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『ガラパゴスがこわれる』(ポプラ社)

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『ガラパゴスがこわれる』(ポプラ社)
藤原幸一/写真 文

『マダガスカルがこわれる』(ポプラ社)と同シリーズ。

世界遺産第1号に選ばれたことで観光客が増え
→観光客相手の店・ホテルが増え
→島の人口爆発
→ゴミが増え
→大規模な自然破壊が止まらない。

こんな皮肉なことがあるだろうか。


【内容抜粋メモ】

1978年、ガラパゴスは、世界遺産(自然遺産)として世界で最初に登録された。

●ガラパゴスの生き物
グンカンドリ
リクイグアナ、ウミイグアナ
ゾウガメ(体長は1m以上
フィンチ(ガラパゴスにいる13種類をまとめてダーウィン・フィンチと呼ぶ


ロンサム・ジョージ
ピンタ島で1頭だけ生き延びて発見された。今はチャールズ・ダーウィン研究所で飼育されている。
推定年齢80〜100歳。


世界自然遺産に指定されてから、たくさんの観光客が訪れるようになった。
観光客を見込んで、ホテル、レストラン、お土産屋が増え、そこで働く人たちの家ができた。
1975年に3000人ほどだった人口は、30年足らずで10倍近くにふくれあがった。
今のガラパゴスは、世界でもっとも人口増加率が高い地域の1つ。

 
毎日5便以上のジェット機がたくさんの観光客を運んでくる。
観光客の多くは、豪華船に寝泊りしながら島めぐりをする。海は船であふれている。

「最近は月に1度くらい、イグアナと自動車の衝突事故があるよ」

100km/hもの猛スピードで走る車と野鳥の衝突事故が頻発し、見かねた島民は「野鳥注意!」のイラストを道路に描いた。




燃えさかる炎と煙はゴミの野焼き
分別もされず、プラスチックも化学薬品も全部いっしょくたに焼かれている。

 
フィンチは生ゴミを食べに来ている

ガラパゴスキイロアメリカムシクイが巣作りの材料にしているのは、有害物質のアスベストや、ガラス繊維。
生き物はヒトの捨てたゴミと共生させられている。


美しい黄色い花を咲かせるチャコ・デ・チーフォ。
高級リゾートホテルから汲んできたし尿を、し尿処理車がゴミの山に流して、キレイな花畑は、それを肥やしに咲いていた。


ヒトは他の生きものに共存を押しつけているのではないか?


●エルニーニョ
ここ25年間に発生した2回の巨大化した異常なエルニーニョは、
ガラパゴスの海水温度を10度以上も上昇させ、1年以上も続いた。
それは、ウミイグアナや海鳥たちを大量に死に至らしめた。



漁船やヒトにエサをねだるグンカンドリ

海鳥のエサになる魚が減って→海鳥が減った
→海鳥のエサを奪っていたグンカンドリはヒトにねだることを覚えた。


●アシカのコロニーの崩壊


餓死で死んだばかりの赤ちゃん

エサ不足でより遠くに遠征するアシカの親も衰弱して死に、
親の帰りを待つ赤ちゃんにも大雨が降りそそいで息絶えてしまう。

エルニーショ現象の巨大化には、地球温暖化が影響していると言われる。


●失われる原生林
かつて数十万haあった原生林が、今ではわずか150ha残されるのみ。

ガラパゴスの原生植物は550種類、ヒトの出入りに伴い800種以上の外来植物が入ってきた。
生命力の強い外来種は、エルニーニョの雨の力も借りて、あっという間に生育域を広げていった。

大陸の植物や昆虫のほか、病原菌までが凄まじいスピードで侵入している。


●植林などの活動



著者は16年前から、現地の人と協力して、スカレシアなどの原生種の植林を進めてきた。
わざわざ日本からツアーで来て参加してくれる人もいる。

ヒトが壊したものを元に戻すのは、ヒトしかいない。

ヒトは、自然を元に戻すためのアイデアや技術をもっている。
ヒトの知恵が自然を壊す時代はもう終わった。
ヒトの知恵を、自然を元に戻す方向に使う時代がもう来ている。


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