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『大島弓子選集 3巻 ジョカへ』(朝日ソノラマ)

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■『大島弓子選集 3巻 ジョカへ』(朝日ソノラマ)

「大島弓子書籍リスト」さんも参照させていただきました/礼

大島弓子(作家別カテゴリー)

2巻以降は、これまで読んだものもかぶってくるため、それらは「作家別カテゴリー」を参照のほど。

【収録作品】

以下の作品は既読。
「春休み」1973年4月少女コミック増刊号掲載
「ジョカへ・・・・」1973年別冊少女コミック4月号より連載

●花!花!ピーピー草…花! 1973年週刊マーガレット20号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
エマは、小さい頃から素性も知らぬ、通称P様からの1カ月に1度の手紙を信じて、他の人を好きにならないと誓っている。
草はバスケ部のエースだが、エマの家は女性ばかりだから、家ではドレスを着て、女性として過ごしている。
草のコーチは、以前「プリンス」と呼ばれたほどの優秀なOBだったと聞いて、P様だと勘違いしてすっかり舞い上がるエマ。



エマの親友のマースは、草に恋人がいないならデートに誘うと言い、草は泥酔して帰ってくる。
エマもコーチを映画に誘うと、P様から「結婚するから別れなければならない」という手紙が来る。
姉は、P様の手紙は草が書いていたと当てる。

列車事故で草は両親を亡くし、トラブルを避けるために女の子になってウチで暮らすよう言ったと話しているのを聞いてしまうエマ。
草がエマに恋していることも知る。
草は鉄則を破ったから、家を出て働くという。

それから5年、姉のフィアンセと、草が姉妹を迎えに来る。
隣りの家庭をずっと見続けていた老婆と家政婦。
老婆の息子は、女性を追って事故に遭い、草が孫かもしれないから遺産を残すと決める。


●野イバラ荘園 1973年9月月刊ファニー掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]


毎年、いとこ同士で遊びに来ていた荘園に、一度も来たことがない美人のいとこ・芙蓉がやって来た。
芙蓉は、そばかすを気にしてコンプレックスの塊のルカをからかってばかり。
ルカがいとこの勉が好きなことを知って、「永すぎる春は恋人同士を不幸にするわ。末摘花さん」とからかう。
煎は、小さい頃、缶蹴りで力いっぱい蹴ったルカを見てから好きな気持ちを隠している。

ルカが木から落ちて、芙蓉が大慌ててで心配してくれたのを見て、彼女のイジワルは見かけだけと知る。
芙蓉と勉が互いに想い合っていることを知るルカ。



“ものはみな消えた
 あなたと、あなたより劣れるものをのぞいて
 わたしはただ瞳を見た
 それらのみ、わたしには浮世であった”



勉は「昔、ルカのパパが死んで、荘園を守るために、ルカの母は資産家に身を売り、芙蓉はその時の子なんだ」と明かす。
ルカの母は、自分に似た芙蓉を嫌がり、勉の家に預けた。勉は、煎がルカを好きだと伝える。
雨の日、荘園を泣きながら出て行った芙蓉は、とのまま床につき、1年後に他界する。


●季節風にのって 1973年週刊少女コミック37号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
イギリスから来たアンドリュー新任教師は、瓶底メガネ+ひっつれおさげのアンを見た途端キスの挨拶をして、なにかとついてくる。

 

アンドリュー「17年間、君のことばかり考えつづけてきたんだ」
以前、アンを笑った教師の髪を切った事件を起こした桂もビックリ。



桂は、1955年のアンにそっくりな女の子の写真を見つけて理由を知る。
アンドリューに恋しそうなアンに、変なパーマをかけて傷つける桂。
アンは、アンドリューが自分に似た誰かを想っていると気づく。



アンの母は「人生に確かな恋は3度訪れます」と慰める。
アンドリューが恋していたのはアンの母だった。それを知りながら、世話を焼いていたと桂に話し、イギリスに帰る。




●ロジオン ロマーヌイチ ラスコーリニコフ 1974年別冊少女コミック1月号~3月号連載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
(なんと!? 『罪と罰』がモチーフ。原作を読んでないから、どこまでが同じか分からないけど、
 ドラマ『罪と罰 A Falsified Romance』と照らし合わせて読んでしまった。あの役の哲さんが一番好きかも

ラスコーリニコフは、貧しくも頭のキレる学生。
自分も利用している質屋の老婆を守銭奴だと憎み、計画通りに殺すが、
そこに偶然戻ってきた老婆の小間使い・リザベータまでも口封じのため殺さざるを得なかったことを後悔する。

 

現場から盗んだものを埋めているところを酔っ払いに見られて愕然とするが、「酔っていて覚えていないだろう」と言い聞かせる。



親友で優しく、純朴なのラズーミンは、すっかり意気消沈したラスを心配する。
ラズーミンの親戚・ポリフィーリィが、ラスの論文を気に入り部屋に来たという。彼は老婆殺害の事件を調査している判事と聞いて脅える。

 

ずっと縁遠くしていた母から手紙が来て、妹・ドーニャが地主・マルファの家で家庭教師をしていて、
マルファの入り婿・スヴィリカイドフがドーニャに迫り、マルファは怒りで村中に言いふらして困っていた時、
弁護士・ルージンが助け、「美しく、貧しくても、夫にひたすら忠実な妻を探していたのだ」と求婚したという。

手紙と同時に訪ねてきたルージンに、ラスは「偽善者だ」と批判する。
ルージン「私は、自分のために一生懸命働き、利益は必ず万人にゆきわたると信じています」と反論する。

殺人の際、返り血を浴びた靴下をゴミ箱に捨てたことでうなされ、それを聞いたというポリフィーリィを訪ねる。
ポリフィーリィは、当日あの付近にいたペンキ屋が怪しいと言いつつ、まるでラスが犯人だと見透かしているような様子。

「持論ですがね、最高の芸術は一種破壊の際になるものだと思うのです。
 音楽、絵画、文学しかり、そして一個の人間の心身も。
 あなたはまたいらっしゃいます。我々はもう2つで1つかもしれませんな。運命的なものさえ感じますよ」

ポリフィーリィの書記に尾けられていると分かり問い詰めると、ラスが老婆の入質人の最後だったからだと言う。

その夜、例の酔っ払いが馬車に轢かれて、ラスが最期を看取る。
彼の娘・ソーニャが泣きもせず、父を見つめる姿に崇高さを感じるラス。
ソーニャはアル中の父、病気の母、きょうだいを養うため身を売っていると知って驚く。



ソーニャは、ラスから香典をもらった礼を言いにきて、告別式にぜひ来てくれと言って去る。
ラズーミンは、ドーニャにひと目惚れする。


大島さん、口がありませぬが・・・?

質に入れた父の形見の時計を返してもらうという口実で、ラスはまたポリフィーリィを訪ねる。

ポリフィーリィ「あなたの論文では、人はみな天才と狂人に分かれると。天才は人を殺す権利を持っているということですよね」

ラス「凡人は、ただこの世のルールに従って生きて満足しますが、ナポレオンやマホメットは服従だけの人生には飽き足らなかった。
   自分の思想に合った新しい世の中をつくるために大量の死者を出したが、偉人と言われても犯罪者とは言われない。
   次の世代には天才は凡人に崇められます。天才と凡人は、いつもあい対して同等の権利を持って戦っているんです」


ラス「ああ醜悪だ! このざまはなんだ! まるで僕は生きていないじゃないか!
   ばばあを殺したのではなくて、自分を殺したようなものだ」



ラスのもとにスヴィリカイドフが悪魔のように現れる(これが哲さんの役か?
「妻が死んだ。人は私が毒殺したと騒いでいる。数年前にも下男が自殺している。
 借金などで身を持ち崩したところをマルファが救い、7年間屋敷を出ないという約束で宝物のように愛してくれた」と話す。

「死んだ妻も、自殺した下男も時々現れるんです。信じますか。
 自分で殺しをした場所に戻るなんて、きわめてありきたりな犯罪遂行心理だ」

と彼もラスの殺人を見透かし、アメリカへでも逃げろと言う。その代わりドーニャを狙っている。
ラスは、ラズーミンにドーニャを守って欲しいと頼む。

母とドーニャのもとにルージンが来る。
ルージン「大金をつまらん貧乏人の葬式代にするなど、なにか報酬でもあてにしなければできますまい」
ラス「では、あなたはなんらかの報酬をあてにして金を出すのですか?」

ルージン「謝恩と報酬の意味は違う」
ドーニャ「なんの謝恩です?」
ラス「貧乏から救い上げてやったという謝恩じゃないか」
これを聞いて、ドーニャはルージンとの婚約を破棄する。

ラスはソーニャを訪ねる。

「僕は主イエスに頭を下げたんじゃない。僕は全人類の苦痛の前に頭を下げたんだ」

“神さま きいておいでですか
 川でつかまえた魚が死にました
 魚は天国にいけるでしょうか
 魚は天国に行っても食べられてしまうのでしょうか”

ペンキ屋の相棒が犯人は自分だと自首。
ポリフィーリィ「殺したのはあなたです。証拠はあなたの良心の中にしかありません。自首が一番です」

元貴族の出ということが自慢のソーニャの母は、豪勢な告別式をする。
ルージンは、ラスを苦しめるため、ソーニャが金を盗んだと皆の前で言う。
ラスは、手についた紙幣のインクを見せて潔白を証明してみせる(昔の札ってそんなにインクが剥げたの?

ラスはソーニャに自分の罪を明かす。
「僕は自分が震えているだけのただの虫けらか、それとも権利を持つ者か知りたかっただけなんだ」
「立って、歩いていって、十字路にいって、大地に接吻して、大きな声で“私は人を殺しました”と言うのです」

ソーニャの母は倒れて、そのまま亡くなる。


スヴィリカイドフが昨夜、隣りの部屋にいたと知り、全部話を聞いたのではと疑うラス。

「自首がどれだけ刑を軽くするかお分かりですね。
 最後まで虫けらにならず、人間のできる限りの謝罪をしなさい。
 君はまだ若い。もっと生活なさい!」(ポリフィーリィ)

ドーニャに兄を助けたければ自分の愛を受け入れるよう強要するスヴィリカイドフ。
ドーニャは咄嗟に彼の肩を撃ってしまう。スヴィリカイドフはよろけながら自分の頭を撃ち抜く。



ラスは大地にキスをし、ポリフィーリィに自首する。
自己弁護しなかったこと、ポリフィーリィの的確な処置によって、判決はシベリア流刑8年と軽かった。


●キララ星人応答せよ


[あらすじ(ネタバレ注意)]
羽生望は、姉からもらったお金で無線を買い、宇宙人に向かって交信している。
図書館で勉強しているとウソをついてアルバイトをし、そこでも前借している。

極寒の地からエスキモーのような新任講師がやってきた。
その娘・雲母(キララ)になぜかつきまとわれ、成績がガタ落ちしたため、最終試験のヤマをしつこく教えられる。

  

お金を無線機にかえたことが兄にバレて激怒される。
両親亡き後、ずっと世話してくれた姉の幸せな結婚のために、最高の大学に入って主席をとれと言う。

「試験で眠くなるなら廊下でやれ」という講師。「それじゃカンニングするかも」と言われる望。
キララに言われたヤマは、試験問題をそのまま盗んだものだと気づく。

キララの母はグリーンランドの寒さが合わずに亡くなった。
望は同情からか、キララの教えてくれたカンニングペーパーを使うがバレてしまう。
様子がおかしい望を心配して、きょうだいを自分のために犠牲にするのは耐えられないから、姉は結婚をやめると言い出す。

望は雪の中、家を出て、倒れている間に、講師から「自分たちはキララ星人なんだ」と言われる夢を見る。
「ぼくもブラッドベリを尊敬しています」
「キララ星政府は、お前を国使として、俗悪な地球に送りこみ、地球存続の是非を検討した結果、神聖な宇宙に存する資格はないと決まった」
地球滅亡を必死で止めようとして夢からさめる。

キララが倒れていた望を助けてくれた。姉のフィアンセ・ただおきはキララのいとこだった。
キララはただおきが好きだったと知る。




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