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少年探偵シリーズ38『白い羽根の謎』(ポプラ社)

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■少年探偵シリーズ38『白い羽根の謎』(ポプラ社)
江戸川乱歩/作 岩井泰三/カバー絵・挿し絵 1972年初版 1995年第28刷 700円

※notes and movies(1998.7~)からの転記。
「作家別」カテゴリーに追加しました。

どうやらこうしてみると、乱歩全集の後半は、怪人二十面相との摩訶不思議な大活劇とは違った本格ミステリーで、
大人向けに発表したもののリライトが多い。
今作は映画『RAMPO』に使われた。「サブミナル効果」が話題になったっけ。


▼あらすじ(ネタバレ注意
庄司は、探偵小説好きが高じて、同類でリッチな貴族の出の大河原氏の秘書となった。
そこに出入りする2人の若手ビジネスマン、気のいい姫田と、陰気な村越。
2人はひどく仲たがいしていた。

庄司は、姫田が白い羽根で脅されているのを聞く。
熱海の別荘で、望遠鏡好きの大河原夫婦は、姫田が崖から飛び降りるのを目撃する。

他殺の線で捜査は始まり、ネズミ色のコートを着た不審な男が浮かび上がる。
聞き込み専門の浦刑事が明智を訪ねた時は、すでに犯人を言い当てていた!

当分、一番怪しい村越を尾行し、彼の親友で怪画家(シリーズによく出てくるよね、当時は多かったのか?)にも聞くが手応えなし。

そのうち村越は、密室状態で胸を撃たれて殺され、画家も溺死死体で発見される。
明智は、あっさり窓と針金の密室トリックを見破る。

庄司は、夫人の日記から大河原が犯人と疑い、明智に告げ、
夫人に言われるまま寂しい空き地に誘われ、殺されかけて、明智に救われる。
バレた夫人は毒を飲んで自殺(女性はいつもそうだね。どこで売ってるの、そんな毒

姫田はあらかじめ突き落とされていて、皆が見たのは人形。
手伝った村越は、自分で入手した銃で撃たれ、時計をズラした大河原家で
ラジオの影のテープレコーダーで9時の音を聞いたというトリック。

自分の家名が倒れ、後妻になったのは大河原の策略と思い込んでの復讐だった。
こうして彼女は、明智にラスト
「今まで闘った中で、最も美しく、最も利口な悪魔だ」と言う。

結局、女の犯人は、必ず服毒自殺なんだ。
あまりに潔すぎというか、頭のいい割に弱いというか、彼女たちも怪人二十面相みたく
悪魔らしくスルリと逃げて「またみてろヨ!」くらい言ってほしいな。

映画のほうはSMまで絡んでて、かなりヤバいから、こちらは少年少女向けに
庄司は夫人に「母が姉のように思う」程度にして、
村越、姫田も、夫人を巡って争ったり、秘密に会ってたり、「冒険好き」と遠回しな表現にしたり、
リライトにかなりてこずったという本人曰く、それが伝わってくる。


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