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考えよう、わたしたちの体と生き方3『薬1』(小峰書店)

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考えよう、わたしたちの体と生き方3『薬1』(小峰書店)
丸山敬/著

図書館巡りで見つけた1冊。

普段、医師が言う通り、またはドラッグストアで売られているクスリを、あまり意識せずに飲んでいる私たち。
その仕組み、副作用、薬害などの基本をイラスト、写真で分かりやすく学べる1冊。

【内容抜粋メモ】

**************************なぜ病気になるの?

「物理的な原因」火傷、転倒など
「化学的な原因」排出ガス、環境ホルモンなどの化学物質によるもの。

病院には大きく分けて2つある。
「内科」クスリで病気を治す。
「外科」さらにメスで切って治す。


ウイルスや細菌などの微生物
外から侵入してくる代表。

「ウイルス」電子顕微鏡でしか観察できないほど小さい生命体。自身では増殖できないため、他の生物の細胞に入って、増殖する。
「細菌」光学顕微鏡で観察できる単細胞生物。細胞壁を持つが、細胞核を持たず、分裂で増殖する。
「生活習慣病」代表は「糖尿病」(すい臓のはたらきが悪くなる病

病気は、体質+まわりの環境が組み合わさって起こる。


ヒトが呼び込む細菌・ウイルス

「ペスト(黒死病)」

ペスト菌

中世のヨーロッパの人口の数割が亡くなった。
原因は、ヒトが森を切り倒したため、ペスト菌に感染したネズミが都市に流れたからとされる。

「エイズ」
体の抵抗力が弱くなる病気。20年ほど前に突然出てきた。
原因は、アフリカのジャングルにヒトが入ったことからだといわれる。


**************************ウイルスや細菌とは?

細菌


ポイント:細胞壁があるため、細胞1個でも生き抜ける。
「細胞」:生物が活動する最小単位。細菌は、まさにその1個の細胞。「遺伝情報」もある。

・乳酸菌:ヨーグルト、チーズなどを作る
・森の枯れ葉を土に分解してくれる
・細胞壁があることを利用して作ったクスリが「ペニシリン」(細胞壁を作れなくする)。


ウイルス

インフルエンザウイルス(風邪が重症化したもの

小さくて細胞の構造すら持たない。「細胞核」そのものな感じ。
「細胞核」:遺伝情報を持つ「核酸」が入っている袋。DNA、RNAの2種類がある。

・ほかの細胞に入り、その細胞核のふりをしたり、中に隠れたりして、ウイルスの材料をどんどんつくる。
 「がん」(細胞が異常に分裂・増殖してできた悪性腫瘍。転移するのが特徴)の原因にもなる。
→ウイルスが感染した細胞にだけ毒物になるクスリがつくられた。


 
原因別死亡者の数(2002)、肺がんの細胞


マイコプラズマ
細胞壁がない。ヒトや動物の細胞の中に潜んで生きる。代表は「肺炎」。
「エリスロマイシン」という抗生剤が処方される。副作用が少ない。


**************************風邪は万病のもと

「かぜ症候群」(風邪)
ノドが痛むのは、口から入る細菌を「扁桃腺」で防衛しているから。

「扁桃腺」
体内でもっとも大規模な教育機関。体を防御する「リンパ球」は敵の見分け方&戦い方を学ぶ。
そのため、「扁桃腺」はバイキンへの抵抗力が弱まり、赤くなり、膿がたまったりする。

風邪は家でゆっくり静養していれば、特別な治療がなくても治る
・栄養のあるものを食べる
・水分を十分にとる
・寝る


免疫力(抵抗力)=病気と戦う力
一度侵入した敵を調べて、武器を作って準備し、次に入ってきたら撃退するシステム。

「外因」外から入るウイルス
「内因」体の抵抗力が弱まる


**************************抗生剤

「抗生剤(抗生物質)」
ほかの生物を殺すために、ある生物から作られる物質。
ヒトの細胞にはほぼ無害で、ばい菌だけを殺してくれるクスリ。

「ペニシリン」
1928年、フレミンングがカビから発見。ほぼ副作用のない“夢の特効薬”となった
唯一の副作用は「アレルギー反応」。100万人に1人の割合で出る。


「耐性」
ある「抗生剤」が効かなくなること。
細菌は、抗生剤の性質を別の細菌に教えてあげることが出来る。

1.耐性菌が1つできる。
2.耐性菌がどんどん増える。
3.違う仲間にも遺伝子を分けて耐性菌にする耐性菌が死んで、ほかの細菌が取り込むと耐性となる。


●抗生剤耐性菌のいたちごっこ
1.抗生剤を使うと、必ず耐性菌がわずかに生き残る。
2.別の抗生剤に切り替えるまた、それに対抗する耐性菌ができる。

しかし、耐性菌は、抗生剤がなくなると、ふつうの細菌よりも弱いから、しばらくするとふつうの菌に戻る(変なの

クスリは、本人が治ろうとする力をちょっと助けるだけ。

なるべく抗生剤を使わない病院が多い。健康なヒトなら細菌が感染しても3日も寝ていれば治る(大ざっぱだな
医師は、患者の体調、治療歴、社会的状況など、さまざまな要素を考えて治療法を決める。


抗生剤は宝探し
化学的な構造をちょっと変えることで、新しい抗生剤が作れる。
「カナマイシン」は、日本人が1957年に発見した。
世界では、細菌、ウミヘビ、イソギンチャク、草木などから探している。


抗生剤の組み合わせによっては互いの効果を弱める
例:「ペニシリン」と「エリスロマイシン」

いろんな抗生剤を一度に飲むと、その全部に耐性菌ができる。
抗生剤は、原則、1種類を短期間、医師が決めた量を飲むこと。


**************************解熱剤

「解熱剤」上がった体温を下げるクスリ。

体温
平熱の平均は36.5度。

・1度上がると、だるくなる。
・2度上がると、体が痛くなる。
・3度以上上がると、亡くなる可能性もある

生物は比較的「低温」には耐えられる→「たんぱく質」の性質によるもの。


「たんぱく質」


生物の体をつくる主な材料になる物質。
アミノ酸が連なるヒモ状の物質で、適切にたたまれていないと働かない。


体温調節
運動すると暑くなるのは、ブドウ糖+酸素で燃やして熱を発生させるから。
たとえ、皮膚の温度が0度近くになっても、大切な内臓(心臓など)や脳は36度に保たれる。

「汗と尿」
体に熱を奪う機能はないが、水が蒸発する時に熱を奪う性質「気化熱」を利用して体温を下げる
汗と尿で血液中の水分を捨てることで調節している。


水は生命の必需品
「たんぱく質」がはたらくのは水の中。皮膚で守られた体内は、いわば海水に近い状態
「熱中症」には水分補給すること。ちょっと食塩が入った水、スポーツ飲料が良い。


Q:なぜ熱が出る???

発熱は「炎症」(体の防衛反応)
外敵を溶かすには体温を上げたほうが良い
細菌自身が出す毒素がシグナルになって、体温を上げる場合もある。

「頭痛」
体を休めて、細菌と戦う態勢を整える合図。
でも、場合によっては不都合なため「解熱鎮痛剤」が使われる。

「抗炎症剤」
炎症を抑えるクスリ。抗生剤と違い、病気の原因自体をなくすわけではない一時的なもので、
もとからある体の防衛機構を弱めるため、熱が出たら早めに寝ること


**************************アスピリン

熱ざましとして最初に販売されたクスリの商品名。物質名は「アセチルサリチル酸」。
もとはヤナギの皮を煎じて使っていたのを、バイエル社が有効成分を抽出して売り、爆発的に広まった。
鎮痛薬、風邪薬にも入っている。

「ピリン系」:鎮痛解熱剤。アレルギー反応が出やすい。


「酵素」
生物が体内で作るたんぱく質の一種。
生物として活動できるのは、さまざまな働きをする酵素のおかげ。
血圧を上げる物質をつくる酵素を抑える「高血圧」のクスリにもアスピリンが使われる。


「シクロオキシゲナーゼ(酵素)」と「プロスタグランジン」
・プロ~さんは、炎症反応(発熱、頭痛など)を引き起こす物質。「胃潰瘍」のクスリとしても有効。
・シク~さんは、プロ~さんを作る
・アスピリンは、シク~さんを抑える。

炎症反応はやっかいだけれども、痛みや不調を感じさせることで、体に「休みなさい」と言ってくれている
 その炎症反応を抑えるアスピリンは、不調はとれるけど、侵入者に対する攻撃力はむしろ弱まる。
(うん、そんな気がしてた。クスリを飲むと抵抗力が下がって、湿疹が出るのはなぜだろうってフシギだったから


**************************副作用

「主作用」本来の目的の作用
「副作用」治療の目的に合わない不都合な作用。クスリには必ずともなう。強いクスリほど、副作用も強く出る。

アスピリンの副作用1:胃に負担をかけること
「胃壁」をいためる。
胃では食べ物を溶かすが、実は、胃も少しずつ溶けている細胞をどんどん増やして、「粘液」が胃壁を覆って守っている。
アスピリンは、胃壁の防衛機構のバランスをくずしてしまう。

アスピリンの副作用2:血液凝固を抑える


「赤血球」赤い色素をもつ。血液1mm3中に約500万個ある。
「白血球」体の防衛機構。血液1mm3中に数千個ある。外敵を見つけると数万個に増員する。

血液は酸素を運ぶ大切な役割があるから、外に漏れると、固まって傷をふさぐ自動修理システムがはたらく。「血液凝固」

薬の作用にも個人差がある。主作用より副作用ばかり出てしまうヒトもいる
 同じヒトでも、その時々の状況、体調によって効き方が違うこともある。


副作用の利用

「心筋梗塞」「脳梗塞」予防

「動脈硬化」偏った食事などで、血液中の脂が増えてベタベタし始めること。
「梗塞」出血してないのに、血液が血管の壁で固まること。

 

心臓は体内に血液を送るため、分厚い筋肉でできている。
そのためには、3本の「冠状動脈」のはたらきが必須。
これが働かないと「狭心症」「心筋梗塞」となる。


冠状動脈の血栓

アスピリンの血液凝固を抑える副作用を利用して、「心筋梗塞」「脳梗塞」予防に使われるようになった。

脳の神経細胞には、常に十分な量の血液が補給される必要がある。
「臓器移植」などで、臓器は血液を止めてもしばらくは大丈夫だが、
脳は血液の流れが5分以上停止すると死んでしまう。

日本では、15歳以下の脳死の臓器移植を認めていない。

大人に小児用の錠剤を1日1回飲ませるだけで、血液凝固を適度に抑えることが可能。


アスピリンは「認知症」にも効果あり?(本書には“ぼけ”“痴呆”になってる

「認知症」
簡単な計算、新しいことが覚えられなくなる。血流が関係している場合もあるためアスピリンで予防が可能。

「アルツハイマー型認知症」


脳内の神経回路の部品である神経細胞がおかしくなること。
外敵を殺す防衛機構(免疫)が間違えて、神経細胞を攻撃することが疑われている。

「大腸がん」
アスピリンに似たクスリが、大腸がんの一部に効果があると分かった。


**************************薬害

サリドマイド薬害
スモン病:アメーバ赤痢の特効薬「キノホルム」の副作用で、神経系の病になる。

薬害エイズ事件:
血友病の治療薬から感染。血液の提供者の中にエイズ感染者がいて、
エイズウイルス入りの治療薬ができたことを知っていたにも関わらず、
捨てると損するからと製薬会社が知らぬふりをしたため、500人以上ものエイズ患者を出した。

サリドマイドは、妊娠初期の女性、男性には睡眠薬として問題ない。
 今では、ある種の「がん」を治すのにも使われる。クスリは使い次第。



いろんなクスリがあるが、それに頼らないのが理想



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