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少年探偵シリーズ28『呪いの指紋』(ポプラ社)

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■少年探偵シリーズ28『呪いの指紋』(ポプラ社)
江戸川乱歩/作 柳瀬茂/カバー絵・挿し絵 1970年初版 1980年第22刷 450円

※notes and movies(1998.7~)からの転記。
「作家別」カテゴリーに追加しました。

今作は、小説『悪魔の紋章』を少年少女ものにリライトしたもの。
この間、書店で知ったけど、このシリーズは乱歩が新聞、雑誌に載せた小説(明智は出ない)を、
明智探偵の活躍する一連の事件としてシリーズものに描き直したものなんだ。

こっちのほうがやっぱり読みやすくて、とっつきやすい。
明智のスパッと解決する様も気持ちがいいし。

今作は、この本の黄ばみ具合からして、昭和55年当時買ったもので、忘れかけていたストーリーが蘇る。
犯人はすぐ分かるけど、それまでのプロセスがこみいっていて、アイデアに溢れていて面白い。

表紙もシリーズらしい。今回は脇役の小林少年が描かれている。
もしかして宗方博士についた新助手、本木少年か?(名前も似てるし)

▼あらすじ(ネタバレ注意

明智の次に有名な探偵・宗方氏の事務所に助手がかけこみ死ぬ。
富豪・川手氏に脅されていたが手がかりが三重渦巻きの指紋と分かる。
脅迫状に書かれた「菊人形」から、浅草に展示してある人形の中から、川手氏の次女が姫の姿で飾られているのを発見。

長女は厳重な見張りの中、ベッドの中に隠されて、ゴミ収集車で運ばれ、近くの化け物屋敷に連れられる。
ここのからくりが不気味なものばかりでリアル。

助手が黒づくめの犯人の顔を見て撃たれ、鏡の部屋に追い詰められたはずが、中からは宗方氏が出てきた。
最後の川手氏は変装し、丁寧に尾行をまいた後、山梨の城に隠され、オトリが家に残ったが、
犯人はたやすく見つけて、彼の父が仕事をとられた恨みで山本夫妻を殺し、
その幼い息子が復讐の鬼と化したのだった。

川手氏は生き埋めにされる。

探偵少年・林くんは、川に投げられた小箱から例の指紋の女の指を見つける。
指の主・北園は疑われ、引越しを装って隠れていたのを発見されて自殺する。

共犯の男も自供の遺書を残して飛び降り自殺。

事件解決を祝うパーティで、アメリカ帰りの明智が真犯人は宗方だと宣言する。
川手氏も救っていた。

北園は、川手氏の妹で、特異な指紋を利用され、加害者にされ、自殺と見せかけて殺された。
宗方は、山本始、妻は妹で、救われた川手氏を襲って、小林くんらに捕らえられ、動かぬ証拠となる。

怪指紋はゴム印で、宗方自身があらゆる所につけていた。
悲しい運命を背負った兄妹は、金歯にしこんだ毒薬で自殺する。

昔は敵討ちは許されていたが、今は法律で禁じられている。



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