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少年探偵シリーズ30『大暗室』(ポプラ社)

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■少年探偵シリーズ30『大暗室』(ポプラ社)
江戸川乱歩/作 柳瀬茂、山内秀一/画 1970年初版 1993年第33刷 618円

※notes and movies(1998.7~)からの転記。
「作家別」カテゴリーに追加しました。


大人向けの小説を、武田武彦が書き直して、少年少女ものにしたと紹介にあるが、
いつになく残酷な怪人二十面相の様子や、冒頭の漂流シーンの割に、
事件の展開や、最後の締めがソフトなのはそのせいか。


▼あらすじ(ネタバレ注意
客船の転覆で九死に一生を得て、ボートで漂流する老博士と、助手・大曽根、船員・三国。
1週間も飲まず食わずを生き抜いたのに、多額の遺産が入ると聞き、陸が見えた途端、2人を撃つ大曽根。

後で分かるが大曽根=怪人二十面相。三国は、他の犯罪を調査中に偶然乗り合わせた明智、
血を見るのが大嫌いなはずの怪人二十面相が殺しをするのは不自然。

一人娘の京子をプールに突き落とそうともするし、監視役に雇った小島くんは、小林少年で、
明智は重傷で島に流れ着き、島の敗残兵に終戦だと説得するのに1年もかかったという。
時代を感じるね。。。

漂流仲間として情けをかけ、自首を勧めたのに、明智は閉じ込められ、放火される


その2ヶ月後、もう次の犯罪に手を出す怪人二十面相の素早さ!

両親を亡くし、百万両の小判(時代劇!?)を継いだマユミは、それを狙う後見人・辻堂老人を捕らえて化けた
怪人二十面相に殺されかけるが、それは少女に変装した小林少年。

思わぬ柔道の達人に投げられて断崖に引っかかった怪人二十面相は、また情けで助けられ、
小林少年もお人好し。しかも、少年が大悪党を護送するなんて
まんまと逃げられて泣いてしまう


一寸法師に誘拐されるマユミちゃんは、ネズミと振り子ナイフに襲われた末「大暗室」に落とされる。
半年後「友だちとして子役スター・ナナ子を誘拐する」と怪人二十面相が宣言。

彼は立派に子どもを育てられると断言(!)
ショーで蝋人形とすり替えられ、誘拐したのは、またもや小林少年。
よほど女の子に化けるのが上手いんだねえ。

明智も久々に戻り、記者を集めて現れたのは怪人二十面相。
皆に電流の流れる鉄の服を着せて、やっと完成した自分の大美術館「大暗室」を強制取材させる。

調子こいて外を見せたため、偶然起きた事故車のナンバーから場所を特定される。
アドバルーンに乗った小林少年が、池の中から現れた潜航艇が出入口と知り、鉄の服を着て侵入。

またもや怪人二十面相は、調子に乗りすぎたために盗品のすべてを返すハメになったという結末。
水槽に女の子を人魚として泳がせるのは『黒蜥蜴』でもあった。
乱歩の個人的趣味?!


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