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『世界の本屋さん』(ミネルヴァ書房)

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本屋さんのすべてがわかる本1 調べよう! 世界の本屋さん(ミネルヴァ書房)
稲葉茂勝/文 秋田喜代美/監修

図書館巡りで見つけた1冊シリーズ。
全4巻のうち、1巻目は、本屋ができた歴史、世界の人気のある本屋さんが紹介されているとともに、
インターネットの急速な普及で、本が手軽に自宅で手に入るようになったり、電子書籍の登場で
有名な老舗チェーン店まで倒産が相次いでいる現状にも触れている。

本屋さんを見ていくことで、あらゆる国の様子なども見えてくる1冊。


【内容抜粋メモ】
2012年現在、日本で出版される新刊本は、1年間に約7万8000点、1日平均で約215点!

[本屋さんに行こう]
「キャリア教育」
近年、小中学校で職場体験が盛んで、お店がどんな工夫をして商品を並べているのかなどを、
実際の体験を通して知ることの重要性が注目されている。
(「職場体験」大事。教える立場の人間も、まずは社会勉強してから子どもたちを教えればいいのに

「国際理解教育」
外国の本に触れることで、異文化理解にも役立ちます。

「情報教育」
本屋さんは、人々がどんなことを考えているのかが分かる場なのです。

「メディアリテラシー」
本屋さんは、どんな本が自分にとって良いか、良くないかを見極める場でもある。

「金銭教育」
自分のお小遣いで初めて買った本は、その人にとって一生の思い出になるでしょう。

「読書推進」
いろいろ迷った時も、本屋さんから知識を得て、きっと本が好きになるでしょう。


******************************本のはじまり

 
古代エジプトのアレクサンドリア図書館には、多くの学者が集まった

紙(paper)の語源となった「パピルス」。
古代エジプト時代には、葦で作ったペン、煤でつくったインクで、パピルスに文字を書いた。その頃は巻物。

アレクサンドリア図書館ができて間もなく、ペルガモン図書館が始まった。
しかし、エジプトはパピルスの輸出を禁止。そうして作られたのが「羊皮紙」。
こうして巻物から本の形になった。現在と同じものが完成したのは6Cはじめ、イタリアの修道院といわれる。

印刷機が発明される前は、本は人の手で書き写されていた
古代ギリシャ時代、詩人や演説家の言葉が書き留められ、その写しが販売されていたのが本屋のはじまりではないかと言われる。


『ブリタニカ百科事典』

『ブリタニカ百科事典』(2012年に停止)によると、ローマ帝国時代には、
裕福な人たちが「家財の一部として書斎を持つことが流行した」などと書かれている。


******************************本屋の近代化

 
「ボローニャ大学」は世界最古の1088年創立

11C、イタリアの「ボローニャ大学」がつくられたのをきっかけに、各地に大学が誕生。本屋の活動も盛んになった。
『ブリタニカ百科事典』には「本屋という商売は、12Cのパリとボローニャで成立し、法律家と大学が先駆けて始めたようだ」とある。

2C、中国で「紙」が発明され、7Cには「木版印刷」、11C「活字印刷」がはじまる。
1445年頃、ヨハネス・グーテンベルクが「活版印刷技術」を発明し、印刷物や本が急速に広まった。


グーテンベルクが発明した活版印刷機。本の大量生産を可能とした

15C、印刷業者が本屋を兼ね、大学が本の販売に関わった。
大学は認定した印刷業者以外には、印刷・販売も禁止した
しかし、本の人気が高まり、認定されていない本屋がたくさんできる。

当初は、印刷業者が編集・製造・販売までしていた。
ドイツのアントン・コーベルガーは、発行社と読者の仲介、「本屋」を始め大成功した。

19C、本屋は、印刷業者から分離。本の卸売りをする「問屋」ができる。
「問屋」印刷会社から本を大量に買い取って町の本屋に販売する。日本では「取次」と呼ぶ。
一方、本の制作を中心に行う本屋、現在の「出版社」ができる。


******************************古本屋のはじまり


イギリスのウェールズ、ボーイス「ヘイ・オン・ワイ」

出版社、問屋、小売店の役割分担が明確になると、新刊書の小売と、古い本を仕入れて販売する違いが生まれた。


古本の村、ルデュ村

ベルギーにある小さなルデュ村は、1980年代初頭、人口わずか20人だったが、「本の村」として再生した。
1964年、人工衛星の追跡観測を行う基地の建設地を探していたヨーロッパ宇宙開発機関が、ルデュ村近くに決定。
古本の収集が趣味の事業家ノエル・アンスロー氏が、そこに古本専門店の第1号を開業したのがきっかけ。
1店1店がジャンル別にテーマを持っていて、現在では50店以上になり、ブックマニアが押し寄せている。


******************************各国の本屋の歴史

●イギリス
1792年、W・H・スミスは「Smith’s」として有名。
1848年、ユーストン駅に新聞販売所を置き、新聞の配送会社に発展。
その後、病院、ガソリンスタンド等で、本、文具、雑誌などを売るチェーン店として成長。
世界初の本屋のチェーン店と言われる。


世界共通規格「ISBN」
「国際標準図書番号」のこと。世界中で番号で本を見分けられるシステム。
「W・H・スミス社」が1966年に開発した「スタンダード・ブック・ナンバリング」が
1970年、国際機関に採用され、1974年から全世界共通になった。


●アメリカ
小売書店以外の販売ルート(通販)が発達した。

1829年、ボストンで「ペーパーバック」が出版された。
第二次世界大戦では戦地の兵士にも読みやすく、新聞スタンドで売られたため、大ブームとなった。

「ペーパーバック」
「ソフトカバー」とも呼ぶ。日本では「上製本」に対し「並製本」と呼ぶ。
18Cまでは分厚く、豪華な装飾のハードカバーだったが、19Cには低価格本が登場。

「製本」の種類参照


最大手の「バーンズ・アンド・ノーブル」。コーヒーを提供したり、ベストセラーを値引きする等、新しいスタイルを取り入れた。

1970年代、大型チェーン店、「郊外型書店」(駐車場などをもつ中型書店)も登場。
1980年代、ビデオソフト、コンピュータゲーム等の販売も行う。本の価格が統一されていないため、大幅に割引しはじめた。
2000年代、ネット、携帯端末で読む文化が登場。2011年、2位のチェーン店「ボーダーズ・グループ」が倒産。


******************************世界の本屋さんトップ10

イギリスの新聞『ガーディアン』が独自の基準で選んだものを紹介(だから、イギリスに偏ってるのか


「ハッチャーズ」

1位:「ハッチャーズ」@ロンドン。買った本を入れる紙袋まで立派。王室御用達。
2位:「セレクシス・ドミニカネン」@オランダ
3位:「エル・アテネオ・グランド・スプレンディッド」@アルゼンチン
4位:「レロ・イ・イルマオン」@ポルトガル
5位:「シークレット・ヘッドクォーターズ」@アメリカ
6位:「ボーダーズ・グラスゴー店」@イギリス
7位:「スカーシン・ブックス」@イギリス
8位:「ポサダ」@ベルギー
9位:「エル・ペンンデュロ・ポランコ店」@メキシコ
10位:「恵文社一乗寺店」@日本



******************************世界の人気の本屋さん

・「アカテーミネン書店」@フィンランド
・「アカデミー書店」@スウェーデン
・「ターナム書店」@ノルウェー
・「フューゲンデューベル書店」@ドイツ
・「ウォーターストーンズ」@イギリス
・「フナック」@フランス
・「カサ・デル・リブロ書店」@スペイン
・「モンダドーリ書店」@イタリア
・「パタカ書店」@ギリシャ
・「ゲロルド書店」@オーストリア
・「カンゼルスベルガー書店」@チェコ
・「リブリ書店」@ハンガリー
・「ドム・クニーギ書店」@ロシア
・「ディモックス書店」@オーストラリア

・「メフィスト書店」@トルコ
・「グラメディア書店」@インドネシア
・「MPH書店」@マレーシア

アジアの本屋さんは、看板の文字にヨーロッパとの違いを見ることができる。インドやベトナムでは本の並べ方も異なる。

・「教保文庫」@韓国 本店には日本書籍専門売り場があり、日本の本屋そっくり。
・「アジアブックス」@タイ
・「ジェーン・ブック・エージェンシー」@インド
・「チャンティエン書店」@ベトナム すべての本が積んであり、書棚に縦に差し込む背表紙陳列はない(下から取り出すの大変
・「レイク・ハウス・ブックショップ」@スリランカ

●「紀伊国屋書店」の海外店舗展開
2013年10月現在、64店舗。外国人には日本式のサービスが人気となっている。


●「一党独裁国家」(ずっと1つの政党が国を支配している国)の本屋さん

・「新華書店」@中国
1937年、国が誕生すると、国営の本屋として発展。書店の毛筆ロゴも、毛沢東主席自らが筆で書いたもの。
2006年、小売店数は全国で14000店に達したが、ネットの普及によって閉鎖されるところが続出している。
また、「海賊版」が横行していることも要因。

・「中華書局」@香港
約100年間、イギリスに統治され、1997年に返還後は、簡体字、繁体字の両方の本が混在している。

・国営書店@北朝鮮

図書室といった雰囲気。金日成全集、1/3は地図、国旗、指導者のバッジなど。
ほかは、金日成の肖像画、祭壇の花など。

すべて国営で、朝鮮労働党の思想を伝える物を扱っている。権力に反対する本を置くことは存在できない。
本屋も普及していない。


******************************焚書

「焚書」
権力者が、自らに反対する人たちを押さえつける方法の1つとして、
反対する思想の書かれている本を公開の場で本などを焼き捨てること

例:

第二次世界大戦中、ナチスドイツが行ったものが有名。
第二次世界大戦後、GHQが、軍国主義的な本を焼き払ったのも焚書と見られている。


2012年9月7日、エジプトのアレキサンドリアにある本屋街が、政府の内務省によって破壊された。
「政権側に都合の悪い思想をもつ本屋を破壊した」とも言われる。

2013年2月2日、ロンドンでは、「フリーダムプレス」という本屋が放火された
アナキストの本を扱う本屋として知られていた。


事件直後、多くのボランティアが営業再開のために掃除などを手伝った。

本屋さんは、権力に反対する考えを宣伝する場となっていると同時に、
権力の考えを国民に宣伝する場にもなっている。


【ブログ内関連記事】
『3万冊の本を救ったアリーヤさんの大作戦』(国書刊行会)


******************************国際ブックフェア

「国際見本市」
世界中から出版社、本屋さんなどが集まり、世界の本の取引を行う。
「見本市」とは、現品を展示して、取引の商談をし、受け渡しは後日にする市場。
新しく発明されたり、改良された機械、道具なども、完成していない段階で取引される。
ドイツの「フランクフルト・ブックフェア」は、活版印刷が発明されて間もない頃に開かれ、500年以上の歴史がある。

例:
3/25〜28 第50回 ボローニャ国際児童図書展@イタリア
7/4〜7 第20回 東京国際ブックフェア@日本 ほか

【ブログ内関連記事】
2014 イタリア・ボローニャ国際絵本原画展@板橋区立美術館

「東京国際ブックフェア」は一度行ったことがある気がするけど、ブログにヒットしないなぁ・・・



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