【エリザベス・ロフタス「記憶のフィクション性」】3.3 ON AIR
今でも時々「冤罪」が問題にされるけど、ヒトの記憶が思っているよりずっと曖昧なものだっていう話。
ロフタスさんの実験、スピーチは、インパクト大だったImage may be NSFW.
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●ある1件の冤罪事件
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タイタスさんは、婚約者とのデートの帰り道、その日に起こったレイプ事件の容疑者のクルマに少し似ていたImage may be NSFW.
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、
彼自身も犯人に少し似ていた、というだけで警察に身柄を拘束された。
被害者は、たくさんの写真の中から「彼が一番近い」と証言し、タイタスさんは逮捕され、裁判にかけられた。
法廷で被害者は「この人に間違いない」と証言し、有罪判決が下り、彼は刑務所に送られた。
彼は地元ジャーナリストの協力を得て、真犯人が発見され、釈放された。
でも、本当の問題はこの後。
仕事はもうない。婚約者も去ってしまった。
彼は「この苦しみは警察らのせいだ」と訴訟を起こした。
そして、その後、ストレスによる心臓発作で死亡。35歳だった。
●「虚偽記憶」
ロフタスさんの「記憶の研究」とは、忘れることではなく「作られた記憶」について。
他人の「虚偽記憶」が理由で有罪になった人はほかにも大勢いる。
冤罪だった300人を調べた結果、彼らは10〜30年間服役したが、今ではDNA鑑定で無実が証明されている。
これらの3/4は、目撃者の誤った記憶のせいで有罪になっていた。
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“記憶は「記憶装置」ではない。ヒトの記憶は変えられる。ウィキペディアのように上書きできる。自分でも、他人でも。”
●事故現場の写真を見せる実験
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同じ写真を見せて、あるグループには「ぶつかった」、あるグループには「激突した」と説明した。
すると、「激突した」と言われたほうが、クルマのスピードを速く言った上、
「ガラスが割れているのを見た」と言った。実際は割れていないのに。
●本人が体験したか、してないかの違いなのか?
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米軍兵士たちに、戦争で捕虜になった時のことを想定した厳しい訓練をしてもらった。
彼らは、暴力的な激しい尋問を30分間受けた。
その後、私たちが勘違いを誘発するような情報を与えると、彼らの多くは尋問者を間違えた。
まったく似ていない人を選ぶこともよくある。
つまり、実際に経験したことでも、間違った情報を与えると、その人の記憶を変えてしまえる。
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マスコミの報道すら事実と違うこともある。
●心理療法における虚偽記憶
うつや摂食障害の治療をしている患者に、悪魔的儀式虐待などを受けてきたと思い込む人がいる。
「妊娠させられ、腹を切り開かれた」と。でも、その話を裏付ける傷痕は一切なかった。
こうした奇妙な記憶はどこから来るのかを調査した。
そして、ほとんどの場合、ある特殊な心理療法が用いられていることを知った。
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・イメージ療法
・夢分析(!)
・催眠療法
誤った情報に触れさせることなどが、患者に奇妙な記憶を植え付けるのかもしれない。
●セラピーから発想を得た実験
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5歳の頃、ショッピングモールで迷子になり、怖くて泣いていたところ、ある老人に助けられた、という記憶。
私たちは、これを被験者の1/4に植え付けることに成功/驚
他にも、溺れて助けられた、獰猛な動物に襲われた、悪霊憑依の目撃などの記憶の植え付けに関しても成功率は約50%だった。
被験者にトラウマを与えているように映るかもしれませんが、倫理委員会の承認を受けた実験です(その承認もどうなの?Image may be NSFW.
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●実験発表後のバッシング
洗脳行為に気づけるようになるために必要な実験だったが、
回復記憶のセラピストたちからの嫌がらせが続いた。
娘を虐待したとされる女性が無実だと気づいた時のことを記事にしたところ、その娘に訴えられた。
訴訟が終わるまで5年近くもかかった。
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●虚偽記憶は、その後の思考・行動に影響を及ぼすか?
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食べ物にまつわる嫌な記憶を植えつけたところ、実験後、被験者はその食べ物を前ほど食べなくなった。
その逆も考えられる。野菜について良い記憶を植えつければ、もっと食べるようになるだろう。
そして、その行動は長期間続くことが分かった。
●こういった心理技術を使うべきか?禁止すべきか?
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ほとんどのヒトは、記憶=自分と考え、記憶を大切にする。
でも、誰かが、自信満々に詳細に語った、感情を込めて言ったからといって、
その記憶が正しいかどうかは、調査しないと分からない。
それに気づけば、友人や家族の勘違いを大目に見れるようになった。
「記憶は、自由と同様に脆いものだということを認識するのが大切」
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伊藤さんのコメント
スピーチの中に、こんな発言があった。
「人間の記憶はconstructive(構成されるもの)であり、reconstructive(再構成されるもの)である」
これは、「人間は、自分で記憶をつくり、しかもそれを編集している」という考え方です。
これからのグローバル社会において、「自分は間違っているかもしれない」という前提で考えれば、
異なる文化の人たちとの交流も、やりやすくなると思う。
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今でも時々「冤罪」が問題にされるけど、ヒトの記憶が思っているよりずっと曖昧なものだっていう話。
ロフタスさんの実験、スピーチは、インパクト大だったImage may be NSFW.
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●ある1件の冤罪事件
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タイタスさんは、婚約者とのデートの帰り道、その日に起こったレイプ事件の容疑者のクルマに少し似ていたImage may be NSFW.
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彼自身も犯人に少し似ていた、というだけで警察に身柄を拘束された。
被害者は、たくさんの写真の中から「彼が一番近い」と証言し、タイタスさんは逮捕され、裁判にかけられた。
法廷で被害者は「この人に間違いない」と証言し、有罪判決が下り、彼は刑務所に送られた。
彼は地元ジャーナリストの協力を得て、真犯人が発見され、釈放された。
でも、本当の問題はこの後。
仕事はもうない。婚約者も去ってしまった。
彼は「この苦しみは警察らのせいだ」と訴訟を起こした。
そして、その後、ストレスによる心臓発作で死亡。35歳だった。
●「虚偽記憶」
ロフタスさんの「記憶の研究」とは、忘れることではなく「作られた記憶」について。
他人の「虚偽記憶」が理由で有罪になった人はほかにも大勢いる。
冤罪だった300人を調べた結果、彼らは10〜30年間服役したが、今ではDNA鑑定で無実が証明されている。
これらの3/4は、目撃者の誤った記憶のせいで有罪になっていた。
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“記憶は「記憶装置」ではない。ヒトの記憶は変えられる。ウィキペディアのように上書きできる。自分でも、他人でも。”
●事故現場の写真を見せる実験
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同じ写真を見せて、あるグループには「ぶつかった」、あるグループには「激突した」と説明した。
すると、「激突した」と言われたほうが、クルマのスピードを速く言った上、
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●本人が体験したか、してないかの違いなのか?
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米軍兵士たちに、戦争で捕虜になった時のことを想定した厳しい訓練をしてもらった。
彼らは、暴力的な激しい尋問を30分間受けた。
その後、私たちが勘違いを誘発するような情報を与えると、彼らの多くは尋問者を間違えた。
まったく似ていない人を選ぶこともよくある。
つまり、実際に経験したことでも、間違った情報を与えると、その人の記憶を変えてしまえる。
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マスコミの報道すら事実と違うこともある。
●心理療法における虚偽記憶
うつや摂食障害の治療をしている患者に、悪魔的儀式虐待などを受けてきたと思い込む人がいる。
「妊娠させられ、腹を切り開かれた」と。でも、その話を裏付ける傷痕は一切なかった。
こうした奇妙な記憶はどこから来るのかを調査した。
そして、ほとんどの場合、ある特殊な心理療法が用いられていることを知った。
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・イメージ療法
・夢分析(!)
・催眠療法
誤った情報に触れさせることなどが、患者に奇妙な記憶を植え付けるのかもしれない。
●セラピーから発想を得た実験
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5歳の頃、ショッピングモールで迷子になり、怖くて泣いていたところ、ある老人に助けられた、という記憶。
私たちは、これを被験者の1/4に植え付けることに成功/驚
他にも、溺れて助けられた、獰猛な動物に襲われた、悪霊憑依の目撃などの記憶の植え付けに関しても成功率は約50%だった。
被験者にトラウマを与えているように映るかもしれませんが、倫理委員会の承認を受けた実験です(その承認もどうなの?Image may be NSFW.
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●実験発表後のバッシング
洗脳行為に気づけるようになるために必要な実験だったが、
回復記憶のセラピストたちからの嫌がらせが続いた。
娘を虐待したとされる女性が無実だと気づいた時のことを記事にしたところ、その娘に訴えられた。
訴訟が終わるまで5年近くもかかった。
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●虚偽記憶は、その後の思考・行動に影響を及ぼすか?
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食べ物にまつわる嫌な記憶を植えつけたところ、実験後、被験者はその食べ物を前ほど食べなくなった。
その逆も考えられる。野菜について良い記憶を植えつければ、もっと食べるようになるだろう。
そして、その行動は長期間続くことが分かった。
●こういった心理技術を使うべきか?禁止すべきか?
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ほとんどのヒトは、記憶=自分と考え、記憶を大切にする。
でも、誰かが、自信満々に詳細に語った、感情を込めて言ったからといって、
その記憶が正しいかどうかは、調査しないと分からない。
それに気づけば、友人や家族の勘違いを大目に見れるようになった。
「記憶は、自由と同様に脆いものだということを認識するのが大切」
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スピーチの中に、こんな発言があった。
「人間の記憶はconstructive(構成されるもの)であり、reconstructive(再構成されるもの)である」
これは、「人間は、自分で記憶をつくり、しかもそれを編集している」という考え方です。
これからのグローバル社会において、「自分は間違っているかもしれない」という前提で考えれば、
異なる文化の人たちとの交流も、やりやすくなると思う。
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