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『ブタがいた教室』(2008)

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原作:黒田恭史『豚のPちゃんと32人の小学生』(ミネルヴァ書房刊)
監督:前田哲
主題歌:♪花のように 星のように/トータス松本

出演:
妻夫木聡 星先生
田畑智子 池沢先生
池田成志 小鷲先生 体育
清水ゆみ 音楽教師

ピエール瀧 榎木伸哉の父
近藤良平 太田雄馬の父 肉屋さん

原田美枝子 高原校長
大杉漣 仁科教頭

大沢逸美 松原菜野花の母
戸田菜穂 甘利花の母


▼あらすじ(ネタバレ注意

【4月】

星:
みんなで1年間ブタを育てて、最後に食べようと思います
食べなければ生きていけないことを体で感じてほしい

「飼いたい!」

「可愛い!



校長:鶏じゃダメなんですか?
教頭:そのほうが手間がかからない
星:命の大切さを体感してほしいんです!

校長:父兄の確認をとる、近隣に迷惑をかけない、児童の安全を守る
星:ちゃんと計画してます
校長:覚悟があるなら進めて結構です




日曜日に学校に来て、まず小屋を手作りする生徒たち
体育用具を勝手に使って怒られる 校長に校庭使用を認めてもらう



コブタに名前をつけたいという生徒
星は反対するがPちゃんと決まり、小屋に移す

教頭:名前などつけて先が思いやられるな いい授業になるといいですね


飼育当番は給食室から残飯をもらってPちゃんにあげる

Pちゃんが逃げて、動物が苦手なハナ(転校生)が捕まえてから好きになる




【5月】

別のクラスの生徒が育てたトマトを食い荒らしているPちゃん
教師:トマトも命あるものですから以後気をつけてください



すっかりPが好きになるハナ 世話をして、声をかける
家では母と2人で暮らしている Pちゃんの話で盛り上がる



肉屋の生徒は、父の仕事を複雑な気持ちで見つめる



残飯じゃなくスーパーでトマトを買ってくる生徒もいる

教頭:鳴き声がうるさいと他のクラスから苦情が出てます!
教室で歩かせることにする(ブタさんだって、寂しいんだよ

校庭でPちゃんとサッカーしたり、音楽でいっしょに歌ったり
クサイ糞の掃除を嫌がるコ、全然平気なコ→糞は校庭のトイレに流す



家に帰ってもPちゃんの話ばかり
母親:女の子にブタの世話をさせるなんて、ママが先生に言ってあげるから


【保護者が来る】



「膝をすりむいたんですよ」→一緒にサッカーをして擦りむいた

「服が臭くて、ほかの洗濯物と洗えない」

「学校に勉強しに行ってるのか、ブタの世話に行ってるのか」

「そもそもブタを食べるのは残酷・・・」

(まず、大人の再教育が必要だね

星:豚肉を食べるのは残酷ですか?

母親:
星先生は新人でお若いから、やっぱり6年生をみるのはムリじゃないでしょうか?

校長:
保護者の気持ちはよく分かりました
1つお伺いします 子どもたちは不満を述べていますか?

学校の授業は、先生と生徒の信頼関係で成り立っています
それを肌で感じて飼育に賛成したのだと思います

私は信じたいと思います
みなさんたちもお子さん、お子さんを信じている星先生を信じてくれませんか?


給食のおばさん:夏休み中はどうするんですか?

残飯集めに困る星

ハナはPを袋に入れて外に連れ出す
みんなで探して、怒るが、事情を聞くと
「みんなで散歩させてました 小屋ばかりにいたらノイローゼになるから」

リードをつけて散歩させる
星:ブタはとても神経質だから、環境が変わると病気になるかもしれない
ハナ:やっぱりPちゃん食べちゃうの?


【明日から夏休み】

(Pちゃんの周りで花火もどうか? でもとっても大切な時間

具合悪そうなP 獣医さんに診てもらう
獣医:風邪はブタにとっては大変 死ぬこともある




【9月】

元気になって、太ったPちゃん

小鷲:美味そうに育ってきたな!

給食の肉が食べられなくなった生徒

「オレ、一生豚肉食えねーよ」

「オレは、食いたい」


【卒業まであと149日】

ほんとに大きくなったPちゃん! 冒頭のシーン



「Pちゃんを食べるか食べないか」について話し合う

星:
この話し合いには正しい・間違ってるはありません
いろんな意見があっていい 正直な気持ちを話し合ってください

「仲間、ペットだから食べたくない」

「4月に連れてきた時、食べるって言ったんだから食べたほうがいい」

「食べようという約束だったから」

「なにもPちゃんを食べることはないと思う」

「感情が変わったから食べないほうがいい」

「そんなことなら最初から飼わなかったほうがいい」

「先生はどう思うの?」

星:食べる気持ちに変わりはないです

「Pちゃんを食べたら、自分の体の一部になる気がする」

「食べたほうがPちゃんのためになる ブタは食べられるために生まれてきたから」

「それは人間が勝手に決めたこと」

「可哀相だけど、みんな肉を食べるからPちゃんも同じ」

「Pちゃんはペット」

「Pちゃんだけが可哀相で、他の動物は食べられるっておかしくない?
 他のブタを食べて、Pちゃんを食べないのは差別 贔屓」

「一生懸命育てたPちゃんと、他のブタは違う」

「みんな同じ命」

「食べるほかの選択肢はないんですか?」

「じゃあ、食べないという人は、今後どうするつもり?」

「この学校で飼い続ければいいと思う」

「最後まで面倒みる約束だったのに、他の人に預けるのはどうか」

「最後までっていったら寿命まででしょ?」

「卒業したらPちゃんは一人ぼっちになっちゃう」

「殺すってことと同じなの分かってんの?」

「殺すなんて言ってない」

Pちゃんも聞いてることに気づくハナ


星は、生後1年のブタの引き取り先の肉屋を探すがみんな断る

(なぜ? 安全性のため? 味が落ちるから?

肉屋の父親:
父ちゃんがさばかなくていいのか? 情がうつって食えなくなったか?
オレも子どもの頃、こいつらは鬼かと思ったよ
でも、ちゃーんと美味いんだよ 臭みをとって食べやすく柔らかく煮込んだりして
何もムダにしない ムダにするのは野蛮だって鬼がそう言ったよ

それぞれの家でも家族と話し合う

「あんなに大きくなると農場では引き取らないんだって」

「世話をしてないお母さんには分かんないよ!」


ハナは外が嵐でPちゃんが気になる
風雨にさらされてるPちゃんが、想像の世界で羽根が生えて空を飛ぶ

それぞれの家で一人で考える生徒たち





(自分で考えるって大事
 みんなで話し合って意見の違いをぶつけるのも大事
 Pちゃんのことだけじゃなく、あらゆることを1つずつ、そもそもの根っこから

星は風雨に屋根が飛ばされないよう、小屋の上にブロックを乗せていると生徒も来る

伸哉の父:(瀧さん!


こいつ(息子)、魚が苦手だけど、最近食べれるようになった
魚の身がかたいのは頑張って生きていたからだって話した
それをムダにするなって
前はこんな話しても素通りだったけど、先生とブタのお蔭じゃないですか

「伸哉の家に一時避難させる」と言いつつ、星の自宅にいるPちゃん


小屋を強化してXMASの飾りつけかな? それを見る校長



ハナはPに手作りのマフラーをしてあげる
トマトをXMASプレゼントする男子


【新年】

校長まで小屋に布団を敷いてる

「年々時が経つのが早くなってる
 私も小さい頃にブタを飼育してみたかったなあ」

星:僕は子どもたちに残酷なことをさせているのかも

校長:生き物と真剣に向き合うのは残酷ですか?




【2月】



もう一度話し合う

「下級生に引き継いでもらう」

「動物園に入れたら?」

「食肉センターに送るしかない」

生徒たちは、下級生に世話の仕方を教え始めるが、なかなかうまくいかない

「3年生はムリだって!」

「少しずつ教えてあげれば問題ない」

「あんな大きなPちゃんを、ちっちゃな3年生に預けるのは危険」

「あいつらが卒業したら、また引き継げばいい」

「3年生に押し付けて逃げてるだけじゃないの?」

「自分たちで肉にするのが責任では?」

「可哀相て言ってても何も解決しない」

「今、食肉センター連れていく」

「飼えなくなったペットを保健所で処分するのと同じじゃん」

(保健所では、毎日無数に殺処分されているからねえ・・・


星:あと7日だぞ どうするんだ?

多数決をとると
3年生に引き継ぐ 13
食肉センター連れていく 13

「食べるという意見の人は、自分で殺して、さばいて食べてください それが責任じゃないですか」

(私はこの意見に近いかな 食べたい人は、自分で捕まえて、さばく
 なんたらセンターや、流通、スーパーなどで食べ物を大量に、機械で自動的に扱うようになってから
 いろんな食べ物のルーツが見えなくなって
 私も含めて、みんな命の重さが体感できなくなったんだと思う
 “肉もたんぱく質として必要だ”じゃない未来はある

賛成・反対13人のグループに分かれて話し合う

「好きなら、自分たちで決めるべき」

「最初から飼ったなら、最後まで飼うのが責任」

「1週間じゃ教えるのには時間が足りない」

「卒業してからも教えに来る」

星:先生は正直3年生が世話をするのは危険だと思う

「これからもっと大きくなる 私たちでは世話できない」

「もし、Pちゃんがお肉になって出てきたら私は食べます」

「野菜だけ食ってたらヒョロヒョロになるよ」

「Pちゃんもいつか死ぬ」

「ブタは普通、半年で食肉になる Pちゃんは充分長生きした」

「殺すのと食べるのは違う 食べるのはその命を受け継ぐことなんだ」

(星野道夫さんは、この意見かな 生きるために生き物を殺す必要がある民族もいる
 でも、敬意を払い、畏れ、また恵みをもたらしてくださいと祈る

「星野道夫さんまとめ」

「だってしょうがないじゃん ほんとのこと言ったら食べたくない
 自分たちで始めたんだから、自分たちで終わらせるのが責任だと思う」

とうとう泣きはじめる生徒
みんなも泣き始める





ハナ:命の長さって誰が決めるんですか?

星:誰も決められないと思う

ハナ:でも、今その話し合いをしてる

「食肉センターで食べられるなら、みんなで食べたほうがいいと思う」

「3年生が4年生になった時に、今みたいに悩んで分かってくれると思う」

「もし3年生にすぐ食べられたら悲しい」

「殺すじゃなくて卒業と考えたらいい」

「同じようにPちゃんもみんながいなくなったら寂しいから一緒に卒業すればいい」

「センターに送ったら姿も見えなくなるんだよ!」

「見えなくなっても心に残るのが一番大切」

「農場の人たちも自分たちのペットみたいに思っているのでは」

「食べるのはムリ」

(命についてここまで考えたことは、これまでないだろうね 大人も
 どんな命にも心があるんだ

ハナ:私はPを1日でも1秒でも長生きしてほしいです


【卒業まであと6日】

Pちゃんがいなくなった 探しに行く生徒たち(危険を悟って逃げた?

友だち同士でも話し合い、ケンカになる男子

ハナ:Pちゃんは食べられるためだけに生きているの? みんなは何のために生きてるの?

保健所職員?が網で捕らえているのを止める 「僕らが育てたブタなんだよ!」



(野生でもペットでも、街中にいると、すぐに通報されて殺しちゃう大人の暗黙のルールがあるんだね


校長・教頭に謝る星

教頭:星先生の判断は?

星:
食肉センターに送るか、3年生に引き継がせるか、子どもたちの判断に任せようと思っています
僕が敢えて話し合いに加わらなかったから、子どもたちが自主的に考え始めたと思う

(敢えてオブザーバーの立場をとったんだね

校長:
これは最初から成功か失敗かを問われる授業ではなかった
しかし、子どもたちがどんな結論を出したとしても
最終的な決断は星先生自身が負うべきです
それが教師としての責任ですよ




黙ってしまう生徒

星:もう何もないか? 考えて、その結果はこれですか? あと3日ですよ

(進学問題よりずっとずっと大事だね

「もう一度投票がしたい」

星:それがどちらになろうとそれが結論でいいですか?

1人ずつ無記名で紙に書く 周りも気になる

(人がどう思うか、自分がどう思われるか気にするコもいるしね
 これは国の選挙より大切かも



3年生に引き継ぐ 13
食肉センターに送る 13

(答えはこの2つに絞られるのか? さすがに自分らで屠るのはないのね

「星べえの1票が入っていない」

「先生の1票も必要だと思う」


ケンカした2人は仲直りする

夜中まで1人で考える星
ブタに羽根が生えた絵を見つける

池沢先生:
校長先生にも相談して、3年1組で引き継ごうかと
今度は4年生になるから、やれないことはないと思う
保護者の方に理解していただくために計画を立てたので見てください



(なぜ同じ6年生でなく、3年生なんだろう???


【最後の日】

Pちゃんの前で話す星

星:
食肉センターに連れていくことに決めました これが先生の最後の1票です

最初に連れてきた時は不安だった
臭いとか、面倒とか、嫌がるんじゃないかって
でも想像以上に頑張ってくれた
1人ひとりの想いはほんとに・・・みんな頑張った ありがとうね/泣


3年1組に行って、説明する生徒たち
「話し合って、Pちゃんは違う所に行くことに決めました」

「どうして僕たちじゃ飼えないんですか!」

「みんなで悩んで決めたから ごめんね」

(年齢に関係なく、学校にあんな可愛い動物がいたら飼いたくなるよね
 それもヒトのこころの一部

最後にPと遊ぶ生徒

池沢先生:私では力不足ですか?

星:
いえとんでもない
子どもたちは精一杯考えたし、もうこれ以上頑張らなくてもいいんじゃないかなと
最後の判断は、僕の教師としての判断です


【卒業式】

♪辛いこと乗り越えて いつか見えてくることがあるよ~
 
(スマイルアゲイン~ て笑顔で歌ってるけど
 こんな歌、思い出して泣いてしまうな、私なら

食肉センターのクルマが迎えに来る 全身で嫌がるPちゃん
1人ずつ大好きなトマトをあげる Pも美味しそうに食べるなあ!
みんなまた泣く




***

これでおしまいって・・・

これも学びの一貫か
本当は工場まで行って、流れ作業で大量に屠殺されているのが現実
1つ1つの食べ物の一連の成り立ちを見るほうがいいのでは

エンドロールでは笑顔で卒業証書をもらう生徒たち
せめて、この思い出だけは忘れないで欲しいな

社会に出たら、働くこと、自分が生きることで精一杯になって
ほかは全部後回しな大人にならずに

追跡調査も見たい
みんなハンバーガーやら美味しそうに食べたり
大量に残して捨てたりしてないだろうか?


今の「弱肉強食」の時代の答えはコレってことか

未来は絶対違ってる

「もうこんな気持ちは二度とごめんだ」と本気で思って
子どもたちが新しいルールを作って、変えていけばいい

『屠場』(平凡社)



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