【THE BIG ISSUE VOL.318】
【内容抜粋メモ】
川内博さん:
1949年 佐賀県生まれ 都市鳥研究会代表 『大都会を生きる野鳥たち』ほか著
<土田朋水さん著>
近年、東京などの街中に、これまで自然度の高い環境に棲んでいた鳥たちが生息し増えているという
ヒヨドリ、コゲラ、カワセミ、チョウゲンボウ、ツミ、オオタカなど
川内さんは“都市鳥”と名づけ「仕方なくではなく、好んで暮しているのではないかと思われる」と言う
●島状に残された東京の照葉樹林「緑島」は“都市鳥”のサンクチュアリ(聖地)
40年以上にわたり“都市鳥”の研究をしている川内さんと
明治神宮を歩いていると、アオサギ、クロジ、カワセミもいるという
川内さんは毎月「小石川植物園」などで観察会をするうちに
東京の緑の多くが島状に残っていることに気付いた
川内さん:
かつては「池袋にはドバト、スズメ、カラスしかいない」と言われていたが
今は本当にたくさんの種類がいる
ヘリで上空から見ると、シイ、カシ、クスといった照葉樹の森が公園や神社として点在している
私はこれを“緑島”と名づけた これは“都市鳥”にとってサンクチュアリなんです
●ヒトが敵ではなくなった ~「冬鳥」から「留鳥」へ
1960年当時、「ヒヨドリ」はひと冬を過ごして、4月にいなくなる典型的な「冬鳥」だったが
1970年代には1年中いる「留鳥」になった
マンション6階のベランダの植え込みに巣を作ったそうです
1955年頃から盛んになった「野鳥保護運動」により、市街地で狩猟禁止となり
個人の庭先に「給餌台」が増えた
庭木、街路樹に実のなる木、蜜の出る樹木が選定され
「ツバメ」などが「可愛い」「守ってあげたい」という意識を持たせ
ヒトをガードマンのようにして子育てするスタイルをとりはじめた
(実家の玄関にも毎年巣を作って、ヒナにエサを持ってきて育てる姿は可愛いけど
下に落ちる糞の量もすごくて、なかなか落ちないって親が言ってたっけ
●“都市鳥”を本格的に研究するため、川内さんらは1982年「都市鳥研究会」を設立
プロアマ問わず約150人が情報交換などを続けてきた
「炭鉱のカナリア」
野鳥は、ヒトの五感で捉えられない複雑な環境の変化をいち早く知る手がかりになると言われる
川内さんは「野鳥は、ヒトの心、社会の動きまで反映する」と言う
川内さん:
「ムクドリ」は、戸建ての2階の戸袋にたくさん営巣するようになった
子どもが家を出て、夫婦だけになり、2階を締め切り、「少子化」「核家族化」を反映したもの
●東京オリンピックに消えた 時代の流れを象徴する「カワセミ」
川内さん:
1964年までは、都心の池や小川に生息していたのが記録にある
それが1964年に消えた
1964年 東京オリンピックが開催
日本中で開発が行われ、とくに東京周辺は湿地が埋め立てられ
小川は三面コンクリート張りの「開水路」になった
小魚、エビを食べ、土の崖に穴を掘り営巣するカワセミは居場所を奪われた
1980年 カワセミは少しずつ戻りはじめた
理由は、経済最優先のもと無制限に撒かれた「農薬」「排水の水質」が規制され
多摩川などが浄化され、カワセミの餌が増えた
1990年代 「オオタカ」「ツミ」など猛禽類が都心部に営巣を始めた
猛禽類は、食物連鎖の頂点にいるから、豊かな生態系がある証となる
2000年代~ 「エナガ」
2010年代~ 「キビタキ」が繁殖期に定着
現在、東京の緑島では50種類以上の鳥が暮らし、
通過するだけなら年間100種類以上いるという
東京以外の都市部でも、磯にしかいなかった「イソヒヨドリ」、「ハヤブサ」も現れた
“都市鳥”が増えた要因の1つは、東京に関して言えば「森の街」になったこと
(猛禽類はカッコよくて好きだなあ バタバタと飛ばず、風を読んで滑空する姿も優雅
●増えすぎているのは「ムクドリ」 ~糞害、騒音問題
有効な対策がなく悩んでいる
元祖・“都市鳥”ともいえる「スズメ」「ツバメ」は減り続けているのが心配される
スズメは1/4になったとも言われる
理由は、屋根瓦の家が減ったこと
ツバメの作る泥の巣は、ピカピカの外壁のビルにはくっつかない
●逆に、山から鳥が消えた?!
奥多摩のような森深いところにある「オオタカ」の巣と、東京都心部の巣が同数くらい
渡り鳥も水辺に全然いないため、「国際鳥学会」で日本は話題にもならなかった
郊外より都心に多いのは歪だが、理由は分からない
<川内さんが選ぶ 都市鳥ベスト5>
[石井綾子さん著]
イソヒヨドリ
ここ20年で次々に街中に進出
1980年代頃から、海に面したビル、高層マンションでの営巣が確認される
2000年代頃からは八王子市などでも見られる
本来ヒヨドリは磯にいるはずだが、大陸のイソヒヨドリは岩場に住んでいる
都市にコンクリート造りの建物が増えて、岩場に代わる生息地となった
日本の環境変化を知る上で非常に重要な鳥
オオタカ
猛禽類で、食物連鎖の頂点なので、自然保護運動のシンボル
1990年代頃から「明治神宮」「皇居」などで営巣している
餌となるムクドリが市街地に繁殖しやって来たためと考えられる
以前に比べてヒトに対する警戒心が薄れたこともある
カラスがモビング(捕食者に対して集団で鳴いて追い立てる行動)をしている場所を探すとよい
しかし、オオタカが増えたことで、調査が不十分なまま
環境省が今、オオタカの「保護鳥指定」を解除しようとしている
開発の目の上のタンコブなのでしょうが、これは問題です
コゲラ
1980年半ばから姿を現すようになった
枯れ木に巣穴を掘る特徴があるため、戦前、薪や炭のために常に管理・伐採されていた雑木林にはいなかったが
戦後、石油・石炭にエネルギーがかわり、雑木林が放置されたために増えた
エナガ 日本一可愛い鳥と言われる
2000年代に入ってきた 理由はハッキリ分からない
都心の緑地面積は広がってはいないものの、木は年々生長し、樹高が上がった
巣材となるコケが増え、猛禽類の食べた後に残る羽毛も巣材となるのも要因と考えられる
カワセミ 日本でもっとも美しい鳥の1種 「水辺の宝石」と呼ばれる
1964年の東京オリンピックで完全に消えたが
1980年頃から郊外で目撃され、1990年代には都心部に現れた
今では水辺を半日探索すれば見つかる
清流にいるイメージがあるが、実は少し濁った川のほうがエサが多く捕まえやすいので住みやすい環境
***
「ビッグイシュー日本版 BIGISSUE JAPAN」
“1冊350円で販売。180円が販売者の収入になります。”
[ホームレスの仕事をつくり自立を応援する]
「ビッグイシュー」は、ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として
1991年、ロンドンで始まった 創設者はジョン・バード氏
住まいを得ることは、単にホームレス状態から抜け出す第一歩に過ぎない
[仕組み]
1.販売者は、この雑誌10冊を無料で受け取る
2.売り上げ3500円を元手に、以後は170円で仕入れ、350円で販売 180円を収入にする
[条件]
顔写真つきの販売者番号の入った身分証明書を身につけて売る
このほか「8つの行動規範」に基づいて販売している
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【内容抜粋メモ】
川内博さん:
1949年 佐賀県生まれ 都市鳥研究会代表 『大都会を生きる野鳥たち』ほか著
<土田朋水さん著>
近年、東京などの街中に、これまで自然度の高い環境に棲んでいた鳥たちが生息し増えているという
ヒヨドリ、コゲラ、カワセミ、チョウゲンボウ、ツミ、オオタカなど
川内さんは“都市鳥”と名づけ「仕方なくではなく、好んで暮しているのではないかと思われる」と言う
●島状に残された東京の照葉樹林「緑島」は“都市鳥”のサンクチュアリ(聖地)
40年以上にわたり“都市鳥”の研究をしている川内さんと
明治神宮を歩いていると、アオサギ、クロジ、カワセミもいるという
川内さんは毎月「小石川植物園」などで観察会をするうちに
東京の緑の多くが島状に残っていることに気付いた
川内さん:
かつては「池袋にはドバト、スズメ、カラスしかいない」と言われていたが
今は本当にたくさんの種類がいる
ヘリで上空から見ると、シイ、カシ、クスといった照葉樹の森が公園や神社として点在している
私はこれを“緑島”と名づけた これは“都市鳥”にとってサンクチュアリなんです
●ヒトが敵ではなくなった ~「冬鳥」から「留鳥」へ
1960年当時、「ヒヨドリ」はひと冬を過ごして、4月にいなくなる典型的な「冬鳥」だったが
1970年代には1年中いる「留鳥」になった
マンション6階のベランダの植え込みに巣を作ったそうです
1955年頃から盛んになった「野鳥保護運動」により、市街地で狩猟禁止となり
個人の庭先に「給餌台」が増えた
庭木、街路樹に実のなる木、蜜の出る樹木が選定され
「ツバメ」などが「可愛い」「守ってあげたい」という意識を持たせ
ヒトをガードマンのようにして子育てするスタイルをとりはじめた
(実家の玄関にも毎年巣を作って、ヒナにエサを持ってきて育てる姿は可愛いけど
下に落ちる糞の量もすごくて、なかなか落ちないって親が言ってたっけ
●“都市鳥”を本格的に研究するため、川内さんらは1982年「都市鳥研究会」を設立
プロアマ問わず約150人が情報交換などを続けてきた
「炭鉱のカナリア」
野鳥は、ヒトの五感で捉えられない複雑な環境の変化をいち早く知る手がかりになると言われる
川内さんは「野鳥は、ヒトの心、社会の動きまで反映する」と言う
川内さん:
「ムクドリ」は、戸建ての2階の戸袋にたくさん営巣するようになった
子どもが家を出て、夫婦だけになり、2階を締め切り、「少子化」「核家族化」を反映したもの
●東京オリンピックに消えた 時代の流れを象徴する「カワセミ」
川内さん:
1964年までは、都心の池や小川に生息していたのが記録にある
それが1964年に消えた
1964年 東京オリンピックが開催
日本中で開発が行われ、とくに東京周辺は湿地が埋め立てられ
小川は三面コンクリート張りの「開水路」になった
小魚、エビを食べ、土の崖に穴を掘り営巣するカワセミは居場所を奪われた
1980年 カワセミは少しずつ戻りはじめた
理由は、経済最優先のもと無制限に撒かれた「農薬」「排水の水質」が規制され
多摩川などが浄化され、カワセミの餌が増えた
1990年代 「オオタカ」「ツミ」など猛禽類が都心部に営巣を始めた
猛禽類は、食物連鎖の頂点にいるから、豊かな生態系がある証となる
2000年代~ 「エナガ」
2010年代~ 「キビタキ」が繁殖期に定着
現在、東京の緑島では50種類以上の鳥が暮らし、
通過するだけなら年間100種類以上いるという
東京以外の都市部でも、磯にしかいなかった「イソヒヨドリ」、「ハヤブサ」も現れた
“都市鳥”が増えた要因の1つは、東京に関して言えば「森の街」になったこと
(猛禽類はカッコよくて好きだなあ バタバタと飛ばず、風を読んで滑空する姿も優雅
●増えすぎているのは「ムクドリ」 ~糞害、騒音問題
有効な対策がなく悩んでいる
元祖・“都市鳥”ともいえる「スズメ」「ツバメ」は減り続けているのが心配される
スズメは1/4になったとも言われる
理由は、屋根瓦の家が減ったこと
ツバメの作る泥の巣は、ピカピカの外壁のビルにはくっつかない
●逆に、山から鳥が消えた?!
奥多摩のような森深いところにある「オオタカ」の巣と、東京都心部の巣が同数くらい
渡り鳥も水辺に全然いないため、「国際鳥学会」で日本は話題にもならなかった
郊外より都心に多いのは歪だが、理由は分からない
<川内さんが選ぶ 都市鳥ベスト5>
[石井綾子さん著]
イソヒヨドリ
ここ20年で次々に街中に進出
1980年代頃から、海に面したビル、高層マンションでの営巣が確認される
2000年代頃からは八王子市などでも見られる
本来ヒヨドリは磯にいるはずだが、大陸のイソヒヨドリは岩場に住んでいる
都市にコンクリート造りの建物が増えて、岩場に代わる生息地となった
日本の環境変化を知る上で非常に重要な鳥
オオタカ
猛禽類で、食物連鎖の頂点なので、自然保護運動のシンボル
1990年代頃から「明治神宮」「皇居」などで営巣している
餌となるムクドリが市街地に繁殖しやって来たためと考えられる
以前に比べてヒトに対する警戒心が薄れたこともある
カラスがモビング(捕食者に対して集団で鳴いて追い立てる行動)をしている場所を探すとよい
しかし、オオタカが増えたことで、調査が不十分なまま
環境省が今、オオタカの「保護鳥指定」を解除しようとしている
開発の目の上のタンコブなのでしょうが、これは問題です
コゲラ
1980年半ばから姿を現すようになった
枯れ木に巣穴を掘る特徴があるため、戦前、薪や炭のために常に管理・伐採されていた雑木林にはいなかったが
戦後、石油・石炭にエネルギーがかわり、雑木林が放置されたために増えた
エナガ 日本一可愛い鳥と言われる
2000年代に入ってきた 理由はハッキリ分からない
都心の緑地面積は広がってはいないものの、木は年々生長し、樹高が上がった
巣材となるコケが増え、猛禽類の食べた後に残る羽毛も巣材となるのも要因と考えられる
カワセミ 日本でもっとも美しい鳥の1種 「水辺の宝石」と呼ばれる
1964年の東京オリンピックで完全に消えたが
1980年頃から郊外で目撃され、1990年代には都心部に現れた
今では水辺を半日探索すれば見つかる
清流にいるイメージがあるが、実は少し濁った川のほうがエサが多く捕まえやすいので住みやすい環境
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「ビッグイシュー日本版 BIGISSUE JAPAN」
“1冊350円で販売。180円が販売者の収入になります。”
[ホームレスの仕事をつくり自立を応援する]
「ビッグイシュー」は、ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として
1991年、ロンドンで始まった 創設者はジョン・バード氏
住まいを得ることは、単にホームレス状態から抜け出す第一歩に過ぎない
[仕組み]
1.販売者は、この雑誌10冊を無料で受け取る
2.売り上げ3500円を元手に、以後は170円で仕入れ、350円で販売 180円を収入にする
[条件]
顔写真つきの販売者番号の入った身分証明書を身につけて売る
このほか「8つの行動規範」に基づいて販売している
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