■『小さないのち まほうをかけられた犬たち』(金の星社)
今西乃子/文 浜田一男/写真
「いのちをすてる人と いのちをすくう人
あなたは、どちらになりたいですか?」
“捨てられたすべての命を救うことはできなくても、ひとつずつなら自分にも救えるはず”
という思いから始まった無償の活動、人の輪、犬の輪。ほんとうに頭が下がる思いがした。
【内容抜粋メモ】
「ぷりんママ」と呼ばれている安並圭子さん。
今日は、たくさんの犬仲間と集まる「元捨て犬」たちの同窓会。
犬親さんたちは、1年に2度、同窓会を行う。
ドッグランで笑顔で走っていた犬たちとであったのは、動物愛護センター。
ぷりんママがここに通い始めたのは、数年前のこと。
ヒトの身勝手さで捨てられた犬たちを1頭でも救いたいという思いからだった。
ここに来て、数日が過ぎれば、この犬たちは、真っ暗な、ステンレスの箱の中で、ガスによって殺されていく。
2匹の子犬はガリガリに痩せて、皮膚病にかかっていた。
ボロボロになった犬もヒト次第でキラキラに輝くことができる!
“捨てられたすべての命を救うことはできなくても、ひとつずつなら自分にも救えるはず”
ぷりんママと捨て犬との出会いの瞬間
まず、多くの犬たちの中から引き取りたい犬を選ぶ。全員はムリ。
里親が見つかるまでの犬のゴハン、病気の治療、予防等にかかるお金は自分で払うため。
責任をもって引き取れるのは1、2頭が精一杯。
↓
センターの職員さんに申し出て、伝染病にかかっていないかを確認してもらう。その2週間は家に連れてはいけない。
↓
トリマーさんにカットしてもらう。
↓
病院で健康診断を受ける。
↓
犬の性格、クセ、トイレのしつけができるまで、家のサークルに入れて、様子を見る。
トイレシート、ゴハン皿、首輪、リード、迷子札なども用意する。
【愛されるコに育ててから】
ぷりんママは、すぐに里親探しはしない。
センターから来た“あずかりっ子”たちは、以前の飼い主から虐待を受けたり、辛いめに遭ったコも少なくないため、
「人間と暮らすって、こんなに楽しいんだよ」と知ってもらうことが大事。
魔法のことば
「いい子だね! だーいすきだよ!」「もう捨てたりしないからね」と抱きしめながら声をかけ続ける。
「もう信じていいんだ・・・」そんな声が聞こえてきたら旅立ちの時。
【里親探しも慎重に】
ぷりんママは、里親さんを決める時は、その家族全員と会い、住んでいる家も見て、たくさん話す。
【ボランティアのきっかけ】
ぷりんママは、小学校の帰り道、生まれたての子ネコが死んでいるのを見つけた。
カラスがついばんだためか、目玉はえぐりとられ、ウジ虫がわいていた。
「どうして、こんな風に寂しく死ななきゃならなかったんだろう?」
その死体をどこかに埋めたいと思ったけれども、怖くて触ることができず、
「ごめんね!ごめんね!」と叫びながら、泣いて走って逃げてしまった。
その後もぷりんママは、子ネコを埋めてあげられなかったことを後悔し、弱虫な自分がキライになってしまった。
今、多くの命を救っているのは、犬だけのためではなく、「好きな自分でいるため」でもある。
“命を捨てる人間になるより、命を救う人間になったほうが、みんな自分を好きになれます”
【生まれたばかりの子犬「あん」と「みつ」】
ぷりんママのもとに「捨てられていた子犬2匹の預かり先を探しています」と電話が入った。
まだ生まれて2週間ほどで、目もあいていないとのこと。
4時間ごとにミルクをあげる。1回に1時間はかかる。
その後、ウンチが出やすいようお尻を濡れたティッシュで拭いてあげる。
目の見えていない子犬の世話は、昼も夜も関係なし。
そのたびにぷりんママは
「好きな自分って、どんな自分?」と問いかける。
「好きな自分って、この子たちの命を守りとおせる自分」
「キライな自分って、どんな自分?」
「大変なことから逃げる自分。この子たちの世話ができない自分」
その後、“あんみつ”は元気に大きくなり、ミルクから離乳食、ふつうのゴハンが食べられるようになるとイタズラざかり。
「2人のおかげで、またひとつ、キライな自分とさよならすることができたよ」
【「おはぎ」の骨】
ぷりんママのもとには、元あずかりっ子たちの元気な姿とともにたくさんのメールが送られてくる。
そんな時、いつもリビングの棚に置いてある小さなお骨を振り返る。
「おはぎ」は、センターから連れて帰った数日後に病気で亡くなってしまった。
“捨てるのはカンタン。でも、命を救うことはカンタンではないのです”
ぷりんママが助けた「元捨て犬」は30頭以上。
ボロボロだった命をキラキラに変える「まほう」は、「小さな命を守りたい!」と思った人間にしかかけられません。
そして、みんな、命を輝かせることができる「魔法使い」なのです。
【著者あとがき抜粋メモ】
「生きる」ということは「息さえしていればいい」というものではありません。
命の尊厳とは、共に暮らすもの同士が、愛し、愛され、しあわせに暮らすことができる、ということなのです。
人は、本来、与えられるより、与えることに喜びを見出す生き物です。
命を傷つけ、捨てる人間と、命を守り、慈しむ人間、
どちらになったほうが、あなたは、自分を愛しいと思えますか。
どちらが、人としてしあわせな人生を送ることができるのでしょう。
小さな命を捨てることは、人としてのプライドも同時に捨てることなのです。
“捨てられるいのちゼロ”の社会をめざして。
今西乃子/文 浜田一男/写真
「いのちをすてる人と いのちをすくう人
あなたは、どちらになりたいですか?」
“捨てられたすべての命を救うことはできなくても、ひとつずつなら自分にも救えるはず”
という思いから始まった無償の活動、人の輪、犬の輪。ほんとうに頭が下がる思いがした。
【内容抜粋メモ】
「ぷりんママ」と呼ばれている安並圭子さん。
今日は、たくさんの犬仲間と集まる「元捨て犬」たちの同窓会。
犬親さんたちは、1年に2度、同窓会を行う。
ドッグランで笑顔で走っていた犬たちとであったのは、動物愛護センター。
ぷりんママがここに通い始めたのは、数年前のこと。
ヒトの身勝手さで捨てられた犬たちを1頭でも救いたいという思いからだった。
ここに来て、数日が過ぎれば、この犬たちは、真っ暗な、ステンレスの箱の中で、ガスによって殺されていく。
2匹の子犬はガリガリに痩せて、皮膚病にかかっていた。
ボロボロになった犬もヒト次第でキラキラに輝くことができる!
“捨てられたすべての命を救うことはできなくても、ひとつずつなら自分にも救えるはず”
ぷりんママと捨て犬との出会いの瞬間
まず、多くの犬たちの中から引き取りたい犬を選ぶ。全員はムリ。
里親が見つかるまでの犬のゴハン、病気の治療、予防等にかかるお金は自分で払うため。
責任をもって引き取れるのは1、2頭が精一杯。
↓
センターの職員さんに申し出て、伝染病にかかっていないかを確認してもらう。その2週間は家に連れてはいけない。
↓
トリマーさんにカットしてもらう。
↓
病院で健康診断を受ける。
↓
犬の性格、クセ、トイレのしつけができるまで、家のサークルに入れて、様子を見る。
トイレシート、ゴハン皿、首輪、リード、迷子札なども用意する。
【愛されるコに育ててから】
ぷりんママは、すぐに里親探しはしない。
センターから来た“あずかりっ子”たちは、以前の飼い主から虐待を受けたり、辛いめに遭ったコも少なくないため、
「人間と暮らすって、こんなに楽しいんだよ」と知ってもらうことが大事。
魔法のことば
「いい子だね! だーいすきだよ!」「もう捨てたりしないからね」と抱きしめながら声をかけ続ける。
「もう信じていいんだ・・・」そんな声が聞こえてきたら旅立ちの時。
【里親探しも慎重に】
ぷりんママは、里親さんを決める時は、その家族全員と会い、住んでいる家も見て、たくさん話す。
【ボランティアのきっかけ】
ぷりんママは、小学校の帰り道、生まれたての子ネコが死んでいるのを見つけた。
カラスがついばんだためか、目玉はえぐりとられ、ウジ虫がわいていた。
「どうして、こんな風に寂しく死ななきゃならなかったんだろう?」
その死体をどこかに埋めたいと思ったけれども、怖くて触ることができず、
「ごめんね!ごめんね!」と叫びながら、泣いて走って逃げてしまった。
その後もぷりんママは、子ネコを埋めてあげられなかったことを後悔し、弱虫な自分がキライになってしまった。
今、多くの命を救っているのは、犬だけのためではなく、「好きな自分でいるため」でもある。
“命を捨てる人間になるより、命を救う人間になったほうが、みんな自分を好きになれます”
【生まれたばかりの子犬「あん」と「みつ」】
ぷりんママのもとに「捨てられていた子犬2匹の預かり先を探しています」と電話が入った。
まだ生まれて2週間ほどで、目もあいていないとのこと。
4時間ごとにミルクをあげる。1回に1時間はかかる。
その後、ウンチが出やすいようお尻を濡れたティッシュで拭いてあげる。
目の見えていない子犬の世話は、昼も夜も関係なし。
そのたびにぷりんママは
「好きな自分って、どんな自分?」と問いかける。
「好きな自分って、この子たちの命を守りとおせる自分」
「キライな自分って、どんな自分?」
「大変なことから逃げる自分。この子たちの世話ができない自分」
その後、“あんみつ”は元気に大きくなり、ミルクから離乳食、ふつうのゴハンが食べられるようになるとイタズラざかり。
「2人のおかげで、またひとつ、キライな自分とさよならすることができたよ」
【「おはぎ」の骨】
ぷりんママのもとには、元あずかりっ子たちの元気な姿とともにたくさんのメールが送られてくる。
そんな時、いつもリビングの棚に置いてある小さなお骨を振り返る。
「おはぎ」は、センターから連れて帰った数日後に病気で亡くなってしまった。
“捨てるのはカンタン。でも、命を救うことはカンタンではないのです”
ぷりんママが助けた「元捨て犬」は30頭以上。
ボロボロだった命をキラキラに変える「まほう」は、「小さな命を守りたい!」と思った人間にしかかけられません。
そして、みんな、命を輝かせることができる「魔法使い」なのです。
【著者あとがき抜粋メモ】
「生きる」ということは「息さえしていればいい」というものではありません。
命の尊厳とは、共に暮らすもの同士が、愛し、愛され、しあわせに暮らすことができる、ということなのです。
人は、本来、与えられるより、与えることに喜びを見出す生き物です。
命を傷つけ、捨てる人間と、命を守り、慈しむ人間、
どちらになったほうが、あなたは、自分を愛しいと思えますか。
どちらが、人としてしあわせな人生を送ることができるのでしょう。
小さな命を捨てることは、人としてのプライドも同時に捨てることなのです。
“捨てられるいのちゼロ”の社会をめざして。