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『ほうせんか・ぱん』(白泉社文庫)

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■『ほうせんか・ぱん』(白泉社文庫)
大島弓子/著

白泉社文庫セレクション

「大島弓子選集」で近所の図書館で検索し終わって、全16巻だけど、5、6、13巻がないことが判明。

「大島弓子が選んだ大島弓子選集(全7巻)」は、ほぼ「大島弓子選集」と内容が同じ。

その他にこの「白泉社文庫」が4冊あって、中には「大島弓子選集」に収録されていないものも見つかったので、
それを借りて、大島さんの作品シリーズはひとまず幕引きになりそう。

ここでは、そのかぶってない作品のみのメモを書くことにします。


▼あらすじ(ネタバレ注意

『まだ宵のくち』1976年JOTOMO7月号掲載


父のもとに常盤亜利子と夫が事故で亡くなり、一人だけ助かった長男が喪主をやるから来いと電話が来るが、冷たく断るのを聞く娘・苫屋苺子。
亜利子は、昔、父の恋人だったが、常盤に奪われたことをいまだに根に持っているのだった。

進学高校3年の苺子は、睡眠時間を3時間に削ってまで父と同じ法律家になろうとしている。
理由は、若くして亡くなった母が、いつも忙しい父を見て、同じ法律家になれたらいつも一緒にいれるから、
秘密で勉強してると聞いて、その夢を叶えたかったため。



学校で“フラストレーションの解消法”を聞いて回ると、「紅茶タバコ」「メスカリン」「ジギタリス」
「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム」などの幻覚剤を使っていると聞いてショックを受ける。
大好きなサイモン&ガーファンクルの詩がそんな意味を含んでいたとは知らず、さらにショック。
(あれ? 体にいいハーブじゃなかったっけ???

 

祖母は、ろくに寝ず、食べずの孫に「息子はあなたに法律家になれなどと強いてはいませんよ」と心配する。


苺子は試しに「紅茶タバコ」を吸ってみると、ハンサムな青年が立体的に出てきた。
名前を好きに決めていいというので、教科の中で一番好きな「現代国語」にするw



「私は、あなたの深層心理から生まれ出たもの。つまり本性は死神なのです。
 あなたは、今日、本屋の死についての叢書の前に立ち尽くしていたでしょう。
 ヒトはそういった曖昧な願望から、実際的な自殺に移るのが通例なんです。
 死神は一応、神なので、それなりにお止めします。
 でもどうしてもお逝きになりたければ力をお貸しする仕組みです」

「黄泉の国とは一体どんな風なんです?」

「いってみれば、やはり無ですよ。でも意識だけはあるのです」


翌日の試験で、お腹に激痛が走り、神経からくる胃潰瘍だから、1週間は家で安静にしていろと言われる。
クラスのみんなは誰一人、顔もあげずに試験に集中していた。

久しぶりに父の書斎に入ると、「亜利子逝く」というメモ書きの上に涙の跡を見つける。


「眠ってしまいたい」とゲンコクさんに頼む苺子。
ゲンコクさんは致死量のクスリを渡すが、本当は適量の睡眠薬だった。

部屋に充満した「紅茶タバコ」のせいで、父は、亡き亜利子の霊を見る。



「なぜ常盤と結婚したのかを話さなければなりません。学生時代、あなたは健康で、誰からも愛されました。
 常盤の反抗は、あなたを愛するがゆえだったのです。私は彼の唯一の友人で、ついてゆきました。
 どうか早く、昔のあなたに戻られますよう。私たちは本当にあなたを愛してるんですから」


エゴのための自殺幇助は禁止されている死神は、重罪を言い渡されて、黄泉の大王に連れていかれた。
もう一度「紅茶タバコ」で再会しようとしても、もう死の願望がないため効き目はなかった。

そして、同じ学校に、あの一人生き残った青年・常盤がいることを知る。
彼は死神とそっくりだった。



“そうよ。あたしのイメージはいつだって正しくない。
 名前はなんていうのだろう。恋人はいるかしら。
 こんどのイメージはたしかよ。
 笑顔で迎えてくれるにきまってる”



[あとがきマンガ]

 



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