■『蟲師 続章』2期(ネタバレ注意
『蟲師 続章』1期(ネタバレ注意
▼あらすじ(ネタバレ注意
●11話「草の茵」
少年時代のギンコの話。
蟲を引き寄せる特異体質で、いつも自分に集めて、通りかかった蟲師に退治してもらっていたが、
今回は、意識を失っていたところを蟲師のスグロに助けられる。
片目が真っ黒な穴のようになっているのを見て「常闇」がいるという。
子どもの頃の記憶がないのもそのせい。一生治らない。
スグロは、ギンコに薬草や蟲避けの知識を教える。
スグロ「山の主にも寿命がある。新しい主が現れなければ、山は荒み、世は滅ぶ。主は“ことわり”の表れだ」
ギンコは森の中で新しい主の卵を見つける。
「これは選ばれたもの。今なら、その力を自分のものにできるんじゃないか?」
ギンコはその卵を落として割ってしまい「元に戻るなら、何だってするから!」というと、
光脈の中にいて、輪に戻る古い主。
「たぶん、あすこは行ったら戻れない所だ。もともとオレにいていい場所なんてないんだ」
両手が出てきて、割れた卵を返すと、輪に加わる。「オレは戻ってもいいのか?」
スグロに呼ばれ、現実に戻り、ポロポロと泣くギンコ。「常闇」は治っていた。
「この山は閉じねばならんな。お前が会ったのがことわりだ。
また主は現れるだろう。オレはお前を許すワケにはいかない。
だが、この世にいてはいけない場所などない。
この世の全てがお前のいるべき場所なんだ」(スグロ
●12話「香る闇」
農夫のカオルは、娘も嫁いで、妻のイクとともに平凡だが幸せに暮らしている。
だが、花の香りを嗅ぐといつも、なにか思い出せそうで、思い出せず、懐かしい感覚になることがフシギだった。
帰りを急ぐ晩、花の香りのする洞穴に入って近道しようとすると、少年時代に戻る。
酒蔵を営む父。そこで働く少年に花瓶を割った罪を着せて、少年は酒樽にすべて穴を開けて村を去る。
桜の時期にイクと会い、その後、結婚。娘が生まれ、嫁ぎ・・・そして、またあの洞穴に戻る。
ある晩、ギンコが雨宿りに来て、「せっかくだから、なにか気になることでもあれば」と聞く。
事情を話すと、「カイロウ」という蟲のせいかもしれないという。
時間を歪めるため、何度も同じ時間を生かされる。何度も繰り返すうちに昔に戻れなくなる場合もある。
「変えたい過去もあるにはあるが、先が見たい。まだ見たことのない毎日が」
「花の香りのする洞穴には二度と近づかないことだ」と忠告される。
また洞穴を見た時、カオルは入らない選択をして、家に帰ると、イクが出迎えてくれて、
「これは初めて見る! これからはずっと新しい毎日がやってくるんだ」と喜ぶ。
ある日、森でイクが谷から落ちて瀕死となる。そこにあの洞穴を見つけ、
「お前は助かる。そして遠い未来にオレと一緒に暮らすんだ」
そして、また繰り返しの日々が始まる。イクもデジャヴを感じるようになる。
(すると、毎回、谷で落ちるところまでを繰り返すのは辛くない?
●13話「残り紅」
アカネは、夕暮れ時に友だち2人と別れて、後ろから子どもの影が見えたので
「一緒に遊ぼう」と振り返ると、そこには影しかおらず、その日からアカネは消えてしまった。
老女ミカゲは、夕暮れ時になると「家に帰らなくちゃ」と言って出てしまう。
森で迷っていたミカゲを家まで送ったギンコ。
夫ヨウキチはギンコに相談すると、「オオマガドキ」という蟲の仕業かもしれないという。
その影に踏まれたりすると、本体と入れ替わってしまう。
そして、その本体はうつし世とは別の次元に行った可能性がある。
実は、ミカゲは、突然村に現れた子どもで、アカネの父は自分の娘として育てた。
ミカゲはギンコの話を聞いて、過去を思い出し、自分がアカネを奪ったのだと言って森で泣く。
「私はずっと幸せだった。私はアカネちゃんを身代わりにしたの。あの子の全部を盗んだの」
「わしには謝らんでくれ。わしもずっと幸せだったよ。お前のお陰での。さぁ、帰ろう、わしらのウチに」
数年後、ミカゲは病死。夫はアカネの影を見る。
「お前、どうしてずっとそのままで! あのコを恨んでるか? ならわしの影を踏んでくれ!」
アカネは去るが、ある日、子どものままで村に戻ってくる。(『X-FILES』みたい
●14話「隠り江」
ギンコは水路の舟から少女ユラを見て、気になり、父に「なにか意識を失うようなことはありませんか?」と聞く。
ユラは病気で、使用人のスミと心が通じるという。「また苦しくなったら呼んでね」
しかし、父はユラがスミにべったりで、他人と交流しないのは逆効果と思い、スミを里に帰す。
「人の意識には見えない蟲の通路がある。この水路みたいに。それを通じて交信できることがある。虫のしらせってやつもそうだ。
だが、繰り返していると、カイロギという蟲が自分の意思で動き、人は意識が戻らなくなる。当分使わなければ問題ない」
と蟲下しのクスリを置いていくが、「スミがいなきゃ、苦しくなった時どうすればいいの? 怖い!」と飲まないユラ。
(なんだかパニ障みたい・・・
スミは「もうつながりを絶ちたいんです」とユラのためを思って手紙を出す。
「ほんとは迷惑だったの?」と傷つくが、泣いているスミの姿が見えて「私も何か役に立つかな?」
と一人で舟を漕いで行く途中で倒れ、村人に助けられる。
スミは、「クスリ、本当は全部飲めなかったの」
ギンコ「会いに行きゃいいだろ。苦しくなりゃ、また町の誰かが助けてくれるさ」
●15話「光の緒」
ゲンは、村の子とケンカばかりして帰ってくる。父が叱ると
「母さんは病気なんかじゃなく、オレを産んだせいで病気になったから出て行ったんだ!」と反抗する。
ゲンは、ムシが見える体質で、納屋で美しく光る衣を見つける。
「きっとコレは見てはいけないものだ。見たというと、また父ちゃんに叱られる」
ゲンには、空のかなたに漂う人型がいつも見えるが、
「あれは天女で、もしかしてこの衣を探しているのかな」
ギンコが来て「その衣はオレがお前に着せたものだよ」という。
ゲンは赤ちゃんの頃、体が弱かったから、衣を着せたのだが、「ちと元気過ぎるかな」と手にクスリを塗っても効かない。
ゲンの母ユイは産後に生死を彷徨ってからムシが見えるようになった。
実家で養生していると、庭の木から光る糸が出るのを見つけて、それで子どもの衣を織る。他の人には見えない。
ある日、赤ちゃんから糸が抜けたのを見てから、赤ちゃんはグッタリと生気を失ってしまう。
それは「ヨウシツ」という蟲で、赤ちゃんのうちは必要でみな持っているものだが、
抜けば生きる力を失うため、衣を子どもに着せれば元気になるという。
ユイはもう2年間も魂が抜けた状態。母を初めて見たゲンは「この人はいつも見える天女だ!」
ユイの意識は戻り、ギンコは衣をもらう。もう光は見えなくなったのだという。
そして、ゲンはほかの子どもとも仲良く遊ぶようになった。
●16話「壷天の星」
家に1人で住んでいる少女イズミ。
家には見えない誰かがいて、食事の支度をしたり、大好きな人形を隠す遊びをしてくれる。
「たぶん神さまみたいなものだ。ここはずっと夜。
あの空の向こうはどこなんだろ? 誰もいないのは、みんな向こうに行ってしまったからかも」
光脈の中にいると「ここは、なにもかもがキレイで、心地良くて、何か思い出すのが億劫になる」
そこに突然「イズミはいるか?」とギンコが入ってきて驚く。
「もう時間切れか」と言って、ギンコは消える。
姉のミズホは、イズミは古井戸の中に星が見えると言って、毎日覗いていて、ある時、人形を落として、
自分も落ちてしまったと話すが、父が底までいっても見つからなかったため、ウソだと言われる。
母はミズホの言うことを信じて、毎日、イズミの食事やおやつを用意していた。
ギンコ「同調する時間はわずかです。煙があがったら、名前を呼んでください」
逃げるイズミに「ここはお前のいる場所じゃない。あの空の向こうで待ってる家族がいる」
木を燃やすと、空にのぼり、母と姉の呼ぶ声が聞こえ、イズミは記憶を取り戻し、気づくと庭に戻っている。
父は心配なため、井戸の神さまが息ができるよう棒をたてて、岩で埋める。
イズミはその棒から光る蟲「イセイ」(光脈に集まる)が漏れているのが見える。
「土の底は冷たいか。寂しいか。その底は? 清らかな水の無数の星の棲むところ」
●17話「水碧む」
泳ぎの上手い少年ユウタは、川で魚をたくさんとって母を喜ばせるが、
特異体質のせいで村の子どもたちは一緒に遊んでくれない。
ギンコは、低体温、言葉の遅れ、手の水かきなどから「ウコ」という蟲が体内にいるという。
ウコは水の循環と同じ性質を持つが、サンショウウオなどに寄生し、やがては水に同化して溶け込んでしまうという。
「ヒトが溺れて仮死状態になると稀に寄生することがある。クスリで様子をみてください」
ユウタは、クスリを飲んでいくらか回復し、他の子どもとも遊ぶようになる。
突然、母に「川はどこからくるの? 海はどこからくるの?」と母に聞く。
ユウタが溺れた経験がないと知ったギンコは、母に尋ねると、溺れたのは両親だった。
川に飲まれ、夫は亡くなり、その後、身ごもっていることを知った。
雷雨の夜、「行かなきゃ」と家を出るユウタ。
「鉄砲水が来れば助かるかもしれない」と、濁流を見つめる母と息子。
蟲は抜けたかと思われたが、ユウタの体は急に熱くなって、水蒸気となって消える。
(ギンコも毎回助けられるわけじゃない。哀しい人々をたくさん見てきたんだな
「胎児は水の生物に近い。その時、ウコに寄生されたんだろう。あなたのせいじゃない。
あいつはたしかにここに生きていた」
母「あんた、今どこにいる? 川? 雨? 海かしら?」
「どうしたの? もう怖くないよ」と言っていたことを思い出し、
「そうだね。あんたはどこにでもいるんだもんね」
●18話「雷の袂」
雷の鳴る日に、庭の木に息子レキをくくりつけ、放っておく母親シノ。
何度も落雷があった木があると聞いて見に来たギンコ。
「他にも高い木はあるのに、1本だけに落ちるというのは蟲のせいかもしれない」
レキは雷が近づくと腹に電気が走る。これまで6回もうたれたが無事だった。
「木の窪みに棲む蟲がヘソから入り、放電し、羽化する時を待つ。
何度もうたれていると命を落とすこともある。
ヘソの緒で煎じグスリを作れば大丈夫です」
母「さぁ・・・どこだったかしら?」
レキは、シノの実子だが、育て方、愛し方が分からないという。
昔、他に嫁ぎたい人がいたのに、母から反対されて、
レキを身ごもった時も「産みたくない!」と川に入ろうとして夫が止めたという。
ギンコ「なぜ雷から逃げない?」
レキ「雷は真っ直ぐオレを見てくれる。父も母もオレを真っ直ぐ見てくれない。もともと生まれてこなけりゃよかったんだ」
シノ「あの子は怒っているんです。だから雷を落として、私を罰しているんです。でもどう愛せばいいのか分からない」
「ここいらの雲はあっという間に大きくなる」と畑から家に戻る村人の様子を見たギンコは仮説を母に話す。
「あの木は、この家から少し遠い。レキは村人と、この家を守っているとも考えられませんか?」
また黒い雲がかかり、レキが人気のない広い場所に行ったと知り、ギンコは母を連れて行く。
「あんたでなきゃダメなんだ。お前に生きていて欲しいと言ってやれ!」
「どうしても、そんな風に思えない。なら一緒に死のうか。
今度はきっと子どもを愛せる母親に生まれてきてあげるから」
雷に打たれたレキのヘソから蟲が這い出す。
その後、レキは親戚に預けられた。
●19話「泥の草」
仲の良い兄弟がいて、兄の妹が山の中で服だけが残され消えた。
「山に盗られたんだ」
その数年後、弟が崖から落ちて亡くなり、里のしきたりで山へと葬られた。
その後、7日間は山に入ってはいけないしきたりだが、誰かが破ったせいで、
村人の脚に謎の芽が出て、痺れるというので、ギンコがクスリを塗ると治る。
「ムクログサの実」という蟲で、踏むと寄生し、動物のむくろを分解する。
草には塩をかけると溶けて消える。
だが、兄の脚はクスリが効かずにどんどん成長していた
山に入ったのは兄だった。「言い伝えなどウソだと思ったんだ」
弟の息子ソウスケを引き取った兄。「この草は父さんの代わりに生えてきたんだ」
実は、兄の妹を過って荷車で轢いたのだと弟が告白。
兄は、怒りのままに石で殴って、弟を崖から落とした。
それから弟が「兄さん、すまない」と夢に出てくる。
「もういい、お前は死んだんだ。それともまだ生きているのか?」
ギンコは兄に推測を話す。
「あんたの体に死臭が染み付いているからかもしれない。洗い清めればクスリも効く。オレはこれ以上は立ち入らない」
それを聞いていたソウスケは、叔父に
「父さんを殺したの? でも誰にも言わないよ。父さんは誰も恨むなと言ったから」
兄はソウスケを殺そうとして、川に落ちて溺死する。
その泥の跡が残っているのを見て、事情を知るギンコ(哀しい話だ・・・
●20話「常の樹」(最終回)
いつも旅をして、家を建て、たまに家に帰ると、娘に土産話をするのが好きな父カンタ。
旅の途中でスモモを食べてから、なぜか森の夢を見るようになり、見知らぬギンコの過去まで言い当てる。
「あんたは10歳の頃、祖母と一緒に杉の巨木に来たことがある」
森を切り拓いて里ができる様子も思い出す。それは自分の里だった。
杉の巨木を見に行くと、伐られた後だった。
その根元に足がハマって動けなくなり、ギンコに助けられるが、足はまるで木のように固くなる。
「このまま動けなくなって、みんなの世話になるなんざ、真っ平だ!」
ギンコは、祖父とイサザ(誰だっけ?)とともに木の話を聞いたことを思い出す。
花が咲いたのは約500年前で大地震があった。2度目に咲いた時は170年前で雷が落ちた。
村人は、山を開墾しようとしてその木を伐ろうとしても伐れなかったため、神木として崇めた。
「ここは光脈筋。だが、時とともにこの木を訪れる者は減ってしまった」
15年前、山火事で村人は極限まで困窮し、「あの大木を大金で買いたいという人がいた」と伐りに行く。
木は真っ赤な花を咲かせていた。「山が怒っているんだよ」
木を伐ると、光る水が流れ出し、森も蘇った。
「草木は怒ったりはしない。でも、なにもしないワケでもない。自らを森のために変化させたんだ」
カンタには植物の成長を抑えるクスリを与え、その間に他の蟲師に文を出して聞き、
解決法が分かったらしらせると言ってギンコは去る。
カンタの足から赤い花が咲いた。また危険の予兆だと、村人に知らせて山の上に避難させる。
そこに大地震が起こり、家屋はすべて全壊したが、人々は皆助かり、カンタの足の花も落ちる。
「これまで巨木から受けた恩を返させてくれ」と村人は、カンタの家も建て替えてくれる。
1つの場所に落ち着き、人々との支え合いの大切さを知ったカンタは、娘に木の話をする。
「1本の木の話をしようか。終わらない話だ」
『蟲師 続章』1期(ネタバレ注意
▼あらすじ(ネタバレ注意
●11話「草の茵」
少年時代のギンコの話。
蟲を引き寄せる特異体質で、いつも自分に集めて、通りかかった蟲師に退治してもらっていたが、
今回は、意識を失っていたところを蟲師のスグロに助けられる。
片目が真っ黒な穴のようになっているのを見て「常闇」がいるという。
子どもの頃の記憶がないのもそのせい。一生治らない。
スグロは、ギンコに薬草や蟲避けの知識を教える。
スグロ「山の主にも寿命がある。新しい主が現れなければ、山は荒み、世は滅ぶ。主は“ことわり”の表れだ」
ギンコは森の中で新しい主の卵を見つける。
「これは選ばれたもの。今なら、その力を自分のものにできるんじゃないか?」
ギンコはその卵を落として割ってしまい「元に戻るなら、何だってするから!」というと、
光脈の中にいて、輪に戻る古い主。
「たぶん、あすこは行ったら戻れない所だ。もともとオレにいていい場所なんてないんだ」
両手が出てきて、割れた卵を返すと、輪に加わる。「オレは戻ってもいいのか?」
スグロに呼ばれ、現実に戻り、ポロポロと泣くギンコ。「常闇」は治っていた。
「この山は閉じねばならんな。お前が会ったのがことわりだ。
また主は現れるだろう。オレはお前を許すワケにはいかない。
だが、この世にいてはいけない場所などない。
この世の全てがお前のいるべき場所なんだ」(スグロ
●12話「香る闇」
農夫のカオルは、娘も嫁いで、妻のイクとともに平凡だが幸せに暮らしている。
だが、花の香りを嗅ぐといつも、なにか思い出せそうで、思い出せず、懐かしい感覚になることがフシギだった。
帰りを急ぐ晩、花の香りのする洞穴に入って近道しようとすると、少年時代に戻る。
酒蔵を営む父。そこで働く少年に花瓶を割った罪を着せて、少年は酒樽にすべて穴を開けて村を去る。
桜の時期にイクと会い、その後、結婚。娘が生まれ、嫁ぎ・・・そして、またあの洞穴に戻る。
ある晩、ギンコが雨宿りに来て、「せっかくだから、なにか気になることでもあれば」と聞く。
事情を話すと、「カイロウ」という蟲のせいかもしれないという。
時間を歪めるため、何度も同じ時間を生かされる。何度も繰り返すうちに昔に戻れなくなる場合もある。
「変えたい過去もあるにはあるが、先が見たい。まだ見たことのない毎日が」
「花の香りのする洞穴には二度と近づかないことだ」と忠告される。
また洞穴を見た時、カオルは入らない選択をして、家に帰ると、イクが出迎えてくれて、
「これは初めて見る! これからはずっと新しい毎日がやってくるんだ」と喜ぶ。
ある日、森でイクが谷から落ちて瀕死となる。そこにあの洞穴を見つけ、
「お前は助かる。そして遠い未来にオレと一緒に暮らすんだ」
そして、また繰り返しの日々が始まる。イクもデジャヴを感じるようになる。
(すると、毎回、谷で落ちるところまでを繰り返すのは辛くない?
●13話「残り紅」
アカネは、夕暮れ時に友だち2人と別れて、後ろから子どもの影が見えたので
「一緒に遊ぼう」と振り返ると、そこには影しかおらず、その日からアカネは消えてしまった。
老女ミカゲは、夕暮れ時になると「家に帰らなくちゃ」と言って出てしまう。
森で迷っていたミカゲを家まで送ったギンコ。
夫ヨウキチはギンコに相談すると、「オオマガドキ」という蟲の仕業かもしれないという。
その影に踏まれたりすると、本体と入れ替わってしまう。
そして、その本体はうつし世とは別の次元に行った可能性がある。
実は、ミカゲは、突然村に現れた子どもで、アカネの父は自分の娘として育てた。
ミカゲはギンコの話を聞いて、過去を思い出し、自分がアカネを奪ったのだと言って森で泣く。
「私はずっと幸せだった。私はアカネちゃんを身代わりにしたの。あの子の全部を盗んだの」
「わしには謝らんでくれ。わしもずっと幸せだったよ。お前のお陰での。さぁ、帰ろう、わしらのウチに」
数年後、ミカゲは病死。夫はアカネの影を見る。
「お前、どうしてずっとそのままで! あのコを恨んでるか? ならわしの影を踏んでくれ!」
アカネは去るが、ある日、子どものままで村に戻ってくる。(『X-FILES』みたい
●14話「隠り江」
ギンコは水路の舟から少女ユラを見て、気になり、父に「なにか意識を失うようなことはありませんか?」と聞く。
ユラは病気で、使用人のスミと心が通じるという。「また苦しくなったら呼んでね」
しかし、父はユラがスミにべったりで、他人と交流しないのは逆効果と思い、スミを里に帰す。
「人の意識には見えない蟲の通路がある。この水路みたいに。それを通じて交信できることがある。虫のしらせってやつもそうだ。
だが、繰り返していると、カイロギという蟲が自分の意思で動き、人は意識が戻らなくなる。当分使わなければ問題ない」
と蟲下しのクスリを置いていくが、「スミがいなきゃ、苦しくなった時どうすればいいの? 怖い!」と飲まないユラ。
(なんだかパニ障みたい・・・
スミは「もうつながりを絶ちたいんです」とユラのためを思って手紙を出す。
「ほんとは迷惑だったの?」と傷つくが、泣いているスミの姿が見えて「私も何か役に立つかな?」
と一人で舟を漕いで行く途中で倒れ、村人に助けられる。
スミは、「クスリ、本当は全部飲めなかったの」
ギンコ「会いに行きゃいいだろ。苦しくなりゃ、また町の誰かが助けてくれるさ」
●15話「光の緒」
ゲンは、村の子とケンカばかりして帰ってくる。父が叱ると
「母さんは病気なんかじゃなく、オレを産んだせいで病気になったから出て行ったんだ!」と反抗する。
ゲンは、ムシが見える体質で、納屋で美しく光る衣を見つける。
「きっとコレは見てはいけないものだ。見たというと、また父ちゃんに叱られる」
ゲンには、空のかなたに漂う人型がいつも見えるが、
「あれは天女で、もしかしてこの衣を探しているのかな」
ギンコが来て「その衣はオレがお前に着せたものだよ」という。
ゲンは赤ちゃんの頃、体が弱かったから、衣を着せたのだが、「ちと元気過ぎるかな」と手にクスリを塗っても効かない。
ゲンの母ユイは産後に生死を彷徨ってからムシが見えるようになった。
実家で養生していると、庭の木から光る糸が出るのを見つけて、それで子どもの衣を織る。他の人には見えない。
ある日、赤ちゃんから糸が抜けたのを見てから、赤ちゃんはグッタリと生気を失ってしまう。
それは「ヨウシツ」という蟲で、赤ちゃんのうちは必要でみな持っているものだが、
抜けば生きる力を失うため、衣を子どもに着せれば元気になるという。
ユイはもう2年間も魂が抜けた状態。母を初めて見たゲンは「この人はいつも見える天女だ!」
ユイの意識は戻り、ギンコは衣をもらう。もう光は見えなくなったのだという。
そして、ゲンはほかの子どもとも仲良く遊ぶようになった。
●16話「壷天の星」
家に1人で住んでいる少女イズミ。
家には見えない誰かがいて、食事の支度をしたり、大好きな人形を隠す遊びをしてくれる。
「たぶん神さまみたいなものだ。ここはずっと夜。
あの空の向こうはどこなんだろ? 誰もいないのは、みんな向こうに行ってしまったからかも」
光脈の中にいると「ここは、なにもかもがキレイで、心地良くて、何か思い出すのが億劫になる」
そこに突然「イズミはいるか?」とギンコが入ってきて驚く。
「もう時間切れか」と言って、ギンコは消える。
姉のミズホは、イズミは古井戸の中に星が見えると言って、毎日覗いていて、ある時、人形を落として、
自分も落ちてしまったと話すが、父が底までいっても見つからなかったため、ウソだと言われる。
母はミズホの言うことを信じて、毎日、イズミの食事やおやつを用意していた。
ギンコ「同調する時間はわずかです。煙があがったら、名前を呼んでください」
逃げるイズミに「ここはお前のいる場所じゃない。あの空の向こうで待ってる家族がいる」
木を燃やすと、空にのぼり、母と姉の呼ぶ声が聞こえ、イズミは記憶を取り戻し、気づくと庭に戻っている。
父は心配なため、井戸の神さまが息ができるよう棒をたてて、岩で埋める。
イズミはその棒から光る蟲「イセイ」(光脈に集まる)が漏れているのが見える。
「土の底は冷たいか。寂しいか。その底は? 清らかな水の無数の星の棲むところ」
●17話「水碧む」
泳ぎの上手い少年ユウタは、川で魚をたくさんとって母を喜ばせるが、
特異体質のせいで村の子どもたちは一緒に遊んでくれない。
ギンコは、低体温、言葉の遅れ、手の水かきなどから「ウコ」という蟲が体内にいるという。
ウコは水の循環と同じ性質を持つが、サンショウウオなどに寄生し、やがては水に同化して溶け込んでしまうという。
「ヒトが溺れて仮死状態になると稀に寄生することがある。クスリで様子をみてください」
ユウタは、クスリを飲んでいくらか回復し、他の子どもとも遊ぶようになる。
突然、母に「川はどこからくるの? 海はどこからくるの?」と母に聞く。
ユウタが溺れた経験がないと知ったギンコは、母に尋ねると、溺れたのは両親だった。
川に飲まれ、夫は亡くなり、その後、身ごもっていることを知った。
雷雨の夜、「行かなきゃ」と家を出るユウタ。
「鉄砲水が来れば助かるかもしれない」と、濁流を見つめる母と息子。
蟲は抜けたかと思われたが、ユウタの体は急に熱くなって、水蒸気となって消える。
(ギンコも毎回助けられるわけじゃない。哀しい人々をたくさん見てきたんだな
「胎児は水の生物に近い。その時、ウコに寄生されたんだろう。あなたのせいじゃない。
あいつはたしかにここに生きていた」
母「あんた、今どこにいる? 川? 雨? 海かしら?」
「どうしたの? もう怖くないよ」と言っていたことを思い出し、
「そうだね。あんたはどこにでもいるんだもんね」
●18話「雷の袂」
雷の鳴る日に、庭の木に息子レキをくくりつけ、放っておく母親シノ。
何度も落雷があった木があると聞いて見に来たギンコ。
「他にも高い木はあるのに、1本だけに落ちるというのは蟲のせいかもしれない」
レキは雷が近づくと腹に電気が走る。これまで6回もうたれたが無事だった。
「木の窪みに棲む蟲がヘソから入り、放電し、羽化する時を待つ。
何度もうたれていると命を落とすこともある。
ヘソの緒で煎じグスリを作れば大丈夫です」
母「さぁ・・・どこだったかしら?」
レキは、シノの実子だが、育て方、愛し方が分からないという。
昔、他に嫁ぎたい人がいたのに、母から反対されて、
レキを身ごもった時も「産みたくない!」と川に入ろうとして夫が止めたという。
ギンコ「なぜ雷から逃げない?」
レキ「雷は真っ直ぐオレを見てくれる。父も母もオレを真っ直ぐ見てくれない。もともと生まれてこなけりゃよかったんだ」
シノ「あの子は怒っているんです。だから雷を落として、私を罰しているんです。でもどう愛せばいいのか分からない」
「ここいらの雲はあっという間に大きくなる」と畑から家に戻る村人の様子を見たギンコは仮説を母に話す。
「あの木は、この家から少し遠い。レキは村人と、この家を守っているとも考えられませんか?」
また黒い雲がかかり、レキが人気のない広い場所に行ったと知り、ギンコは母を連れて行く。
「あんたでなきゃダメなんだ。お前に生きていて欲しいと言ってやれ!」
「どうしても、そんな風に思えない。なら一緒に死のうか。
今度はきっと子どもを愛せる母親に生まれてきてあげるから」
雷に打たれたレキのヘソから蟲が這い出す。
その後、レキは親戚に預けられた。
●19話「泥の草」
仲の良い兄弟がいて、兄の妹が山の中で服だけが残され消えた。
「山に盗られたんだ」
その数年後、弟が崖から落ちて亡くなり、里のしきたりで山へと葬られた。
その後、7日間は山に入ってはいけないしきたりだが、誰かが破ったせいで、
村人の脚に謎の芽が出て、痺れるというので、ギンコがクスリを塗ると治る。
「ムクログサの実」という蟲で、踏むと寄生し、動物のむくろを分解する。
草には塩をかけると溶けて消える。
だが、兄の脚はクスリが効かずにどんどん成長していた
山に入ったのは兄だった。「言い伝えなどウソだと思ったんだ」
弟の息子ソウスケを引き取った兄。「この草は父さんの代わりに生えてきたんだ」
実は、兄の妹を過って荷車で轢いたのだと弟が告白。
兄は、怒りのままに石で殴って、弟を崖から落とした。
それから弟が「兄さん、すまない」と夢に出てくる。
「もういい、お前は死んだんだ。それともまだ生きているのか?」
ギンコは兄に推測を話す。
「あんたの体に死臭が染み付いているからかもしれない。洗い清めればクスリも効く。オレはこれ以上は立ち入らない」
それを聞いていたソウスケは、叔父に
「父さんを殺したの? でも誰にも言わないよ。父さんは誰も恨むなと言ったから」
兄はソウスケを殺そうとして、川に落ちて溺死する。
その泥の跡が残っているのを見て、事情を知るギンコ(哀しい話だ・・・
●20話「常の樹」(最終回)
いつも旅をして、家を建て、たまに家に帰ると、娘に土産話をするのが好きな父カンタ。
旅の途中でスモモを食べてから、なぜか森の夢を見るようになり、見知らぬギンコの過去まで言い当てる。
「あんたは10歳の頃、祖母と一緒に杉の巨木に来たことがある」
森を切り拓いて里ができる様子も思い出す。それは自分の里だった。
杉の巨木を見に行くと、伐られた後だった。
その根元に足がハマって動けなくなり、ギンコに助けられるが、足はまるで木のように固くなる。
「このまま動けなくなって、みんなの世話になるなんざ、真っ平だ!」
ギンコは、祖父とイサザ(誰だっけ?)とともに木の話を聞いたことを思い出す。
花が咲いたのは約500年前で大地震があった。2度目に咲いた時は170年前で雷が落ちた。
村人は、山を開墾しようとしてその木を伐ろうとしても伐れなかったため、神木として崇めた。
「ここは光脈筋。だが、時とともにこの木を訪れる者は減ってしまった」
15年前、山火事で村人は極限まで困窮し、「あの大木を大金で買いたいという人がいた」と伐りに行く。
木は真っ赤な花を咲かせていた。「山が怒っているんだよ」
木を伐ると、光る水が流れ出し、森も蘇った。
「草木は怒ったりはしない。でも、なにもしないワケでもない。自らを森のために変化させたんだ」
カンタには植物の成長を抑えるクスリを与え、その間に他の蟲師に文を出して聞き、
解決法が分かったらしらせると言ってギンコは去る。
カンタの足から赤い花が咲いた。また危険の予兆だと、村人に知らせて山の上に避難させる。
そこに大地震が起こり、家屋はすべて全壊したが、人々は皆助かり、カンタの足の花も落ちる。
「これまで巨木から受けた恩を返させてくれ」と村人は、カンタの家も建て替えてくれる。
1つの場所に落ち着き、人々との支え合いの大切さを知ったカンタは、娘に木の話をする。
「1本の木の話をしようか。終わらない話だ」