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Channel: メランコリア
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「心の中のベストフィルム〜『天井桟敷の人々』(1945)」

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『天井桟敷の人々』(1945)
監督:マルセル・カルネ
出演:ジャン・ルイ・バロー、アルレッティ、ピエール・ブラッスール、マリア・カザレス ほか

 

trailer

感想メモは「notes and movies」カテゴリーからの抜粋です。

第1部:犯罪大通り
幕があがり、幕が下りる。これは映画というより劇場で観る演劇に近い。美しいモノクロの世界。
ジャケ写の1コマの絵の完璧な美しさで、観る前から逸品なのが分かる。

アーティストと、貧しいが人間味あふれた人々が行き交い、笑い、涙、怒り、人生が見える場所、
下町の通称“犯罪大通り”は、活気に満ちている。

そこには質屋であり、ラッパ吹き、夢占い師、タレ込み屋でもある男がいれば、愛の女神ギャランスもいる。

ここでもう悲劇の種は、着々と根を張ろうとしているのが見える。
フランスの恋愛劇は、生命の源のように生まれ、悲劇の渦中で終わるんだ。
ピエロが首を吊ろうとした綱で少女が縄跳びをし、洗濯女が洗濯物を干すシーンは素晴らしい。


第2部:白い男
話は一気に6年後に飛んで、『風と共に去りぬ』か、S.シェルダンの超訳小説のような面白さ。イイ男たちとイイ女!

久々に仏映の手法にヤラれた! 決闘はどうなったの 2人の仲は?
これじゃ思い切り中途半端に放り出されて、私たちはどうしたらいいのか分からない。

「客は恋愛を持って帰る。お土産だ。役者は客と思いを分かちあえるのが最大の喜びだ」(フレデリック)

通俗的な結末を押し付けられるよりマシかもしれないけど、
もう少しだけこの人間模様のドラマを見続けていたかった。

「大人になったら、あなたみたいな人と結婚する。それかママみたいな人」「パパとママと僕は幸せです」

天使のような男の子がギャランスに伝えに行かせるなんて最大の武器だね。
旅に出るにも、男がいなくなった女神は、一体あれからどうしたのか?





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