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notes and movies(1996.12〜 part6)

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過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part5からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


■『ハイヤー・ラーニング』(1995)

監督:ジョン・シングルトン 出演:ジェニファー・コネリー ほか
「高等教育(ハイヤー・ラーニング)って一体何なんだ?」生徒は「職につき、高給をとるため」「そーいうシステムなんだ」
学校はその国のミニチュアだ。この学校は、多民族国家アメリカをすでに形作っている。

「校内も決して安全じゃない」

レイプ、人種差別、暴力、不公正な世の中をすでに模倣している。
個人の自由を尊重する育ち方の彼らを寮生活させること自体ムリって感じ。

TVで作家のおじいちゃんが言ってた「人は死によってしか反省しない」て、まさにこの通り。
「苦しみなしに進歩はない」本の中の偉人の言葉に救われる。教育の真の意味はそこにあるのか?

自分についての選択も人に頼ろうとするのは、私たち現代っ子の悪癖だ。
自分の思想を持つのも高等教育の意味。でも社会に出る準備、チャンスをつかむ前に人生を終えるなんて、これ以上悲惨な運命ってアリ?
完全に集団ヒステリーだね。殺された彼女の血を吐きながらの絶叫は絶望的。教育を真向から弾劾した超問題作。

正しい教えは正しい行動と思想に導く。
「人はすべて罪をもって生まれる」なんて信じない。生まれた時は差別や偏見など思いもつかないまっさらな状態なのだから。
ラストのメッセージは「unlearn」(学んだことを捨てよ」


■『リービング・ラスベガス』(1995)

監督:マイク・フィッギス 出演:ニコラス・ケイジ、エリザベス・シュー ほか
ここまで酒にこだわる心境って何だ? 最初は心の隙間を埋めるため、あとは平常心を保つためか。
アル中も病気のうちだっていうものね。単に堕落の問題じゃなく。
キッチンドランカーを描いた『男が女を愛する時』『酒とバラの日々』ほかは、愛が命と魂を普通のレールに戻したけど、
彼はすでに死神にとりつかれていた。
「原作者は映画化が決まった2週間後に自殺」目的は果たされたようだ。死ななきゃ名が売れない世の中のほうが曲がってる。

同じ人間の中にこんな凶暴さが隠れているのが信じがたい。どうして動物以下のこんな犯罪行為ができるのか?!
STINGが♪A very thought of you を高らかに歌う。T.ウェイツじゃあまり警鐘にはならないほどハマりすぎるものね
シャンペンのように輝く主演者、スタッフらのクレジットが印象的。

人はどこまで堕落できるのか。ヴェガスもひとつの街でしかないのに。ここでは何でも「アリ」だ。
彼を愛していながらまだ仕事をした理由は何か。アル中と同じく売春も抜けられない罠か。
集団レイプした一見まともそうな連中より、この2人のほうがよっぽど人間的で「イイひと」なのに。
いったんこのレールから外れたら外は迷路で1人じゃ帰れないんだな。


■『禁断症状』(1994)
監督:ドン・ボイド 出演:エイミー・アービング ほか
いろんな心の病があるものね。金に困って盗むならまだ筋が通ってるけど、
ありあまる金持ちが盗みで解放感を感じるなんて、理解できない世界。
食べて吐くのも同じ原理。心の隙間って何をしでかすか分からない。
余分な脂肪などどこにもない体でいて、なお太るのが恐い「拒食症」は深刻。
チョコをむさぼり食べたり、皿をつつき回して1口入れただけでトイレで指を喉につっこんで吐いてるなんて異常そのもの。
お酒だけで動いて考えられるなんて車みたい。


■『ビューティフル・ガールズ』(1996)
監督:テッド・デミ 出演:マット・ディロン、ナタリー・ポートマン、ティモシー・ハットン ほか
20代後半、人生先の選択を迫られる微妙な時期を恋のさやてを通して繊細に描いた作品。
ティーンのナタリーが看板張って、期待通り「隣りの女の子」役でも十分ほかを食ってるからすごいね。
「君はこれから何か素晴らしいことをする。イイ女になるよ」私たちも10年後の彼女が楽しみ。
ハットンは36、ディロンは32で29の同級生を演じてる。この顔合わせはホット。
タイプは逆でも2人ともアウトサイダーな魅力をもつ。ハットンのような俳優と同時代に歳をとれるって嬉しいね。
♪Sweet Caroline が郷愁を誘う。雪に仲間にバーで飲みながらピアノで歌うって『ディア・ハンター』を思い出す。

窓越しのマーティとの会話「ロミオとジュリエットの逆版ね」「連絡をとりあおう。これから先君が何をするのか楽しみなんだ」
スケート場での会話もよかった。
「5年したら18。そしたら付き合えるわ」
「5年したら君は変わって僕を忘れる。大人になってプーを必要としなくなったクリスみたいにね。プーにはなりたくないよ」

別れ際の友人の言葉「ここじゃ季節しか変わらないよ」そんな郷里が必要なんだな。都会でやっていくには。
まだ20年、それもやっと大人になって数年でこの先何十年死ぬまでのパートナーを見つけ、仕事を見つけるなんてムリだよ。
それにちぢれパーマともみあげがキュートなハットンにセールスマンは似合わない。“Stay be cool, forever.”


■『恋する惑星』(1994)

監督:ウォン・カーウァイ 出演:トニー・レオン、フェイ・ウォン ほか
'90の感覚がよく出てる。さわやかな風が吹きぬけてゆく。香港映画は完璧変わった。ウォン作品の他のも要チェック。
主題歌がまたイイ! 透明でキレイな歌声は作品を引きたて耳の奥で響く

「ジョギングをして体中の水分を蒸発させる。涙もだ」「男は夜明けが大切だ」
「この街のどこかに未来の恋人がいるかもしれない」「2人の距離は0.1ミリ。彼女は別の男に恋をした」
「タオルが泣いてる。まだ多感なのが嬉しい」とか雑巾やシャツにも真面目に話しかけるトニーが笑えて、この変さがまたイイ。

シロクマのぬいぐるみを黄色いトラネコに変えられても「遊びすぎるな、白い毛が黄色だぞ」
新しく変えた石鹸にも「ヤケ食いするな。自信をもつんだ」て、全部、結局、自分を励ましてるんだよね。

「行き先が分からないんだ」「再発行してあげる」まるでマンガの世界。映画はこんな夢物語が実現する。
やたらデカイ音で流される♪California Dreamin' 広東語?香港語?日本語、英語が混ざる香港の雑踏が伝わってくる。


■『陽のあたる教室』(1995)

監督:スティーブン・ヘレク 出演:リチャード・ドレイファス ほか
これ映画館で観たら涙と鼻水攻めに遭ってたよ
1人の音楽教師の30年間と'70〜'90までの激動の米史を見事に融合させた完璧なストーリー構成と脚本。
レン・バリー♪1-2-3、ジョン♪イマジン、R.チャールズ♪I got a woman ほかの名曲、
ニクソン、ケネディ、キング牧師、ジミ・ヘンらの実写の混ぜかたが絶妙。

とくに'80ジョンの銃殺のニュースがどれほど世界中の1人1人にショックを与えたか、
当時を生きてた人も、今改めて知る私たちもリアルタイムのごとく再体験できる。
人生は出会いと別れのドラマだね。ガーシュインのメロディも心に沁みる


■『サム★サフィ』(1992)
監督:ヴィルジニ・テヴネ 出演:オーレ・アッテカ ほか
日仏合作か。もっとポップで過激な内容かと思ったらフツーに戻ろうって話。
完璧フツーじゃない“フツーもどき”てとこかな。こんないい加減な娘がお役所試験受かって職につけちゃうんだから、
お国全体がとってもゆるーーーーいのが分かる。
ま、この映画はオーレさんのとにかくデッカイ胸を鑑賞する、ひたすらそんな映画。
ラスト、ケーキや果物をモンスターのごとく口に運ぶ赤ちゃんのたくましい生命力のカットがスゴイ。

「あなたたちは遅れてて、無責任よ!」

キャピキャピゆってる娘さんには、「そっか真面目に働こう」って気にさせるかも知れないけど、
平凡な結婚、子どもを出産、'70の革命を無駄にしてまた元の木阿弥に戻るってわけ?
エイズ問題が解決するまですこし大人しくしてるのは得策だけど。


■『心の地図』(1993)

監督:ヴィンセント・ウォード 出演:ジェイソン・スコット・リー ほか

「俺の地図は死の地図だ。祖母、戦友、ドレスデンの。これを見れば結局迷ってると気づくだけ」

4つの大国合作による壮大なドラマ。英×独との戦争で廃墟と化した美しいドレスデンの町。
ケストナーはこのことを言っていたんだ。まさかこの通り1人の指揮官のフラレた復讐心で決められたんじゃないと思うけど。
爆風で裸になり、叫ぶ少女「クリスマスみたいだ」「どうしてこんなことに」
ディランの♪戦争の親玉、や、♪しょせん我々も歩兵の駒にすぎない って歌詞を思い出す。

「貧しくてバカで醜くて、なにかというとハーフだとさげすまれる」'30ならなおさら差別が公だったのかも。
「白人は食人鬼だ。彼らと生きていくことはできない」2人だけの特別な関係は『嵐が丘』のようで時として理解しがたい。
「運は自分で作るものだと悟った」と言いつつ、自分が疫病神だと信じきっていた。彼自身は戦争も生き延び、運はよかったはず。

「本当に苦しいのは、自分のことより愛する者の苦しみを見ることだ」


■『デッドマン・ウォーキング』(1995)

監督:ティム・ロビンス 出演:スーザン・サランドン、ショーン・ペン ほか
ティムの才能は本物。文句なしの傑作。
心情を代弁するB.スプリングスティーンの渋い歌声は本作の感動を引き立てる
最初はシスターとともになんの潜在意識もなく観客はどちらかといえば死刑反対の視点に置かれているが、
ラストでまさに胸のムカつく犯罪の様子と死にゆく顔のオーバーラップで完全に個人個人の判断に任せられる。
信仰、良心、公平心、罪と償い、人の命の価値、「死刑」問題は言葉や理性だけでは解きがたい難しいものだ。


■『アンダーグラウンド』(1995)

監督:エミール・クストリッツァ 出演:ミキ・マノイロヴィチ ほか
時期尚早ながら'97の最高傑作はこれに決まり。なんとも可笑しく、哀しい歴史絵巻。
退廃美が現実とドラマをミックスし、記録フィルムもまじえて戦争の愚かさ、愛国心、平和と命を愛する心をひしひしと訴える。
喧騒なホーンバンドの陽気な音色が耳の奥に響く
水中で仲間が再会するシーンの美しさは絶句もの。
「許してくれ」「許すが忘れんぞ」「昔、こんな国があった。この物語は終わらない」
私たちももしかしたら一部の者の欲のため、より平和な外界から騙されて遮断されているかもしれない。


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