■『放送90年ドラマ 紅白が生まれた日』(2015)
脚本:尾崎将也
出演:松山ケンイチ、星野源、高橋克実、本田翼、miwa、六角精児、大空祐飛 ほか
源くんが出ることと、戦後70年関連で予録して、今ごろ観た。
通訳役で、何気に流暢な英語のセリフをたくさん話していた/驚
キンコメの今野くんまで出てきてビックリ。1シーンだけだったけどw
今ではすっかり日本の年末の娯楽の定番になった番組の最初がこんな風に始まったなんて興味深い。
黒柳徹子さんが初期の頃の様子を話していたのも、今と違っていて面白かったけど、
今作は、戦後すぐ進駐軍下に置かれた放送局ということで、より厳しい状況だったことが分かった。
▼story(ネタバレ注意
高齢となった竹下光江は、『紅白歌合戦』を観覧しに来て、第1回目のことを思い出していた。
放送協会放送員の新藤達也が、たった4ヶ月で作った番組だった。
終戦後。焼け野原に「放送会館」だけは残り、帰還した新藤を温かく迎えた同僚だったが、
その日はちょうど、GHQが会館を接収する日だった。
通訳のジョージ馬淵は、
「ラジオは民主主義を広める。明日までにすべて明け渡してください」と皆に伝え、
「CIE(検閲・指導が目的の組織)」と建物を半々に共有する奇妙な生活がはじまった。
新藤は、新橋のヤミ市をフラついていると、かつての道場の師・山田孝介と再会。
「今はみんな食うや食わずで、ラジオなんて聞いてる場合じゃないよ」
山田は、自分のバラックに身寄りのない新藤を招く。
そこには戦死した道場仲間の孤児もいる。
戦争を連想させるような『忠臣蔵』の講談を禁止されたり、
「今までは上から目線だった。まずは民衆に目を向けること。不規則な放送はダメだ」と指導される。
「より多くの者がラジオを聞けば、より速やかに我々の意図どおりに日本人を教育できる」
「日本人だ」と言われて反論する馬渕
のばす、巻く(急ぐ)、キュー出しなどの「HAND SIGNAL」は当時のまま。
「婦人の時間」という番組では「食生活が貧しく餓死者が増えた」というニュースをレコードでかき消される。
「台本通りにしろ。違反したら放送は停止だ」
新藤「結局、上が軍部から、CIEに代わっただけだ」
上司「新しい音楽番組を作れとお達しがあった。民主主義のシンボルとなるような番組だ」
新藤「そういう姿勢が、どれだけの人を死に追いやったか忘れたんですか?」
新藤は、会社に辞表を出して、山田とともにヤミ市で働く。
山田「戦地に送り出した大勢の教え子たちに申し訳がたたないよ」
ミツエ「せっかく生き残ったのに」
同僚「生き残ったから、何もできないんだよ。あいつは思い返しているんだ。自分のやった戦意高揚の放送を」
追いはぎに遭った新藤の耳に入ってきたのは、♪りんごの唄/並木路子
チャンバラ映画も禁止。
少女が「今は男女平等なんだから!」と言ったのを聞いて、新藤は『紅白歌合戦』を思いつく。
新藤「これこそ自由主義の象徴なんです!」
ミツエも「私にも手伝わせてください!」と言い、まずは、大人気の並木路子に出演依頼をしに行くが門前払いされる。
その後、次々と出演者交渉していく2人。
紅組の司会は男装の麗人ターキーこと水の江瀧子、白組司会は古川ロッパ(あ、六角さんだ!)。
瀧子「大晦日にやるの?」
新藤「大晦日だからこそやるんです! 皆家にいますし、年が越せるか不安な時、新しい気持ちで新年を迎えられるように!」
レコード会社には反対される。理由は、「もし勝負に負けたらレコードが売れなくなるから」(業界らしいね
CIEからは「タイトルの“合戦”は“BATTLE”を連想させるから変えろ」と言われる。
新藤「この合戦はスポーツと同じ競争の意味です」
ジョージ「“マッチ”なら?」
新藤「日本には“ゴロ”があります。人を惹きつけるには、タイトルは大事」
ミツエ「“音楽試合”は?」仕方なくこれに決定する。
CIEは「プログラムは1分1秒の遅れも許されない。アドリブも一切認めない」という条件で承諾する。
川田正子さんの♪汽車ポッポ は、♪兵隊さんの汽車 って軍歌だったんだ/驚
新藤「今度こそ、彼女には楽しい歌をうたってもらいましょう!」
でも、肝心の並木路子はまだ渋っていた。
彼女は「東京大空襲」で母を目の前で救えなかったショックを引きずっていた。
父も兄も恋人も戦地から帰ってきていない。
「笑顔で明るく歌えません。大勢の人の前で毎回ウソをつくなんて」
ミツエ「私も同じです。路子さんが笑顔で歌えば、辛いのは自分だけじゃないって皆思えると思うんです!」
ミツエの父は南方で戦死。病気の母らを食べさせるために働いていた。
新藤「ラジオは前にあるのはマイクロフォンだけです。誰に向かって歌うかは自由です」
ミツエと新藤が会社の屋上で魚を焼いていると、「香りが懐かしくて・・・」とジョージが来る。
ジョージ「小田原でよく食べていたんです」
新藤「検閲なんて、本当に必要なんですか?」
そこに並木路子の出演承諾の一報が入る。
本番の12月31日。
ギリギリに検閲の終わった台本。
ジョージ「違反したら二度と番組は作れないかもしれませんよ」
オーケストラの生演奏!/驚 放送室にもCIEが来るが、上官は横須賀のパーティに行ってしまう。
目玉の1人、ディック・ミネさんが来られないと電話があり、パニくる新藤。
ミツエ「総合司会の2人に歌わせては? 新藤さんはCIEの説得をお願いします!」
ミツエは「勝敗は2人にかかっているんです」と説得に成功。
だが、新藤のほうは、上官がいないため、「自分たちはサインする権限がないからダメだ」と断られる。
新藤はジョージに頼む。「これまでとは違う年を迎えたいんだ」
そこに並木路子の♪りんごの唄 が流れる。
「おっとう。どこかで聴いてくれてる? そう願って歌います」
ジョージはサインに応じる(源くんは左利き?なんだかステキ
「戦争中、両親が日本人収容所に強制的に入れられました。
両親の待遇が少しでも良くなるよう軍に志願しました。
そこで日本人向けのプロパガンダ放送を担当した。
アメリカが日本に勝つため、少しでも役に立とうと・・・。すっかりアメリカ人になれた気がした。
でも、この歌で泣けるのは、私はまだ日本人なのか?
いや、日本人かアメリカ人かなんて関係ない」
紅白司会者がトリを務め、審査員が結果を出すが、新藤はそれを破り捨てる。
総合司会者「勝敗は、ラジオをお聴きの皆様のご判断にお任せしましょう!」
新藤「勝ったのは皆だ。そんな気がしたんだ」
新藤とミツエらは、ラジオを聴いて感動して集まった人々から大歓声を受ける。
脚本:尾崎将也
出演:松山ケンイチ、星野源、高橋克実、本田翼、miwa、六角精児、大空祐飛 ほか
源くんが出ることと、戦後70年関連で予録して、今ごろ観た。
通訳役で、何気に流暢な英語のセリフをたくさん話していた/驚
キンコメの今野くんまで出てきてビックリ。1シーンだけだったけどw
今ではすっかり日本の年末の娯楽の定番になった番組の最初がこんな風に始まったなんて興味深い。
黒柳徹子さんが初期の頃の様子を話していたのも、今と違っていて面白かったけど、
今作は、戦後すぐ進駐軍下に置かれた放送局ということで、より厳しい状況だったことが分かった。
▼story(ネタバレ注意
高齢となった竹下光江は、『紅白歌合戦』を観覧しに来て、第1回目のことを思い出していた。
放送協会放送員の新藤達也が、たった4ヶ月で作った番組だった。
終戦後。焼け野原に「放送会館」だけは残り、帰還した新藤を温かく迎えた同僚だったが、
その日はちょうど、GHQが会館を接収する日だった。
通訳のジョージ馬淵は、
「ラジオは民主主義を広める。明日までにすべて明け渡してください」と皆に伝え、
「CIE(検閲・指導が目的の組織)」と建物を半々に共有する奇妙な生活がはじまった。
新藤は、新橋のヤミ市をフラついていると、かつての道場の師・山田孝介と再会。
「今はみんな食うや食わずで、ラジオなんて聞いてる場合じゃないよ」
山田は、自分のバラックに身寄りのない新藤を招く。
そこには戦死した道場仲間の孤児もいる。
戦争を連想させるような『忠臣蔵』の講談を禁止されたり、
「今までは上から目線だった。まずは民衆に目を向けること。不規則な放送はダメだ」と指導される。
「より多くの者がラジオを聞けば、より速やかに我々の意図どおりに日本人を教育できる」
「日本人だ」と言われて反論する馬渕
のばす、巻く(急ぐ)、キュー出しなどの「HAND SIGNAL」は当時のまま。
「婦人の時間」という番組では「食生活が貧しく餓死者が増えた」というニュースをレコードでかき消される。
「台本通りにしろ。違反したら放送は停止だ」
新藤「結局、上が軍部から、CIEに代わっただけだ」
上司「新しい音楽番組を作れとお達しがあった。民主主義のシンボルとなるような番組だ」
新藤「そういう姿勢が、どれだけの人を死に追いやったか忘れたんですか?」
新藤は、会社に辞表を出して、山田とともにヤミ市で働く。
山田「戦地に送り出した大勢の教え子たちに申し訳がたたないよ」
ミツエ「せっかく生き残ったのに」
同僚「生き残ったから、何もできないんだよ。あいつは思い返しているんだ。自分のやった戦意高揚の放送を」
追いはぎに遭った新藤の耳に入ってきたのは、♪りんごの唄/並木路子
チャンバラ映画も禁止。
少女が「今は男女平等なんだから!」と言ったのを聞いて、新藤は『紅白歌合戦』を思いつく。
新藤「これこそ自由主義の象徴なんです!」
ミツエも「私にも手伝わせてください!」と言い、まずは、大人気の並木路子に出演依頼をしに行くが門前払いされる。
その後、次々と出演者交渉していく2人。
紅組の司会は男装の麗人ターキーこと水の江瀧子、白組司会は古川ロッパ(あ、六角さんだ!)。
瀧子「大晦日にやるの?」
新藤「大晦日だからこそやるんです! 皆家にいますし、年が越せるか不安な時、新しい気持ちで新年を迎えられるように!」
レコード会社には反対される。理由は、「もし勝負に負けたらレコードが売れなくなるから」(業界らしいね
CIEからは「タイトルの“合戦”は“BATTLE”を連想させるから変えろ」と言われる。
新藤「この合戦はスポーツと同じ競争の意味です」
ジョージ「“マッチ”なら?」
新藤「日本には“ゴロ”があります。人を惹きつけるには、タイトルは大事」
ミツエ「“音楽試合”は?」仕方なくこれに決定する。
CIEは「プログラムは1分1秒の遅れも許されない。アドリブも一切認めない」という条件で承諾する。
川田正子さんの♪汽車ポッポ は、♪兵隊さんの汽車 って軍歌だったんだ/驚
新藤「今度こそ、彼女には楽しい歌をうたってもらいましょう!」
でも、肝心の並木路子はまだ渋っていた。
彼女は「東京大空襲」で母を目の前で救えなかったショックを引きずっていた。
父も兄も恋人も戦地から帰ってきていない。
「笑顔で明るく歌えません。大勢の人の前で毎回ウソをつくなんて」
ミツエ「私も同じです。路子さんが笑顔で歌えば、辛いのは自分だけじゃないって皆思えると思うんです!」
ミツエの父は南方で戦死。病気の母らを食べさせるために働いていた。
新藤「ラジオは前にあるのはマイクロフォンだけです。誰に向かって歌うかは自由です」
ミツエと新藤が会社の屋上で魚を焼いていると、「香りが懐かしくて・・・」とジョージが来る。
ジョージ「小田原でよく食べていたんです」
新藤「検閲なんて、本当に必要なんですか?」
そこに並木路子の出演承諾の一報が入る。
本番の12月31日。
ギリギリに検閲の終わった台本。
ジョージ「違反したら二度と番組は作れないかもしれませんよ」
オーケストラの生演奏!/驚 放送室にもCIEが来るが、上官は横須賀のパーティに行ってしまう。
目玉の1人、ディック・ミネさんが来られないと電話があり、パニくる新藤。
ミツエ「総合司会の2人に歌わせては? 新藤さんはCIEの説得をお願いします!」
ミツエは「勝敗は2人にかかっているんです」と説得に成功。
だが、新藤のほうは、上官がいないため、「自分たちはサインする権限がないからダメだ」と断られる。
新藤はジョージに頼む。「これまでとは違う年を迎えたいんだ」
そこに並木路子の♪りんごの唄 が流れる。
「おっとう。どこかで聴いてくれてる? そう願って歌います」
ジョージはサインに応じる(源くんは左利き?なんだかステキ
「戦争中、両親が日本人収容所に強制的に入れられました。
両親の待遇が少しでも良くなるよう軍に志願しました。
そこで日本人向けのプロパガンダ放送を担当した。
アメリカが日本に勝つため、少しでも役に立とうと・・・。すっかりアメリカ人になれた気がした。
でも、この歌で泣けるのは、私はまだ日本人なのか?
いや、日本人かアメリカ人かなんて関係ない」
紅白司会者がトリを務め、審査員が結果を出すが、新藤はそれを破り捨てる。
総合司会者「勝敗は、ラジオをお聴きの皆様のご判断にお任せしましょう!」
新藤「勝ったのは皆だ。そんな気がしたんだ」
新藤とミツエらは、ラジオを聴いて感動して集まった人々から大歓声を受ける。