■なぜ広がる なぜなくせない “核兵器”ってなんだ!?@週刊ニュース深読み
専門家:
鈴木 達治郎さん(長崎大学 核兵器廃絶研究センター長)
神保 謙さん(慶應義塾大学 准教授)
津屋 尚(NHK 解説委員)
ゲスト:
チャンカワイさん(お笑い芸人)
千秋さん(タレント)
グラフィックレコーダー:山田 夏子さん
プレゼン:徳永アナ
「核兵器禁止条約」
核兵器の開発・保有などを公的に禁止する初めての国際条約
122の国と地域が賛成したこの条約に、核保有国は話し合いにすら参加しなかった
町の声では、核に反対の声がある一方
男性
「北朝鮮が核を持っているなら、日本も考えないといけない 武力として」
男性
「核があることが、国の強さを表すことになると思う
持っているから攻撃してこない 持ってるだけで国を守れると思う でも、使うのはやっぱり良くない」
(まだいるんだなあ 原爆資料館とか観に行ったことはあるのかなあ?
世界にある核爆弾は約1万5000発
1945年8月6、9日 アメリカは広島・長崎に人類史上初の核兵器を使用した
犠牲者は20万人を超えた
「世界終末時計」(Bulletin of the Atomic Scientists)
これでは人類は破滅してしまうと不安を覚えた科学者たちが
今、世界がどれほどピンチなのか時計に例えた
12時ジャストが人類破滅 原爆が落とされた翌々年に発表されたのは、破滅まで7分前
しかし、世界中で核はどんどん増えていった
第二次世界大戦終結後 東西冷戦時代(アメリカとソ連のにらみあい)
最初に核を持ったのはアメリカ それに続いたのはソ連
相手よりもっと増やさないとと、互いに数を増やし合い、
一番多かった時は6~7万発とも言われる
もっとも強力なものは、広島に落とされた原爆の3300倍の力をもつ
ミサイルの先に核兵器をつけて飛ばせば、敵国に行かなくても済むし、潜水艦からも撃てる
「核抑止力」
実際に使ったら、本当に人類は破滅するので、両国とも使えなくなった
「核があるから大きな戦争が起きずに済んでいる」と考える人も出てきた
その後、フランス、イギリス、中国などが核を持ち始めた
「核の傘」
ソ連の傘/アメリカの傘(日本は“被爆国”だがここに入る まだアメリカの統治下みたいなものだね
「あなたたちが困ったら、私たちが核で応戦しますよ」と両国とも仲間を増やしていった
「世界終末時計」1953年の冷戦がもっとも厳しかった頃 破滅2分前
「NPT(核拡散防止条約)」
1970年以降、ようやく止めようという声が世界中から出てきた
1990年代、冷戦が終わり、ソ連はロシアになり、その下の核の傘もなくなる
大国同士が話し合い、持っている核を少しずつ減らす取り組みが始まる
1991年の時計 17分前まで延びた
今度は、小国同士の争いが増えた
インドvsパキスタン
隣国同士でずっといがみあい、核を持って威嚇し合った
中東のイスラエル
持っているとは言っていないが「事実上の核保有国」と言われている
イラン(イスラエルのライバル国
「核開発をしているのでは?」と疑われて話し合い「核合意」でまとまってきている
そして、今回の「核兵器禁止条約」が採択された 2017.7.7
開発も、持つのも、脅すのも禁止する条約が、原爆投下72年目にしてようやく実現
北朝鮮
核開発、ミサイル発射実験を続け、アメリカを名指しで脅している
去年、オバマさんが広島に来て「核なき世界を作ろう」と世界に呼びかけたが
トランプさんに変わり、また分からなくなった
オバマ大統領 広島訪問 "核なき世界"に向かうのか?@週刊ニュース深読み
時計 滅亡2分半前 前に戻ってしまった
神保:
この時計は、冷戦時代の世界の終わりを警告するものだったと思う
今の世界の核兵器をめぐる情勢はとても複雑化していて、
中小国家も持つようになり、それに対抗する国も現れた
すると、世界が終わるかどうかではなく、世界が終わらない核の使い方が出来る
つまり、アメリカとロシアが全面戦争したら世界は終わってしまう
だが、他の国が“生存戦略、安全保障戦略の延長線上”に核兵器を位置づけて
使用されるリスクは昔より高まった
「限定核使用」
鈴木:
核兵器は、通常の兵器とまるで違い、一度使うだけでかなりの被害を及ぼす
“世界終末につながらないような核の使い方ならいいのでは?”という考え方が出てきている
逆に使いやすい核兵器が開発されてきている それが脅威
被害が少なければいいのではと言っても、実際使えば、被害の規模が大きい
インドvsパキスタンの「限定核戦争のシナリオ」というのが出来ていて
インドvsパキスタンで何十発という核兵器が使われただけで「核の冬」が起きるという研究もされている
世界で核の恐さを知らない人が増えてきている
やはり、世界のリーダーに被爆地に来てもらって、核を学んでもらいたい
メールの声には「恐い」「知りたい」という声が多い
広島・長崎の方からも多く声が寄せられた
<核兵器とは?>
津屋:
北朝鮮が「ICBM(大陸間弾道ミサイル)」を発射していますが
「あれは、核弾頭を積んだまま撃っているんですか?」とよく質問される
北朝鮮が目指しているのは、ミサイルの先端に核兵器をつけてアメリカに飛ばすこと
今やっているのはミサイルの実験で、まだ核弾頭は搭載されていない状態
それが少しずつ近づいている可能性があるという段階
北朝鮮は自国を守るため、アメリカから攻められないために開発をしている
圧倒的な軍事力の差があるため、北朝鮮から先制攻撃する可能性は低いが
アメリカがもし先制攻撃をしたら、北朝鮮の報復はあり得ると思う
「抑止力」
千秋:
これまでのトップは空気が読める人たちな気がしたけど、
トランプさんや、北朝鮮て何するか分からない感じ
(これまでの人も同じだ 事実、1万5000発になっちゃってるんだから
神保:
抑止力とは、相手の理性・合理性を前提にした概念
アメリカとソ連はたくさんのコミュニケーションをして
どうしたら核兵器を使わずに済むかを協議してきたが
北朝鮮と同じようにコミュニケーションできるかどうか分からない
チャンカワイ:
大勢を犠牲にするという意識は持っているのかという不安がある
メール
鈴木:
抑止力とは考え方ですので、証明するのは難しい 歴史の検証が必要だと思う
例えば「キューバ危機」の時は、核があったからボタンは押されなかったという人もいるし、
反対意見として、抑止力は機能していなかったという人もいる
「朝鮮戦争」も同じ
当時、すでにアメリカは核兵器を持っていたけれども、じゃあなぜ朝鮮は戦争したのか
抑止力は機能していなかったという人もいるし、
結果的には核戦争にはならなかったから抑止力は機能していたという人がいる
神保:
おそらく北朝鮮は、核抑止力の最大の信奉者だと言ってもいい(あれだけ直接けん制してるもんね
核の恐ろしさを知ってるゆえに、核を大事にしているとも言えるが
他方で、抑止力が破れる事態も考えなければならない
もし、アメリカが限定的にでも軍事力を使ったら、北朝鮮は核兵器を使うかもしれない
(アメリカのほうがよっぽど危ないってことか
もう1つのシナリオは、キムジョンイル体制が揺らいで、崩壊しそうになったら
彼らはもう失うものがないという状態になって、
核で報復されても結果は同じだから使ってもいいじゃないかってことになるかもしれない
核抑止は、政権が継続することが前提の概念
<核の傘について>
メール
「核の傘に効力はあるの?」
万が一、北朝鮮が日本に核攻撃をしてきた時、
アメリカが核で報復してあげますという約束があるから攻撃できないという考え方
ただ、北朝鮮がアメリカ本土に届く核を持ってしまうと、アメリカがヤラれるかもしれない
そのリスクを負ってまで、日本を守るかという信頼性が今、揺らいでいる
神保:
抑止力は、相手が思いとどまる力 核の傘は、それを第三国に適用するということ
アメリカがそういった姿勢をしっかり提示しているか、日本人がそれを疑いなく信じるかどうかが
核の傘を成立させるとても重要なポイント
千秋:
世界では、日本はアメリカに核の傘で守られているという認識はある?
神保:
かなりある アメリカは「すべての防衛を提供する」と何度も言っている
でも今、北朝鮮のミサイルが増えて、アメリカ本土に届くようになれば
傘を差し出せる自信があるのか、そして私たちが疑いなくそれを信じられるのかがポイント
メール
「なぜそんなに作りたがるの?」
「核爆弾1個にどれだけ費用がかかる? 保存できるものなの?」
「核で儲けている国や会社はあるのか?」(アメリカじゃん
鈴木:
必ず儲かります 軍事産業ですから 作る会社がある
津屋:
核兵器は、通常兵器と違って、作って外国にどんどん売って儲けるものではない
1つ作ったらその国しか持てないし、削減しなきゃならないこともあるので
国が儲けるためにやってることではなくて、国の存続に関わる判断として
国が指揮して、管理のもと、一般企業が協力している
結果的に儲かる企業が出てくる(同じことでは?
鈴木:
作れる会社の数は少ないので、競争がない
核弾頭だけじゃなく、ミサイルなど「核兵器産業」は広くビジネスとしてある
メンテナンスもある 核兵器が古くなったら更新される
「更新の近代化計画」というのがあり、40年で120兆円かけるほど
<日本のスタンス>
メール
「被爆国の日本が非核化に逆行しているのでは?」
千秋:一番話し合いに参加したほうがいい国が参加しなかった
徳永:その通りで、持っている国と守られている国が参加しなかった
津屋:
日本が話し合いにすら参加しなかったことは、国際的にも、国内でも批判されている
禁止条約はある意味“理想的”なもの
保有国にはあまりに厳しすぎて、すぐには入りずらい
(理想に向けて、少しずつ減らしていこうよって話し合いだったのでは?
日本については、「威嚇」=核の傘も禁止されると、
政府はこれによって生きていると考えているため
安全が守られない条約にはすぐには参加できない
でも「話し合いには参加してもよかったのでは?」という議論はある
神保:
日本政府は、当然“核廃絶”を目指していることには変わりない
過去23年間、国連でも“核廃絶”に関する決議は、
日本が主導して160カ国以上の賛成を得て規範づくりに頑張っている
段階的に進めていこうとしているが、条約については、
北朝鮮、将来の中国などを含めていろいろ禁止されてしまうと、
どう安全を担保すればいいのかという、政府は苦しい立場だった
鈴木:
核兵器は、他の兵器と違って“非人道的”、人権にも関わること
絶対使わないようにすることを国際規範にしようというのが今回の条約
それは、「被爆国日本にぜひ来てください」ということとつながることがあるはずだから
当然、この主旨には賛成できるはず
条約には被爆者への言及や支援もあるから、
参加しなくても、オブザーバーとして主旨に賛成することはできるのではないか
現実的には、今すぐは難しいので、私は「非核兵器地帯」というものを作ってはどうかと思う
<「非核兵器地帯」という構想>
北東アジアで核兵器を持っていない国を作り、そこには保有国は攻撃をしない約束をする
これなら「核の傘」はいらない
これが出来れば、条約にも参加できるのでは
もう南半球はすでに囲われている 条約と非常に仕組みが似ている
違いは、保有国はすぐに廃絶しなくていいが、
非核保有国に対しては攻撃しませんという約束をすると「核の傘」はいらなくなる
(なんか、混乱してきたぞ
アナ:国内でも温度差を感じるメールも多い
千秋:
日本は一番核の怖さを知っているから、核はダメだと言ったほうがいいし、会議にも参加したほうがいい
鈴木:
被爆者の方々、NGO、研究者が行って、被爆者の方々が現地で演説をされて
それが条約の採択に大きな影響を与えたと言われている
メール
「平和ボケだ」
「責任って何だ?」
アナ:唯一の被爆国として出来ることは?
津屋:
ゴールは果てしなく遠いということをまず認識して
そこに至るプロセスをどう作るかをまず考えるのが大事
今の事態を構想にまでどうもっていけるかというと筋道がない
でも、だからといって諦めず、核軍縮は亀の歩みのようにしか進まないことを理解して
世代を越えて“語り部”をつないでいくとか、
世界に発信できるのは日本だけだという自覚をもって
諦めずにやってくしかないと思う
鈴木:
核兵器を絶対使ってはいけないと語れるのは、被爆者、被爆地、被爆国の日本
その国が黙ってしまったり、核兵器は使えるものだと言ってしまうと、核をなくすのは難しい
千秋:そういう考えは日本政府にある?
鈴木:「リーダーはぜひ被爆地に来てください」と一応言ってます
神保:
1つの方程式ですべてを解くことは出来ない
アメリカとロシア、中国vsロシア+アメリカ、インドvsパキスタン、北朝鮮、イスラエル
それぞれ保有の問題がある
一様に「こうしましょう」と言っても「私たちの国は状況が違います」となる
1万5000発のそれぞれの成り立ちが違う
我々の責任とは何かというと、それぞれの国に個別に具体的なアプローチをとること
とくに北朝鮮の非核化 ここから核のない世界をスタートしなければいけない
【ブログ内関連記事】
レイモンド・ブリッグズ『風が吹くとき』(篠崎書林)
専門家:
鈴木 達治郎さん(長崎大学 核兵器廃絶研究センター長)
神保 謙さん(慶應義塾大学 准教授)
津屋 尚(NHK 解説委員)
ゲスト:
チャンカワイさん(お笑い芸人)
千秋さん(タレント)
グラフィックレコーダー:山田 夏子さん
プレゼン:徳永アナ
「核兵器禁止条約」
核兵器の開発・保有などを公的に禁止する初めての国際条約
122の国と地域が賛成したこの条約に、核保有国は話し合いにすら参加しなかった
町の声では、核に反対の声がある一方
男性
「北朝鮮が核を持っているなら、日本も考えないといけない 武力として」
男性
「核があることが、国の強さを表すことになると思う
持っているから攻撃してこない 持ってるだけで国を守れると思う でも、使うのはやっぱり良くない」
(まだいるんだなあ 原爆資料館とか観に行ったことはあるのかなあ?
世界にある核爆弾は約1万5000発
1945年8月6、9日 アメリカは広島・長崎に人類史上初の核兵器を使用した
犠牲者は20万人を超えた
「世界終末時計」(Bulletin of the Atomic Scientists)
これでは人類は破滅してしまうと不安を覚えた科学者たちが
今、世界がどれほどピンチなのか時計に例えた
12時ジャストが人類破滅 原爆が落とされた翌々年に発表されたのは、破滅まで7分前
しかし、世界中で核はどんどん増えていった
第二次世界大戦終結後 東西冷戦時代(アメリカとソ連のにらみあい)
最初に核を持ったのはアメリカ それに続いたのはソ連
相手よりもっと増やさないとと、互いに数を増やし合い、
一番多かった時は6~7万発とも言われる
もっとも強力なものは、広島に落とされた原爆の3300倍の力をもつ
ミサイルの先に核兵器をつけて飛ばせば、敵国に行かなくても済むし、潜水艦からも撃てる
「核抑止力」
実際に使ったら、本当に人類は破滅するので、両国とも使えなくなった
「核があるから大きな戦争が起きずに済んでいる」と考える人も出てきた
その後、フランス、イギリス、中国などが核を持ち始めた
「核の傘」
ソ連の傘/アメリカの傘(日本は“被爆国”だがここに入る まだアメリカの統治下みたいなものだね
「あなたたちが困ったら、私たちが核で応戦しますよ」と両国とも仲間を増やしていった
「世界終末時計」1953年の冷戦がもっとも厳しかった頃 破滅2分前
「NPT(核拡散防止条約)」
1970年以降、ようやく止めようという声が世界中から出てきた
1990年代、冷戦が終わり、ソ連はロシアになり、その下の核の傘もなくなる
大国同士が話し合い、持っている核を少しずつ減らす取り組みが始まる
1991年の時計 17分前まで延びた
今度は、小国同士の争いが増えた
インドvsパキスタン
隣国同士でずっといがみあい、核を持って威嚇し合った
中東のイスラエル
持っているとは言っていないが「事実上の核保有国」と言われている
イラン(イスラエルのライバル国
「核開発をしているのでは?」と疑われて話し合い「核合意」でまとまってきている
そして、今回の「核兵器禁止条約」が採択された 2017.7.7
開発も、持つのも、脅すのも禁止する条約が、原爆投下72年目にしてようやく実現
北朝鮮
核開発、ミサイル発射実験を続け、アメリカを名指しで脅している
去年、オバマさんが広島に来て「核なき世界を作ろう」と世界に呼びかけたが
トランプさんに変わり、また分からなくなった
オバマ大統領 広島訪問 "核なき世界"に向かうのか?@週刊ニュース深読み
時計 滅亡2分半前 前に戻ってしまった
神保:
この時計は、冷戦時代の世界の終わりを警告するものだったと思う
今の世界の核兵器をめぐる情勢はとても複雑化していて、
中小国家も持つようになり、それに対抗する国も現れた
すると、世界が終わるかどうかではなく、世界が終わらない核の使い方が出来る
つまり、アメリカとロシアが全面戦争したら世界は終わってしまう
だが、他の国が“生存戦略、安全保障戦略の延長線上”に核兵器を位置づけて
使用されるリスクは昔より高まった
「限定核使用」
鈴木:
核兵器は、通常の兵器とまるで違い、一度使うだけでかなりの被害を及ぼす
“世界終末につながらないような核の使い方ならいいのでは?”という考え方が出てきている
逆に使いやすい核兵器が開発されてきている それが脅威
被害が少なければいいのではと言っても、実際使えば、被害の規模が大きい
インドvsパキスタンの「限定核戦争のシナリオ」というのが出来ていて
インドvsパキスタンで何十発という核兵器が使われただけで「核の冬」が起きるという研究もされている
世界で核の恐さを知らない人が増えてきている
やはり、世界のリーダーに被爆地に来てもらって、核を学んでもらいたい
メールの声には「恐い」「知りたい」という声が多い
広島・長崎の方からも多く声が寄せられた
<核兵器とは?>
津屋:
北朝鮮が「ICBM(大陸間弾道ミサイル)」を発射していますが
「あれは、核弾頭を積んだまま撃っているんですか?」とよく質問される
北朝鮮が目指しているのは、ミサイルの先端に核兵器をつけてアメリカに飛ばすこと
今やっているのはミサイルの実験で、まだ核弾頭は搭載されていない状態
それが少しずつ近づいている可能性があるという段階
北朝鮮は自国を守るため、アメリカから攻められないために開発をしている
圧倒的な軍事力の差があるため、北朝鮮から先制攻撃する可能性は低いが
アメリカがもし先制攻撃をしたら、北朝鮮の報復はあり得ると思う
「抑止力」
千秋:
これまでのトップは空気が読める人たちな気がしたけど、
トランプさんや、北朝鮮て何するか分からない感じ
(これまでの人も同じだ 事実、1万5000発になっちゃってるんだから
神保:
抑止力とは、相手の理性・合理性を前提にした概念
アメリカとソ連はたくさんのコミュニケーションをして
どうしたら核兵器を使わずに済むかを協議してきたが
北朝鮮と同じようにコミュニケーションできるかどうか分からない
チャンカワイ:
大勢を犠牲にするという意識は持っているのかという不安がある
メール
鈴木:
抑止力とは考え方ですので、証明するのは難しい 歴史の検証が必要だと思う
例えば「キューバ危機」の時は、核があったからボタンは押されなかったという人もいるし、
反対意見として、抑止力は機能していなかったという人もいる
「朝鮮戦争」も同じ
当時、すでにアメリカは核兵器を持っていたけれども、じゃあなぜ朝鮮は戦争したのか
抑止力は機能していなかったという人もいるし、
結果的には核戦争にはならなかったから抑止力は機能していたという人がいる
神保:
おそらく北朝鮮は、核抑止力の最大の信奉者だと言ってもいい(あれだけ直接けん制してるもんね
核の恐ろしさを知ってるゆえに、核を大事にしているとも言えるが
他方で、抑止力が破れる事態も考えなければならない
もし、アメリカが限定的にでも軍事力を使ったら、北朝鮮は核兵器を使うかもしれない
(アメリカのほうがよっぽど危ないってことか
もう1つのシナリオは、キムジョンイル体制が揺らいで、崩壊しそうになったら
彼らはもう失うものがないという状態になって、
核で報復されても結果は同じだから使ってもいいじゃないかってことになるかもしれない
核抑止は、政権が継続することが前提の概念
<核の傘について>
メール
「核の傘に効力はあるの?」
万が一、北朝鮮が日本に核攻撃をしてきた時、
アメリカが核で報復してあげますという約束があるから攻撃できないという考え方
ただ、北朝鮮がアメリカ本土に届く核を持ってしまうと、アメリカがヤラれるかもしれない
そのリスクを負ってまで、日本を守るかという信頼性が今、揺らいでいる
神保:
抑止力は、相手が思いとどまる力 核の傘は、それを第三国に適用するということ
アメリカがそういった姿勢をしっかり提示しているか、日本人がそれを疑いなく信じるかどうかが
核の傘を成立させるとても重要なポイント
千秋:
世界では、日本はアメリカに核の傘で守られているという認識はある?
神保:
かなりある アメリカは「すべての防衛を提供する」と何度も言っている
でも今、北朝鮮のミサイルが増えて、アメリカ本土に届くようになれば
傘を差し出せる自信があるのか、そして私たちが疑いなくそれを信じられるのかがポイント
メール
「なぜそんなに作りたがるの?」
「核爆弾1個にどれだけ費用がかかる? 保存できるものなの?」
「核で儲けている国や会社はあるのか?」(アメリカじゃん
鈴木:
必ず儲かります 軍事産業ですから 作る会社がある
津屋:
核兵器は、通常兵器と違って、作って外国にどんどん売って儲けるものではない
1つ作ったらその国しか持てないし、削減しなきゃならないこともあるので
国が儲けるためにやってることではなくて、国の存続に関わる判断として
国が指揮して、管理のもと、一般企業が協力している
結果的に儲かる企業が出てくる(同じことでは?
鈴木:
作れる会社の数は少ないので、競争がない
核弾頭だけじゃなく、ミサイルなど「核兵器産業」は広くビジネスとしてある
メンテナンスもある 核兵器が古くなったら更新される
「更新の近代化計画」というのがあり、40年で120兆円かけるほど
<日本のスタンス>
メール
「被爆国の日本が非核化に逆行しているのでは?」
千秋:一番話し合いに参加したほうがいい国が参加しなかった
徳永:その通りで、持っている国と守られている国が参加しなかった
津屋:
日本が話し合いにすら参加しなかったことは、国際的にも、国内でも批判されている
禁止条約はある意味“理想的”なもの
保有国にはあまりに厳しすぎて、すぐには入りずらい
(理想に向けて、少しずつ減らしていこうよって話し合いだったのでは?
日本については、「威嚇」=核の傘も禁止されると、
政府はこれによって生きていると考えているため
安全が守られない条約にはすぐには参加できない
でも「話し合いには参加してもよかったのでは?」という議論はある
神保:
日本政府は、当然“核廃絶”を目指していることには変わりない
過去23年間、国連でも“核廃絶”に関する決議は、
日本が主導して160カ国以上の賛成を得て規範づくりに頑張っている
段階的に進めていこうとしているが、条約については、
北朝鮮、将来の中国などを含めていろいろ禁止されてしまうと、
どう安全を担保すればいいのかという、政府は苦しい立場だった
鈴木:
核兵器は、他の兵器と違って“非人道的”、人権にも関わること
絶対使わないようにすることを国際規範にしようというのが今回の条約
それは、「被爆国日本にぜひ来てください」ということとつながることがあるはずだから
当然、この主旨には賛成できるはず
条約には被爆者への言及や支援もあるから、
参加しなくても、オブザーバーとして主旨に賛成することはできるのではないか
現実的には、今すぐは難しいので、私は「非核兵器地帯」というものを作ってはどうかと思う
<「非核兵器地帯」という構想>
北東アジアで核兵器を持っていない国を作り、そこには保有国は攻撃をしない約束をする
これなら「核の傘」はいらない
これが出来れば、条約にも参加できるのでは
もう南半球はすでに囲われている 条約と非常に仕組みが似ている
違いは、保有国はすぐに廃絶しなくていいが、
非核保有国に対しては攻撃しませんという約束をすると「核の傘」はいらなくなる
(なんか、混乱してきたぞ
アナ:国内でも温度差を感じるメールも多い
千秋:
日本は一番核の怖さを知っているから、核はダメだと言ったほうがいいし、会議にも参加したほうがいい
鈴木:
被爆者の方々、NGO、研究者が行って、被爆者の方々が現地で演説をされて
それが条約の採択に大きな影響を与えたと言われている
メール
「平和ボケだ」
「責任って何だ?」
アナ:唯一の被爆国として出来ることは?
津屋:
ゴールは果てしなく遠いということをまず認識して
そこに至るプロセスをどう作るかをまず考えるのが大事
今の事態を構想にまでどうもっていけるかというと筋道がない
でも、だからといって諦めず、核軍縮は亀の歩みのようにしか進まないことを理解して
世代を越えて“語り部”をつないでいくとか、
世界に発信できるのは日本だけだという自覚をもって
諦めずにやってくしかないと思う
鈴木:
核兵器を絶対使ってはいけないと語れるのは、被爆者、被爆地、被爆国の日本
その国が黙ってしまったり、核兵器は使えるものだと言ってしまうと、核をなくすのは難しい
千秋:そういう考えは日本政府にある?
鈴木:「リーダーはぜひ被爆地に来てください」と一応言ってます
神保:
1つの方程式ですべてを解くことは出来ない
アメリカとロシア、中国vsロシア+アメリカ、インドvsパキスタン、北朝鮮、イスラエル
それぞれ保有の問題がある
一様に「こうしましょう」と言っても「私たちの国は状況が違います」となる
1万5000発のそれぞれの成り立ちが違う
我々の責任とは何かというと、それぞれの国に個別に具体的なアプローチをとること
とくに北朝鮮の非核化 ここから核のない世界をスタートしなければいけない
【ブログ内関連記事】
レイモンド・ブリッグズ『風が吹くとき』(篠崎書林)