■「こころの病気」ってなんだろう?1 『知ってほしい! 子どもの「こころの病気」』(岩崎書店)
佐々木正美/監修
子ども向けの本だと、複雑に種類分けされた心身の病気も分かりやすく説明してあって頭に入りやすい。
もっと言えば、今はこれだけココロのトラブルがあって、子どもの頃から考えていかなきゃならない時代だってことだな。
昔は、「気が合わない」「性格が悪い」「面倒ばかり起こす」って誤解されて、孤立していたコたちがたくさんいたってことでもある。
当人も自覚している場合、知らない場合もあるし、周囲の理解があるのと、ないのとでも
まったく状況が変わってくるということが、もっと世の中に浸透して意識が上がればいいなと思う。
シリーズ第1巻目は、そんな心身のトラブルについて大まかな説明と、対応策、
本シリーズをどう利用してほしいかまで丁寧に書いてあり、
2巻目以降からは、より具体的な症状名や対処法に入るようだ。
読み進めるうちに、トラブルがある本人より、そのコと関わる周りのヒトたちの意識を変えること、
自分がこれまで持っていた「偏った考え方」に気づくことが大切なのだということも分かった。
【内容抜粋メモ】
「病気・障害とは?」
・ココロの病気とは、ココロに異常が起き、健康に暮らせなくなること。
・障害とは、ココロは健康なのに、考え方、行動に異常が起き、生活に不便が出ること。
本書では、すべて「ココロの病気」と呼んでいる。
ココロの病気には、他にもさまざまな種類がある。ここでは、小・中学生に多いものをあげた。
※発達障害そのものは病気ではない。だが、それによって人間関係等で不安がひどくなるとココロの病気になる。
このように、脳の問題でも、ココロの問題にむすびつきやすいことがある。
「この本の使い方」
本の内容に当てはまるからといって、そのコが病気だと決めつけるのはやめてください。
病気でなくても、同じ悩みをもつことがあります。
友だちが病気かどうかを知るために読むのではなく、悩んでいる友だちをどう支えればいいか知るために読んでほしいのです。
●「ココロの病気」の底にあるもの:考え方や感じ方が、ほかのみんなと少し違う
例:「パーソナリティ障害」のコは、ヒトの言うことが気になって仕方ない。
周りのコや、先生も困るが、本人も「どうしてうまくいかないんだろう」と悩み苦しんでいる。
●病気のコもほんとうは、ふつうのコ
誰にでもある問題の延長線上に、ココロの病気がある。そのコだけが特別だと思わず、親身になることが大切。
どこで病気だと区別するかというと、たとえばトラブルの多さ、本人の悩みの大きさ。
生活上、問題となっていなければ、病気の心配はない。
●脳の働きの乱れが「ココロの病気」を引き起こす
脳の機能がうまく働かなくなると、気持ちをうまくコントロールすることができなくなる。
それがココロの病気を引き起こす原因の1つ。
その他にも、もともとの性格、生活環境、周囲との関係、様々な要素が複雑に絡んで、1つに絞ることはできない。
原因を探すより、対応を考えることが大切。
ヒトによって不安の影響を受けやすい人、そうでない人がいる。
生活環境の影響も大きい。穏やかなココロは、穏やかな環境で育つ。
親子のコミュニケーションも大切な要素。しつけもココロに影響する。
●病気を治すには、みんなの協力が必要
悩みを聞いたり、できないことを代わりに手伝ったりする。
からかったり、仲間はずれにすることを避けるのも大切。
ポイント:
病気のコの暮らし方、考え方、感じ方を否定しないこと。
そのコのやり方に寄り添って協力する。
例:「そういうことに悩んでいたんだね。知らなかった。話してくれてよかったよ」
●どうしてもよくならない時は、病院に行く
本人も周りもがんばっているのに、トラブルが減らない場合や、
周りは協力していても、本人が変わろうとしない場合など、
自分たちだけでは解決できないと分かったときは、
大きな病院、専門の医療機関に行って、面談に通ったり、クスリを飲んだりする。
●子どものココロは変わりやすい
子どものココロは成長中。小さなことで傷ついたり、大きなショックを受けたりする。
よい気分になったり、悪い気分になったり、ココロはつねに動いている。
●ココロの成長〜少しずつ、自分らしいココロが育っていく
小学校に入る頃には、自分らしいココロがだいぶ育ってきています
→人間関係がわかってくる。
ココロの成長にとって、もっとも大切なのは、他の人との関わりです。
●思春期には悩みが増える
例:17〜19歳は、自分の人格、特徴、他人との違い等を意識して、理解できるようになる=「アイデンティティが育つ」
→ヒトの目を気にしすぎて、ココロの病気にむすびつく。
気の合う友だちと関わり、自分への理解を深めることが「ココロの成長」につながり、自信をもち、安定を生む。
悩むのは当たり前。理想の自分と、現実の自分のギャップに悩み、それを乗り越えることで大人になっていく。
●ココロと体はいっしょに成長する
ココロの元気を保つためには、体も元気でなければならない。
体を使って、たくさんの経験を積むことでココロが豊かに育ってゆく
ココロの病気は、ただココロだけが不調になるのではなく、体の不調も呼び込む。
●「頭の悪いコ」なんていない
そのコは、学校の勉強や会話が苦手なだけで、頭が悪いわけではない。「あのコはできない」と決めつけないこと。
1人ひとり違った考え方をしているから、それに点数をつけて、頭が良い・悪いと分けることはできない。
→自分(友だち)が得意なことは何だろう?と考えてみることが大切。
そう見ていると、1人ひとりの良さがわかってくる。なんでも完璧にできるヒトはいない。
●ココロの病気は、大人になれば治る?
とくに心身症、癖の悩み、睡眠障害などは、軽い症状であれば、生活の中で回復させることが期待できる。
が、ココロの問題に気づきながら放っておくと、二次障害を呼ぶ場合があるので、なにか手を打つべき。
環境を整えて、ストレスのもとを減らす努力をしよう。
●友だちが悩んでいたら、どう話す?
友だちが元気をなくしていたら、どんな言葉でもいいから、まず声をかける。
ヒトによって悩みやストレスを感じるポイントは違う。
「自分はこうだから、このコもそうだ」などと考えず、1人ひとりの声をよく聞く。
悩んでいるヒトは、自分の悩みが人にキチンと伝わるかどうか不安。
●ただ話を聞くだけでいい
「自分の力で悩みを解決してあげよう!」と頑張らなくていい。
「こうすればうまくいくよ!」と決めつけず、「こんな方法もあるよ」と、相手の希望に合わせていく。
注意:
病気・障害だと判断できるのは医師や専門家だけ。
様子を見ただけで、友だちを病気だと決めつけるのはよくない。
ポイント:
お互いの得意と苦手がわかったら、苦手なことを助け合う。誰にでも苦手なものがあると理解する。
●「症状」や「特性」は可哀相なことじゃない
「症状」病気によって引き起こされる頭痛、腹痛、気分の落ち込みなど
「特性」障害のあるコに見られる独特の性質。こだわり、不注意など。
「症状」や「特性」があっても、そのコの生活は、それでふつう。
ふつうに暮らしているのに「かわいそうだ」といわれたら傷ついてしまう。
苦手ではあっても、そのコがもつ性質の1つにすぎない。
「症状」や「特性」に悩むコにとって大切なのは「自信をもつこと」。
ポイント:区別をしない
「できる」「できない」という区別をせず、どんな作業でも、基本的には、みんなでやることを目指す。
●どうしてキレるのか考えてみる
そのコは、悩みを上手く言葉にできず、つい手を出してしまうのかもしれない。
イライラしやすい特性があって、みんなは気にならないことを、気にしている場合もある。
キレる気持ちの裏に、ココロの問題が隠れている場合がある。
大きな音を嫌がるコがいたら、それに気をつけよう。
不安を感じやすいコには、心配を煽るような話し方はしないでください。
トラブルの原因を減らすことが、ケンカを減らすことにつながる。
ヒトの気持ちを理解することが苦手なコは、悪気なく悪口を言ってしまう。
→誰かが間に立って、口ゲンカを防ごう。
●自分と違うやり方を尊重する
それぞれに得意・苦手な作業があり、こなす速さもみんな違う。みんなが同じことをやらなくても良い。
(日本の教育は、大体“よーい、はじめ!”の競争から始まるもんね
●注意しても伝わらない場合がある
ココロの問題のために、自分がトラブルメーカーだと気づいていないコがいる。
また、気づいていて、直したいと思っていても、同じミスを繰り返してしまう場合もある。
相手に合ったやり方で注意する。
何がダメかと言うより、どうすれば良いかを伝えるほうがよい。
ただ「ヤメテ!」「ひどい!」ではなく、具体的に「こんな風にしてみたら?」と話しかけてみる。
●孤立しているコがいたら
「人間関係」は、ココロを成長させるための大事な要素の1つ。
友だちができずにずっと孤立していると、考え方が少しずつ偏ってくる。
そこから不安障害、パーソナリティ障害などにむすびつくおそれもある。
迷ったら、遠慮せず、とにかく話しかけてください。それが支えになります。
一人の力には限界がある。周りに声をかけ、みんなで友だちを支えるのがベスト。
●体調不良とココロの問題
子どもの体調不良には、ココロの問題が関わっていることがよくある。
頭痛、腹痛など、悩む本人が自分でも気づき、対処できることはそれほど心配はない。
心配なのは、目まい、息切れ、手脚の震えなど、緊張からくる突発的な症状。
→普段も、症状が起きた時も、まず本人を安心させることが重要。周囲が慌てると、本人も怖がってしまう
●不登校になったら
「不登校」
体に悪いところはないのに、学校を1年で30日以上欠席すること。(文部科学省の基準)
「社会不安障害」「パーソナリティ障害」等がある場合、みんなが心配して、諦めずに声をかけることで状態がよくなる場合がある。
最初は家に遊びに行く。
家で遊べるようなら、少しずつ外に出かけるようチャレンジする。
いつも同じヒトが誘うのではなく、みんなで交互に誘う。たくさんのヒトと接する機会が必要。
ポイント:
放っておかずに、接点をもつこと。メール、電話、プリントを届けるなど。
●「ココロの病気」のコは、自分が病気だと知っている?
病気や症状を自覚している場合と、そうでない場合がある。その違いは、周りから見てもわからない。
自覚していないコに「ココロの病気じゃないの?」と言うと、強いショックを与えてしまうので直接言うのはやめよう。
→病気より悩みに目を向ける。生活のどんなことに困っているか、話し合う。
「ココロの病気」の種類
「発達障害」
自閉症、アスペルガー症候群、AD/HD、LDなど。
脳の働きの問題によって、考える力や作業する力などでバランスが悪いだけで、病気ではない。
ただ、こだわりが強かったり、キレやすいため、周囲には「ココロの病気」に見える。
→障害によるトラブルは必ず減らせる
暗記はできるが、想像力が弱い、読み書き、計算が苦手、など独特な性質がある。
これらの特性を周りが理解して、負担をかけない生活をすればトラブルは減る。
ポイント:
言葉でクドクドと注意しても伝わりにくい。
短い言葉で伝える、1つずつ教える、具体的に伝える、分かりやすい話し方をしよう。
「心身症」は元気がなくなる
ココロの不調が体に影響して頭痛、腹痛、目まいなどを起こす「ココロの病気」。
原因は、悩みとストレス。とくに、友だち、親、先生との人間関係に悩むヒトが多く、
他には、勉強やスポーツの挫折体験、将来への不安などがきっかけになる場合もある。
→悩みが解決しないかぎり、体の症状は繰り返す。
まず、ゆっくり休むこと。元気が出てきたら、相談する。
相談してココロがラクになると、体の痛みもラクになる。
悩みをいっしょに考えてくれるヒトが必要。
「神経症」は考え方や行動がガラッと変わる
不安・抑うつ・強迫などの神経症、うつ病、不安障害、統合失調症などの総称。
生活への不安、恐怖、思い込みが強いために、行動がどんどん極端になっていく病気(Oさん、旧相方さんはコレだったのかなあ・・・?
自信がなくなり、周りのヒトも信じられなくなるため、友だちから避けられてしまうことがある。
脳内物質のバランスが乱れて、頑張ろうとしても頑張れない状態。
→病院に行って治療を受けることが大切。クスリを使いながら、考え方や行動も変える努力をする。
周りは少しずつ良くなるのをじっくり見守ろう。
●思春期に増える反抗・依存
「行為障害」「依存症」「摂食障害」等は、非行につながることがあり、慎重な対応が必要。
悪い事件に巻き込まれないよう、周りも気をつけなければならない。
ココロも体も大切にしないでいるのは、これまで誰にも心配されず、放っておかれたから。
→みんなが心配してくれたら、支えになる。
自殺未遂を繰り返す、周りに激しい暴力をふるうなど、命に関わるトラブルが続く場合は入院も必要。
非行や暴力を1人で解決するのは難しい。みんなで相談しよう。
問題行動を計画的に治していく。本人が「変わりたい」と思うこと、周りが支えることが求められる。
●「ココロの病気」は合併することがある
●年代・成長別でなりやすい問題
小さい子どものころと、中学に入って思春期を迎える頃とでは、かかりやすい「ココロの病気」は違う。
幼児(〜5歳ごろ):「ココロの病気」はほとんどない。
小学生(6〜12歳ごろ):「発達障害」が目立つ。「アルペルガー症候群」「AD/HD」等、友だちと仲良くできないトラブルが目立つ。
中学生(13〜15歳ごろ):不登校・非行が増える。
高校生(16歳ごろ〜):うつ病、不安障害など。受験勉強、進路、人間関係などのストレスから「ココロの病気」が増える。
どの年代にもみられる「ココロの病気」:PTSD、解離性障害、転換性障害、睡眠障害、恐怖症、統合失調症、食行動の偏り
佐々木正美/監修
子ども向けの本だと、複雑に種類分けされた心身の病気も分かりやすく説明してあって頭に入りやすい。
もっと言えば、今はこれだけココロのトラブルがあって、子どもの頃から考えていかなきゃならない時代だってことだな。
昔は、「気が合わない」「性格が悪い」「面倒ばかり起こす」って誤解されて、孤立していたコたちがたくさんいたってことでもある。
当人も自覚している場合、知らない場合もあるし、周囲の理解があるのと、ないのとでも
まったく状況が変わってくるということが、もっと世の中に浸透して意識が上がればいいなと思う。
シリーズ第1巻目は、そんな心身のトラブルについて大まかな説明と、対応策、
本シリーズをどう利用してほしいかまで丁寧に書いてあり、
2巻目以降からは、より具体的な症状名や対処法に入るようだ。
読み進めるうちに、トラブルがある本人より、そのコと関わる周りのヒトたちの意識を変えること、
自分がこれまで持っていた「偏った考え方」に気づくことが大切なのだということも分かった。
【内容抜粋メモ】
「病気・障害とは?」
・ココロの病気とは、ココロに異常が起き、健康に暮らせなくなること。
・障害とは、ココロは健康なのに、考え方、行動に異常が起き、生活に不便が出ること。
本書では、すべて「ココロの病気」と呼んでいる。
ココロの病気には、他にもさまざまな種類がある。ここでは、小・中学生に多いものをあげた。
※発達障害そのものは病気ではない。だが、それによって人間関係等で不安がひどくなるとココロの病気になる。
このように、脳の問題でも、ココロの問題にむすびつきやすいことがある。
「この本の使い方」
本の内容に当てはまるからといって、そのコが病気だと決めつけるのはやめてください。
病気でなくても、同じ悩みをもつことがあります。
友だちが病気かどうかを知るために読むのではなく、悩んでいる友だちをどう支えればいいか知るために読んでほしいのです。
●「ココロの病気」の底にあるもの:考え方や感じ方が、ほかのみんなと少し違う
例:「パーソナリティ障害」のコは、ヒトの言うことが気になって仕方ない。
周りのコや、先生も困るが、本人も「どうしてうまくいかないんだろう」と悩み苦しんでいる。
●病気のコもほんとうは、ふつうのコ
誰にでもある問題の延長線上に、ココロの病気がある。そのコだけが特別だと思わず、親身になることが大切。
どこで病気だと区別するかというと、たとえばトラブルの多さ、本人の悩みの大きさ。
生活上、問題となっていなければ、病気の心配はない。
●脳の働きの乱れが「ココロの病気」を引き起こす
脳の機能がうまく働かなくなると、気持ちをうまくコントロールすることができなくなる。
それがココロの病気を引き起こす原因の1つ。
その他にも、もともとの性格、生活環境、周囲との関係、様々な要素が複雑に絡んで、1つに絞ることはできない。
原因を探すより、対応を考えることが大切。
ヒトによって不安の影響を受けやすい人、そうでない人がいる。
生活環境の影響も大きい。穏やかなココロは、穏やかな環境で育つ。
親子のコミュニケーションも大切な要素。しつけもココロに影響する。
●病気を治すには、みんなの協力が必要
悩みを聞いたり、できないことを代わりに手伝ったりする。
からかったり、仲間はずれにすることを避けるのも大切。
ポイント:
病気のコの暮らし方、考え方、感じ方を否定しないこと。
そのコのやり方に寄り添って協力する。
例:「そういうことに悩んでいたんだね。知らなかった。話してくれてよかったよ」
●どうしてもよくならない時は、病院に行く
本人も周りもがんばっているのに、トラブルが減らない場合や、
周りは協力していても、本人が変わろうとしない場合など、
自分たちだけでは解決できないと分かったときは、
大きな病院、専門の医療機関に行って、面談に通ったり、クスリを飲んだりする。
●子どものココロは変わりやすい
子どものココロは成長中。小さなことで傷ついたり、大きなショックを受けたりする。
よい気分になったり、悪い気分になったり、ココロはつねに動いている。
●ココロの成長〜少しずつ、自分らしいココロが育っていく
小学校に入る頃には、自分らしいココロがだいぶ育ってきています
→人間関係がわかってくる。
ココロの成長にとって、もっとも大切なのは、他の人との関わりです。
●思春期には悩みが増える
例:17〜19歳は、自分の人格、特徴、他人との違い等を意識して、理解できるようになる=「アイデンティティが育つ」
→ヒトの目を気にしすぎて、ココロの病気にむすびつく。
気の合う友だちと関わり、自分への理解を深めることが「ココロの成長」につながり、自信をもち、安定を生む。
悩むのは当たり前。理想の自分と、現実の自分のギャップに悩み、それを乗り越えることで大人になっていく。
●ココロと体はいっしょに成長する
ココロの元気を保つためには、体も元気でなければならない。
体を使って、たくさんの経験を積むことでココロが豊かに育ってゆく
ココロの病気は、ただココロだけが不調になるのではなく、体の不調も呼び込む。
●「頭の悪いコ」なんていない
そのコは、学校の勉強や会話が苦手なだけで、頭が悪いわけではない。「あのコはできない」と決めつけないこと。
1人ひとり違った考え方をしているから、それに点数をつけて、頭が良い・悪いと分けることはできない。
→自分(友だち)が得意なことは何だろう?と考えてみることが大切。
そう見ていると、1人ひとりの良さがわかってくる。なんでも完璧にできるヒトはいない。
●ココロの病気は、大人になれば治る?
とくに心身症、癖の悩み、睡眠障害などは、軽い症状であれば、生活の中で回復させることが期待できる。
が、ココロの問題に気づきながら放っておくと、二次障害を呼ぶ場合があるので、なにか手を打つべき。
環境を整えて、ストレスのもとを減らす努力をしよう。
●友だちが悩んでいたら、どう話す?
友だちが元気をなくしていたら、どんな言葉でもいいから、まず声をかける。
ヒトによって悩みやストレスを感じるポイントは違う。
「自分はこうだから、このコもそうだ」などと考えず、1人ひとりの声をよく聞く。
悩んでいるヒトは、自分の悩みが人にキチンと伝わるかどうか不安。
●ただ話を聞くだけでいい
「自分の力で悩みを解決してあげよう!」と頑張らなくていい。
「こうすればうまくいくよ!」と決めつけず、「こんな方法もあるよ」と、相手の希望に合わせていく。
注意:
病気・障害だと判断できるのは医師や専門家だけ。
様子を見ただけで、友だちを病気だと決めつけるのはよくない。
ポイント:
お互いの得意と苦手がわかったら、苦手なことを助け合う。誰にでも苦手なものがあると理解する。
●「症状」や「特性」は可哀相なことじゃない
「症状」病気によって引き起こされる頭痛、腹痛、気分の落ち込みなど
「特性」障害のあるコに見られる独特の性質。こだわり、不注意など。
「症状」や「特性」があっても、そのコの生活は、それでふつう。
ふつうに暮らしているのに「かわいそうだ」といわれたら傷ついてしまう。
苦手ではあっても、そのコがもつ性質の1つにすぎない。
「症状」や「特性」に悩むコにとって大切なのは「自信をもつこと」。
ポイント:区別をしない
「できる」「できない」という区別をせず、どんな作業でも、基本的には、みんなでやることを目指す。
●どうしてキレるのか考えてみる
そのコは、悩みを上手く言葉にできず、つい手を出してしまうのかもしれない。
イライラしやすい特性があって、みんなは気にならないことを、気にしている場合もある。
キレる気持ちの裏に、ココロの問題が隠れている場合がある。
大きな音を嫌がるコがいたら、それに気をつけよう。
不安を感じやすいコには、心配を煽るような話し方はしないでください。
トラブルの原因を減らすことが、ケンカを減らすことにつながる。
ヒトの気持ちを理解することが苦手なコは、悪気なく悪口を言ってしまう。
→誰かが間に立って、口ゲンカを防ごう。
●自分と違うやり方を尊重する
それぞれに得意・苦手な作業があり、こなす速さもみんな違う。みんなが同じことをやらなくても良い。
(日本の教育は、大体“よーい、はじめ!”の競争から始まるもんね
●注意しても伝わらない場合がある
ココロの問題のために、自分がトラブルメーカーだと気づいていないコがいる。
また、気づいていて、直したいと思っていても、同じミスを繰り返してしまう場合もある。
相手に合ったやり方で注意する。
何がダメかと言うより、どうすれば良いかを伝えるほうがよい。
ただ「ヤメテ!」「ひどい!」ではなく、具体的に「こんな風にしてみたら?」と話しかけてみる。
●孤立しているコがいたら
「人間関係」は、ココロを成長させるための大事な要素の1つ。
友だちができずにずっと孤立していると、考え方が少しずつ偏ってくる。
そこから不安障害、パーソナリティ障害などにむすびつくおそれもある。
迷ったら、遠慮せず、とにかく話しかけてください。それが支えになります。
一人の力には限界がある。周りに声をかけ、みんなで友だちを支えるのがベスト。
●体調不良とココロの問題
子どもの体調不良には、ココロの問題が関わっていることがよくある。
頭痛、腹痛など、悩む本人が自分でも気づき、対処できることはそれほど心配はない。
心配なのは、目まい、息切れ、手脚の震えなど、緊張からくる突発的な症状。
→普段も、症状が起きた時も、まず本人を安心させることが重要。周囲が慌てると、本人も怖がってしまう
●不登校になったら
「不登校」
体に悪いところはないのに、学校を1年で30日以上欠席すること。(文部科学省の基準)
「社会不安障害」「パーソナリティ障害」等がある場合、みんなが心配して、諦めずに声をかけることで状態がよくなる場合がある。
最初は家に遊びに行く。
家で遊べるようなら、少しずつ外に出かけるようチャレンジする。
いつも同じヒトが誘うのではなく、みんなで交互に誘う。たくさんのヒトと接する機会が必要。
ポイント:
放っておかずに、接点をもつこと。メール、電話、プリントを届けるなど。
●「ココロの病気」のコは、自分が病気だと知っている?
病気や症状を自覚している場合と、そうでない場合がある。その違いは、周りから見てもわからない。
自覚していないコに「ココロの病気じゃないの?」と言うと、強いショックを与えてしまうので直接言うのはやめよう。
→病気より悩みに目を向ける。生活のどんなことに困っているか、話し合う。
「ココロの病気」の種類
「発達障害」
自閉症、アスペルガー症候群、AD/HD、LDなど。
脳の働きの問題によって、考える力や作業する力などでバランスが悪いだけで、病気ではない。
ただ、こだわりが強かったり、キレやすいため、周囲には「ココロの病気」に見える。
→障害によるトラブルは必ず減らせる
暗記はできるが、想像力が弱い、読み書き、計算が苦手、など独特な性質がある。
これらの特性を周りが理解して、負担をかけない生活をすればトラブルは減る。
ポイント:
言葉でクドクドと注意しても伝わりにくい。
短い言葉で伝える、1つずつ教える、具体的に伝える、分かりやすい話し方をしよう。
「心身症」は元気がなくなる
ココロの不調が体に影響して頭痛、腹痛、目まいなどを起こす「ココロの病気」。
原因は、悩みとストレス。とくに、友だち、親、先生との人間関係に悩むヒトが多く、
他には、勉強やスポーツの挫折体験、将来への不安などがきっかけになる場合もある。
→悩みが解決しないかぎり、体の症状は繰り返す。
まず、ゆっくり休むこと。元気が出てきたら、相談する。
相談してココロがラクになると、体の痛みもラクになる。
悩みをいっしょに考えてくれるヒトが必要。
「神経症」は考え方や行動がガラッと変わる
不安・抑うつ・強迫などの神経症、うつ病、不安障害、統合失調症などの総称。
生活への不安、恐怖、思い込みが強いために、行動がどんどん極端になっていく病気(Oさん、旧相方さんはコレだったのかなあ・・・?
自信がなくなり、周りのヒトも信じられなくなるため、友だちから避けられてしまうことがある。
脳内物質のバランスが乱れて、頑張ろうとしても頑張れない状態。
→病院に行って治療を受けることが大切。クスリを使いながら、考え方や行動も変える努力をする。
周りは少しずつ良くなるのをじっくり見守ろう。
●思春期に増える反抗・依存
「行為障害」「依存症」「摂食障害」等は、非行につながることがあり、慎重な対応が必要。
悪い事件に巻き込まれないよう、周りも気をつけなければならない。
ココロも体も大切にしないでいるのは、これまで誰にも心配されず、放っておかれたから。
→みんなが心配してくれたら、支えになる。
自殺未遂を繰り返す、周りに激しい暴力をふるうなど、命に関わるトラブルが続く場合は入院も必要。
非行や暴力を1人で解決するのは難しい。みんなで相談しよう。
問題行動を計画的に治していく。本人が「変わりたい」と思うこと、周りが支えることが求められる。
●「ココロの病気」は合併することがある
●年代・成長別でなりやすい問題
小さい子どものころと、中学に入って思春期を迎える頃とでは、かかりやすい「ココロの病気」は違う。
幼児(〜5歳ごろ):「ココロの病気」はほとんどない。
小学生(6〜12歳ごろ):「発達障害」が目立つ。「アルペルガー症候群」「AD/HD」等、友だちと仲良くできないトラブルが目立つ。
中学生(13〜15歳ごろ):不登校・非行が増える。
高校生(16歳ごろ〜):うつ病、不安障害など。受験勉強、進路、人間関係などのストレスから「ココロの病気」が増える。
どの年代にもみられる「ココロの病気」:PTSD、解離性障害、転換性障害、睡眠障害、恐怖症、統合失調症、食行動の偏り