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『ナショナルジオグラフィック世界の国 アフガニスタン』(ほるぷ出版)

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『ナショナルジオグラフィック世界の国 アフガニスタン』(ほるぷ出版)
スーザン・ウィットフィールド/著 トマス・バーフィールド、マリハ・ズルファカル/監修

スーザン・ウィットフィールド:英国図書館の国際敦煌プロジェクトの総括責任者。
トマス・バーフィールド:ボストン大学の人類学教授。
マリハ・ズルファカル:カリフォルニア州立工科大学の社会学教授。

情報化社会、国際化などと言っても、無宗教、島国で移民も少なく、
テレビのニュースなどでしか、他国の紛争や貧困などを見ることぐらいしかない日本では、
なかなか世界情勢に興味を持つことも難しく、教育環境が整っているにも関わらず、
どんな国があって、実際どんな人々が、どう暮らしているのか分からないことが分かった。

豊富な写真などの資料で、いろんな国を、それぞれ、地理、自然、歴史、人と文化、政治・経済の5章に分けて
分かりやすくまとめてあるこのシリーズをしばらく読んでいってみたくなった。

なんとなく「貧困」「内戦」で苦しんでいるように思う国に住む人々の中にも、笑顔の姿がある。
相互理解は、お互いを知り合うことからはじまる。



【内容抜粋メモ】

アフガニスタンには、紀元前7000年からヒトが住んでいた。
侵略者がくるたびに暴力で支配されたが、同時に新しい言葉、芸術、技術、宗教がもちこまれた。

今は34の州に分けられている。
民族による境界を廃止するのが目的だが、一部では以前からの「共同体」の長老、軍の指揮官がいまだ支配している。

長年の戦争で非常に貧しくなり、最近立ち直りはじめたばかり。


「国旗」政変のたびに何度も変えられた。

「国歌」“アッラーは偉大なり”という聖句が盛り込まれている。

「通貨」政変のたびに何度も変えられた。2002年に新紙幣が発行され、安定してきている。

「政治」君主国→社会主義政権→民主主義国家の歴史は浅い。議員の1/4は女性(それは日本よりずっと多いな/驚

「国技」はブズカシ。頭を切り落としたヤギか子牛を掴み取るのを競う


「ロヤ・ジルガ(国民大会議)」
何世紀にもわたり、指導者がさまざまな事を決めてきた。もとは遊牧民が開いていた。
「共同体」のリーダーがテントに集まり、新しい指導者を決める。



************************地理・自然

ほぼ全土が木のない茶色の山と砂漠。国土の3/4が山岳地帯。畑に利用される土地は国土の20%しかない。
(日本がいかに緑と水に恵まれた豊かな土地か、それがヒトや文化にどれほど影響するかが分かるな

「カーブル」国の中心地。大きな都市で、400万人が住む。

建物の多くは1960~1970にソ連の支援で建てられた

「アム・ダリヤ川」
中央アジア最大の川。北側の国境線。川もやがては砂漠に消える。
上流の町、農場がわずかな水を使ってしまい、長い干ばつが何年も続くことがある。

乾燥した気候で、夏はとても暑く、高地ではたくさんの雪が降る。
巨大な山々は、人々の行く手を阻む障壁となっている。

「山中にある5つの湖」
預言者ムハンマドの義理の息子アリーがつくったと信じられている。人気の観光スポット。


厳しい自然環境を生きぬくため、強いつながりをもつ「共同体」に頼っている。


************************多様な民族

アフガニスタンが誕生してから、多様な民族がそれぞれのアイデンティティを保つと同時に、
すべての人々が属する集団としての国のアイデンティティをつくろうとする帰属意識の形成を促進している。

人口のほぼ半分、約1500人は「パシュトゥーン人」。
さらに数百万人が住んでいて「パターン人」と呼ばれるペルシア系民族。

「遊牧民(クチ人)」アフガニスタンは旅人の国。


「モンゴル系」
山岳部に住む「ハザラ人」。シーア派のため差別を受けることが多い。


************************絶滅に瀕する動物たち

アフガニスタンの野生動物のほとんどは希少。
クマ、オオカミなどの大型動物は、農場の動物を襲うため、絶滅に近い状態まで狩猟された。
トラも絶滅したので「ユキヒョウ」は、この国のもっとも大型のネコ科動物。
こうした動物たちは、カーブルの市場で毛皮としてつるされている。

「マーコール」

草を見つけて食べるのに1日約12時間かかる。この角を戦利品として狩るハンターが多い。

・アカゲザル

・ヤマジャコウジカ
高級な香水に不可欠な原料として狩猟され、きわめて希少。

・4つの国立公園
険しい峡谷には、希少なシカ、アイベックスが生息している。



************************食べ物・産業・文化

・大部分が農民
果物やナッツの産地として有名。家畜の放牧も多い。輸入に頼っている。

どんなに貧しかろうと、客を歓迎し、食べ物をご馳走するのが伝統。みんなお茶が好きv

「パウラ」平らで楕円形のパン(ナンに似てる

「ケバブ」肉はたいてい焼く。

「ピスタチオ」20年前、軍事的指導者が支配し、ピスタチオを売って兵士の賃金とした。今はほとんどインドに輸出している。

「ハチミツ」何千年にもわたってハチを飼い、重要な特産物。

人々は泥でつくった粘土の家に住んでいる。


・ラピス・ラズリ

古代、ここは世界で唯一の産地で、6000年以上前から今も採掘が行われている。

・絨毯、織物が重要な輸出品。重工業はほぼない。

「彩色写本」
イスラム教は、人や動物を絵画・彫刻にすることを禁じている。
素晴らしい蔵書を管理する資金、専門家もいないので、外国の支援金で修復作業をしている。

「ビフザード」アフガニスタンでもっとも偉大な画家。

「アハメド・ザーヒル」
首相の息子で自作のラブソングを歌い人気を博したが1979年、33歳の若さで自動車事故で亡くなった。
アフガニスタンには音楽・歌の長い伝統がある。

・映画大好き
タリバンが去った後、ふたたびテレビや映画館が賑わい始め、映画『ホースメン』がヒットした。

・たこ揚げが芸術的


************************女性の世界

イスラム教国はどこも「男性優位社会」。
タリバンは、女性を「二級市民」とし、人前で顔を見せるだけで殴られた。

「ブルカ」

女性の慎み深さをあらわす伝統的な服。人前では体と顔を覆い隠さなければならない

結婚はたいてい同じ「共同体」の相手で、大家族の関係はとても密接。



************************歴史

アフガニスタンは、歴史上最古の文明のいくつかが存在した場所だが、2000年間、外国の支配者により分割されてきた。

「ペルシア帝国」世界で屈指の進んだ文明の地となる。アレクサンダー大王は、侵略を続けた末、32歳の若さで死んだ。

「ギリシアの支配」新しい生活様式、文字、文化ももたらした。

「バクトリア王国」

「インドの支配」「シルクロード」

「クシャン帝国」

「モンゴル、チンギス・ハーンの支配」モンゴル軍は、7日間で100万人殺したといわれる。

ハザラット・アリのモスク。ハーブル庭園も有名。



・ロシアとイギリスの支配権争い
19C「グレート・ゲーム(大抗争)」

アム・ダリヤ川の無人地帯は誰も住まない孤立した地域になってしまった

1838 第1次アフガン戦争:1842、イギリス敗退。イギリス軍は16500人が山中で死んだ。
1878 第2次アフガン戦争:イギリス勝利。支配はならず。

1893 イギリス、ロシアの協議で「デュランド・ライン」が引かれ、この国境線はその後も紛争の原因となっている。

1919 第3次アフガン戦争:イギリス敗退。
1921 アフガニスタンは君主国として独立。


・アメリカとソ連は世界を勢力圏に入れる争いをはじめる
第2次世界大戦では、アフガニスタンは中立を保った。
戦後、植民地だったインドからパキスタンが生まれた。

1979 ソ連の侵攻

150万人のアフガニスタン兵士が死んだ

1980年代 アメリカ、パキスタン、中国、イラン、サウジアラビアの支援を受け、親ソ政権と争う。
ソ連の爆撃でヘラートは廃墟と化し、社会基盤がまったく機能不全となった。

1994 イスラム原理主義「タリバン(学生の意)」が厳しい法律を課した。その資金はサウジアラビアがもった。
テロリスト「アル・カーイダ」が山中に拠点を置くのを許す。彼らの狙いは非イスラム教徒を追放し、統治すること。

アル・カーイダの指導者ウサマ・ビンラディン


2001.9.11 アメリカへのテロ。アメリカは「北部同盟」の指導者と手を結び、空爆。民主主義を樹立。


************************宗教

「ゾロアスター教」
世界最古の宗教の1つ。ヒトが死ぬと遺体を「沈黙の塔」の上に置き、ハゲワシが食べて骨になったら、それを塔の部屋に入れる。

「沈黙の塔」

「仏教」
南部には、インド人により仏教があった。
バーミヤンの大仏は、2001年、タリバン政権によって破壊された。


「イスラム教」の到来
それまでのギリシア文字→アラビア文字が優勢になった。改宗は法に背く。

「原理主義者」
ある宗教を非常に厳格に信仰する人々のこと。当然、平和的な原理主義者もいる。

「スンニ派」
イスラム教最大の宗派。預言者ムハンマドの死後、後継者は、彼に続いた指導者カリフだとする。

「シーア派」
イスラム教第二の宗派。預言者ムハンマドの真の後継者は、ムハンマドの従弟、娘婿アリーとその子孫だとする。
信者は、イラン、イラクに多い。



************************現在とこれから

今のアフガニスタンは、ドイツのボンで会合し、最後の国王ザーヒル・シャーが王位を捨て、暫定的な行政機構を樹立した。
2004 新憲法採択。民主主義国家となる。新しい大統領ハーミド・カルザイ(ドゥラニ人)が選ばれた。

カーブルの廃墟で授業を受ける子どもたち


子どもたちは女子も含め、学校に通い、仕事に復帰した女性もいるが、今も世界でもっとも貧しい国の1つ。
農村部には「地雷」があり、子どもが死ぬことが多い。
タリバン政権下に国外に逃れた知識人、技術者が、自国の再建のため戻りつつある。

・外国人兵士が残る
タリバン政権への攻撃以来、アメリカ軍ほか36カ国が軍隊を送った。
「ISAF(国際治安支援部隊)」が平和維持、国の再建支援をしている。



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