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『吉祥天女 下』(小学館)

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『吉祥天女 下』(小学館)

『吉祥天女 上』


▼あらすじ(ネタバレ注意
アキラはサヨコの力を知って、やり方を変えるから、リョウには手を出すなと命じる。

ユイコや兄・タカシらを土蔵に招くサヨコ。お宝の中には、天女の羽衣まである。

「このボロはね、天衣山の神社のご神体なのよ。10年ほど前、あの神社で火事があって、1人死人が出たの」

「『天人女房伝説』ですか。天女は結局、天界へ帰っちまうけど、この地方だと、そのまま地上に降りて、
 その土地の神官の息子と夫婦になっちまう。それでその家は末長く栄えてめでたし、めでたし。それが叶家のいわれでしょう?」

「昔から祭司は女の仕事だったから。この家の女は巫女になって、神さまにお仕えしたんですって。
 あなただったらどう? 天女と結婚したいと思う? いくら富を与えるからといって、生身の女のほうがよっぽどいいのに、
 天女を妻にした男は・・・幸福だったと思う? それとも不幸だったかしら?」

天衣神社の祭りに誘われるリョウ。それがアキラの策略と見抜く。
スキンヘッドの男・飛葉がナイフでサヨコを脅して、建設現場に閉じ込めると、そこには学生じゃない雇われ集団がいた。

 

祭りに行くフリをして、メット集団に混ざり、サヨコを救うリョウ。それがアキラにもバレて集団リンチを受ける。
ヒサコは思わずサヨコに助けを求める。

「あなたは暁くんと涼の間のバランスを崩したのよ。
 あの2人は暁くんの打算と、涼の弱みでかろうじてバランスを保っているのよ。コンパスみたいに。
 そこにあなたがやって来て、力関係がおかしくなっちゃったのよ!」

サヨコは飛葉から倉庫を教えてもらい、パトカーを呼んで、リョウを助ける。
雪政は信大の医学部出で、リョウのケガを診る。
飛葉から、リョウの妹のことを聞いて、サヨコは家を訪ねて、水絵の見舞う。



叶家を取り仕切っていた泰三が危篤となる。
家の権利はすべてサヨコに譲ることになっている。

「遠野親子と手を組むか、別な道を選ぶか、お前の好きにするといい。
 両親の反対を押しきってお前を連れ戻したのは、(あき/泰三の妻、サヨコの祖母)が夢枕に立ったからだ」

 

リョウは、雪政から佐原美子との写真を渡される。アキラには、これで脅されていた。
レイプ騒ぎはアキラとヨシコとの策略と知る。

アキラは「大沢を殺したのはお前だろう?」と言われ、サヨコはアキラに身を任せる。



浮子叔母に「アキラと結婚してもいい」と告げ、酒になにかを盛って、風呂場に沈める。
警察は酔って溺死と決める。


アキラはすっかりサヨコに惚れ込み、リョウに猛烈に嫉妬する。
サヨコは、神社で見つかった焼死体は私が殺したとリョウに告げる。
6歳の時に、名を知らぬ男にイタズラされたのが理由。



サヨコはアキラの父にも近づく。
リョウの両親の交通事故の時、運転していたのは彼だった。



リョウが家に戻ると、アキラは父をペーパーナイフで刺していた。
サヨコは叔父がいきなり抱きついてきて、そこにアキラが来て口論となったという。

アキラは行方不明となる。
社長とアキラがいなくなったことで、経営者は早速リョウの元へ会社を引き継いで欲しいと頼みにくる。

「おじ貴は野心と行動力であっという間に財を築いた。失うのもまたあっという間ということか。
 男の野心なんて、所詮この程度のものなのか・・・」


ユイコ「あの人、私の理想だったんだ。きれいで、優しくて、女らしくて、なのに賢くて、強くて、
    男の人にも負けてなくて・・・あんな風になれたらなあって思ってたわ」


「人々に至福を与えるという愛の女神です。
 あなたは、ぼくに言いましたね。天女を妻にした男は、幸福だったか、それとも不幸だったろうかって。
 ぼくは幸福だったろうと思いますよ。きっと後悔はしなかったろうと」


 



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