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notes and movies(2002.10〜 part1)

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過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回はスカパラベストのチラシが貼ってあるピンク色のルーズリーフからご紹介。
鈴木清順映画を漁ってます。

  

photo1:HEY! HEY! HEY! 公録が当たったFAX。
photo2:友だちが切り抜いてくれたスカパラの新聞記事。
photo3:兄の結婚式に安いスーツ着て行ったw

昔のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


■『ツィゴイネルワイゼン』(1980)

監督:鈴木清順 出演:原田芳雄、大谷直子、大楠道代、藤田敏八 ほか
さらに清順度の濃い〜ヘヴィでディープでデカダンスで?な1作。
今作では、ついにどっちが生きてるのか死んでるのかも分からなくなる。

「オレが先に死んだら焼かずに骨だけにしてくれ。
 その代わりお前が先に死んだらお前の骨をくれよ」

全編に登場する男2人と女1人の芸人も怪しい。
互いに女を狙いつつ、下ネタの歌をうたってお金をもらっているのだが
決闘して殺し合ったのか、生きるために3人で結婚したのか、という真相も不明。

大谷が大量のコンニャクをちぎるのも怖いし、真っ暗な屋敷で赤い灯がついたり消えたりのまるでオバケ屋敷状態。

「オレがまともだったためしはない。それを承知でお前も付き合ってるんだろーがっ!」
逆ギレる妙な男・中砂役の原田の怪演も怖い。

この作品でこんだけ薄気味悪いんだから、TSUTAYAにあった古ぼけた円谷ちっくな
怪談っぽいビデオは夜観たら悪夢にうなされそうと思うと、なぜか笑える


■『くたばれ悪党ども 探偵事務所23』(1963)
監督:鈴木清順 出演:宍戸錠、笹森礼子、川地民夫、星ナオミ、金子信雄、佐野浅夫 ほか
こちらは単純明快なギャングもの。「濱マイク」にも通じる軽快なノリ。
ジャズっぽいサントラはスカパラがやってもハマる。
都内ロケらしいが街並みが今よりずっとハイセンス。ハードボイルド向きな'30NYっぽい!
クラブではチャールストンとか踊ってるし、モダンで粋な空気がみなぎってる。

クラブの女性歌手(元恋人)と♪バカな男だけど惚れてるの〜 みたいな歌を一緒に歌って踊るシーンも楽しい。
「ボスの女はグラマーだって相場が決まってるんだ」
セリフの端々に出てくるカタカナがいい味出してる


■『陽炎座』(1981)
監督:鈴木清順 出演:松田優作、大楠道代、加賀まりこ、楠田枝里子、麿赤児、原田芳雄、内藤剛志 ほか
松田優作がぜひにと申し出た作品。夢と現実の間をさまよう男女の愛憎、想念の世界。
音楽が和洋折衷なのもおもしろい。尺八ドロドロ+ジャズ風。
過去と現実、遠近もフシギと溶け合って、だまし絵を観ているようでもあり、
1人の女が心中を図るに至るまでの劇中劇のような設定でもある。
妖しげな世界を書き続けた原作者の泉鏡花の名はそこかしこで見られるが気になる。

「病院の見舞いに付き合って下さいませんか? ほおずき売りのばあさんが
 “死んだ女の魂だ”と言って気味が悪いので・・・」

「4度逢ったら恋。次会う時に死なねばなりません」

遊ばれたSの女の意地をかけた心中劇が舞われる。この少女がイイ
樽の中に沈み、ほおずきが着物から浮かんでいっぱいになるシーンも美しい。

「惚れた女に対する男の義務ですよ」

フシギなシーン、カットの連続ながら、セリフで逐一説明が入るのは親切か蛇足か。
楠田枝里子の演技は、背の高い着物姿と同様ぎこちないが、ドイツ女性という役柄上それもありか?


■『東京流れ者』(1966)
監督:鈴木清順 出演:渡哲也、二谷英明、川地民夫、玉川伊佐男、松原智恵子、吉田毅、北龍二 ほか
ヤクザの仁義もの。例によってタイトル同名のテーマ曲を渡哲也ほかが朗々と歌っている。
彼の名は今作の役名からとったのか?

冒頭から今とあまり変わらない都内の名物スポットが流れて観光ガイドになるかも?
途中、流れた先に九州・佐世保も出てくる。
組から外れたヤクザは、どこの土地に行っても派閥抗争に巻き込まれて大変なのね。
イヌやネコの縄張り争いみたい

「流れ者は、女と一緒じゃ歩けねえんだ!」てセリフは、カッコいいとゆーより侘しい感じ。
こーゆー男臭い世界に憧れる男もいるのか・・・理解し難いけど。
歌手のチエはテツにゾッコンだが追っても追ってもかたくななポリシー?でつっけんどんにされて泣くばかり。

モノクロ映像に一色、赤が映えたり、黄色いクラブとか色使いがおもしろい。
昭和初期から踊るクラブって流行ってたんだ。今の40〜50代も若い頃はオシャレしてけっこーイケてたのかもw
二谷のルパンみたいな緑のジャケットや、渡のまぶしい水色のスーツもどうなのか。
真っ白な靴ってゆーのがヤクザ界のオシャレ最先端なのかな?


■『河内カルメン』(1966)
監督:鈴木清順 出演:野川由美子、伊藤るり子、宮城千賀子、川地民夫、松尾嘉代、楠侑子 ほか
これまた日活チックな1作。バタ臭い若い松尾がバンプ役。
関西弁のセリフで、なんだかコテコテすぎるのがかえって怪しいが、大阪名所もいろいろ出てきて嬉しくなっちゃう。

「甲斐性なしの父ちゃんも知ってる。お前の代わりに母ちゃんが体張ってんだ」と開き直ってるのがスゴイ!

同性愛が病気みたく扱われてるのがヒドイ。
なんでも金中心なのが関西らしい?
今回ダンスホールで生バンドが歌うシーンはエルヴィス風。
カルメンってゆうと薔薇を口にくわえるって定番が可笑しいw
深く考えずに世渡りしていくヒロインの勢いがイイ。


■『けんかえれじい』(1966)
監督:鈴木清順 出演:高橋英樹、浅野順子、川津祐介、片岡光雄 ほか
何だか分からん終わり方の上に、疲れてて途中何度か寝ちゃった
昔の映画って主演俳優のキャスティングと年齢にムリがあるんじゃ・・・?
高橋が中学(旧制?にしても)ってゆーのは・・・
ヒロインに憧れ、コーフンしてあり余る力をケンカで発散する単純なケンカ話―――
のはずが、何だか急に暗転して、急にラストになっちゃった!
“会津魂”のとこだけアップになるのが可笑しい。


■『野獣の青春』(1963)
監督:鈴木清順 出演:宍戸錠、渡辺美佐子、川地民夫、小林昭二、江角英明 ほか
アルバム「STYLE TO KILL」の冒頭を飾るのは今作のアップテンポな曲
ストーリーはハードボイルド、モノクロ調に一輪の赤い花のシーンが始めと終わりに出るのが印象的。
ヤク中の女が出てきたり、ヌードショーのクラブや、コールガールetc...
新しい商売に手を広げていく暴力団の様子が描かれる。
ボスがサドマゾごっこが好きだったり、チンチラみたいなネコを可愛がってたり、
ギャングもののルーティンがもう出てきてる。
銃もピストルから散弾銃になってるし。カーアクション、ドンパチシーンも次第に派手になった。


■『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1999)

監督:ヴィム・ヴェンダース 出演:ライ・クーダー、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ ほか
今年最後を飾るにふさわしい感動の1本
これほど人の心をとらえて離さない音楽がこの世に残っていたなんて奇跡だ。
80歳の人生、20世紀の歴史が背負われ息づいているからこそだろう。

一世を風靡した彼らが路上で忘れられていたのを'70キューバ音楽に感動したライが呼び集め、レコーディングした。
1人1人の紹介とともにカーネギーホールでたった二晩の珠玉のステージ。
'98に結実するまでをドキュメンタリータッチでゆったり描いた。
イヌと子どもがたわむれる古いキューバの街並みはハイテク等の冷たい未来とは
無関係のように信じられないくらい豊かな時間が流れている。

「女と花とロマンスと音楽が人生」
「愛する者を養うためなら靴磨きでも、ゴミ拾いでも関係ない」
葉巻をくゆらせ、酒に溺れる。粋に傾けた帽子のつばと合わせたスーツがとてもオシャレだ。

「NYは初めてだ。ずっと憧れていた。家族にも見せてやりたかったが、俺の目で見ておくとしよう」
きらびやかな高層ビルの明かり、ひしめく車の波etcは、彼らの目にはまぶしいのだろう。

この作品が素晴らしいのは、あくまで彼らの現在を映しているからで、
若き頃の栄光をイタズラに回顧してないところ。
刻まれた皺、一挙手一投足に一日一日を精一杯生きてきた証が見られる。

「歌をやめようとしたことがあった。耐えなければならないことがありすぎて」
しかし、ホール全体が揺れんばかりの熱いスタンディングオベーションに湧く時、
すべては報われ、ステージの上も外も一体化する至極の幸福に昇華した。

まさにgifted〜神から与えられたもの。
彼らが生まれた時、その頭上には音楽の天使が舞っていたことだろう。
一生を音楽に捧げ、自らと、周囲の世界をも幸せにする音を奏でるために。


■『ピストルオペラ』(2001)
監督:鈴木清順 出演:江角マキコ、山口小夜子、永瀬正敏 ほか
音楽:こだま和文、EGO-WRAPPIN'

あの仙人風のおじいさんが、ここまでブッ飛んだ映画を撮るんだからビックリ!
まさに自由にやりたいことを全部やらせてもらって独自の美を完結させた感があるのでは?
しかも自分の今までのネタを自らトリビュートしちゃってるのも可笑しい。
赤い椿や、原色の着物と、染めた背景、♪青い顔した殺し屋は〜 って歌もw

でも一番のオチはラストのテロップ。
「一部不適切な表現があるため音声が消えております」w

音楽がなんとエゴで、レゲエ、スカのたるい曲が絶妙のタイミングで流れるのが嬉しい
清順さんも江角さんのシャープで長い美形顔とスタイルに満足では?

「ゆっくりしたいが自殺はイヤだ。舞台の俳優のように美しく散りたいが相手がいない。
 そこでトーナメント方式で勝ち残ったのがのら猫」

農村に建つ旧家、1両編成のチンチン電車、今作のロケは癒し系
画面に赤い線、妙な効果音etc...今までやって散々けなされてきた手法のオンパレード
清順さんが撮るアクションはオペラになってしまった。


■『パニック・ルーム』(2002)

監督:デビッド・フィンチャー 出演:ジョディ・フォスター、フォレスト・ウィテカー ほか
『羊たちの沈黙』以来、ひさびさジョディの本格サスペンス。
最初ヒロインはニコールだったとか、妊娠・出産かなんかで撮影が大変だったとか、
いろいろ噂を聞いていたが、やっぱ面白い
だてに金かけてない。ハリウッドはちゃんと使い道知ってる感じ。

中からしか開けられない部屋の不自然さが、子を持つ母の直感で危険だと判断してから
様々な伏線を利用して息もつけない展開に。

シングルマザー、糖尿病の娘、老人介護で遺産の隠し場所を知った白人のチンピラ、
家族持ちのウィテカーも敵役だし、銃を持つ白人男の汚さや、マンハッタン区域の担当で
百戦錬磨っぽい刑事といい、キャラクターもハッキリしててハマる。

3Fまでのグイグイ引っ張るロングショットや、懐中電灯の芯まで見せたり、
鍵穴深くまでカメラが入ったり、一直線に部屋のあらゆる物の間を
視線が突き抜けていくシーンなんか一体どう撮ったのかビックリ!

夫の通報で来た警官が「もし何もいえない状況ならまばたきで合図してくれ」なんて言うあたりも、
犯罪の多いアメリカの警官ならでは。
だが結局は自分の身は自分でしか守れないってことか。



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