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アメリカ・インディアンの詩『おれは歌だおれはここを歩く』(福音館書店)

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アメリカ・インディアンの詩『おれは歌だおれはここを歩く』(福音館書店)
金関寿夫/訳 秋野亥左牟/絵

【ブログ内関連記事】
カナダ・インディアンのおはなし『ムースの大だいこ』(架空社)



金関寿夫さん×秋野亥左牟さんの絵本は本当に素晴らしい。
自然と人間とが互いに敬意をはらって、共生している様子が、
力強い詩と、力強い絵によって、ドーーーンと胸に入ってくる。

金関寿夫さんによると、ネイティヴ・アメリカンの口承詩は、誰が書いたかも分からず、
人の口から口へと伝えられた、狩りや祈りに関するすべて実用的な詩なのだそう。

今となっては、英訳→和訳され、原詩にどんな意味が込められていたのか、
今残されているものから、想像をふくらませるしかないけれども、
金関寿夫さんの訳と、秋野亥左牟さんの絵によって、
そのエッセンスとエネルギーは十分伝わるのではないだろうか。

 

あとがきは以前ブログに書いたものの引用だから割愛するけれども、
宮沢賢治の詩との対比も興味深い。

山へ行って木を切ったものは
どうしても帰る時は肩身が狭い(「昴」)


【内容抜粋メモ】

「守り神の歌」(ホピ族)


腹ぺこのコヨーテがやってくる

まっ赤な手
まっ赤な口

目球をつらねた首飾り



「戦いの神馬の歌」(抜粋・ナバホ族)


おれはトルコ石の女から生まれた息子だ

かれはくつわの代わりに
長い虹をくわえている
おれはそれを取ってかれをみちびく

おれはおれの馬ゆえに心が豊かだ
おれは永遠で そして平安だ
おれはほかでもない おれの馬自身なのだ



「ペヨーテの神に捧げる歌」(ヒュイチョール族)


ウイリコータ ウイリコータ

薔薇が生まれるところ
薔薇が花を咲かせるところ
花環と そして風

ウイリコータ


永遠の山のふもとで
薔薇が息づく それは神の息吹き

母なる大地のしめった愛は露
そしてペヨーテの心からは
霧が湧きでる

青い雄牛が現れる
雨が降ってくる
青い雄牛が降ってくる

トウモロコシが根をはる
薔薇が 花弁を開く

薔薇はうたう「わたしは雄牛よ」
雄牛はうたう「わたしは薔薇だよ」

そしてここ 神々の国で かれらはうたう
神々はうたう
山や丘はうたう
薔薇はうたう

ウイリコータの生活の歌
ウイリコータだけで聞ける歌

生活の 永遠の歌
そこだけで
そこだけで きける歌

ウイリコータ


「ありがとう、十七部からなる詩より」(セネカ族)


とてもすてき すてき
おいらの母たちが
女のダンスをおどるとき
とてもやさしく とてもすてき

おいらの母たちが
女のダンスをおどるとき
とてもすてき すてき

おいらの母たちが
女のダンスをおどるとき



「岩」(オマハ族)


かぎりなく遠い
むかしから
じっと
おまえは休んでいる

走る小路のまんなかで
吹く風のまんなかで
おまえは休んでいる

鳥の糞を身体いっぱいにかぶって
あしもとから草をぼうぼうと生やして

頭を鳥の綿毛で飾られて
おまえは休んでいる

吹く風のまんなかで
おまえは待っている
年老いた岩よ






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