過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
昔のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『豚と軍艦』(1961)
監督:今村昌平 出演:長門裕之、吉村実子、三島雅夫、丹波哲郎、大坂志郎、加藤武、小沢昭一、南田洋子 ほか
冷牟田さんのコンピに入ってた今作。何と言っても長門さんのチンピラぷりがイイ
横須賀の港町を舞台に戦後の混乱期の昭和の貴重な記録でもある。
豊かなアメリカに負け、支配され、文化融合し、憧れすら抱いてきた日本。
高度経済成長を果たしても、その姿は変わらない。
貧しくても女1人で地道に働いて自立しよとするヒロインの強い表情のアップが頼もしい。
■『穴』(1957)
監督:市川崑 出演:京マチ子、船越英二、山村聡 ほか
『マルサの女』を思わせる女性記者。京マチ子といえば黒澤映画の妖艶な美女。
が、今作では変装するたびに様変わり! 女って着るもの1つでこうも変わるかって見本みたい。
軽快な音楽を取り混ぜて、早口なセリフ、スピード感あるコースター式ミステリー。
オマケに現都知事・石原慎太郎の甘〜い歌声も聴ける、痛快な1本。
今作も冷牟田さんのコンピに入ってたがスカパラの同名曲とは関係ないみたい。
モダンでセンスあるつくり。北が捕われた縄を外し、電灯を加工して感電させて脱出するシーンとかも面白い。
■『音曲の乱』(1992)
監督:林海象 出演:東京スカパラダイスオーケストラ、鰐淵晴子、佐野史郎 ほか
ついに TSUTAYA半額キャンペーンだからって、いつもより多く借りようと見てたら発見
くだらないムダなシーン満載の時代劇風コメディで長〜〜〜いプロモみたいな感覚。
一番演技っぽいことしてるのは川上さん、ひやむはさすがにチョンマゲじゃないが
得意の薔薇投げっぱなしでうっすら化粧もしてる?/驚
こーして映像で軌跡が残ってるってやっぱいいねえ〜。
谷中「生涯抱ける女には限りがある。その1人に選ばれてラッキーだったな!」
これ決まり文句なのかなw
谷中vsひやむの撃ち合いで倒れる渾身の演技にも注目v
なぜか全編セリフがほとんどないんだな、おかしなことに
しかしなんでこの映画を撮ったのか?w こーなったら他のもぜひ×1000観てみたい〜〜〜!
■『黒い十人の女』(1961)
監督:市川崑 出演:船越英二、岸恵子、山本富士子、宮城まり子、中村玉緒、岸田今日子 ほか
「どのみちこうなるんだわ。会話をしても男には女の話が分からないし、男の言い分は女には可笑しいだけ」
'61の時点ですでにTV界のいいかげん体質&ムダなハードワーク慣例は定着してたんだ
女性も本格的に社会進出して、肩を並べて働いてる。結婚して辞めるって体制は今も昔も変わらない。
Kを殺さず仕事という生き甲斐を奪ったのが結果的に一番いい懲らしめ方になったというオチか。
「オレを殺すのがそんなに面白いかな?」と飄々としたKのキャラは面白い。
10人の女が完全犯罪をする正統派ミステリー?と思って観てたら、
社会批判のブラックコメディでエンディングもあっけない。
■『関東無宿』(1963)
監督:鈴木清順 出演:小林旭、伊藤弘子、平田大三郎 ほか
こーゆーフツーの仁義ものも撮ってたんだ。噂のふすま倒しも観れたしv
背景が真っ赤に染まったり、画面横に赤い線が入ったりって演出が工夫されてる。
小林旭の太い眉はともかく、二枚目だったんだ。
「バカだね。白い着物(死)か、赤い着物(刑務所)なんて」
一昔前のヤクザは、極道なりにフツーより人間関係や作法に気を遣ってたのか。
変なルールだけど、敵側の奥さんに惚れちゃう日本版ロミジュリみたいなストーリーを意外にもじっくり描いた作品。
■『春婦傳』(1965)
監督:鈴木清順 出演:川地民夫、野川由美子、石川富子 ほか
初めて鈴木作品で泣いて感動するシーンがあった。ちゃんとドラマも撮れるんじゃん。
途中アレッ!?と思うつなぎの不自然な部分もあるけど、自らの戦争体験も生きてるんだろうか?
川地はクールで繊細でカッコいいし、野川はとにかく体当たりのハリウッドアクションヒロイン並み
銃弾びゅんびゅん飛ぶ中を走り抜けるシーンなんかランボーみたい。
生きようとする女と、恥とプライドをもって死のうとする男。結果は時代の価値観によって心中となる。
戦争のナンセンスさが伝わるが、実際は慰安婦の日常は言葉にならないほど壮絶なものだったらしい。
好きな男を待ってダラダラ考える余裕などあったろうか?
さすがに今作はモノクロだから色遊びもないし、変な挿入歌もナシw
96分が2時間半くらいに思えるくらい重い戦争ドラマだがロマンスを追うため、重すぎない。
■『花と怒濤』(1964)
監督:鈴木清順 出演:小林旭、松原智恵子、川地民夫、久保菜穂子、滝沢修、山内明 ほか
突飛な色遊びも演出もない代わりに、しっかりした脚本、伏線、キャラ設定、
唯一奇抜なのは、川地の怪人二十面相みたいなファッションw
“ベンガロスタイル”ていうらしいが、黒いスーツに、黒い帽子、マジシャンかと思いきや、
日本刀を振り回す神出鬼没の殺し屋がカッチョいい
■『悲愁物語』(1977)
監督:鈴木清順 出演:白木葉子、原田芳雄、水野哲、岡田眞澄、和田浩治、佐野周二 ほか
これが日活クビ事件から10年後に久々メガフォンをとった復帰第1作。
渋い節回しの歌謡曲から入って、女心を表す黄や黒のネイル、笑った顔のガラスに映った反転は青い影だったり、
宙ぶらりんの男etc...面白い仕掛けがたくさん入っているミステリー。とにかく江波杏子が怖い
今でいうとストーカーそのもの。精神異常者という設定ではあるが、正気と狂気は紙一重。
男のマネーゲームに踊らされるヒロインが落ちてゆく様、1人の女の執念によって歯車が狂い、
弟の姉への想いによって浄化されるまで。
パーティをやる部屋が天井にうつる風呂場のシーンもフシギだが、
弟と話す少女との桜吹雪のシーンも考えてみればブキミ。
弟の部屋がよく見えるというが、弟からは見えない幽霊なんだ。
髪をザンバラに切ったり、近所の奥さんが賞賛する裏で、嫉妬に狂い身包みはいでしまう様も異常で怖い。
白木は若く美しいヌードを披露。宍戸が前作を思わせるスーツに帽子の刑事役でちょい出演しているのは笑える。
■『カポネ大いに泣く』(1985)
監督:鈴木清順 出演:萩原健一、田中裕子、柄本明、チャック・ウィルソン、ランディ・レイス ほか
戦争で負けたアメリカ人に対抗して作ったらしいが、
舞台が横浜ドリームランドやウエスタン村じゃどーしても無理がある
やたら長いガンアクションシーンの連続とお祭りの喧騒のごとくひっちゃかめっちゃかで終わるまで
何度も眠気がさしてしまった チャックのアル・カポネぶりは一生懸命だが、
見づらい字幕に、聞きづらい英語で大半のセリフを読み飛ばした。
ひとつの時代が終わったことを示したかったのか?
浪曲初めての萩原が実際に猛特訓したという裏話もある。
ナニワブルースだとジャズセッションにハマるシーンはイイv
■『悪太郎』(1963)
監督:鈴木清順 出演:山内賢、和泉雅子、田代みどり ほか
日活らしからぬ?文芸作品の快作。これなら誰からも文句はつけられまい。清順さんもやればできるんじゃんw
妙な奇抜さを狙わなくても人情あふれる作品で感動を生み出せると証明した。
闊達な山内の清清しい潔さは気持ちよく、慣れないとコメントしている関西弁がとても心地いい。
にしても昔の中学が、今の高校生の年齢だとしても初体験は早熟な話だったろう。
異常に厳しい風紀係も“都会だ”という神戸出身者の文学説得ですんなり退散してしまう田舎の素朴さが可笑しい。
いい家の出で贅沢と自由があるせいか芸者遊びもして、それに聞き入る友人がボーっとしてしまうくだりも面白い。
恋愛がむやみに禁止されていた時代に、ここまで大らかに恋愛論を持つのは小気味いいが、
責任を伴わない少年の部分との微妙なアンバランスが通過儀礼として描かれる。
part1からのつづき。
昔のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『豚と軍艦』(1961)
監督:今村昌平 出演:長門裕之、吉村実子、三島雅夫、丹波哲郎、大坂志郎、加藤武、小沢昭一、南田洋子 ほか
冷牟田さんのコンピに入ってた今作。何と言っても長門さんのチンピラぷりがイイ
横須賀の港町を舞台に戦後の混乱期の昭和の貴重な記録でもある。
豊かなアメリカに負け、支配され、文化融合し、憧れすら抱いてきた日本。
高度経済成長を果たしても、その姿は変わらない。
貧しくても女1人で地道に働いて自立しよとするヒロインの強い表情のアップが頼もしい。
■『穴』(1957)
監督:市川崑 出演:京マチ子、船越英二、山村聡 ほか
『マルサの女』を思わせる女性記者。京マチ子といえば黒澤映画の妖艶な美女。
が、今作では変装するたびに様変わり! 女って着るもの1つでこうも変わるかって見本みたい。
軽快な音楽を取り混ぜて、早口なセリフ、スピード感あるコースター式ミステリー。
オマケに現都知事・石原慎太郎の甘〜い歌声も聴ける、痛快な1本。
今作も冷牟田さんのコンピに入ってたがスカパラの同名曲とは関係ないみたい。
モダンでセンスあるつくり。北が捕われた縄を外し、電灯を加工して感電させて脱出するシーンとかも面白い。
■『音曲の乱』(1992)
監督:林海象 出演:東京スカパラダイスオーケストラ、鰐淵晴子、佐野史郎 ほか
ついに TSUTAYA半額キャンペーンだからって、いつもより多く借りようと見てたら発見
くだらないムダなシーン満載の時代劇風コメディで長〜〜〜いプロモみたいな感覚。
一番演技っぽいことしてるのは川上さん、ひやむはさすがにチョンマゲじゃないが
得意の薔薇投げっぱなしでうっすら化粧もしてる?/驚
こーして映像で軌跡が残ってるってやっぱいいねえ〜。
谷中「生涯抱ける女には限りがある。その1人に選ばれてラッキーだったな!」
これ決まり文句なのかなw
谷中vsひやむの撃ち合いで倒れる渾身の演技にも注目v
なぜか全編セリフがほとんどないんだな、おかしなことに
しかしなんでこの映画を撮ったのか?w こーなったら他のもぜひ×1000観てみたい〜〜〜!
■『黒い十人の女』(1961)
監督:市川崑 出演:船越英二、岸恵子、山本富士子、宮城まり子、中村玉緒、岸田今日子 ほか
「どのみちこうなるんだわ。会話をしても男には女の話が分からないし、男の言い分は女には可笑しいだけ」
'61の時点ですでにTV界のいいかげん体質&ムダなハードワーク慣例は定着してたんだ
女性も本格的に社会進出して、肩を並べて働いてる。結婚して辞めるって体制は今も昔も変わらない。
Kを殺さず仕事という生き甲斐を奪ったのが結果的に一番いい懲らしめ方になったというオチか。
「オレを殺すのがそんなに面白いかな?」と飄々としたKのキャラは面白い。
10人の女が完全犯罪をする正統派ミステリー?と思って観てたら、
社会批判のブラックコメディでエンディングもあっけない。
■『関東無宿』(1963)
監督:鈴木清順 出演:小林旭、伊藤弘子、平田大三郎 ほか
こーゆーフツーの仁義ものも撮ってたんだ。噂のふすま倒しも観れたしv
背景が真っ赤に染まったり、画面横に赤い線が入ったりって演出が工夫されてる。
小林旭の太い眉はともかく、二枚目だったんだ。
「バカだね。白い着物(死)か、赤い着物(刑務所)なんて」
一昔前のヤクザは、極道なりにフツーより人間関係や作法に気を遣ってたのか。
変なルールだけど、敵側の奥さんに惚れちゃう日本版ロミジュリみたいなストーリーを意外にもじっくり描いた作品。
■『春婦傳』(1965)
監督:鈴木清順 出演:川地民夫、野川由美子、石川富子 ほか
初めて鈴木作品で泣いて感動するシーンがあった。ちゃんとドラマも撮れるんじゃん。
途中アレッ!?と思うつなぎの不自然な部分もあるけど、自らの戦争体験も生きてるんだろうか?
川地はクールで繊細でカッコいいし、野川はとにかく体当たりのハリウッドアクションヒロイン並み
銃弾びゅんびゅん飛ぶ中を走り抜けるシーンなんかランボーみたい。
生きようとする女と、恥とプライドをもって死のうとする男。結果は時代の価値観によって心中となる。
戦争のナンセンスさが伝わるが、実際は慰安婦の日常は言葉にならないほど壮絶なものだったらしい。
好きな男を待ってダラダラ考える余裕などあったろうか?
さすがに今作はモノクロだから色遊びもないし、変な挿入歌もナシw
96分が2時間半くらいに思えるくらい重い戦争ドラマだがロマンスを追うため、重すぎない。
■『花と怒濤』(1964)
監督:鈴木清順 出演:小林旭、松原智恵子、川地民夫、久保菜穂子、滝沢修、山内明 ほか
突飛な色遊びも演出もない代わりに、しっかりした脚本、伏線、キャラ設定、
唯一奇抜なのは、川地の怪人二十面相みたいなファッションw
“ベンガロスタイル”ていうらしいが、黒いスーツに、黒い帽子、マジシャンかと思いきや、
日本刀を振り回す神出鬼没の殺し屋がカッチョいい
■『悲愁物語』(1977)
監督:鈴木清順 出演:白木葉子、原田芳雄、水野哲、岡田眞澄、和田浩治、佐野周二 ほか
これが日活クビ事件から10年後に久々メガフォンをとった復帰第1作。
渋い節回しの歌謡曲から入って、女心を表す黄や黒のネイル、笑った顔のガラスに映った反転は青い影だったり、
宙ぶらりんの男etc...面白い仕掛けがたくさん入っているミステリー。とにかく江波杏子が怖い
今でいうとストーカーそのもの。精神異常者という設定ではあるが、正気と狂気は紙一重。
男のマネーゲームに踊らされるヒロインが落ちてゆく様、1人の女の執念によって歯車が狂い、
弟の姉への想いによって浄化されるまで。
パーティをやる部屋が天井にうつる風呂場のシーンもフシギだが、
弟と話す少女との桜吹雪のシーンも考えてみればブキミ。
弟の部屋がよく見えるというが、弟からは見えない幽霊なんだ。
髪をザンバラに切ったり、近所の奥さんが賞賛する裏で、嫉妬に狂い身包みはいでしまう様も異常で怖い。
白木は若く美しいヌードを披露。宍戸が前作を思わせるスーツに帽子の刑事役でちょい出演しているのは笑える。
■『カポネ大いに泣く』(1985)
監督:鈴木清順 出演:萩原健一、田中裕子、柄本明、チャック・ウィルソン、ランディ・レイス ほか
戦争で負けたアメリカ人に対抗して作ったらしいが、
舞台が横浜ドリームランドやウエスタン村じゃどーしても無理がある
やたら長いガンアクションシーンの連続とお祭りの喧騒のごとくひっちゃかめっちゃかで終わるまで
何度も眠気がさしてしまった チャックのアル・カポネぶりは一生懸命だが、
見づらい字幕に、聞きづらい英語で大半のセリフを読み飛ばした。
ひとつの時代が終わったことを示したかったのか?
浪曲初めての萩原が実際に猛特訓したという裏話もある。
ナニワブルースだとジャズセッションにハマるシーンはイイv
■『悪太郎』(1963)
監督:鈴木清順 出演:山内賢、和泉雅子、田代みどり ほか
日活らしからぬ?文芸作品の快作。これなら誰からも文句はつけられまい。清順さんもやればできるんじゃんw
妙な奇抜さを狙わなくても人情あふれる作品で感動を生み出せると証明した。
闊達な山内の清清しい潔さは気持ちよく、慣れないとコメントしている関西弁がとても心地いい。
にしても昔の中学が、今の高校生の年齢だとしても初体験は早熟な話だったろう。
異常に厳しい風紀係も“都会だ”という神戸出身者の文学説得ですんなり退散してしまう田舎の素朴さが可笑しい。
いい家の出で贅沢と自由があるせいか芸者遊びもして、それに聞き入る友人がボーっとしてしまうくだりも面白い。
恋愛がむやみに禁止されていた時代に、ここまで大らかに恋愛論を持つのは小気味いいが、
責任を伴わない少年の部分との微妙なアンバランスが通過儀礼として描かれる。