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絵本平和のために『まちんと』松谷みよ子/文

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絵本平和のために『まちんと』松谷みよ子/文(偕成社)

先月亡くなられたニュースを見て(ブログはこちら)、初めて知った方で、作品が気になったので借りてみた。

こうゆう絵本を小さいうちに読み聞かせたら、戦争を知らない子どもたちにも、
実際どんなものだったのか、画面いっぱいに塗られた土のような感触の絵とともに
ココロの奥底に刻み込まれることだろう。

私のようなハンパな世代でも、この短い数ページで、原子爆弾の恐怖、家族を失うことの哀しみが
ドオーンと大きな音をたてて響いてきた。
戦争のことを忘れてしまった高齢者にも読んでほしい1冊。

書かれている方言は広島弁だろうか?
タイトルになっている言葉も初耳だけれども、
ちゃんと伝わってくるのは不思議。


 

本のうしろに、読んだ人の日付をスタンプする紙や(昭和61年で終わっている)、
カードを入れる袋がついているのが、とても懐かしい。
子どもの頃から、学校の図書館で、ここにスタンプされたり、
自分の図書カードに書名を書きこんでいくのが楽しみだったことも思い出した。


[作者のことば抜粋メモ]
戦争の話を聞いてくる宿題が出たというので、小学生の娘に書き取らせたら不満そうなのです。

「みんなおんなじ話をする。食べるものがなかったこと、爆弾が落ちてこわかったこと、
 それはわかったんだけど・・・なんだかちがう」というのです。

ハッと気がつきました。戦争を語り継ぐということは、説明することではないのだと。
ともすれば私たちは説明し、教えようとしているのではないでしょうか。実感の重みこそ求められているのに。

その後、文庫に来た小さな子に聞かれました。
「わたしたちにわかる戦争の本ないの?」

なるほどと思い、こうした中からこの絵本は生まれました。


▼あらすじ(ネタバレ注意

広島に住んでいる、もうじき3つになる女の子が、昭和20年8月6日の朝、原子爆弾に遭った。

 
あたりは火の海


その後に黒い雨が降りそそぎ、

その子は苦しみながら、トマトを口に入れてやると「まちんと」「まちんと」と欲しがった。


お母さんは、焼け落ちた町を歩き回って、ようやく1つ見つけて戻ったときには、もうその子は死んでいた。







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今年は、たくさんの重要な記念の年になっている気がする。
いや、忘れているだけで、毎日、たくさんのいろんな記念日があるんだ、きっと。


[裏表紙に紹介されている本]
“声高に戦争反対を叫ぶのでなく、静かに、子どもたちに、平和の重さ、いのちの尊さを語りつぐ絵本です。”

『かえってきた茂十』さねとうあきら
『ガラスの花よめさん』長崎源之助
『ぼうさまになったからす』松谷みよ子
『ほのおの町の白い花』さねとうあきら
『大もりいっしょう』長崎源之助


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