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『ガラスのうさぎ』(2005)

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『ガラスのうさぎ』(2005)
原作:高木敏子 監督:四分一節子

戦後60年記念作品

声の出演:
最上莉奈 江井敏子
竹下景子 江井ヒデ
原康義 江井竹夫
神谷浩史 江井恒夫
福山潤 江井行雄
岡珠希 江井信子
川田妙子 江井光子
武内健 川島晴喜
土井美加 西山シゲ
谷育子 西山のお婆ちゃん
児玉真菜 君代
磯辺真沙子 秋保の伯母さん
五味万里子 幸子
八十川真由野 加代子
安谷屋さぎさ 真理
ほか

trailer

主題歌:♪ガラスのうさぎ 作詞/麻生香太郎 作曲/大島ミチル 歌/新妻聖子
挿入歌:♪おとうさん   作詞/麻生香太郎 作曲/大島ミチル 歌/高野朱華

サンプル


▼あらすじ(ネタバレ注意
祖母が改築するから預かってほしいとガラスのうさぎが送られてくる
孫マリの母がガラスのうさぎにまつわる話をしてあげる

相撲好きの父は江戸切子の名人だが、今は軍事品を作っている



昭和16年 戦争開始に喜ぶ人々

母:ますます戦争が激しくなるわ・・・



軍歌を歌いながら学校に行く子どもたち
鍋などの金属を寄付する母親たち

校庭では男子児童が竹槍の訓練をしている



下着の配給がないから、兄のお古を着なきゃならないトシコ
胸に花の刺繍をすると教師に怒られる



教師:
ニッポンは今、戦争をしているんですよ
この非常時に花なんか刺繍して恥ずかしくないんですか?
そんなものすぐほどきなさい!

泣きながら刺繍部分を切り取って教師に渡す
母が教師に相談しに行くと



教師:
あなたには小国民としての自覚が足りません
戦地では兵隊さんが必死で戦っているんですよ
銃後を守らなければならない私たちが不平不満を言っている場合ではないんです!

トシコには「先生は分かってもらえたから心配ない」と言う母

通りでは銃のおもちゃで戦争ごっこをして遊ぶ少年たち



長男が親に内緒で兵隊に志願していたことに驚き倒れる母

母:
子どもを戦争に行かせたい親なんてどこにもいないわよ!
今しなくても、20になれば嫌でも軍隊に連れていかれちゃうのよ

恒夫・行雄:
そんな自分勝手なことを言ってる場合じゃないんだ!
僕たちは非国民になりたくないんだ!

姉:
もう少し大きくなったら、私も従軍看護婦さんになって、戦地へ行くんだから

配給も足りなくて行列ができる もらえるのは芋ばかり



「学徒出陣」が始まる

いつも本を貸してくれた近所の学生・ハルキにも赤紙がきて
ヘルマン・ヘッセの『郷愁』という本をもらうトシコ



ハルキを「万歳」と見送る近所の人たち



ハルキ:お国のために精一杯ご奉公して参ります!

昭和19年
学校では「疎開班」と「残留組」に分かれる



友:田舎は食べるものがたくさんあるらしいよ

トシコ:
集団疎開ならまだいいよ
私は縁故疎開だからみんなと離れ離れになっちゃうし・・・

友だちミヨと手紙のやりとりを約束し合う

兄から手紙が来る
外地へ行くことになったから西宮に来てほしいと言うが
父は満州へ行き、母は病気で伏せっていてトシコに行って欲しいと頼む

母:
這ってでも行きたい でも発作ばかり出てはどうしようもない
生きて帰って、絶対に死んじゃだめだって伝えてちょうだい
それでも軍国の母かと笑われても構いやしない

遠い西宮に夜汽車で行くトシコ



兄:上官から2時間だけ公用外出させて頂いたんだ

お父さんが帰ったら、すぐに娘3人で疎開することになっていると話す

兄:お前だけが頼りだ

帳面と消しゴムをあげる兄



母の渡した餡子で作ったおしるこを2人で食べる 当時、砂糖はとても貴重だった
兄にお守りを預けて、生きて帰ってほしいという言葉を伝える

兄:
生きて帰れるかどうかは分からない
お国に捧げた命なんだから、死ななきゃならない時は立派に死にたい
その時はあとを頼むぞ


二宮 トシコと妹2人が疎開した所は海がある
父は戦争に行き、祖母と母と子どもたちだけ



麦入りご飯が食べられると喜ぶ妹たち
ご飯もおかわりしていいと言われて慌てて食べる



1日目の夜に「母に会いたい」と泣く妹たち
疎開先から学校に通う

東京に空襲が増えて、防空壕で脅える人々



姉が来るまで学校の入り口で待つ妹たち

お正月にやっと家に帰り母に再会すると泣き出す
お土産の野菜もたくさん持ち帰る

元旦にも空襲警報が鳴り、父は警防団へ、家族は防空壕へ

同級生のタツヤと防空壕で会う
浅草がヤラれたという噂を聞く

タツヤ:
ハルキさんが英霊になって帰ってきたよ
偉いよなあ! 特攻になって、敵に体当たりしたんだ!

母:
どんなに辛いでしょうね、ハルキさんのお母さん
手塩にかけた息子さんに先に逝かれてしまうなんて

空襲で母に万が一があったらとトシコに千円(当時家が1軒建つ金額)を渡す

母:
どんなに離れていても、心はあんたたちのそばにいるのよ
人様には笑われないように
人にされて嫌なことは絶対しないこと
私たちもすぐに行くから

父母は東京に残り、また3人だけが縁故疎開に戻る



トシコは受験で遅くなり、雪降る中、家に帰ると、妹たちだけで東京行きの汽車に乗ってしまう

母:仕方ないわね お彼岸には私も疎開に行くし、それまで2人を置いておきましょう

トシコ:私も残る お父さんとお母さんと一緒なら死んでも構わない!

母:あなた、お姉さんでしょ、ほんの少しの辛抱だからね

トシコだけが疎開に戻る

妹:みんなで一緒にすぐ行くから待っててねー!


昭和20年深夜 東京大空襲

警報が鳴る前に焼夷弾の雨が降ってくる
空には数え切れない敵機の数
たちまち町は火の海になる







父は警防団へ、家族は防空壕へ入るが炎と煙に囲まれて熱い

母:
このまま死んでたまるもんですか
どんなことがあっても生きるのよ!

熱さに耐えられず川に飛び込む大勢の人たち
川の上を大きな炎が襲ってくる



(熱くて思わず川に飛び込んで溺れたりして亡くなった人も大勢いるんだよね
 たくさんの死体が浮いていたという記録がある

防空壕でも「みんなで外に出るのよ!」
母と娘2人は外に出て、炎に包まれる
その悲鳴が聞こえるトシコ

東京がすごい空襲を受けたと新聞で読んだと友だちから聞く

トシコは職員室に呼ばれる

父:
お母さんたちが見つからないんだ 先に西宮に来ているかと思って・・・

東京は焼け野原で、真っ黒に焼け焦げた死体が炭みたいに重なり合って、そこら中、山になっている

母さんはあの体だから半分諦めている
でもあの2人(信子と光子)が心配でたまらない

お前には見せるわけにはいかない
あんな無惨な焼け跡にとても連れては行けない
トシコの分まで探してくる ここで待っていてくれ

トシコは受験に合格し、父が制服を送ってくれる

東京に戻ると一面焼け野原 父と行った国技館も焼けている





家の金庫が残っていた 重要書類は助かったがあとはすべて焼けてしまった
土を掘ると母の茶碗と一緒にガラスのうさぎが出てくる

父:
あれから4ヶ月経っている
キチンと葬式をあげよう じゃないと成仏出来ない

お墓参りに行く2人

父はガラス工場を新潟に作っているから
ゆくゆくはトシコを転校させて父と暮らすことになると話す

配給証明書などをトシコが全部手続きする
その時、戸籍を見て、長男・恒夫が養子と知る

父:
結婚して8年経っても子どもが生まれず
父の姉に2人目の男児が生まれて養子にした

生きてさえいれば、恒夫にも行雄にも必ず会える
それまで頑張ろう

トシコ:戦争はいつ終わるんだろう ニッポンは勝つよね?

父:
当たり前だ 勝つに決まってる
戦争が終わって、恒夫と行雄が帰ってきたら
また東京にガラス工場を作ろう
家族みんなが力を合わせればできないことはないはずだ

汽車がなかなか来ない 大勢が待っている駅舎へ
急に敵機が近づき、撃ってきた

(兵士がいないと分かっていて、どうしてここまでって疑問に思ったけれども
 国が国民全員一体になって戦うと言ったからだったんだね・・・



駅舎で伏せるトシコ 死者と怪我人が大勢出る
さっきまで話していた母を亡くした子どもが泣いている
父を探すと、医師から亡くなったと言われる

医師:
機銃掃射の弾が3発も当たっちゃどうにもならない
死亡診断書を書くから、早く家族に連絡しなさい
この暑さだ 早く火葬しないと遺体が腐ってしまうよ

トシコ:家族は誰もいないんです

叔母が迎えに来る

医師から「死亡診断書」をもらい、役所で「埋葬許可書」「火葬許可書」をもらい
火葬するには薪が荷馬車1台分必要だと言われる

父のカバンが戻ってくる その中に重要書類は大体入っている

友キミに薪を分けてほしいと頼む

役場で父がさっき駅舎で死んだと許可書を出すと
「子ども一人では・・・」と言われ、事情を話す

トシコ:明日、火葬しないと遺体が腐っちゃうって言われたんです!

本籍を聞かれ、書類を出す

職員:これがなければ無縁仏になるところだったよ

みんなが薪を集めてくれて、荷車も貸してくれる

友の父:うちの娘がイジメられた時に助けてくれたから、この子がどうしても助けたいと言うんだよ

葬儀を終えた夜
「私一人ぼっちになっちゃった」 ようやく泣くトシコ

夜の海に入ると、母の声がする

母:いつもそばにいるからね!

トシコ:
誰が覚えていられるの? みんなが生きていたことを
私は死んじゃいけないんだ





火葬すると、遺灰の中に弾を見つけ

トシコ:
これはお父さんを殺した証拠品だ
もしアメリカが来たら、絶対に仇をうってやるんだ!

叔父(父の弟)が迎えに来る
妻と子どもを亡くしたからトシコを預かるという
広島に新型爆弾が落ちたことを知る

ラジオの玉音放送で終戦を知るが、敗戦を信じない人もいる



少年:先生が言ってた 神風が吹いて、ニッポンは必ず勝つって!

トシコ:
どうせ負けるなら、もっと早く負けたと言えばよかったのよ
そしたら、お父さんも、お母さんも、ノブちゃんも、みっちゃんも生きていられたのに!

(そう、原爆も落とされずに済んだ

近所のおばさん:
もうBこうが来なくなって、あの子たちが死なずに済むだけでもあたしゃ嬉しいよ

行雄が帰ってきた



行雄:特攻でオレが生き残って、父さんや母さんが生き残るなんて と泣く

叔父と共同で家を建てるまで、トシコは叔母(養子である長男・恒夫の実母か?)のもとに預けられる
(我慢ばっかりだね・・・勉強も出来ないし

夫は亡くなり、重い水汲みはトシコの仕事にされて、慣れずに倒れてしまう



「しっかりしてね 水汲みは、水がめに4回、お風呂に6回必要なんだから
 洗濯や掃除とか覚えてもらうことはたくさんあるから」

(私の母も毎日の水汲みは大変だったと話していたな
 お風呂は外で五右衛門風呂だから怖いし

ヤギを怖がるが、毎日面倒をみる係になる



2時間ごとに草がなくなるから場所をかえ、その後は乳搾り
その間に部屋の掃除などなど



(昔の女性は、これだけ働いていたのか・・・
 でも、いろんな理不尽なルールができたのはこの頃なんだよな
 子どもは大人の言うことに絶対従うべきとか

家事が出来ないトシコは覚えるのに必死

叔母:親がいないんだから、もっとしっかりしないと、この大変な世の中生きていけないよ

トシコ:親がいないのは私のせいじゃない 戦争のせいよ

兄から闇市で苦労して買った長靴が届く

トシコ:
私の転校どうなってるんですか?
幸子さんの学校に頼んでもらえませんか?

叔母:
近いうちに東京に帰るなら転校してもしょうがないだろ
そんなことより、畑行ってダイコン取ってきておくれ

ヤギに心のうちを話す
トシコ:ガマンしなきゃね

叔母:
幸子の長靴がダメになったから、お前の長靴を貸してちょうだい
水汲みの時も草履のほうが滑らないからいいんだよ

(疎開先でも苦労した子どもはたくさんいたよね

兄に早く迎えに来てと手紙を書くが、まだ時間がかかると返事がきて泣く

叔母が出かけて、ヤギが亡くなっているのを見つける
トシコ:ここにはいられない・・・

荷物を詰めて、一人で兄のもとに行くトシコ

まだまだ配給は厳しく、黒豆1人320gずつだけ



工場から焦げパンをもらってくる行雄

恒夫が帰ってくる(息子2人とも生きて帰れるなんて奇跡
家族の死を知って泣く



恒夫は台湾にいて帰るのに半年以上かかった

恒夫:
オレは父さんから技術をしこまれている
ここにまたガラス工場を作ろう
きょうだい3人で力を合わせればなんとかなるさ
トシコはしっかり勉強するんだよ

学校の帰り道、光子に似た少女を闇市の雑踏で見つけて追いかけるトシコ



カバンを盗もうとする戦争孤児の少年
その中にさっきの少女もいるが、別人で少年の妹トモだった



恒夫:おふくろにどうしても戻ってきてと言われて帰らなきゃならない

トシコ:
おふくろって育ててくれたお母さんのことじゃないの?
工場はお父さんの夢なんだよ!

もう決心している恒夫

すっかり変わった国技館を見ていると、
進駐軍の兵士に「ギブミー」と寄って来る子どもたち



その顔が父を殺した飛行士の顔に見えて石を握るが

米兵:チョコレートいりませんか?

父の遺品の中にハルキからトシコ宛の手紙を見つける



“会ったことのない、もちろん憎んだこともない人を殺しに行きます
 会ったことのないその人は僕のように詩を書いて、モーツァルトに涙する
 それでも僕はその人を殺しに行くのです

 僕は今、渇望します
 この馬鹿げた戦争が終わった時、少女が空を見上げ
 笑いながら未来を夢見る
 そんな新しい時代が生まれていることを”


さっきの米兵が落としていったペンダントの中には家族の写真がある



行雄:
もしかして、この子の父親を殺していたのかもしれないんだな
特攻に行く前に戦争が終わって本当に良かったよ
トシコ、父さんたちの分まで精一杯生きていこうな

トシコが米兵に落し物を届けに行くと、とても喜び、家族を紹介する


恒久の平和を念願する「民主憲法」が成立した

トシコ:ニッポンはもう二度と戦争はしないって




昭和22年



靴磨きをしたり、花を売る子どもたち

新憲法を学生に読ませる教師 学校もないので野外授業で生徒が読み上げる

『あたらしい憲法のはなし』(文部省著作教科書)より

“こんな戦争をしてニッポンはどんな利益があったでしょうか
 戦争は人間を滅ぼすことです
 世の中の良いものを壊すことです
 だから今度の戦争をしかけた国には大きな責任があると言わなければなりません

 そこで、今度の憲法では、ニッポンが決して二度と戦争をしないように2つのことを決めました
 その1つは兵隊も軍艦も飛行機も、戦争をするためのものは一切持たないということ
 これから先、ニッポンには陸軍・海軍・空軍もないのです
 これを戦力の放棄と言います

 ニッポンは正しいことを、世界より先に行ったのです
 世の中に正しいことくらい強いものはありません

 もう1つは、よその国と争い事が起きた時、
 決して戦争で相手を負かして、自分の言い分を通そうとしないと決めたのです

 なぜなら、戦争をしかけることは、結局自分の国を滅ぼすことになるから
 よその国と仲良くして、世界中が友だちになれば
 日本は栄えていくのです”


トシコは父を殺した弾を海に投げる

(昨日まで、鬼畜米兵と教えこまれていたのに
 急に真逆の憲法をどう受け止めたか、複雑だったろうな
 その成り立ちも、アメリカ軍の下で、早急に作らされたものだったんだよね? 


祖母となったトシコが孫マリに言う



トシコ:
この憲法が出来た時、本当に嬉しかった
この憲法は、戦争で亡くなったたくさんの人の命でできているの

マリ:
良かった トシコちゃんが頑張って生きててくれて
だから今のお母さんと私がここにいるんだもん

トシコ:
だから諦めちゃいけないの この世界から戦争をなくすことを



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『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』(講談社)

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