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『悲しい本』(あかね書房)

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あかね・新えほんシリーズ『悲しい本』(あかね書房)
マイケル・ローゼン/作 クェンティン・ブレイク/絵 谷川俊太郎/訳

「誰にも、なにも話したくないときもある。
 誰にも。どんなひとにも。誰ひとり。
 ・・・私の悲しみだから。ほかの誰のものでもないのだから。」


図書館巡りで見つけた1冊。
シンプルなタイトル、なんとも言えない悲しみそのものの男性のイラスト、谷川さんが翻訳ということで借りてみた。
愛息エディを亡くした男。妻もいないのは離婚したからか?

イラストに描かれた男性は誰かに似ている。私にも、知り合いの誰かにも。
誰にでも悲しみのひとつや、ふたつは必ずある。ましてや肉親を亡くした悲しみは想像をはるかに超える。
でも、冒頭のセリフにあるように、それを人やモノに当たったり、誤魔化すことなく、
自分の悲しみとして受け止め、それとともに生き続けること、それにハッとさせられ、心を打った。


【内容抜粋メモ】


この絵では、幸せそうに見えるかもしれない。
じつは、悲しいのだが、幸せなふりをしているのだ。
悲しく見えると、ひとに好かれないのではないかと思って、そうしているのだ。



悲しみがとても大きいときがある。
どこもかしこも悲しい。からだじゅうが、悲しい。
そんなときは、こんな顔だ。どうすることもできない。


  
「よくも、そんなふうに死ねたもんだね? 私をここまで悲しませて。」
エディはなにも言わない。もうここにはいないから。


なぜ悲しいのか、理由がわからないときもある。
いろいろなことが、何年か前とは同じではないせいかもしれない。

私はあまり苦しまずに、悲しみをやりすごす方法をずっと探しつづけてきた。

誰にだって悲しいことはあると自分に言い聞かせる。

毎日なにかひとつ得意なことをしようとする。


毎日楽しいことをひとつはしようとする。




悲しみとは何ものか?
人をえらばない。
そいつはやってきて、きみを見つける。


私は消えうせてしまいたい。



私は思い出す、私の大好きな誕生日。
誕生日おめでとう・・・に始まるなにもかも。



そしてロウソク。ロウソクがなくてはね。







【谷川さんあとがき抜粋メモ】
人はさまざまな悲しみを経験する。
すぐ忘れてしまえるような小さな悲しみ、
その人の一生を決定するような深い悲しみ、
理由がある悲しみ、理由のない悲しみ、苦い悲しみ、甘い悲しみ。

ロウソクの光は、悲しみの闇にひそむ明日へとむかう道を照らしだす。




悲しい歌/Pizzicato Five


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