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Channel: メランコリア
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ドラマ『かなたの子』

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ドラマ『かなたの子』
出演:坂井真紀、井浦新、宮?将、満島ひかり、永瀬正敏、藤村志保 ほか

たまたま観たドラマ『紙の月』に心動かされて、原作が角田光代さんと分かって納得。
その他の作品も調べて観てみた。
「日曜美術館」の司会でしか見たことない井浦新さんが出ててカッコいい。


●第1話「巡る」
山岳ガイド・野澤が率いて富士山に登るグループ。イトコは朦朧とする意識の中で亡娘ナツキを見た。

「山は生きている者だけじゃなく、死者もたくさん歩いているんです」

縁結びのため、病気治癒のためなど、それぞれ登山目的が違う。
ある女性は、亡夫の遺体を18年間火葬もせず手許に置いておいたが、気持ちに区切りをつけたいと漏らす。

「忘れてしまうくらいなら、苦しむほうがいいと思います」

イトコは、幼い頃に祖母の家に預けられ、母に捨てられた。
祖母から、村はずれの寺にあるという即身仏(ミイラ)の話を聞く。
その昔、ミイラとなった上人に質問の答えを聞く「お道ゆき」という慣習があったが、
ミイラは、罪人だということが分かった(『湯殿山麓呪い村』みたい・・・
イトコは村の友だちと見に行ってみると、廃墟となった寺の奥にはまだミイラがそのまま放置されていた/怖

「わしは怖かった。罪から逃れる姿に自分を重ねちもうだ」

富士山って、こんなに木も草もない砂地ばかり続く道なんだな。登山というより苦行だ。



●第2話「道理」
第1話で途中から登山に加わる若い男・岩渕啓吾の話。
妻・シズエと不妊治療のことでケンカして、昔の彼女サクミに電話する。
(5年も前の恋人に電話する気持ちは分からないなぁ。自分でフっておいて番号を残こしてる時点でおかしい。。

ヨガの講師・佐和に「運命の人じゃなくて、運命そのもの」だと言われ、サクミと別れて付き合い始める。

「運命に出会った。僕にはどうしようもない。それが道理だから」
「道理ってなに? 私も勉強するから!」泣きつくサクミ。

サクミの家で手料理を食べ、メールのやりとりをしていたが、それがエスカレートして迷惑メールが大量に送られてくる。
(すぐ着信拒否して、交番に届ければいいのに。ストーカー犯罪がまだ知られていない頃か?

「この世には決められた1本の筋があり、人はみなそれを辿って生きているのかもしれない。
 それこそが正しい生であり、それを無視したり、外れたりすると、
 とんでもないしっぺ返しをくらうのではないか。
 道理というものを無視してしまったら、着実に捻れていってもう修復不可能なのではないか」


満島ひかりちゃんらしい役だね 不法侵入だけじゃなくて、家のベッドに寝てるって怖すぎる。
ケイゴは優柔不断なハッキリしない男で、見ていてイライラした。
チャリティを装ったカルトかぁ。みんな何かにすがりたいんだな。
トランス状態になった姿も怖いし



●第3話「同窓会」
野澤は山伏(行者)。普段は在家でガイドをしながら、時々修行しているという。
山小屋の主人マコトとは、小さい島の少人数の小学校時代からの同級生。その野澤の話。

「なぜ山伏になったんですか?」
「友を弔うため」

マコトの個展に呼ばれた同級生たち。飲み会で、当時、事故で亡くなったダイゴの話になる。
その後、リョウイチ、野澤、トシエ、マコトの4人で集まり、ダイゴの事件を思い起こす。

マコトが持ってきた古い旅行用スーツケースの中に入る遊びをしていて、
ダイゴを入れて鍵のダイヤルを回してしまって開かなくなり、
どうしていいか分からずに、怖くてそのまま置いてきてしまう。
翌日、遺体で発見されたダイゴ。
その後、4人は真実を言えぬまま、暗闇になるとパニックを起こす症状を抱えながら25年経ってしまった。

野澤は富士山の修行を始める(「六根清浄」って富士講なのかな?

「どうにも逃げ切れないと分かったから、こっちから捕まることにしたんだよ」


「オレな、おまえと一緒に遊びたかった」


スーツケースの中に入るなんて、想像しただけで苦しすぎ
誰も悪くないからこそ、どうしようもない悲しみが襲ってきて号泣してしまった。



●第4話「かなたの子」
そして、最後はイトコの話。
離婚後、夫は養育費を払わず、イトコは朝4時頃からチラシ配り、夜までお絞り工場でパート勤務で疲労困憊していた。
娘ナツキは、孤独感から次第にイトコを困らせるようになり、ある日、とうとう首を絞めて殺してしまう。
心神喪失ということで3年の刑期がつくも、祖母の家で心身を休める。
(どうして母親は全部1人で抱え込んでしまうんだろう。ここにも追いつめられたシングルマザーの姿がある

ミイラは土に埋められて、寺ももうないという。

「どうせ罪からは逃げられない」

祖母は、家を出て行った母親について初めて話す。
最初の子を流産したショックで心のバランスを崩したのは、自分が責めたからだと深く後悔していた。

「ナツキを強く抱きしめると、私も抱きしめられたいと思うの。私なんか生まれなければよかった」
「死んで楽になるなら、ばあちゃんが殺してやるから、それまでは生きろ!」

こんな悲しい負の連鎖、止まらないものなのか。

夜通し富士山に登り、イトコは再びナツキの幻影と出会う。

「何度も会ってたよ。何度も、何度も」
「また、いなくなるんだね。ママとナツキは、何のために出会ったの?」
「それでも、また出会うよ」

悲しみは消えない。消えないで、背負い続けたまま、生きていくんだ。
人の業を描いた壮絶なドラマだった。






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