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『聴導犬シンディ誕生物語』(小学館)

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『聴導犬シンディ誕生物語』(小学館)
パトリシア・カーチス/文

盲導犬より、さらに知られていない聴導犬について、どう訓練され、どんな活躍をしてくれているのか学べる。


【内容抜粋メモ】

聴導犬育成プログラムでは、捨てられたり、迷子になったりして施設に収容されている犬を譲り受けて、訓練し、
たっぷり愛情をそそいでくれる飼い主のところで新しい生活ができるようにしている。


施設でフェンス越しに外を見ていたシンディ


聴導犬の訓練法を教える学校の校長先生マックマンさんがシンディを引き取った。

聴導犬は、耳の聞こえない人々を手助けして、コンパニオンとなるよう訓練される。
飼い主であるご主人が聞き取れない音を聞き分けて、ご主人に注意を促すのが役目。


●アニマル・クリニック
訓練を受ける犬は、まず獣医さんから厳しい検査を受け、健康であることが確認されなければならない。
耳の検査は特別念入りにされる。

●ケンネル(犬の飼育場)管理者の判定を受ける
基本的な服従訓練をして、犬がどう反応するか観察する。シット、カム、ヒール(左側の脇を歩く)。


シンディはテストに合格した。
訓練されるのは小型犬ばかり。都会のアパートで暮らす飼い主もいるから。

●基礎的な服従訓練
カム、ライダウン、シット、ステイ、ヒール。
日本でも英語を使う。使われる単語は26〜27くらい。


●聴導犬の訓練

「目覚まし時計」

ベルが鳴ると、ベッドで寝ているトレーナーを起こしに行く。
「サウンド(鳴ってる)、シンディ! ゴー(行け)、テル(伝えて)、リン(トレーナー)!」

訓練プログラムでは、犬がミスをしたり、反応しなくても罰を受けたりはしない。
上手くできた時に褒めたり、抱きしめたりして覚えていく。

「家のドアのベル」
ブザー、チャイム、など4種類のベルを覚える。

「電話」
難聴者の中には特別な電話を使っている人もいる。

「火災報知機」
ベルが鳴ると、ご主人を外へと導く。

ほかにも「ヤカンのお湯が沸いた音」「オーブンのタイマーが鳴った音」「赤ちゃんの泣き声」などがある。


●ご主人との訓練



耳の聞こえないジェニファーは、夏休みの2週間、シンディと一緒に訓練を受ける。
ゴハンをあげたり、散歩に行ったり、体を洗ったり、ブラッシングをすることで
次第にジェニファーがご主人であることを認識するようになる。
一緒に暮らす親も学習内容を理解する必要がある。

外出した時は、犬をよく見ているようにと言われる。
犬が耳をピクっとそばだて、顔をこちらに向けたら「物音がしたよ」という意味。
その音がなにか、ジェニファーは探さなければならない。
サイレンか、車のクラクションか、誰か叫んだのか、歩道になにか落ちたのか。



訓練を終えて、学校の寮を出るシンディとジェニファー。
シンディにとって本当に必要な“おうち”で、自分を可愛がってくれるご主人がもてたことは幸せ。


新しくやってきた犬がフェンスごしに訓練を見つめていた。


**************************あとがきメモ

アメリカには、耳が聞こえない人が約200万人、難聴者は1200万人以上いると言われる。

オレンジ色の首輪やハーネスをつけた聴導犬は、2000頭を越えた。

聴導犬を必要とする人は多く、希望にこたえるのが困難な状況。
聴導犬が足りないのではなく、育てる資金が足りない。

聴導犬1頭育てるのに、1800ドル〜2500ドルかかる。
すでに飼っている犬を聴導犬に訓練する援助をするところもある。

18歳未満は家族と暮らしているからという理由で断られることもある。
自立している大人のほうがより保護や介助を必要としているため。

耳が聞こえない人は、泥棒に入られても気づかない。
聴導犬の役目は警護ではなく、介助。

聴導犬は、家に耳の聞こえる人がいる時は、音がしても知らんぷり。
が、耳が聞こえないご主人だけの時は、自分の責任を果している/驚

犬によって能力差があるのも事実。
しこまれたことを忘れてしまう犬、飼い主が台無しにしてしまうケースもある。

アメリカでは32の州で盲導犬同様に聴導犬も公共の場への立ち入りが許されている。
例:バス、郵便局、商店など

聴導犬は盲導犬のように、特別な適性を問われない。


**************************日本の聴導犬

日本全国で聴覚・言語障害者は、約36万人といわれる。難聴者数はつかめていない。

1983年、聴導犬のモデル犬が育成され、翌年に1号犬、2号犬が聴覚障害者に無償で提供された。

モデル犬の開発を委託された「オールドッグセンター」(埼玉県入間郡大井町)では、
犬の訓練を6ヶ月、飼い主との共同訓練を3週間した後、
試験に合格すれば認定証が交付される。

ここかな? 住所が違うみたいだけど移転した?

1頭の育成には70万円ほどかかり、希望者が負担している。

聴導犬のトレーナーは、手話ができないと聴覚障害者と意思を伝え合うことができないため、
トレーナーの養成にも時間がかかる。



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