■ユニバーサルデザイン1 みんなのくらしを便利に『ユニバーサルデザインってなに?』(あかね書房)
東京大学先端科学技術研究センターバリアフリープロジェクト/監修 成松一郎/文
なんとなく聞きかじったことのある言葉だけど、なるほど、こうして見ると、
普段何気なく利用しているものがユニバーサルデザイン(UD)なんだなってことが分かった。
と同時に、さまざまな立場の人に、より暮らしやすい世の中にするためにはどうしたらいいか、
その立場にたって考えることが必要だとわかる1冊。
【内容抜粋メモ】
●ユニバーサルデザインとは?
アメリカの大学教授ロナルド・メイスさんは障害を持ち、車イスの人だけでなく、
どんな障害、年齢、性別、国籍の人にも使いやすいデザインを考えることを提案した。
ユニバーサルデザインの7原則(1997年に発表
1.だれもが公平に利用できる。
2.使うときの自由度が高い。
3.使い方がカンタン。
4.必要な情報がすぐにわかる→ピクトグラム(絵文字)や多言語表示の看板
5.誤作動や危険を防ぐ。
6.体への負担が少ない。
7.使うための充分な広さがある。
**************************生活の中のユニバーサルデザイン
【視覚障害】
●色弱
日本では男性が1/20人、女性1/500人、全体では300万人いる。
特定の色の組み合わせが分かりにくい/色の名前が文字で表示されている
●弱視
メガネ等で矯正しても視力が低い状態。視野が狭い、暗いと見えにくい、色が分かりにくいなど。
例:「単眼鏡」「拡大教科書」
手触りでジュースや牛乳などを区別できるように「切り欠き」がついているパック
●病院
名前が呼ばれると振動したり、メッセージが表示される「小型受信機」をわたす病院もある。
●トイレ
●盲導犬
全国で盲導犬を希望している視覚障害者は約7800人いるのに対し、
活躍している盲導犬の数は957頭(2005年)とまだまだ少ないのが現状。
【聴覚障害】
・手話(テレビ電話機能付き携帯電話を使って、手話で会話ができる
・指文字=五十音を指の形で表す。手話と併用して使われることが多い。
・口話=相手の唇の動きなどで理解し、自分も声に出して意思を伝えること。
・筆談=バスやタクシーに「磁気ボード式の簡易筆談器」があれば便利。
耳あな型補聴器/耳かけ型補聴器
小さな音はよく聞こえ、大きな音は自動的に抑える機能のあるものもある。
ボリュームがリモコンで調整できる補聴器も出てきた。
早口で話されると聞き取りにくいため、ゆっくり、はっきり話すことが大切。
字幕放送対応のテレビ
アニメはとくに、口の動きに変化がないのでまったく分からない。
字幕のついたアニメや邦画、音声解説がついた映画はまだほとんどない。
音声で知らせてくれる体温計・体重計。
●読書
・点字、拡大文字、音声に変える。
・「対面朗読サービス」を利用する。
【盲ろう】
見えない、聞こえない障害。日本には推計1万数千人いるとされる。
指点字/触手話/手書き文字
【知的障害、自閉症】
自分で選んで決めたり、それを言葉で伝えることが難しいため、
キーボードで押した文字を読み上げるコミュニケーション機器がある。
「自閉症」=人とのコミュニケーションや、自分の状況を理解するのが苦手。
「何分まで○○をする」というのが理解しにくいため、「クォーター・アワー・ウォッチ」が便利。
シンボルでこれからやることを示し、時間の経過が目で見てわかる。
【読み書き障害(ディスレクシア)】
「LD(学習障害)」のひとつ。音で聞くと理解できるが、文字を読んだり、書いたりが難しい。
→ボランティアの人が本の内容を吹き込んだテープを繰り返し聞く。
【ADHD(注意欠陥多動性障害)】
ひとつのことに注意を集中するのが難しい。
【アスペルガー症候群】
自閉症の一種。
発泡スチロールをこする音を聞いた時、「いやな音」を抑える力がはたらくAさんに比べ、
いやな音を抑える力が弱く、血流が増えて、逆に強く反応しているBさん。
この実験から、不快な音だけを除ける音響フィルターのようなものを考えている。
(すごい 騒音のない世界って夢のよう・・・てか、私の脳はBさんと同じ仕組みでは驚×∞
【車いす使用者】
美術館・博物館:混雑している時は、鑑賞しにくい。
スーパーの狭い通路が通れない。高い棚の商品がとりにくい。
スタンディング機能のついた車いす
床ずれができにくいエアマットレス、低反発マットレス
「低床バス」
乗降口の床が低いので、足腰の弱いお年寄り、子どももラクに乗り降りできる。
オストメイトが排泄物を捨てたり、パウチを洗う流しがついているトイレもある。
「オストメイト」=人工肛門、人工膀胱をつけた人。腹部につくった排泄口につけたパウチにためる。
●マーク、シンボル
左利きの人は、右利き用にできている缶切りや包丁が使いづらい。
**************************これからのユニバーサルデザイン
「シーン検証」
さまざまな年齢、体の状況の人にモニターとして登録してもらい、生活のいろいろな場面を検証する。
日常生活には、本人も自覚していない動作がたくさんある。
そうした無意識の動作に気づいて、製品づくりのヒントにすることが目的。
●外見と障害、外見と偏見
外見では障害のあることが分からない人たちもたくさんいる。
「内部障害」
内臓疾患、HIVなど免疫機能障害のこと。
長時間立っているのが難しいため、電車の優先席に座っていると「なぜお年寄りに席を譲らないのか」という目で見られる。
「ユニークフェイス」
1999年、結成された団体。「固有の顔」の意。
代表の石井さんには、生まれつき顔半分に大きなアザがあったため、自分に自信が持てず、
学校でいじめにあったり、就職や結婚で差別された経験をした。
機能障害をともなわない外見の問題は、理解されにくい。
アザや傷に視線を感じることが多いため、目を見て話してくれる人に信頼感を持つ。
ぜひ、目を見て話してほしいと呼びかけている。
【関連用語】
●自助具
生活動作に困難のある人が、できるだけ自立してできるよう工夫した道具。
愛知県に住む加藤源重さんは、56歳の時、機械の事故で右手の指を失ってしまい、
「日本の自助具は、世界から30年遅れている」という記事を読み、自分で作ることを考えた。
現在、仲間とともに「福祉工房あいち」でオーダーメイドの用具づくりをしている。
嚥下障害=食べ物を飲み込むのが大変な人。
白杖=視覚障害者が使う白い杖。
「大切なのは、相手の立場を自分に置き換えてみること。それは、いつか自分自身を助けることにもなる」
「本当に辛いのは、見えないことや聞こえないことそのものではなく、他者との心の交流が消えてしまうこと。
コミュニケーションが不足すれば、心は窒息してしまう」
「多くの差別は、対話の不足から生じる」
【関連団体】
●東京大学先端科学技術研究センター バリアフリープロジェクト
・物理的バリアフリー
・制度面のバリアフリー
・文化、情報面のバリアフリー
・心のバリアフリー=「可哀相」「気の毒」と勝手に同情される。
電子投票機=政策を決定する過程に、どう障害者が参画すればよいかについても提言している。
さまざまな人が実際使ってみて、検証を重ねることが大切。
・製品や建物の利用者
・メーカー
・施設の管理者
・子どもたち
・障害や不便さのある人たちの団体
・バリアフリーに取り組む技術者
・研究者
・行政
「バリアフリー」は不便さの原因となるバリア(壁)を取り除くこと。
ユニバーサルデザインとバリアフリーは、お互いに補い合う関係にある。
【関連本】
「ゆうことカリンのバリアフリー・コミュニケーション」
「怠けてなんかない! ディスレクシア 読む・書く・記憶するのが困難なLDの子どもたち」
「五体不満足」乙武洋匡 「障害は不便です。だけど、不幸ではありません」
「どんぐりの家」山本おさむ
「自閉っ子、こううい風にできてます!」花風社 アスペルガー症候群
「博士の愛した数式」
「三河の円陣」加藤源重
東京大学先端科学技術研究センターバリアフリープロジェクト/監修 成松一郎/文
なんとなく聞きかじったことのある言葉だけど、なるほど、こうして見ると、
普段何気なく利用しているものがユニバーサルデザイン(UD)なんだなってことが分かった。
と同時に、さまざまな立場の人に、より暮らしやすい世の中にするためにはどうしたらいいか、
その立場にたって考えることが必要だとわかる1冊。
【内容抜粋メモ】
●ユニバーサルデザインとは?
アメリカの大学教授ロナルド・メイスさんは障害を持ち、車イスの人だけでなく、
どんな障害、年齢、性別、国籍の人にも使いやすいデザインを考えることを提案した。
ユニバーサルデザインの7原則(1997年に発表
1.だれもが公平に利用できる。
2.使うときの自由度が高い。
3.使い方がカンタン。
4.必要な情報がすぐにわかる→ピクトグラム(絵文字)や多言語表示の看板
5.誤作動や危険を防ぐ。
6.体への負担が少ない。
7.使うための充分な広さがある。
**************************生活の中のユニバーサルデザイン
【視覚障害】
●色弱
日本では男性が1/20人、女性1/500人、全体では300万人いる。
特定の色の組み合わせが分かりにくい/色の名前が文字で表示されている
●弱視
メガネ等で矯正しても視力が低い状態。視野が狭い、暗いと見えにくい、色が分かりにくいなど。
例:「単眼鏡」「拡大教科書」
手触りでジュースや牛乳などを区別できるように「切り欠き」がついているパック
●病院
名前が呼ばれると振動したり、メッセージが表示される「小型受信機」をわたす病院もある。
●トイレ
●盲導犬
全国で盲導犬を希望している視覚障害者は約7800人いるのに対し、
活躍している盲導犬の数は957頭(2005年)とまだまだ少ないのが現状。
【聴覚障害】
・手話(テレビ電話機能付き携帯電話を使って、手話で会話ができる
・指文字=五十音を指の形で表す。手話と併用して使われることが多い。
・口話=相手の唇の動きなどで理解し、自分も声に出して意思を伝えること。
・筆談=バスやタクシーに「磁気ボード式の簡易筆談器」があれば便利。
耳あな型補聴器/耳かけ型補聴器
小さな音はよく聞こえ、大きな音は自動的に抑える機能のあるものもある。
ボリュームがリモコンで調整できる補聴器も出てきた。
早口で話されると聞き取りにくいため、ゆっくり、はっきり話すことが大切。
字幕放送対応のテレビ
アニメはとくに、口の動きに変化がないのでまったく分からない。
字幕のついたアニメや邦画、音声解説がついた映画はまだほとんどない。
音声で知らせてくれる体温計・体重計。
●読書
・点字、拡大文字、音声に変える。
・「対面朗読サービス」を利用する。
【盲ろう】
見えない、聞こえない障害。日本には推計1万数千人いるとされる。
指点字/触手話/手書き文字
【知的障害、自閉症】
自分で選んで決めたり、それを言葉で伝えることが難しいため、
キーボードで押した文字を読み上げるコミュニケーション機器がある。
「自閉症」=人とのコミュニケーションや、自分の状況を理解するのが苦手。
「何分まで○○をする」というのが理解しにくいため、「クォーター・アワー・ウォッチ」が便利。
シンボルでこれからやることを示し、時間の経過が目で見てわかる。
【読み書き障害(ディスレクシア)】
「LD(学習障害)」のひとつ。音で聞くと理解できるが、文字を読んだり、書いたりが難しい。
→ボランティアの人が本の内容を吹き込んだテープを繰り返し聞く。
【ADHD(注意欠陥多動性障害)】
ひとつのことに注意を集中するのが難しい。
【アスペルガー症候群】
自閉症の一種。
発泡スチロールをこする音を聞いた時、「いやな音」を抑える力がはたらくAさんに比べ、
いやな音を抑える力が弱く、血流が増えて、逆に強く反応しているBさん。
この実験から、不快な音だけを除ける音響フィルターのようなものを考えている。
(すごい 騒音のない世界って夢のよう・・・てか、私の脳はBさんと同じ仕組みでは驚×∞
【車いす使用者】
美術館・博物館:混雑している時は、鑑賞しにくい。
スーパーの狭い通路が通れない。高い棚の商品がとりにくい。
スタンディング機能のついた車いす
床ずれができにくいエアマットレス、低反発マットレス
「低床バス」
乗降口の床が低いので、足腰の弱いお年寄り、子どももラクに乗り降りできる。
オストメイトが排泄物を捨てたり、パウチを洗う流しがついているトイレもある。
「オストメイト」=人工肛門、人工膀胱をつけた人。腹部につくった排泄口につけたパウチにためる。
●マーク、シンボル
左利きの人は、右利き用にできている缶切りや包丁が使いづらい。
**************************これからのユニバーサルデザイン
「シーン検証」
さまざまな年齢、体の状況の人にモニターとして登録してもらい、生活のいろいろな場面を検証する。
日常生活には、本人も自覚していない動作がたくさんある。
そうした無意識の動作に気づいて、製品づくりのヒントにすることが目的。
●外見と障害、外見と偏見
外見では障害のあることが分からない人たちもたくさんいる。
「内部障害」
内臓疾患、HIVなど免疫機能障害のこと。
長時間立っているのが難しいため、電車の優先席に座っていると「なぜお年寄りに席を譲らないのか」という目で見られる。
「ユニークフェイス」
1999年、結成された団体。「固有の顔」の意。
代表の石井さんには、生まれつき顔半分に大きなアザがあったため、自分に自信が持てず、
学校でいじめにあったり、就職や結婚で差別された経験をした。
機能障害をともなわない外見の問題は、理解されにくい。
アザや傷に視線を感じることが多いため、目を見て話してくれる人に信頼感を持つ。
ぜひ、目を見て話してほしいと呼びかけている。
【関連用語】
●自助具
生活動作に困難のある人が、できるだけ自立してできるよう工夫した道具。
愛知県に住む加藤源重さんは、56歳の時、機械の事故で右手の指を失ってしまい、
「日本の自助具は、世界から30年遅れている」という記事を読み、自分で作ることを考えた。
現在、仲間とともに「福祉工房あいち」でオーダーメイドの用具づくりをしている。
嚥下障害=食べ物を飲み込むのが大変な人。
白杖=視覚障害者が使う白い杖。
「大切なのは、相手の立場を自分に置き換えてみること。それは、いつか自分自身を助けることにもなる」
「本当に辛いのは、見えないことや聞こえないことそのものではなく、他者との心の交流が消えてしまうこと。
コミュニケーションが不足すれば、心は窒息してしまう」
「多くの差別は、対話の不足から生じる」
【関連団体】
●東京大学先端科学技術研究センター バリアフリープロジェクト
・物理的バリアフリー
・制度面のバリアフリー
・文化、情報面のバリアフリー
・心のバリアフリー=「可哀相」「気の毒」と勝手に同情される。
電子投票機=政策を決定する過程に、どう障害者が参画すればよいかについても提言している。
さまざまな人が実際使ってみて、検証を重ねることが大切。
・製品や建物の利用者
・メーカー
・施設の管理者
・子どもたち
・障害や不便さのある人たちの団体
・バリアフリーに取り組む技術者
・研究者
・行政
「バリアフリー」は不便さの原因となるバリア(壁)を取り除くこと。
ユニバーサルデザインとバリアフリーは、お互いに補い合う関係にある。
【関連本】
「ゆうことカリンのバリアフリー・コミュニケーション」
「怠けてなんかない! ディスレクシア 読む・書く・記憶するのが困難なLDの子どもたち」
「五体不満足」乙武洋匡 「障害は不便です。だけど、不幸ではありません」
「どんぐりの家」山本おさむ
「自閉っ子、こううい風にできてます!」花風社 アスペルガー症候群
「博士の愛した数式」
「三河の円陣」加藤源重