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『ふゆねこさん』(偕成社)

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『ふゆねこさん』(偕成社)
ハワード・ノッツ/作・絵 まつおかきょうこ/訳

本書をどこで知ったのかは思い出せないけれども、xmas本でもあった

表紙の真ん中に鎮座する猫の可愛さは、猫好きにはたまらない素朴さ
子どもたちは「灰色」だとゆっているけれども、茶色では?

一方、夏生まれの野良猫が寒い冬を越えるのが、どんなに厳しいかも伝えてくれる
12匹(!)も猫を飼っている作者だからこその視点だろう

無邪気な子どもたちと、理解のある親がいてくれたお蔭で
家猫になれて、最後はホッとする

気持ちよくてゴロゴロゆっている猫に
「いつまで言っているんだろうね」って
猫についての知識は何もないんだなあ

でもこれで「うちねこさん」は、暖かい家の中で
食べ物や寒さに困ることなく、愛情に囲まれて暮らせて本当に良かったねえ

冬の景色をモノクロの線のみで描いているが
寒い冬の外と、暖かい家の中の温度差がハッキリと感じられる

猫目線で進むストーリーもシンプルで心地よい



▼あらすじ(ネタバレ注意

今年初めての雪にはしゃいで庭で遊ぶ子どもたち
茂みの中では野良猫が1匹、寒さに震えている



猫は夏の野原で生まれたため、空から降る白いものが何だか分からない
「ふゆって何だろう?」と考える

子どもたちは晩ご飯に呼ばれて家に入り、雪はさらに激しくなる
「これから、どうなるのだろう?」

古い物置の中から猫は外を見ていると
雪は野原も、家も覆っていく



翌朝は一面真っ白
子どもの1人が猫を見つけて近づくと逃げてしまう
「あれは絶対つかまらないよ 野生の猫だもの」

子どもたちが小川に行くと猫もついていく
「おいで おいで」

猫は子どもたちに声をかけられるのは好きだけれども、そばに来られると逃げ出します



夏はもうずっと昔のことのように思えました
「これが冬なんだ」と猫にも分かりました

冬の陽は早く暮れます
「おいで、灰色のふゆねこさん」

ベランダに置かれた残り物は、ふゆねこにはご馳走です

子どもたちの家からは星のような明かりの見える窓があります
ふゆねこは、物置の棚の上で、夏、駆け回った野原の夢を見ます



「クリスマス おめでとう」
「おまえ、名前が 欲しいかい?」
「お前、おうちが 欲しいかい?」

「うちねこさんって呼ぼうよ そしたら、うちの猫になるかもしれないもの」

猫は子どもたちが前より近くに来ても逃げなくなりました


真冬が来て、ふゆねこは、寒さで体が痛みました

ある晩、大風が吹いて、牧場の柳の木が折れました



「おいで、うちねこさん!」

「うちって何だろう?」 ふゆねこは考えます

子どもたちは、毎日少しずつそばにきます もうすこし・・・


そして、ある日、それはそれは寒くなり、
ふゆねこは、もう野生ではいられなくなりました

そして、ついに子どもたちに体を触らせました
子どもたちの手が毛に触るといい気持ちです
ぐるぐるぐる・・・ふゆねこはノドを鳴らします




ふゆねこは子どもたちに抱かれてうちに入りました
うちの中は、夏のように暖かでした
猫は、うちがどんなものか分かりました
「いつになったら ぐるぐる言うの やめるんだろうね?」




今では自分の寝床も、ゴハンのお皿も、いつも座る特別の窓もあります
そこから雪を見るのです





【ハワード・ノッツ】
アメリカ イリノイ州生まれ
妻と12匹の猫とともに、200年前に建てられた農家に住む







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