■誰がどこで引き受ける? どうする“核のゴミ”処分@週刊ニュース深読み
専門家:
近藤 駿介さん 原子力発電環境整備機構(NUMO)理事長
竹内 純子さん 国際環境経済研究所 理事・主席研究員
伴 英幸さん 原子力資料情報室 共同代表
水野 倫之 NHK 解説委員
ゲスト:
カンニング竹山さん(タレント)
三田 寛子さん(女優)
グラフィックレコーダー:山田 夏子さん
【内容抜粋メモ】
4つに色分けした地図
街でこれが何を表すか分かるか聞くと
「降水量の多い地域」「なにかの生産量が多い」
正解は、先月、国が発表した
高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する「科学的特性マップ」
「核のゴミ」
原子力発電では、電気を作った後、極めて高いレヴェルの放射線を出す廃棄物が残る
ヒトが近づけばすぐに死ぬ危険物
地図で緑色:火山や活断層がないなど、科学的に見て処分場の候補地となり得る場所 国土の2/3
国はこの地図を見て、検討したいとしている(福島も含まれてるんだ
「やがて関心を持つ地域があらわれることを期待する」
Q:もし自分の住む地域になったら?
「普通にイヤだ」
「そういう場所がないと困るんでしょうけど、家の下とかになると断りたい」
「核を利用して生活していることを考えると、協力せざるを得ないのではないか
僕が断っても誰かが請け負わないといけない」
私たちの生活が便利になるとともに増え続けてきた「核のゴミ」
東京23区内も塗られている箇所がある(首相官邸の横とかは?
電気はなくてはならないもの
火力発電、風力発電などさまざまあるが「核のゴミ」が出るのは原子力発電所だけ
●原子力発電所でどう電気をつくっているか?
1.「核燃料棒」でお湯を沸かす
2.お湯を沸かした熱で蒸気を出す
3.蒸気でタービンを回す
4.タービンを回して電気をつくる
「核燃料棒」
核を燃やしてものすごく熱くなる
原料は、山からとる「ウラン鉱石」を加工する
最小単位は、高さ1cm×直径1cmの「ペレット」
これ1個で一般的な家の8か月分の電気がまかなえる
この「ペレット」が「核燃料棒」1本の中に300~400詰まっている
●「核燃料棒」の寿命は4年ほど(短い/驚)→「使用済み核燃料棒」となる
まだまだ高温で、放射線量がものすごく高いので、空気に触れないよう水を張ったプールに保管している
東日本大震災で事故が起きた福島第一原発では、一時この「使用済み核燃料棒」を冷やすことが不能になった
もし、これが空気に触れつづけて溶けだしたら、放射能汚染はもっと広い範囲に拡大した可能性があった
この「核燃料棒」は、現在、日本に1万8000トンある
日本で原発が動いて51年目 その間にたまり続け、処分できなかった
国は原発を動かす際、「核のゴミ」が出るのは分かっていたが、どうするかは決められなかった
(その間、どこに置いておいたの? それぞれの原発内?
世界中の専門家は警告を発していた
私たちの生活からなるべく遠ざけた所でないとダメだと、いろんな案が出た
1.海底に捨てる→環境に不安があり条約で禁止された
2.南極の氷に埋める→同上
3.宇宙に捨てる
→ロケットの打ち上げ失敗など100%の安全保障が出来ない
もし失敗したら世界規模の被害となるので現実的ではない
4.地中に埋めるのが今の世界の主流「地層処分」
日本の計画 「再処理工場」を造る
青森県に今建設中(!)で、「使用済み核燃料棒」の一部を一時的に移動
まだ使える物質を取り出してもう1回使う「リサイクル」→ゴミの量も減る
まったく使い道のない「液体」が残る→ガラスにまとめたものを「核のゴミ」と呼ぶ
毎時間1500シーベルトの高い放射能レヴェル
実物大をスタジオに
田中アナ:
仮にこれだけ近づいたら、ケースに入っている状態でも20秒以内に死ぬ
私だけではなく、周りにいる人たちも それだけ危険物質
これが、今、日本に2万5000本ある
地中に埋めても危険 「地層処分」
東京タワーが入るほどの300m地下に埋める案
日本にはリスクがいっぱいある
「活断層」「火山」を避けても、日本には「地下水」が豊富にある
「地下水」が「核のゴミ」に触れて、汚染された水が地上に上がり、生活用水になったら危険
「地層処分」の方法
1.厚さ20cmの金属で覆う(薄くない?
2.水を通さないよう厚さ70cmの粘土で1本1本覆う
3.その上に土をかぶせる
これで地上に漏れないだろうと考えられているが、まだ試したことはないので分からない
「核のゴミ」が電気を生み出す前の放射線量に戻るのには、10万年かかると言われる
ちなみに10万年前は、ホモサピエンスの祖先がアフリカにいて、世界に行こうかなとしていた頃
国は15年前から、全国の各市町村に「これをどこかでやってくれませんか?」と聞いた
埋められるか調査の段階で「交付金として20億円出します」と言ったが
今のところ、どこも手をあげていない
これ以上待っていてもダメだということで、国は先月マップを発表した
緑色は、これから「地層処分」が出来る可能性のある地域
こうしている間も、電気を使うと「核のゴミ」は出続けている
●51年前に「核のゴミ」のことをなぜ考えなかったのか?
近藤:
1970年頃から日本はこの問題について研究開発を始めた
高レヴェルもあるが、「低レヴェル」については冷やす必要がないのですぐ処分できる
青森県六ヶ所村に処分場ができていて、毎日運んで処分している
だが、「高レヴェル」は大体40~50年冷やさないと地下にもっていけない
1990年くらいから、日本も「地層処分」に決めて
2000年に「原子力発電環境整備機構」をつくって、
電気料金から処分する費用をいただく制度も整備して(そうなの?
2002年くらいから「処分場はこんなものだ」「安全性」「リスク」があるけれどもどうですかと呼びかけた
まず、地下の調査をしなければならないと、日本全国の自治体に申し出て、待って、1ヶ所から手はあがった
伴英幸さん(あれ、「ビッグイシュー」に載っていた人だ:
・「福島県で山林火災 セシウムが飛散」@ビッグイシュー
・メルトダウンした2号炉の炉内調査実施@「ビッグイシュー日本版」
埋め戻して10万年安全だというけれども、いずれ漏れてくるのは避けられない
それを「なんとかなるんじゃないか」と安易に軽視していて、発電して売るほうを優先している
原子力は国策という意味が強いので、
電力会社も「国策だから、ゴミは政府でなんとかしてくれないか」という安易な気持ちがあり
政府は「いや、発電所の責任だよ」とずっと噛み合わずズルズルと今日まで来ている
竹内純子さん(元・東京電力社員):
経済優先というと「お金が先?」と聞こえてしまうが、国民の生活を優先させた面がある 他国も同じ
お湯をつくるのに「火力発電」もある それは石油、石炭、天然ガスという地下資源を燃やして蒸気をつくる
日本にはそれらの資源がない 他国の資源に依存するのは、エネルギーのライフラインを他国に握られるので
「原子力発電」を使わざるを得なかったことを一方的に否定することは出来ないと思う
(石油、石炭、天然ガスももうすぐ尽きるのでは?
竹山:これからも電気を使うとゴミは出る その議論が必要
伴:量を確定する必要がある
三田:お手本になる他国の例はない?
<プレゼン2:世界はどうしてる?>
今、原発が動いているのは30カ国以上の国や地域にあるが、「地層処分」を実際行っている所はない
正式な場所は決まった
フランス
いろんな候補地があり、紆余曲折した
1980年代から国が勝手に調査を始め、地元住民から大変な反発を受けて
透明化などの改善を経て、去年、ビュール村に絞りこみつつある段階
ここまで費やした時間は30年
ドイツ
「ゴアレーベン村の地質は安全です」とずっと国は言っていたが
まったく同じ地質の違う場所で「地下水漏れ」が起きていたことを
政府が10年以上隠していたことがバレたため、村民の激しい反発があり白紙撤回になり
30年と2000億円の損失となった
竹内:
ドイツはまだ十数%の原子力発電を稼動していて、廃棄物処理でもモメている
地下に埋めるまで10年かかるということが、問題を先送りにしてきた理由の1つ
日本は今どの段階?
水野:
地図が出ても、事業が終わるまでには100年かかる事業
今は「準備段階」で、ようやくスタート地点にいる
ほかの国にも取材に行ったが、この問題に対する「覚悟」が違っていて
原発を運転したら、ゴミが出る その処分なしには原発は運転できないと
かなり早くから準備を進めてきた
紆余曲折ありながら、ようやく30年経って、あの段階まできた
日本は主要国の中では一番遅い
近藤:
ちょっと遅かった 2000年時点で20年遅れていた
私どもの組織をつくり、「文献調査」をさせてくださいと手紙を出して
最後は自治体が決めるしかない 充分時間をとって考えようとした
竹山:
20億円もらって「調査だけならいいですよ」てゆって
「完璧ですね、ここの土地」てなったら、住民の反対が出ても止められないのでは?
近藤:
それは民主主義で、私たちが介入するのではなく、自治体に決めていただく 憲法の地方自治に基づいている
私たちは、調査のために、そこに本社を移して、家族ごとそこで生活する
社会インフラの整備もするし、ウィンウィンの関係になるよう努力する
<FAX>
宮城 40代女性:
「地層処分」という言葉を初めて知った
今、日本は想像もしなかった自然災害が大きい中、本当に大丈夫?
東京 60代男性:
今のところベターな処分方法だと思う 残念ながら危険性の余地は残るが、100%の安全を考えたら何もできない
(高齢者にとっては関係ないって感じか 原発も、このくらいの年代がわんさか造っていったのでは?
「裕福な自治体に交付金が出るのはちょっとイヤだけど・・・」
「東京都心に置くのが一番いい 一番電気を必要としているから」
田中:「分かっているけれども、自分の所はイヤ」という声が多い(最初に戻ったね
竹山:1ヶ所じゃなきゃダメなの?
近藤:
今は1ヶ所で考えている 1本1本いろんな所に埋めるのは大変なコストになってしまう
計算したら、4万本以上埋める場所を選ぶと、1本あたりの処分の費用と変わらないので
4万本以上処理できる場所がいいなと思っている
地下の広さとしては3km×3km それほど大きな場所ではない
地下に坑道を掘る 地上は1km×2kmほどの粘土で覆う場所をつくる
三田:例えば無人島とか、人が住んでいない場所を買い取って開拓するのはどうか?
近藤:
全国どこも所有権がある 誰かの同意を得なければならない
水野:
問題なのは安全性
ヨーロッパの2ヶ所を見ても、20億年前から岩盤がまったく変わっていない
日本では岐阜県とかで残っているが、約7000万年前 その安定度が違う
ヨーロッパはほとんど地震もない 活断層などの心配がない
(地震国だと分かっているのに、どうしてこんなに造っちゃったのかねえ
岐阜も見たが、一番の違いは、地下水が小川のように流れている(自然が豊かってことだ
「大丈夫なんですか?」と担当者に聞いたら
「安定した岩盤を掘ったので、トンネル工事などでは当たり前のこと」
そういうことを、私たちのような素人にも説明してくれているかというとそうではない
伴:
地下深いところの水の流れはよく分かっていない
本当は、もっと深い所の水の調査をずっと続けなきゃいけない
岐阜も、はじめからそんなに水が出ることが分かって掘ったわけじゃない
掘ってみたら、こうだったというわけだから 決める前にもっと調査が必要
近藤:
なぜ地下かというと、地上での災害や戦争などの影響が及ばない(戦争が起きる前提なんだ
地上の10万年はとんでもない変化が起きるが
スイスの友人いわく「地下は安定している」
放射能は地下水に溶けて地上に出るから、地下水のスピードは私たちも注目している
三浦半島で地下水の水質を調べた 500mほどボウリングで掘り、水を調べたら
水の年代が100万年以上古い うちの連中は700万年前の水だと言う
もっと上の浅い場所の水はもっと若い 500mまでいくと地上の影響は及んでいない
そういうことを調査して場所を決めたいというのが、私どものアイデア
<FAX>
東京 60代男性:
処分場が必要なのは分かるが、自分の住む地域には絶対反対 総論賛成・各論反対です
この意見が一番多い
竹内:
地域の声を無視して進めると、振り出しに戻ってしまうのはドイツ、イギリス、アメリカでも経験している
私も岐阜県の「超深地層」の水がどう動くのか研究するのに行ってみた
「日本は地震が多いからダメでしょう」と決めつけるのではなくて
これまでの研究を我々も把握して、分かりやすく説明する必要がある
合意の仕方も「プロセスの透明性」が非常に重要で
世耕大臣が今、フィンランドに視察に行っていて
どうしたら、いいコミュニケーションがとれるのかも含めて
対応が遅れた分、他国にちゃんと学ぶことが大事
伴:
これを「地域エゴ」だと片付けるのは間違いで、
お金でその地域を売るのかという意見が多かったし
みんなその地域の自然環境を愛している「郷土愛」
これを受け止めて議論を進めないといけない
水野:
今後も「地層処分」を進めるのであれば、信頼が大切
事業者と自治体の間も信頼がないと進められない
本当にその「覚悟」があるのかというのを問いかけている
ヨーロッパでは、事業者の専門性が高くて、自分たちが研究施設を運営して
そこで掘って調べて、住民を呼んで「見てください」と、顔が見えるので信頼関係が生まれる
それに比べて日本の組織は、「原子力発電環境整備機構」って知ってました?
職員の半分くらいは出向 取材に行くと担当者がコロコロかわる
出向でなく転籍にするとか、それくらいのことはやってくださいと
近藤:
「覚悟」は私の大好きな言葉です
私は福島の事故の後にこの職務を引き受けたが、あの事故で原子力関係者の信頼は失墜しました
私は「もう裸一貫です」と言ったんです
ここで時間切れ
まあ、この議論もあと100年くらいは続くか?
その前に、原発を停止して、自然エネルギーにかえたらどうか?
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なぜ広がる なぜなくせない "核兵器"ってなんだ!?
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近藤 駿介さん 原子力発電環境整備機構(NUMO)理事長
竹内 純子さん 国際環境経済研究所 理事・主席研究員
伴 英幸さん 原子力資料情報室 共同代表
水野 倫之 NHK 解説委員
ゲスト:
カンニング竹山さん(タレント)
三田 寛子さん(女優)
グラフィックレコーダー:山田 夏子さん
【内容抜粋メモ】
4つに色分けした地図
街でこれが何を表すか分かるか聞くと
「降水量の多い地域」「なにかの生産量が多い」
正解は、先月、国が発表した
高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する「科学的特性マップ」
「核のゴミ」
原子力発電では、電気を作った後、極めて高いレヴェルの放射線を出す廃棄物が残る
ヒトが近づけばすぐに死ぬ危険物
地図で緑色:火山や活断層がないなど、科学的に見て処分場の候補地となり得る場所 国土の2/3
国はこの地図を見て、検討したいとしている(福島も含まれてるんだ
「やがて関心を持つ地域があらわれることを期待する」
Q:もし自分の住む地域になったら?
「普通にイヤだ」
「そういう場所がないと困るんでしょうけど、家の下とかになると断りたい」
「核を利用して生活していることを考えると、協力せざるを得ないのではないか
僕が断っても誰かが請け負わないといけない」
私たちの生活が便利になるとともに増え続けてきた「核のゴミ」
東京23区内も塗られている箇所がある(首相官邸の横とかは?
電気はなくてはならないもの
火力発電、風力発電などさまざまあるが「核のゴミ」が出るのは原子力発電所だけ
●原子力発電所でどう電気をつくっているか?
1.「核燃料棒」でお湯を沸かす
2.お湯を沸かした熱で蒸気を出す
3.蒸気でタービンを回す
4.タービンを回して電気をつくる
「核燃料棒」
核を燃やしてものすごく熱くなる
原料は、山からとる「ウラン鉱石」を加工する
最小単位は、高さ1cm×直径1cmの「ペレット」
これ1個で一般的な家の8か月分の電気がまかなえる
この「ペレット」が「核燃料棒」1本の中に300~400詰まっている
●「核燃料棒」の寿命は4年ほど(短い/驚)→「使用済み核燃料棒」となる
まだまだ高温で、放射線量がものすごく高いので、空気に触れないよう水を張ったプールに保管している
東日本大震災で事故が起きた福島第一原発では、一時この「使用済み核燃料棒」を冷やすことが不能になった
もし、これが空気に触れつづけて溶けだしたら、放射能汚染はもっと広い範囲に拡大した可能性があった
この「核燃料棒」は、現在、日本に1万8000トンある
日本で原発が動いて51年目 その間にたまり続け、処分できなかった
国は原発を動かす際、「核のゴミ」が出るのは分かっていたが、どうするかは決められなかった
(その間、どこに置いておいたの? それぞれの原発内?
世界中の専門家は警告を発していた
私たちの生活からなるべく遠ざけた所でないとダメだと、いろんな案が出た
1.海底に捨てる→環境に不安があり条約で禁止された
2.南極の氷に埋める→同上
3.宇宙に捨てる
→ロケットの打ち上げ失敗など100%の安全保障が出来ない
もし失敗したら世界規模の被害となるので現実的ではない
4.地中に埋めるのが今の世界の主流「地層処分」
日本の計画 「再処理工場」を造る
青森県に今建設中(!)で、「使用済み核燃料棒」の一部を一時的に移動
まだ使える物質を取り出してもう1回使う「リサイクル」→ゴミの量も減る
まったく使い道のない「液体」が残る→ガラスにまとめたものを「核のゴミ」と呼ぶ
毎時間1500シーベルトの高い放射能レヴェル
実物大をスタジオに
田中アナ:
仮にこれだけ近づいたら、ケースに入っている状態でも20秒以内に死ぬ
私だけではなく、周りにいる人たちも それだけ危険物質
これが、今、日本に2万5000本ある
地中に埋めても危険 「地層処分」
東京タワーが入るほどの300m地下に埋める案
日本にはリスクがいっぱいある
「活断層」「火山」を避けても、日本には「地下水」が豊富にある
「地下水」が「核のゴミ」に触れて、汚染された水が地上に上がり、生活用水になったら危険
「地層処分」の方法
1.厚さ20cmの金属で覆う(薄くない?
2.水を通さないよう厚さ70cmの粘土で1本1本覆う
3.その上に土をかぶせる
これで地上に漏れないだろうと考えられているが、まだ試したことはないので分からない
「核のゴミ」が電気を生み出す前の放射線量に戻るのには、10万年かかると言われる
ちなみに10万年前は、ホモサピエンスの祖先がアフリカにいて、世界に行こうかなとしていた頃
国は15年前から、全国の各市町村に「これをどこかでやってくれませんか?」と聞いた
埋められるか調査の段階で「交付金として20億円出します」と言ったが
今のところ、どこも手をあげていない
これ以上待っていてもダメだということで、国は先月マップを発表した
緑色は、これから「地層処分」が出来る可能性のある地域
こうしている間も、電気を使うと「核のゴミ」は出続けている
●51年前に「核のゴミ」のことをなぜ考えなかったのか?
近藤:
1970年頃から日本はこの問題について研究開発を始めた
高レヴェルもあるが、「低レヴェル」については冷やす必要がないのですぐ処分できる
青森県六ヶ所村に処分場ができていて、毎日運んで処分している
だが、「高レヴェル」は大体40~50年冷やさないと地下にもっていけない
1990年くらいから、日本も「地層処分」に決めて
2000年に「原子力発電環境整備機構」をつくって、
電気料金から処分する費用をいただく制度も整備して(そうなの?
2002年くらいから「処分場はこんなものだ」「安全性」「リスク」があるけれどもどうですかと呼びかけた
まず、地下の調査をしなければならないと、日本全国の自治体に申し出て、待って、1ヶ所から手はあがった
伴英幸さん(あれ、「ビッグイシュー」に載っていた人だ:
・「福島県で山林火災 セシウムが飛散」@ビッグイシュー
・メルトダウンした2号炉の炉内調査実施@「ビッグイシュー日本版」
埋め戻して10万年安全だというけれども、いずれ漏れてくるのは避けられない
それを「なんとかなるんじゃないか」と安易に軽視していて、発電して売るほうを優先している
原子力は国策という意味が強いので、
電力会社も「国策だから、ゴミは政府でなんとかしてくれないか」という安易な気持ちがあり
政府は「いや、発電所の責任だよ」とずっと噛み合わずズルズルと今日まで来ている
竹内純子さん(元・東京電力社員):
経済優先というと「お金が先?」と聞こえてしまうが、国民の生活を優先させた面がある 他国も同じ
お湯をつくるのに「火力発電」もある それは石油、石炭、天然ガスという地下資源を燃やして蒸気をつくる
日本にはそれらの資源がない 他国の資源に依存するのは、エネルギーのライフラインを他国に握られるので
「原子力発電」を使わざるを得なかったことを一方的に否定することは出来ないと思う
(石油、石炭、天然ガスももうすぐ尽きるのでは?
竹山:これからも電気を使うとゴミは出る その議論が必要
伴:量を確定する必要がある
三田:お手本になる他国の例はない?
<プレゼン2:世界はどうしてる?>
今、原発が動いているのは30カ国以上の国や地域にあるが、「地層処分」を実際行っている所はない
正式な場所は決まった
フランス
いろんな候補地があり、紆余曲折した
1980年代から国が勝手に調査を始め、地元住民から大変な反発を受けて
透明化などの改善を経て、去年、ビュール村に絞りこみつつある段階
ここまで費やした時間は30年
ドイツ
「ゴアレーベン村の地質は安全です」とずっと国は言っていたが
まったく同じ地質の違う場所で「地下水漏れ」が起きていたことを
政府が10年以上隠していたことがバレたため、村民の激しい反発があり白紙撤回になり
30年と2000億円の損失となった
竹内:
ドイツはまだ十数%の原子力発電を稼動していて、廃棄物処理でもモメている
地下に埋めるまで10年かかるということが、問題を先送りにしてきた理由の1つ
日本は今どの段階?
水野:
地図が出ても、事業が終わるまでには100年かかる事業
今は「準備段階」で、ようやくスタート地点にいる
ほかの国にも取材に行ったが、この問題に対する「覚悟」が違っていて
原発を運転したら、ゴミが出る その処分なしには原発は運転できないと
かなり早くから準備を進めてきた
紆余曲折ありながら、ようやく30年経って、あの段階まできた
日本は主要国の中では一番遅い
近藤:
ちょっと遅かった 2000年時点で20年遅れていた
私どもの組織をつくり、「文献調査」をさせてくださいと手紙を出して
最後は自治体が決めるしかない 充分時間をとって考えようとした
竹山:
20億円もらって「調査だけならいいですよ」てゆって
「完璧ですね、ここの土地」てなったら、住民の反対が出ても止められないのでは?
近藤:
それは民主主義で、私たちが介入するのではなく、自治体に決めていただく 憲法の地方自治に基づいている
私たちは、調査のために、そこに本社を移して、家族ごとそこで生活する
社会インフラの整備もするし、ウィンウィンの関係になるよう努力する
<FAX>
宮城 40代女性:
「地層処分」という言葉を初めて知った
今、日本は想像もしなかった自然災害が大きい中、本当に大丈夫?
東京 60代男性:
今のところベターな処分方法だと思う 残念ながら危険性の余地は残るが、100%の安全を考えたら何もできない
(高齢者にとっては関係ないって感じか 原発も、このくらいの年代がわんさか造っていったのでは?
「裕福な自治体に交付金が出るのはちょっとイヤだけど・・・」
「東京都心に置くのが一番いい 一番電気を必要としているから」
田中:「分かっているけれども、自分の所はイヤ」という声が多い(最初に戻ったね
竹山:1ヶ所じゃなきゃダメなの?
近藤:
今は1ヶ所で考えている 1本1本いろんな所に埋めるのは大変なコストになってしまう
計算したら、4万本以上埋める場所を選ぶと、1本あたりの処分の費用と変わらないので
4万本以上処理できる場所がいいなと思っている
地下の広さとしては3km×3km それほど大きな場所ではない
地下に坑道を掘る 地上は1km×2kmほどの粘土で覆う場所をつくる
三田:例えば無人島とか、人が住んでいない場所を買い取って開拓するのはどうか?
近藤:
全国どこも所有権がある 誰かの同意を得なければならない
水野:
問題なのは安全性
ヨーロッパの2ヶ所を見ても、20億年前から岩盤がまったく変わっていない
日本では岐阜県とかで残っているが、約7000万年前 その安定度が違う
ヨーロッパはほとんど地震もない 活断層などの心配がない
(地震国だと分かっているのに、どうしてこんなに造っちゃったのかねえ
岐阜も見たが、一番の違いは、地下水が小川のように流れている(自然が豊かってことだ
「大丈夫なんですか?」と担当者に聞いたら
「安定した岩盤を掘ったので、トンネル工事などでは当たり前のこと」
そういうことを、私たちのような素人にも説明してくれているかというとそうではない
伴:
地下深いところの水の流れはよく分かっていない
本当は、もっと深い所の水の調査をずっと続けなきゃいけない
岐阜も、はじめからそんなに水が出ることが分かって掘ったわけじゃない
掘ってみたら、こうだったというわけだから 決める前にもっと調査が必要
近藤:
なぜ地下かというと、地上での災害や戦争などの影響が及ばない(戦争が起きる前提なんだ
地上の10万年はとんでもない変化が起きるが
スイスの友人いわく「地下は安定している」
放射能は地下水に溶けて地上に出るから、地下水のスピードは私たちも注目している
三浦半島で地下水の水質を調べた 500mほどボウリングで掘り、水を調べたら
水の年代が100万年以上古い うちの連中は700万年前の水だと言う
もっと上の浅い場所の水はもっと若い 500mまでいくと地上の影響は及んでいない
そういうことを調査して場所を決めたいというのが、私どものアイデア
<FAX>
東京 60代男性:
処分場が必要なのは分かるが、自分の住む地域には絶対反対 総論賛成・各論反対です
この意見が一番多い
竹内:
地域の声を無視して進めると、振り出しに戻ってしまうのはドイツ、イギリス、アメリカでも経験している
私も岐阜県の「超深地層」の水がどう動くのか研究するのに行ってみた
「日本は地震が多いからダメでしょう」と決めつけるのではなくて
これまでの研究を我々も把握して、分かりやすく説明する必要がある
合意の仕方も「プロセスの透明性」が非常に重要で
世耕大臣が今、フィンランドに視察に行っていて
どうしたら、いいコミュニケーションがとれるのかも含めて
対応が遅れた分、他国にちゃんと学ぶことが大事
伴:
これを「地域エゴ」だと片付けるのは間違いで、
お金でその地域を売るのかという意見が多かったし
みんなその地域の自然環境を愛している「郷土愛」
これを受け止めて議論を進めないといけない
水野:
今後も「地層処分」を進めるのであれば、信頼が大切
事業者と自治体の間も信頼がないと進められない
本当にその「覚悟」があるのかというのを問いかけている
ヨーロッパでは、事業者の専門性が高くて、自分たちが研究施設を運営して
そこで掘って調べて、住民を呼んで「見てください」と、顔が見えるので信頼関係が生まれる
それに比べて日本の組織は、「原子力発電環境整備機構」って知ってました?
職員の半分くらいは出向 取材に行くと担当者がコロコロかわる
出向でなく転籍にするとか、それくらいのことはやってくださいと
近藤:
「覚悟」は私の大好きな言葉です
私は福島の事故の後にこの職務を引き受けたが、あの事故で原子力関係者の信頼は失墜しました
私は「もう裸一貫です」と言ったんです
ここで時間切れ
まあ、この議論もあと100年くらいは続くか?
その前に、原発を停止して、自然エネルギーにかえたらどうか?
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なぜ広がる なぜなくせない "核兵器"ってなんだ!?