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Channel: メランコリア
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notes and movies(1996.12〜 part5)

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過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


■『キッズ』(1995)
監督:ラリー・クラーク 出演:レオ・フィッツパトリック ほか
このほとんど実写の記録フィルムに近い撮り方はスゴイ! 彼らは俳優? だったら名優だね。
N.Y.は昔から危険、退廃地帯だった気がするけど、そーじゃない。
'60のフリーセックス&ドラッグの時代だって、一応信念があってのことだったけど、この子らは単なるバカ。
恵まれた環境の中でただ堕落してる。それも親から子、兄から弟へちゃんと受け継がれてるシステムが恐い。
実際こんなに低脳な連中見た事ないな。
脚のない男に寄付しても障害者への軽蔑は変わらないし、地下鉄で歌う男を褒めても本当に耳には入っていない。
彼らが数人次世代に生き残れたとして、まともな考えをもつ大人になれるのかしら?

テリーは自称バージンキラー「病気もなくて純粋だから」て言うけど、自分の未熟さを女にバカにされたくないからじゃない?
女子と男子の話の食い違いが面白い。死ぬことも彼らにとっちゃゲームの1シーンでどーでもいーって感じ。
この究極の病は生まれるべくして生まれてきた必要悪なのね。
彼らのあり余る力と好奇心を満たすものは、性の快楽、ドラッグの恍惚感の他に何があるかしら?


■『魅せられて』(1996)
監督:ベルナルド・ベルトルッチ 出演:リブ・タイラー ほか
油絵の中みたいな美しいイタリアの自然、その解放された異国では違う自分を見て、何かできそうな気がしてくる。
多くの名作を撮り続けるベルトルッチの中に、こんなにみずみずしい感覚とロマンティックな世界があったのか。
今作でブレイクしたリブの少女と女性の間をさまよう美しさはイタリアの自然もかすむ。
深く沈みこむような女性ヴォーカルのブルースがイイ。音楽にも凝ってる

ベルトルッチはリブの魅力を最大限撮りたかったのね。それは成功してる。絵描きとモデルの関係はよくきく話。
こんな場所で一度時間を忘れて過ごしてみたいね。土地の人は都市に憧れ、都市に住むものは自然に憧れる。
今作はこんな素晴らしいエキゾチックな場所にトリップさせてくれる映像だけでも観る価値あり。


■『ラストダンス』(1996)

監督:ブルース・ペレスフォード 出演:シャロン・ストーン、ロブ・モロー ほか
人が人を裁くことの難しさ。「死には死の償いを」被害者は当然戻らないから残された者の悲しみの軽減のためか。
「人は変われるけど、許されない罪もあるのよ。許す側も変わらなきゃならないの」
ドラッグ中毒状態での無計画殺人に権力の圧力も絡むこの微妙な死刑執行問題に真向から取り組んだとても考えさせられる作品。
死刑囚に恩赦を与える知事に申請書を書く「恩赦課」なんて仕事もあるのね。
ラストはベルトルッチ『シェルタリングスカイ』を思い出させた。静かで荘厳な余韻を残す。

始まりもアーティスティックで目が吸い込まれた。
少女が草原でたわむれるモノクロ写真の連続のような美しくノスタルジックなもの。
どんな残酷な犯罪を犯した者も子どもの頃は同じ無垢な心を持っていたんだ。
ここでも異常犯罪の多くが幼児期の環境、ドラッグとの深い関連性を示唆している。
人の過去はどんなに細かく記載したとしてもファイルにすべて書きまとめることなどできない。
でも、このシステムがある以上、私も一生檻の中で暮らすくらいなら死んでフリーになるほうを選ぶかもなあ。
地獄へ落ちるような非行少女がここまで変わり、死の恐怖が愛する者が見守るだけで克服される。
人の一生はなんて長く、あらゆる道のりがあって、人の心ってなんて不思議なものだろう。


■『ジキル&ハイド』(1996)
監督:スティーブン・フリアーズ 出演:ジュリア・ロバーツ、ジョン・マルコヴィッチ ほか
こうしてホラーや浪漫の古典が次々リアルに映画化され息を吹き込まれてゆくのはとても楽しい。
マルコヴィッチは甘いマスクじゃないけどヘビのような妖しい魅力があるフシギな俳優だね。
ジュリアも今作では大口の笑顔なし。幼児虐待の過去をもつ古風ながら狂気を秘めた役柄を見事演じ切ってる。
こんな初春の雨の日にピッタリな作品。原作が読みたい。たしか「人には善と悪が潜んでいる」っていったんじゃなかった?
中世を見事によみがえらせたセット、衣装、生活環境も興味深い。

主人と召使の遊びなんてほとんど公然と行われてた時代に、
異常に抑圧的、繊細に描かれる誘惑、欲望の描写がかえってエロティック。
ジョンの長いヘビのような舌もCG合成かと思えるほど
同じ『宝島』の作者とは思えないね。舞台はロンドンっぽい感じになってる。
画面全体の湿った暗さが古典ホラーのクラシックさを際立たせる。
売春宿の気の強い女主人役のグレン・クローズはハマリ役。
こんな身分の差の激しいおそろしく野蛮で不便な時代だったのね。今から数百年経てば今の生活も同じように見えるかもしれない。


■『誘う女』(1995)

監督:ガス・ヴァン・サント 出演:ニコール・キッドマン、マット・ディロン ほか
おもしろい。悪女ものというより映画がノンストップで巨大化するTV産業を茶化し、皮肉り、警告してる。メディアのパワー全体にかな。

「TVに出るべき。他人に見られなきゃ何もする意味がない。TVに出ると成長する」

彼女も被害者の1人。どーして結婚したのかな。キャリアへの夢とガッツも十分あるのに。
騒いだ割に深層心理まで掘り下げなかったのね。スキャンダル記事はそんなもの。
あっけらかんとして完璧自分をコントロールしてる(狂気を除いて)スザーンは小気味いい。
化粧ひとつで随分イメージ変わるね。いかにもキャリア願望に燃えてる女の感じが出てる。M.デュロンも懐かしい。
♪スージーキュー ♪Season of the witch ほか'70代音楽の使い方もいい。♪All by myself なんてサイコーだね。

一気に有名になるには地道な努力より悪事をやらかすほうが早いってか。名声に正気を失う『サンセット大通り』の女優みたい。
「チャンスはどこにでもある。でも自分からつかまないとすぐ他の人に巡ってしまう」という彼女の持論は正しかったんだ。
ニコールの妖精のような美しさはただ見とれるばかり。


■『READY STEADY GO! THE BEATLES』(1986)

出演:ビートルズ ほか
'66か?この番組がなんで'86になって出たか主旨がよく分からんけどピーク時の彼らを知る上で興味深い。
すべて口パクでメンバ自身それをパロりながら、設定はソウルトレイン風、
周囲でファンが踊る、はずが、いつのまにかいつものパターンにおちいってる話。
いろいろ機転のきいた応答で有名だったらしいけど案外フツーに答えてる。

「髪は本物?カツラ?」「本物のカツラさ(ジョージ)」「モバ?」「モバでもロッカーでもない。モッカーさ(リンゴ)」
「クツのサイズは?」みんなに聞いて「ジョンは?」「42だ(ポール)」w

ジョンは自分の本の宣伝。メンバの似顔絵にヒゲとか描いてBUY MY BOOK!
しきりに顔を作るジョン。有名になってもTVが珍しい子どもみたいなのがおかしい。
「キレイな歯ね。盗みをして傷ができたの見せて」「君のも見せて(ジョン)」

ラスト♪イエスタディ が流れてモノクロの英国の様々なスナップがなぜかすごく叙情的。
寄り添うカップルに一人で火の前に立つ男、遊ぶ子どもたち。
♪レット・イット・ビー が流れてエンディングなのがちょっと悲しい。

「眉は剃って整えてるの?」「いや、そのままだよ(ポール)」
ファンが足元から舐めるようにメンバを見つめてるのは恐い

「いつも違う答えが返ってくるけど、ビートルズのバンド名の由来は?」
「思いつきだ(ジョン)」「前のバンド名は?」「クオリーメンさ」恥ずかしそうに言うジョンの表情は印象的で意外。
「指輪はいくつもってるの?」「600以上(リンゴ)」
「ブレスレットに何て書いてある?」「リッチーへ。本名なんだ秘密だけど愛するママより(リンゴ)」

♪ミスター・ポストマン がかかる中、ポールがファンの手紙攻めにあってる。
すごいアイドルってイメージがあったけど、もう物事の分かってる年だったんだよね。
パブリックイメージに合わせる毎日ってどんなだったかしら?
「BBと1000ドルどっちを選ぶ?」「BB(ポール)」「1000ドル(ジョン)」「両方(ジョージ)」
「相対性理論をどう思う?」て意地悪Qには
「What?(リンゴ)」「What's that(ジョージ)」「I like that(ジョンがメモを見ながら真面目に答える)」
こんなギャグ『ウェインズ・ワールド』でもやったね。


■『HISTORY OF THE BEATLES』

出演:ビートルズ ほか
こちらもコンセプト的にはあやしいけど歴史に沿って集めた貴重フィルムばかり。
日本語訳がないからせっかくのコメントも意味が分からず残念。
♪ヘイ・ジュード のレコーディング風景で始まり、ライブで終わる。他に♪Dizzy Miss Lizzy 等も入ってる。

英国民栄誉賞を受賞し、ジョン「I went Wow!」、リンゴ「映画も撮るし、米にも行く。Hello Ed」
エド・サリバンショーで歌うシーン。そしてメインは巨大スタジアムが崩れそうなほどファンに埋め尽くされたライヴ。
前座のダンサーが間をつないで「We want BEATLES!」ファンは待ちきれない。メンバはヘリでNY見物?
ジョン「こんなにビルがひしめきあってるところはほかにないね。スゴイよ」

エドの紹介で姿が現れると、ファン1人1人がありったけで叫ぶから集団ヒステリー状態。
曲紹介なんか聞いてなくてポールもジョンも少々呆れ気味。
おどけ者のジョンが意味不明語で喋ってる、グランドに走り出るファンにブーイング。リンゴ♪Act Naturally

次は日本での武道館ライブ!これだけで1本ビデオ出てるけどね。
「盛大な声援お願いします」と司会者がわざわざ頼んだけど、比較的曲を静かに聴いてるから偉いよね。
♪イエスタデイ なんてポールの甘い声がよく響いてるもの。英語の通じない国でしか静かに聞いてもらえないなんて皮肉。
リンゴがマリファナでもやってるように恍惚として煙草をふかしてる。
メンバの表情が次第に冷めた病的なものに変わっていく過程はいつ見ても悲しくなる。

噂のマジカル・ミステリー・ツアーのフィルム。♪I'm the Warus 前にエリックバージョン観てるからね
ジョンが白い帽子をかぶって「I'm egg-man」と歌ってても変な気がしない。
♪Strawberry Fields Forever では逆回転を利用したドラッギーな絵。
♪Fool on the Hill はポールが文字通り丘(というより山かな)の上に立ち、日が沈むのを見てる。
ジョージは座禅して、いかにも宗教色の濃いイメージに変身。

♪Revolution では長髪に丸メガネのスタイルを確立したジョンがシャウト、エレキギターをかき鳴らす。
大勢のファンに押されそうなほど取り囲まれての♪Hey Jude
不思議とどんなに絶叫に囲まれていても彼らの立つスペースは狭いながら聖なる砦のようで
音も声もアルバムに近い完成された演奏をキープしてる。
リンゴが上品な騎馬兵みたいな格好で大砲を撃つと、いろいろ壊れる音がしてコソコソ逃げるショートフィルムがあるw 俳優向いてるね。


■『ジョン・レノンの僕の戦争』(1967)

監督:リチャード・レスター 出演:ジョン・レノン ほか
この主演の人が監督・脚本も兼ねているのかな。ザ・フーのボーカルに似てる。
若いパワーから出るメッセージ、手づくり感覚なナンセンスコメディの中に実写も混ぜて、こりゃー冗談じゃないぜって気にさせる。
ジョンは、この作品中でかけた丸メガネがその先もトレードマークになった。
普段からのまんまって感じ。ジョンはすでに彼のフィルムの主人公を演じていたから。
それにしても英のギャグは奥が深いのか、単に外れてるのか理解に苦しむ。なんとも空しいブラックな終わり方。

♪また会いましょう って最初のクラシックな曲は、P.セラーズの戦争コメディを思い出させる。
『未来世紀ブラジル』の♪BRAZIL といいブラックユーモアにオールディーズってピッタリ合うね、なぜか。
戦争がどれだけバカバカしものか、これを見れば一目瞭然。しかし地球のどこかで必ず銃声がしてるのは一体どーいうワケ


■『IMAGINE THE FILM』(1972)



♪Imagine
雨っぽい日、ジョンとヨーコが真っ白で崇高にさえ見える家に入り、ピアノで弾き語り。

♪Clipple inside
ジョンを間近で写真撮影するカメラマンとヨーコとホームパーティのフィルム。なんとA.ウォホルまでいる!交流あったのね。

♪Jelous Guy
黒ずくめで霊柩車みたいのに乗ってボート遊び。

♪Fly
いかにもヨーコの作品。真っ白なチェスをする2人。スカートをずり上げるヨーコに駒を口に入れちゃうジョンが笑える。

♪?
思うにヨーコって男性的な顔だね。スタイルがイイイ。ジョンに内緒話して、
ジョンが仏像に話してニッとほほえむシーンはイイ。砂浜にJOHN LOVES。

♪I don't want to be a soldier
兵隊っぽい格好のジョン。聴診器で道や木、慰霊碑の音をきく。泣くノーメイクのヨーコはなんか老けて見える。

♪?
ヨーコと一緒に出てくる有名人がアステア! ジャニスに出た番組の司会者とか。♪Power to the people デモに参加。
本のサイン会。歌詞の紙見ながらのレコーディング風景。♪Gimme Some Truth 粘土人形とテーブル囲む前衛アートは楽しいね。

♪Oh, my love
日本庭園で仲のいい2人。いつも手をつないで長いキスシーン。

♪How do you sleep?
また退廃的ムード。ヨーコのファッションはいつも過激。
ロールシャッハの絵がコウモリみたく空を飛んでる。

♪How
また舟遊び。すごい毛皮。"NO FUR"には参加しなかったのかな? 別の女性も登場。

♪Oh Yoko
入浴シーン。撮影シーン。「ジョン!」「ヨーコ!」とすれ違うw スネークマンショーのパロだよ


■『いつか晴れた日に』(1995)

監督:アン・リー 出演:エマ・トンプソン、ケイト・ウィンスレット、ヒュー・グラント、アラン・リックマン ほか
原作のジェーン・オースティンはどんな女流小説家?
トンプソンは本当にイイ女優だな。『ハワーズエンド』系の作品が好みらしい。
結婚するしか選択肢がなく、金がなければ縁もない。冷たい時代。
でもあふれる緑とゆったりした時間の流れは、今は映画と本の中だけ。

いつもの早口の喋りですっかりベテランの風格がついてきたグラントほかキャスティングも素晴らしい。
またこの邦題も成功例のひとつ。直接内容と関係なくても、この作品の雰囲気が十分出てる。
始終ティーを飲み「お天気の話でもしなさい」といった紳士淑女のマナーが大切だった古き良きイギリスの美しい部分と
貧富の差を気にする上流階級の傲慢さも見事に描かれている。
グラントと1つしか違わないのにエマのほがずっと大人に見えるのがとってもフシギ。


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