちゃんは決まりを守るききわけのいい子だった
半年後、自宅に来ると激変(甘えたかったんだよね
大きな声で激しく10~20分くらい泣き続けることが1日に何回も続いたり
夫一人で世話をしているある日、
タクさん:
朝の時間だったか、着替えが上手くいかず「これが着たい」「これじゃなきゃヤダ」とよく泣いていた
近所からの通報で警察が来てしまった
ミワさん:
たぶん虐待と疑われての通報だと思うけど、自分にとってはショックだった
一生懸命、子どもとの関係を作ろうともがいている時期で、自分も苦しかった
人形劇に連れていくと、会場内を駆け回った
ミワさんは叱らず、親として信頼される行動を繰り返した
「カンちゃんだーい好き」と抱っこするなど
(鬼のごとく怒っている、余裕のママさんも多い中、素晴らしい
ミワさん:
娘が不安定になった時は、抱きしめて
「大好きよ ママのところに来てくれて、とっても嬉しいの」と
ずっと言い続けていたら、何ヶ月か経ったらすごく落ち着いて
泣くことも少なくなった(愛情を試してたのかもね
イノ:
養子縁組関係なく、2歳児ってそうw
それを乗り越えるのは夫婦の力だったりする
専門家:
生みの親子だと100%依存することで安心・安全感を感じて
信頼することが、将来生きていく力になっていく
育て親子、中途からの養育だと、場合によっては育ち直しの経験が必要になってくる
どんな自分であっても育て続けてくれるかという「試し行動」
親に自分を表現して確認するようなことが、本能的、無意識的に起こる行動
そういうプロセスを無条件で受け入れてもらう過程が必要になってくる
FAX「伯父夫婦に育てられ、養子であることを隠していたため、関係がこじれた」
川嶋:
初めて知ったのは、中学1年の時 母から「書類をとってきて」と言われて
出生に関する書類に別人の名前があって、母に聞いた
母は一生隠していたかったのかもしれない
今まで見たこともない悲しい顔をして事情を話してくれた
その時はパニックで信じられなかった
母が「でも、あいは本当の娘やけんね」ていうひと言と
あとあと振り返ると、どんな時でも強い心で育ててくれたこと
愛情を感じて、それが宝物になった
血のつながりより、自分を守ってくれている人がいるだけで
養子でも関係ない、母はこの人だと思うようになった
ヤナギー:どれくらい期間かかった?
川嶋:
15の時に母が亡くなり、ふとした時切なくなっていたけれども
養子だと分かった後も態度を変えず、逆に激しいくらいの愛情を注いでくれたから
どうでもいいかなと自然と思えるようになった
実感は自分ではないが、徐々に乗り越えてきたのかなと思う
一緒に過ごす時間をたくさん作ったことがよかった
イノ:もし、知らないほうがよかったかなと思うことはある?
川嶋:
今となってはどっちでもいいと思っている
母にとって私はどういう存在かを知りたかっただけ
愛情が一番必要なことだったから
FAX(20代女性):
1歳過ぎまで乳児院で育ち、その後養子になった
番組では養子を推進する感じだったが、私は反対です
そもそも子どもはモノではない
養母は妊娠経験がないため、自分の子どもの妊娠の際キツくあたられたこともあった
自分の出自を知ることも出来ず、里親のデメリットにも注目してほしい
専門家:
家庭のあり方、育て親の質が課題
だからこそ研修があったり、家庭訪問がある
イノ:自分が妊娠した場合どうするかという話もある?
専門家:
稀だけれども実子ができる場合もあると思う
●シングルでも可能
「特別養子縁組」は夫婦でないとできないが、「普通養子縁組」の場合、法律上はシングルでも可能
(アンジーとか、海外には多いよね
看護師のアキコさん(50代)の例:
独身だが、養子アキコさんを育てている 今年中学3年生
アキコさんは31歳で離婚 実家で両親と暮らしていた
もともと子ども好きで、38歳の時、児童相談所に養子縁組を申し込んだ
アキコさん:
自分が産まなくても、子どもを大人になるまできちっと育てる経験ができる
それはすごく意義があるかなと思った
登録から3年後に8ヶ月の女の子と出会った
職場の理解もあり、半年間、育児に専念
アキコさん:
髪の毛が天然パーマでくりくりっとなって、すごく可愛い赤ちゃんでした
小学1年生の時に養子であると打ち明けた
アキコさん:
気持ちを分かってくれているのが伝わってきて、やっぱり嬉しいです
願いは、娘が好きな仕事をして自立すること
そのことで自分が独身なことが不利とは考えていない
アキコさん:
片親だけっていうのも、若干、不安要素でもあるかなと思うけれども
でも今、社会の形が本当に変わってるし、それなりの経済的安定があるなら
「しっかりその子を支援して大人にさせたい」という気持ちのある大人なら
全然(独身でも)問題はないと思う
大久保:
40過ぎまで一人で生きてきた人間が、一人の人格をもつ子どもを
責任もって育てる自信が今は持てないから、強い意志が必要だなと思った
イノ:職場の理解も大事ですよね
有働:
友だちも40代で受け入れたが、キャリアウーマンだから
昼間は近所の人が助けたり、ベビーシッターが雇えたり
職場でも急に抜けられないポジションだけど、それも変わらず周りがサポートしてくれていた
それを日本ですぐやれるかというと、迷惑をかけるのでは?とか
私自身に資格や力量があるかとか思ってしまう
中井:
自分は親になると思っていたのが、ならない人生をこれからずっと生きるんだなって考えた時
養子縁組を自分に課せられるかってすごく悩む 責任感の怖さ
有働:友人の場合は周りがチームみたい それだったらやれそう
イノ:自分も一人、あなたも一人なんだからって感じ?
有働:そういう家族感が違うのかもしれない 日本の家族感でやれるのかと思う 周りの理解とか
専門家:
夫婦でも一方が会社人間で子育てにほとんど関わらない実態もあるから
夫婦だから養育関係が望ましいというわけではない
シングルでも身内で常に助けてくれる人がいるとかならば、養育環境次第だと思う
でもやはり「家庭は夫婦でなければならない」という価値観を反映している
実態は「特別養子縁組」がほとんどで、「普通養子縁組」は極めて珍しい
●「養育里親」について
近年増えている
里親と里子の関係とは?
例:里子として育てられたアミコさん(24)
アミコさんは生まれてすぐ施設に預けられた
里親はセツコさんとトヨユキさん夫婦 名字が違う
夫婦のもとに来たのは小学5年生の時
施設の暮らしに慣れていたため、家庭で当たり前のことにも最初は戸惑った
アミコさん:
前の日の夕飯の残りとか出てくる 施設はそれがない 食中毒とかもあるので
次の日も同じものが出てくるって衝撃 これ食べなきゃいけないのかなって
セツコさん:
すごい抵抗してた 翌日のほうが美味しいものもあるのに
もちろん傷むものはダメだけど、おでんとか翌日のほうが美味しい
お弁当のおかずにちょっと入れたりとか そいういうのは絶対ダメなんですよ
心にしこりが残っていたアミコさん
年に1回行われる施設職員との面談で「私のお母さんはどこ?」と聞き続けていた
アミコさん:
(生みの親から)捨てられたという思いのほうが大きい
子ども的にはずっと自己否定しかできない
「誰も近寄らないで」みたいな空気も出しちゃうし
「一人でいいや」って思う部分もあった
セツコさんは児童相談所と話し合い、中学3年生の時、
アミコさんが施設に預けられたいきさつを話してもらった
経済的に苦しかった母の事情を初めて知った
アミコさん:
そこでやっと今までの自分の生い立ちを整理することができて
お母さんのことは1回終わりにしようというか
会いたいとは思うが、「探したい」とかはなくなって
それよりは、今の自分を育ててくれている家庭や家族のほうが大事
ほんとにその場を頑張ってセッティングしてくれたので、感謝してますよ
ルーツを振り返ることが出来て、育ての親との距離も近くなっていった
アミコさん:
なんか自然と「ママ、パパ」と呼ぶようになって
最初はすごいぎこちなかったんですけど、普通にそう呼ぶようになっていた
高校卒業と同時に「養育里親・里子」の関係は終わった
奨学金を利用して大学へ進学し、看護師になった
一人暮らしをしているが、ときどき里帰りし、「実家」と呼んでいる
アミコさん:
自分の居場所と思える場所 なおかつ、自分を見てくれる、愛してくれる人がいれば
それはそれで家族なのかなという感じ
セツコさん:
だんだん「ここでやっていくんだな」とか「ここが自分のウチになるんだな」とか
もっと広く言えば「ここが自分の故郷になるんだな」みたいになってくれたらいいなと思う
川嶋:
結婚したからとか、子どもが出来たから「家族」なんじゃなくて
子どもが家に来て、辛いことも、嬉しいことも、同じ時間を全部共有していくことで
少しずつ家族になっていくのかなと思った
親御さんにとっても、子どもにとっても居心地のいい空間をお互い歩み寄りながら作っていけば
1つの家族、家になるのかなと思う
イノ:アルバム見たりして、自分の歴史を知って、見ていてくれた人って、ほぼ“お母さん”なんだなと思った
中井:
留学生を迎える「ホストファミリー」て感覚と近いのかなって思った
●さまざまな「養育里親」の形~「乳幼児短期里親」@福岡市
福岡市は、事情があって親と暮らせない子どもを数日間で預かる「乳幼児短期里親」制度をはじめた
預かるのは市内に住む一般家庭
この日は6ヶ月の赤ちゃんを預かることに
奥さんの声:
家族、親戚、祖父母などが近くにいなかったら、
地域の周りのいろんな人が介入してもいいんじゃないか
(子どもをみんなで育てるって昔もそうだったし、未来的でもある
市内に住む主婦ヤマサキさんは「養育里親」に登録
数日前、児童相談所に呼び出され、娘アンジュさんと駆けつけた
別室には数時間前に生みの母から預けられたなーちゃん(6ヶ月)がいた
今後の養育者が決まるまでの間、預けられることになり
アレルギーやミルクの量など細かいことまでしっかり引き継ぎをする
新たに事業を立ち上げています
赤ちゃんたちが安定した環境の中で毎日を過ごせることが、情緒的な安定にもつながる
なーちゃんはヤマサキさん宅で1ヶ月ほど過ごす予定
ヤマサキさん夫婦には小学生の実子が2人いる
長女が小学生になった時点で、「乳幼児短期里親」に登録した
これまで2人の子どもを預かっている
ヤマサキさん:
1人目は生後7日の赤ちゃんで、産婦人科から直接きた
2人目の子はシングルマザーの病気が治るまで預かった
ヤマサキさん:
子育てしてたら大変な時ってすごく同じと分かるから
いろんな形で、祖父母も含め、子育てにいろんな人が介入していいんじゃないかなと
これを始めてすごく実感している
1週間後、ミルクを飲む量も増えた 子どもたちも手伝ってくれるようになった
おんぶヒモなどお金もかかるので、国と市から月13万円が支給される
(初めて、子育てや家事が“仕事”として給料化されたみたいな感じがするね
ヤマサキさん:
娘も自分の赤ちゃんの時が気になるみたいで「私はどうだった?」とかすごく聞いてくるようになった
有働:短期間でも預けるのはなーちゃんにとってもいいこと?
専門家:
育つ環境として「個別応答」的な環境が必要と言われる
できるだけ応答する人が一貫しているほうが望ましい
施設だとシフト制だったり、辞める人もいる、泣いたらすぐ対応する状況にない場合もある
児童相談所にいる子どもを託されるので、多様なニーズがある
親族関係が複雑な中で、預かってもらえるのは民間と大きな違いがある
<FAX>
養育里親をしている人:
施設にいる子どもが増えて、里親家庭で育つ子どもが増えない理由は、里親に対する誤解があると思う
里親をしていると「子どもが欲しかったの?」「養子にするの?」とよく聞かれる
実親さんの中には里親さんに子どもを取られてしまうと思われる方もいて
「施設ならいいけど、里親は絶対ダメ」として施設入所になるケースも多いと聞く
里親制度は、子どもの幸せを考えて作られたので理解してほしい
40代女性:
血縁だけが親子の絆ではないと感じた
血縁をこえた社会全体で未来ある子どもたちを育てる意識が不可欠だと思う
有働:
川嶋さん自身がこれから家族を作るにあたり、養子や里親については積極的?
川嶋:
考える時もあるが、私も覚悟をもって暮らさなきゃいけないことを考えると怖いという思いがわいてくる
まだあやふやな感じ その子とうまくやっていけるかなって
一方で、母のことを考えると、そんなこと関係ない 自分も同じように家族になれるのではという希望もある
どっちもある
ヤナギー:
今日はうまくいっているケースばかり取り上げたけれども
うまくいってない現実もあることも考えないと、あとでとんでもないことになる
イノ:まずは知ることが大事だと思ってやりました
(ヤナギーチョイスはいつも的確だね
ヤナギー:
僕たちはどうしてもこれまでの既成概念で考えがちだけれども、社会はどんどん変化している
もういっぺん今の社会はどうで、これからどう変わればいいのかという
受け入れるものを徐々に作ってもいいのではという気がした
川嶋:
実母は亡くなっていて会えなかった
複雑な事情はあったけれども、不幸だと思ったことがなくて、
育ててくれた強い愛情のお蔭だと思うので
もっとポジティヴなイメージをもってくれたらと思う
名前は実母がつけてくれた 実母の親友の手紙を見つけて分かった
たくさんの人に愛されてほしいから「あい」とつけた
ヤナギー:
この世に生を受けたら、みんな幸せになる権利があるんですからね
専門家:
身内の理解ってやはりすごく大切
「冠婚葬祭に連れて行ってもらえない」という話も聞いたことがある
なので、気長に理解を求めることも必要でしょうけど
一方で、子どもが来てから周りの状況が変わったという場合もあるので
完全に同意を得るのは難しい場合もあると思う
ヤナギー:
昔をさかのぼると、「家系」を守るために養子をもらっていたことを考えると
血が乱れるということとは違う発想で考えた時代があった
(まさにレキシさんの♪KATOKU
イノ:
日本全体が理解していかないと、子どもが安全に大人になれない
有働:
行ってからトラブルになった時、いい方法は?
専門家:
場合によっては、説明会や研修等に親族も一緒に行くとかで意識が変わることもある
偏見や無知が同意にならないケースになっているので、「知る」ことで意識が変わることもある
大久保:
やっぱり知らないから不安になるけど、知るとこういう仕組みなんだって思った
***
毎回「知ることから」って切り口で紹介しているのに、
毎回、頭ごなしな反対意見はくるよね
正しい知識を知った上での反対なら分かるけど
「子どもは動物をもらってくるのとは違う」というメールもあったけれども、同じだと思う
そこには、ヒトは動物とは違う、という偏見がある
動植物も同じ「命」
「育てる」ことが出来るヒトの懐の広さに、私はいつも感動するんだ